荒ぶる神々に救いを   作:マスターBT

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どうもマスターBTです。嘗ての自分が躊躇った事に挑戦します。更新は色々と落ち着いたら(他の連載、どれかが終了)一ヶ月に2回ぐらいの更新にしたいなって思ってます(願望)
それまでは超不定期。


第1話

「…対象を発見。これより戦闘行動を開始する」

 

全身黒ずくめの男。その手には、第三世代の黒い鎌型の神機『クロガネ大鎌絶詠』が握られている。

何もかもが黒で統一された男。唯一、目を引くのはフードからチラリと見える真っ白な髪。

そんな男が何処かへと通信し、目の前の全てを喰らう存在『アラガミ』ーー種別をイェン・ツィーへ戦闘を開始しようとしていた。

 

『貴方の血の力を存分に奮ってね、エノク』

 

「ラケルがそう願うのなら」

 

通信の相手、ラケル・クラウディウス。

彼の幼馴染にして直属の上司。

 

「ーーー!!!!」

 

イェン・ツィーがエノクに気づき、咆哮する。

同時に、感応現象起きオウガテイルに似たアラガミ、チョウワンが複数生み出され彼に向かってくる。

 

「ウルセェ、こちとら久し振りにラケルと通話してんだ。邪魔すんな」

 

ラケルと会話?報告のような気もするがそれをしていた時とは、全く違う無機質な声を出す。

通信を終わらせ、向かってくるチョウワンとイェン・ツィーを睨みつける。

 

「まぁ、良い。テメェら感応種のコアを確保すりゃあいつが喜ぶ。お前らの存在意義なんてそんなもんだ」

 

彼は心の中で、起きろ寝坊助と呟く。

血の力を解放するトリガーの様なものだ。それと同時に、神機に輝きが戻り彼を中心に赤い血の様な波が広がる。

 

「さて、無力なまま蹂躙してやるよ」

 

狂暴な笑みを浮かべ、彼はチョウワンが消滅して困惑している様な素振りを見せるイェン・ツィーへと向かっていった。

結果は…言うまでもなく彼の圧勝だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばジュリウス、彼は何処にいるのですか?」

 

ブラッドにも少しづつ溶け込んできたシエルがある日、ジュリウスに尋ねた。

この言葉に、ジュリウス以外のブラッドの面々は首を傾げる。現在、副隊長の座にいる神威ヒロがそんな彼らを代表して口を開く。

 

「シエル、その彼ってのは?」

 

「あぁ、そうでした。君は知りませんね。マグノリア=コンパスでラケル博士の警護をずっとしていた神機使いが居るんです。

あの時は疑問に思いませんでしたが、彼が一番最初のブラッドだと思います。私達と同じ腕輪を付けてましたから」

 

その言葉に再び、全員が驚く。

ブラッドは新設されたばかりの部隊。まさか、そんな前からブラッドの神機使いが居たとは思ってもいなかったのだ。

当然、この場で彼を知っているジュリウスに全員の視線が向かう。少し驚きながらもジュリウスは答える。

 

「あの人は、ラケル先生の子飼いだからな。多分、今も何処かで感応種と戦っているんじゃないのか。

たまにフライアで会うが、別に仲が良いという訳でもないから詳しくは分からん。なにせ、たった一人で戦うゴッドイーターだからな」

 

「えー?それって、感応種にも?」

 

「いやいや、流石にないでしょ」

 

ナナの質問にロミオがないないというような感じで手を振りながら話す。

 

「一人だろうな。ジュリウスの言い方的に大型種や複数にも一人で戦っていると俺は感じたが」

 

「そうだ。あの人は俺の知るゴッドイーターの中でも破格の強さを持っている」

 

