強者の界   作:聖成 家康

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三界を見事クリアした晴哉。またもや、ソロモンの部屋に泊まることになったが…


『友達』

三界をクリアした晴哉は再びモンスターBOXへと足を踏み入れる。

 

「ソロモンの部屋ぁ…」

 

またもや疲れ果ててしまった晴哉はワープ機能でソロモンの部屋に行く。

ドアを3回ノックすると、すぐに扉が開いた。

 

「おかえり〜」

 

笑顔で迎えてくれてソロモン。

 

「疲れた…」

 

「あはは、ゆっくり休みなよ。」

 

晴哉は部屋に入ると、ベッドに腰掛けた。

しばらくぼっーと上のほうを眺めていると、ソロモンが隣に腰掛けてきた。

 

「ゲームでやってるときは目しか疲れないのに…実際にやるとこんなにも疲れるんだな。」

 

ソロモンに愚痴を吐く晴哉。

ゲームとは違い、ボスやモンスターの迫力や威圧。モンスターの叫びや雄叫びなども体感することになるため、当たり前のように非日常を経験することになる。

 

「でも、お前らはずっとこれを経験してんだもんな。すげぇよ。」

 

「ん?いやいや、そんなことないよ。同じモンスターだし。」

 

ソロモンは照れながら言う。

 

「そーだ、お腹空いた?」

 

晴哉はコクコク頷いた。

モンスターストライクの世界の食べ物は人間の世界と殆ど変らない。むしろ一緒と言っていいくらい。

どうやらソロモンは料理ができないらしい。今日はレトルトのカレー。それなりに美味しいし、腹も満たさせる。

 

熱々のカレーを冷ましながら食べ終えた晴哉は水を一息で飲み干す。

 

「ぷはぁ…あ〜生き返る〜」

 

まるで酒を飲む親父のような事を言う晴哉。

そんな晴哉をソロモンは微笑みながら見ていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

ずっとソロモンは気になっていた。

平然とクエストに連れて行かれていたが、その人はどんな人なのか。

詳しいモンスターは誰もおらず、分かっているのは“別の世界で引っ張っている”ということだけ。

 

次第に彼女はそんな顔も分からない主人に恋を抱いていた。

 

 

カナン運極完成後…

 

「やった〜カナンちゃん運極おめでと〜」

 

ワタツミが可愛げに拍手をしながら言う。

ソロモンはカナンの周回パーティーに入っていた、慣れた手付きでキャノンベースに放ち、何度も往復して敵を薙ぎ倒していく…

 

他のモンスターは『主人様も頑張るな〜』的なことを言っていたが、ソロモンだけは違った。

主人がどんな人か気になって仕方なかった。

そしてよく使ってくれている主人に感謝もしたかった。

 

「ソロモンちゃん、どーしたの?」

 

ワタツミが顔を覗き込みながら言う。

 

「えっ?あ、あぁ…なんでもないよ!」

 

ソロモンは咄嗟にそう答えた。

誰かに話したいけど、どうも話せない。

 

 

そんな彼女の前に“彼”が現れた。歳も近くて、いい方向で予想外でビックリしていた。

 

しかし、神化の彼女とは歳は離れていた。

 

「ハルさん、宜しくお願いします。」

 

ソロモンはおどおどしている彼と優しく握手した。

 

触れることができた

やっと会えた

 

彼女は嬉しくて仕方無い気持ちを心にぐっと抑え込んだ。

 

恋人同士になりたい なんて贅沢なことは言わない。

 

せめて友達からでも、良かった。

 

やっと会えたんだ、彼と“絆”というものを深めたい。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「ハル君…」

 

ソロモンが恐る恐る言う。

 

「ハル君ってさ、好きな女の子とか…いる?」

 

「……いない…かな。」 

 

「そう…」

 

ソロモンは思い切ってこう言う。

 

 

「私、ハル君のこと…好きだよ。」

 

 

晴哉は口をポカンと開け、水の入ったコップを水面を揺らすことなく持っていた。

 

「………あぁ!友達としてか!おぉありがとう!ここでの初めての友達ができて嬉しいよ!」

 

晴哉のその言葉にソロモンは訳が分からなかった。

 

「えぇ…う、うん。」

 

曖昧にも程がある返事を返すと、ソロモンは食器を放り投げるように流し台に入れた。

 

晴哉も本当は気づいていたのだ、彼女が自分のことを恋愛対象として見ている…と。

 

 

 

ただ、いつか来てしまう“別れ”が確実にある。

強者の界をクリアすれば、彼女とはもう二度と会えなくなる。

普通な対応を取りたかったのに、そんな気持ちが邪魔していて言えなかった。

晴哉は悔しさで吐きそうになった。

 

「ハル君?食器早いとこ片付けてね。」

 

少しだけしょんぼりとしたソロモンに晴哉は申し訳なさそうに皿を返す。

 

 

 

 

 

その夜。

いつものように同じベッドで寝ていたソロモン。

スースーと優しい寝息をしながらぐっすりと眠っている彼女を背に、晴哉は迷っていた。

あの時の返事を。

なんとも言えない感情が晴哉の中で漂っていた。

ソロモンに会った時…いやもっと前、ゲームでソロモンを使っているときから…

 

お気に入りキャラとして、適正クエストには必ず連れて行っていたソロモン。

恋愛対象として見ているような見てないような、曖昧な気持ちだ。

 

 

結局、一睡もできず朝を迎えた。

多少は休めたが、この調子のまま四界に行くとは…

 

いつもは起きている時間なのに、ソロモンがまだ寝ている。

晴哉は辺りをチラチラと見回し、紙とペンをなんとか見つけた。

 

その紙に『昨日はごめん』と書き残し、部屋を出た。

 

 

ーーーーーーーー

 

「あれ…寝すぎちゃった。」

 

ソロモンはボサボサのピンクの髪をさっさと直しながら立ち上がる。

すると、テーブルに紙が置かれていることに気がついた。

 

『昨日はごめん』

 

ソロモンはその言葉を見て顔を赤らめた。

 

「……駄目駄目…まずは友達から…」

 

必死に自分に言い聞かせると、ソロモンは髪をいつものポニーテールに結ぶ。

 

 

 

 

晴哉は廊下をすたすたと歩き、足音を響かせながら入口へと向かっていた。

 

「あ、ご主人…」

 

守護ガブリエルと出会う。髪も服の色も普通、トドメを刺してくれたガブリエルだ。

 

「おぉ、ガブリエル。どうした?」

 

「いや、たまたま会ったなぁ〜って。」

 

ガブリエルは気だるげに言う。あのありもしない効果音を付ける、進化前ガブリエルとは大違いだ。

 

「これからクエストですか?」

 

「ん?まぁな。」

 

ガブリエルは晴哉の手を握ると、

 

「頑張ってくださいね。」

 

微笑みながらそう言った。

 

エントランスに着いた晴哉は、モンスターBOXをすぐに出た。

ワープ機能でホームに到着。

 

そしてすぐに強者の界のクエスト選択画面の前に立った。

 

ーーーーーーーーーーーー次回 四界

 

 

 

 




今回は晴哉とソロモンのムフフな回でした。
次回は四界『惨殺の巨兵』です!どんなクエストかお楽しみに!!
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