荒ぶる神々に救いを   作:マスターBT

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まさか、煮詰まったから息抜きで書いてたらこれが新年一発目の投稿になるとは。どうも、マスターBTです。


第2話

「…進路上のアラガミを殲滅しろね、数が数だからブラッドを分けて対処すると。

だったら、俺一人で良いだろうがよ…」

 

『ジュリウス隊長からのご指示です。エノクさん、貴方は形式上ブラッドなのですから連携を学ぶ様にと。

副隊長ならそういう事上手くやるだろうからとヒロさんとの出撃です』

 

「本当に、ピクニック隊長って呼ぼうかな…隊長なのに俺に全投げって」

 

あんなとても友好的とは言えない顔合わせをしたのに、次の日に組まされるエノクとヒロ。

その背景には、エノクが記憶している数少ない貴重な男であり、一応自分が所属している部隊の隊長、ジュリウスがいた。

 

「チッ、後でテメェにも聞きたいことがあるからなぁフ…フ…『フランで構いません』……今回の任務の詳細を誤魔化してた説明をして貰う!」

 

ブツッと乱暴に通信を切るエノク。

機嫌の悪さは天元突破。何故なら、この任務を受ける前はラケルの仕事を見ながら雑談をしていたのだから。

引き受ける気は毛頭なかったのだが、ラケルが折角だからと言うので一人であることをフランに確認した上で引き受けた筈なのだ。

だが、蓋を開けたら何故かいる神威ヒロ。

 

「おい、副隊長だがなんだか知らんが、俺はお前の指示に従う気は無い。好きにやらせて貰う」

 

「あ、はい。どうぞ、元々ブラッドってそんな感じですので」

 

「チッ、そうかよ」

 

トンっと初期位置から降りるエノク。

着陸の際のエネルギーをそのまま、利用し一気に自身が出せる最高速度へと加速する。

全くの淀みなく行われるその動作がを見て神威は彼の強さを認識する。

 

「たった一人のゴッドイーターか。確かに嘘じゃなさそう。フランさん、エノクさんが向かった方向とは逆にアラガミの反応はありますか?」

 

『少々お待ちを……お待たせしました、ちょうど半分になる様にアラガミは点在しているようです。

それとエノクさんですが、あと20秒でアラガミとの交戦を開始します』

 

「はっや……これはボサッとしていられないな。ありがとうフランさん」

 

通信を終わらせた神威も初期地点から降りる。

エノクの様に着地のエネルギーを利用することは出来ないが、それでも素早く反対側のアラガミ目指し加速していく。

そんな彼の口元は笑っていた。新たな味方の強さを頼もしく思ったのか、僅かに芽生えつつあった自分は特別なんじゃないかという慢心が消え去ったのか、それは彼にしか分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…アァ?ただのコンゴウじゃねぇか。それなら…」

 

視界に捉えたアラガミ。ゴリラの様な見た目をしている背中に生えているパイプの様なものが特徴的なアラガミ。

その名をコンゴウ。中型に属するアラガミだ。

それをつまらなそうに見たあと、自分の神機を一瞬銃形態へと変形させて、元に戻す。このアラガミは耳が良い。

神機は変形の際にそれなりの音をだし、基本的に雑な整備をされているエノクの神機は特に音を出す。

当然、コンゴウはその音を聞き取りエノクの方を見て、自身を鼓舞するようなドラミングを見せる。

 

「敵を見て、悠長に威嚇なんかしてんじゃねぇよ。ちょうど良い、憂さ晴らしに付き合えやァ!」

 

その隙を見逃す男ではない。

ブン!っと勢いよく投擲される神機。勢いよく回転しながら、コンゴウの顔面目掛け飛んでいく。

それをコンゴウは腕で弾く。直後、見たのは少し離れた場所にいたオウガテイルが自分に向けられ、飛んできている光景だ。

 

「!?!?」

 

エノクがやったことは単純だ。神機をぶん投げたあと、進路上にいたオウガテイルを投げた。

言葉にすれば単純だが、実行するのは難しい。一切、スピードを緩めることなく向かってくるオウガテイルの攻撃を避け、全てを食らう存在をまるでその辺の石を投げるようにコンゴウへと投げる。反射神経と人離れした怪力が必要だが、彼にはラケルによって投与された偏食因子がある。ブラッドとして与えられるP66偏食因子と、ラケルの体内にも流れているP73偏食因子を混ぜ合わせたラケルによる『エノクの為だけの偏食因子』に適合した彼はその両方を得ている。