ロミオの言葉を否定するように口を出したギルバートの言葉にジュリウスは同意する。

まじかよ…っとロミオは引き攣った笑みを浮かべる。アラガミの強さは千差万別だが、簡単に分ければ大きさが指標になる。

小型種、中型種、大型種。後半に行けば行くほど大体強くなる。

ゴッドイーターはアラガミを討伐する時、複数で戦うことが多い。第1世代の時から確立された戦術がそのまま引き継がれているだけかもしれないが、適性が無ければどれだけアラガミを憎んでいてもゴッドイーターになる事は出来ない。

そんな、絶対数が限られてくる仕事だからこそ、複数で任務にあたり死亡率を少しでも下げるのだ。

まぁ、アラガミ動物園と言われる極東支部では一人で大型種であるヴァジュラを討伐してこそ、一人前と言われるのだが。

 

「ラケル先生とは昔からの付き合いらしい。一応、ブラッド所属ということになっているが俺に彼の命令権はない。

だから、立場的にはブラッドではないブラッドだと思ってくれれば良いだろう」

 

「…流石、フライア。例外が多い」

 

天井を見上げる神威ヒロ。

しかし、彼とて立派に経歴がおかしい。僅かな実戦で感応種、それも大型種に属するアラガミと戦闘し、血の力を開花。

その戦闘能力は現在、隊長のジュリウスにも匹敵する。また、一癖も二癖もあるブラッドの面々から厚い信頼を受け、誰よりも若手にも関わらず、副隊長に就任。その重責に潰れることなく前線で指揮を執り何度もアラガミと戦闘し、勝利している。

正に、お前のような新人が居てたまるかというのを体現した存在だ。

 

「神機兵に事前チェックもなく乗って何の影響もなかった君も十分、例外ですよ?」

 

「うっ、シエル……それを言わないでくれ」

 

彼らがそんな話をしていると、近くのエレベーターのドアが開きそこからラケル博士の座る車椅子を押しながら、レア博士が現れる。

急に現れた自分たちの上司に、ブラッドの全員が立ち上がり彼女らを見る。

 

「あら、邪魔してしまいましたか?」

 

ラケルがいつもの笑みを浮かべながらブラッドの面々を見る。

 

「いえ、そんな事よりラケル先生。わざわざどうしたのですか?」

 

普段、ラケルは自室から出てくる事はほとんどない。

フライアの統括責任者であるグレゴリーに呼び出されたりする以外で部屋の外にいるのは珍しい。

 

「久し振りに彼が戻るそうだから出迎えに行こうかと。私の数少ないお友達ですから」

 

誰を?という質問が出る前に彼らの地面が揺れる。

全員が感覚で知っている。どうやら、フライアが停止した様だ。自分達の任務はまだ無かった筈と記憶を辿るブラッドの面々。

それを優しい眼差しで見ながらラケルは提案する。

 

「そうだ、良い機会ですから貴方達もエノクと会いましょうか」

 

何がなんだかよく分からないまま、フライアの出入り口へと向かう。

しばらくするとカツンカツンと誰かが歩いてくる足音が聞こえ出す。やがて、姿を現したのは全身が真っ黒の男。

 

「…ん?」

 

複数の気配に気づいたのか顔をあげる。

 

「お帰りなさいエノク。よく、戻ってきましたね」

 

ソニックブームでも起こせるんじゃないかという感じで車椅子のラケルと視線を合わせるべく、接近してしゃがみこむエノクと呼ばれた男。

当然、ブラッドの面々が彼を見る目は不審者を見るそれになる。

あれだけ素早く動けば当然、フードは外れる。その結果、彼の白髪と真っ赤な目が露わになる。

 

「ただいまラケル。頼まれた通り、感応種のコアとついでに道中邪魔してきた大型種のアラガミ3体のコアを確保した。

俺はお前の役に立てているか?それともまだ足りなかったか?」

 

「ふふっ、大丈夫よ。エノク、ちゃんと私の役に立っていますよ」

 

「なら良かった。また、何かあったら言ってくれ」

 

従順に飼い慣らされたペットとその主人の様だと神威は思った。

 

「そうだ。紹介しなければなりませんね。エノク、此処にいるのはブラッドの正式メンバーです」

 

思い出したと言わんばかりに手を軽く叩くラケル。

エノクもそれによって、漸くラケル以外の人間が居たと気づき、立ち上がり少し離れる。

 

「あぁ、レア姉。研究の調子はどうっすか」

 

ラケルを除いた全員がその言葉に少し崩れる。

まさか、この状況でレア博士に話しかけるとは思ってなかった。

 

「貴方、ラケルの話聞いてた?」

 

「聞いてたっすよ。でも、関係ないでしょ。どうせ、俺とこいつらは関わらない」

 

はっきりと心底どうでも良いという態度を隠す気もないエノク。

流石の言われ様に神威を除いたブラッドの面々は顔を顰める。

 

「あーあ、一人でどんなアラガミだろうと戦えちゃう英雄様は大層な態度ですねー」

 

そして彼らの中で口が軽いロミオが嫌味を返す。

そこで初めて彼はブラッドを見た。

 

「ふっ、だからなんだ?ジュリウスと、そこの……「神威ヒロ、ブラッドの副隊長ですよ」ありがとう。

神威なんたらって奴以外、大した気配を感じねぇ。特にお前は本当にブラッドか?その辺のゴッドイーターと何も変わんねぇぞ」

 

話は終わりだと言わんばかりに視線をブラッド面々から外し、ラケルを見る。

ロミオは未だに口を挟むが全く相手にされていない。

 

「俺の仕事は暫くないのか?」

 

「そうですね……貴方が持ってきたコアの解析にも時間がかかりますし、フライアでゆっくりしたらどうですか?」

 

「じゃあ、いつもの様にラケルの仕事っぷりでも眺めるかね。レア姉、変わっても良いっすか?」

 

「嫌よって言っても聞かないでしょう?貴方」

 

「よく分かってるっす」

 

んじゃ、失礼してっとエノクはレアから車椅子の運転を変わる。

向かう先はおそらくラケルの研究室だろう。道中、エノクが話しかけそれに対してラケルが微笑んだり返答したりするのがほとんど。

そのうち、彼らはエレベーターに乗り込み姿が見えなくなった。

 

「あーもう!なんだよあいつ、ギルとは違う方向に嫌な奴だ。最初のブラッドだがなんだか知らないけどさ!」

 

「おい、俺がなんだって」

 

ロミオの言葉に意外にも反応するのが一人。

この中では一番、エノクを知っているレア博士だ。

 

「彼、正確にはブラッドとは違うわよ。と言ってもほんの少しだけど。

知ってるとは思うけど、貴方達に投与されてる偏食因子の最初の適合者はジュリウスよ。彼に投与されてるのはそのプロトタイプ。

特にラケルが弄りに弄った偏食因子よ。適合者は彼一人、正直言って人間に投与するものじゃないわ」

 

「そんなに危険なものなんですね…」

 

「彼、元々は金髪で綺麗な蒼い目をしていたって言えば分かるかしら。今の白髪と真っ赤な目は適合した結果よ」

 

じゃあ、私も仕事があるからとレアも立ち去る。

残されたブラッドの面々も各々の事に戻っていく。ジュリウスは隊長としての書類整理。

ナナとロミオとギルは訓練。シエルと神威は戦術を。

そんな事をしながら、1日が終わり次の日。

 

「……」

 

「えっと、よろしく」

 

エノクと神威は何故か、一緒に任務へと駆り出されていた。

 

 




本名:エノク・デスティーノ

使用神機:クロガネ大鎌絶詠 銃形態と盾形態使用回数の少なさのせいで詳細不明。色からクロガネ型と推測される。

フライア所属のゴッドイーター。ゴッドイーターとしては高齢に分類される年齢だが、当人曰くラケルが引退するまではゴッドイーターであり続けるとの事。特殊な偏食因子により昔と容姿が激変。ラケル最優先の思考回路は相変わらずとレア博士談。

では、いつかまた会いましょう。
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