 

「ーー単細胞生物が、一丁前に驚いてんじゃねぇよ」

 

弾き飛ばされた神機を上空で掴み、身体を捻りながらコンゴウへと勢いよく振り下ろす。

飛来したオウガテイルに意識を持っていかれていたコンゴウの顔面に絶詠の刃が突き立てられ、その結合を喰い千切る。

 

「ーーー!!!!!」

 

顔が結合崩壊を起こしたコンゴウは当然、暴れその太い両腕でエノクを殴り飛ばそうとする。

しかし、それらは簡単に避けられ、突如投げ飛ばされたことで理解の追いついていなかったオウガテイルを絶命させるだけに終わった。

 

「喰え」

 

エノクの言葉に反応するように神機が蠢き、捕食形態へと移行する。

攻撃を避ける僅かな時間に行われたそれは、コンゴウの左腕の一部を食らう。神機が元の形に戻ると同時にエノクの全身に力が溢れる。

捕食によるバースト状態。ゴッドイーターの戦闘力を一時的に底上げする力。

 

「ハ、ハハハッ!」

 

コンゴウは自身に訪れた急激な怯えに従い、後ろに勢いよく飛ぶ。

それは正しい、生物としての生存本能だった。三日月の様に口を歪め嗤った彼が振るったクロガネ大鎌絶詠。

それにより遅れて彼に襲いかかろうとしていた周囲のオウガテイルとドレッドパイクを一撃で絶命させた。

くるっと反転しエノクから逃げようとするコンゴウ。それを見て、盛大に顔を歪める。

 

「おいおい、ラケルの邪魔をしておいてそそくさ逃げるなよ」

 

コンゴウからしたら良い迷惑である。

ここら辺は元々彼の生息域で、フライアが偶々通っただけでいつもと変わらない食事をしていただけなのだから。

もし、コンゴウに言葉が通じて話せていたらラケルって誰だよ!?っと言っていた事だろう。

だが、そんな事はエノクにとっては死ぬほどどうでも良い。

ラケルとの時間を潰され、組みたくもない奴と組まされ、別にラケルが求めているアラガミでもないから倒したところで褒められない。

雑に言えば、ただの憂さ晴らしに相手の都合なんか知らん。

 

「はぁぁ……余計な手間を掛けさせるなよなァ」

 

神機を捕食形態にし、近くの亡骸を咥える。

そのまま、逃げるコンゴウの背中向けて投げる投げる。オウガテイルだろうがドレッドパイクだろうが関係ない。

 

「ーー!?!?」

 

もうやめてくれと、言わんばかりの咆哮を上げながら亡骸を避けたり空気の玉を打ち出して撃ち落とす。

しかし、まともに逃げるのを辞めてしまった時点で彼に生存の道はない。

そもそも、一撃でコンゴウの顔面を結合崩壊させた時とやり口が全く一緒だという事に気付くべきだった。

意識を逸らし、その隙に接近し一撃与える。それがエノクの戦い方なのだから。

 

「とっとと、おっ死ね。アラガミ」

 

コンゴウは自分の力が一気に抜けるのを自覚した直後、結合崩壊を起こした顔から一直線に縦に深々と斬られ、絶命した。

 

「コアごとは斬れなかったか。ほらよ、飯だ」

 

コンゴウのコアを貪る様に食らったあと反対側へと歩いていくエノク。

自分の方に来なかったという事は、神威は反対側に行ったのだろうとあたりを付ける。複数のアラガミ相手に一人で戦えるのか知らんが、死んだとしてもエノクにはどうでも良い。

 

「…はっ、流石は副隊長様ってか」

 

目の前には小型アラガミを一掃し、片腕が大きな銃の様になったツノの生えたアラガミ。

名をヤクシャ。コンゴウと同じく中型に属するアラガミだ。

エノクと同様にクロガネシリーズ、その中のナイフ型神機を構えて対峙している神威。

 

「…ふぅぅぅ」

 

深い呼吸をし、ヤクシャの動きを見定める神威。

ヤクシャは攻撃動作が非常に分かりやすくまた、避けやすい。故に突撃しながら戦っても簡単に倒せる相手ではあるが、神威はそういった戦い方をしない。必ず後手に回り相手を隙を狙う。自分の戦いやすい様に暴れ戦うエノクとは違い、アラガミに合わせ戦い方を変える。

 

「ー!」

 

ヤクシャが銃を構え、チャージする。

非常に分かりやすい動作だ。少しずつ距離を詰め攻撃が放たれる瞬間、スレスレで避けヤクシャとすれ違う神威。

 

「…少なくとも新兵の動きじゃねぇな」

 

エノクには見えていた。

すれ違う瞬間に、ヤクシャの肩鎧に全くのズレなく同じ場所に斬撃が5回振るわれていた。

確かにナイフ型神機は取り回しやすい。しかし、すれ違うという僅か数秒で神威と同じことが出来る神機使いは果たして何人いるだろうか。

 

「ふっ!」

 

勢いよく振り返り、その間に銃形態に切り替えていた神威。

アサルトタイプの銃口は乱れ撃つようにその弾を撃ち出す。そして、放たれた弾は先ほどの攻撃が行われた部位にまたしても一切のズレなく叩き込まれた。結果、ヤクシャの肩鎧は結合崩壊を起こし砕け散る。

 

「ーー!!!!!」

 

ヤクシャが怯み、地団駄を踏む。それを見て、距離を詰める神威。

再びナイフに切り替わった神機が今度は、7回ヤクシャの首に振るわれる。ヤクシャが銃を上に持ち上げ放つ。

神威はスタミナが許す限り、縦横無尽に動き落ちてくる光を躱し、ヤクシャの腹部を突き刺す。

そこにコアがあったらしくヤクシャは悲鳴をあげると力なく倒れる。

 

「…ふぅ、いるなら手伝ってくださいよエノクさん」

 

「は?ざけんな、そんな面倒なこと誰がするか」

 

くるりとヤクシャに背を向けエノクを笑みを浮かべながらエノクを見る神威。

周囲にアラガミの気配はない。神威とエノクが担当になったエリアはこれで殲滅完了だろう。

 

「…まぁ、これぐらいはしてやるか」

 

コンゴウを見つけた時と同じように、自分の神機を投げるエノク。

しかし、その方向は神威の方だった。

 

「ちょ!?」

 

慌てて、しゃがんだ神威。

ドスッという肉に突き刺さる音がしたあと、最後の反撃とその身を起こそうとしていたヤクシャにエノクの神機がトドメを刺す。

 

「詰めが甘い。アラガミが倒れたからと終わりだと思うな。

こいつらは、動きを止めたところで動く。コアを斬ったから終わり?完全に消滅するまで気を抜くな。

お前如きのちっぽけな常識が通用すると思うな。その辺の塵以下になるまでアラガミを殺せ。そうすりゃ、今みたいな事は避けられる」

 

突き刺さった神機を回収しながら、神威に話すエノク。

単純に少しばかり彼の中で、神威という男の価値が上昇したのだろう。まぁ、恐らくゴミからその辺のやつ程度だが。

 

「…助けてくれた事には感謝しますけど、もう少しやり方があったんじゃないですか?」

 

「アァ?アラガミに殺されてたら、同行してる俺の引いてはラケルの評価が下がるだろうが。

だが、助けようとして死んだのならそれはテメェの落ち度だ。知った事じゃねぇ。同行者としての最低限をこなしただけだ」

 

「えぇ……この人、言ってること無茶苦茶だよ」

 

ヤクシャのコアを喰らい、消滅するのを見届ける二人。

消滅するまでの間、またフライアに戻るまでの間、この二人に一切の会話はない。神威が話しかけてもエノクはとことん無反応だっただけだが。

 

「シエル〜〜、お茶一緒に飲もうー」

 

「は、はい!君の頼みなら喜んで。ちょうど私も話したいと思っていたんです」

 

この任務で珍しく精神的に疲れた様子を見せた神威とシエルが楽しそうにお茶会をしてる光景がフライアにはあったとかなかったとか。

あと、しばらくジュリウスは副隊長にピクニック隊長と呼ばれる事になるが、これは特に関係のない話。

 




ゲーム主人公とのカップリングが、シエルでいくことが決定しました。書いてたらこうなっただけだけど。
エノクの戦い方。
色々と力任せ。自分のペースで戦い、相手を蹂躙するタイプ
神威ヒロの戦い方。
テクニカル。技で戦う、相手のペースに自分を合わし攻撃の隙を逃さないタイプ。

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