Muv-Luv Alternative shattered skies   作:vitman

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Mission 3-2

 人類がこの地球という星で築き上げた歴史を踏みにじるように、BETAは進撃する。

 奴らの進路になった土地は、草木一本すら残りはしない。

 

 それは、どこでも同じこと。

 突撃級によって均された大地を、後続の要撃級や戦車級がダメ押しとでもいうように疾走する。極めつけは要塞級の巨大な脚部を用いた歩行だ。

 歴史ある要塞も、城も、聖堂も、その全てが無に帰され、人間のいた場所という情報が、ここが人類の生存圏であるという情報が消されていき、そしてBETAの領域へと変わる。

 

 そして今日もまた、欧州で奴らが動き出す。

 

 

 

 

 

≪≫

 

 

 

 

 

 英国のドーバー海峡に設置されているドーバー基地は、BETAとの戦闘の最前線だというのにも関わらず、中々に活気がある基地だというのがメビウス達4人が感じた第一印象であったが、それと同時にこの基地には歓迎されていないというのも、薄々ではあるが感じ始めていた。

 珍しく入荷した品物を見定めるかのような、遠慮ない視線が四方八方から投げつけられるのにいい加減ウンザリした様子を見せたのは、意外にもユウヤではなくレオンの方だ。

 これでは対BETA戦に駆り出される前に自滅してしまいそうな勢いのレオンに、メビウスは努めて我慢するように厳命した。

 

 こういった時は結局、実力を見せるのが一番なのだ。

 幸か不幸かここは最前線。すぐにその披露の場はやってくるだろう。

 

 そして、欧州に到着してから4日が経った。

 ここにきてようやく戦術機の調整が完了し、いつでも出れるといったタイミングで招集がかかった。

 基地に所属するいくつかの戦術機部隊のうち、2大隊にメビウスの指揮する103特別試験小隊を加えた形である。

 

「内容は簡単! いつも通りだ。ドーバー基地に配備されている3つの戦術機大隊のうち、2大隊が旧フランス領ダンケルクに上陸、その後南東方向へと進撃し、リヨンハイヴから出現するBETAを間引くことが目的だ」

 

 大人数を収容できる大型ブリーフィングルームの隅々まで届く大声でそう語ったのは、イタリア陸軍第122戦術機大隊(ドラウプニル)の大隊長であった。

 彼は全員に語りかけているように見えて、その目はずっと第103特別試験小隊(オーカニエーバ)の4人を向いていた。

 上層部がどういった思惑かは彼は知らないだろうが、F-4(お古)を抱え込んだアメリカからの邪魔者というぐらいにしか映っていないのは確かだ。しかしそんな彼の感情とは異なり、欧州連合上層部は「試験データを最大限確保するため、最前線に送ることが要求されている」などと言っているため、()()()()()彼らは最も危険な配置に置いていた。

 

 今回出撃するのはどちらも手慣れの戦術機部隊であったが、第103特別試験小隊(オーカニエーバ)はその片方、西ドイツ陸軍第44戦術機甲大隊(ツェルベルス)に臨時編入される形で作戦に参加する事が決定されていた。

 それの何が問題かというと、この大隊は斬りこみ役としてBETA群中央を突破し、光線(レーザー)級を撃破することが目的なのである。

 英国本土防衛戦で通常戦力の大多数が奪われたと言っても、戦術機のみでBETAを掃討するのは物理的に困難というのもあり、結局は依然として戦術機による光線級掃討の後爆撃や艦砲射撃によって掃討する形をとっているのである。

 

「今回はアメリカからの客人がいるが、彼らに遠慮することなくBETAを殲滅してよい。わざわざ残しておく必要性はない。客人も、自分の飯ぐらいは自分で狩れるだろう」

 

(言ってくれるじゃあないか)

 

 大隊長の挑発的な言葉に、メビウスは表立って何か反応を起こすことはなかったが、その実、腹の中はふつふつとした感情が渦巻き、煮えくり返っているという表現が正しい状況であった。

 冷静になろうと思ってはいたが、こうまでコケにされるものかという思いで一杯であった。

 

(情けないな。部下にはああ言っておきながら、自分はこれだ)

 

 その後すぐにブリーフィングは終わり、続々と衛士達が自分の機体に向かっていくのを見て、メビウスは慌ててとある人物を探し始めた。

 探し人はすぐに見つかった。というのも、少佐の階級章を付けている人物などそうそういるはずもなく、この場ではドラウプニル大隊の大隊長とそのもう一人しかいなかったからである。

 浅黒い肌に灰色の髪、冬場でもないのに制服の上からロングコートを羽織っているその人物こそ、西ドイツ最強と名高い西ドイツ陸軍第44戦術機甲大隊(ツェルベルス)の大隊長、ヴィルフリート・アイヒベルガー少佐であった。

 英国本土防衛戦の七英雄の一人である彼のデータは、既にメビウスは頭に入れていた。ドイツの衛士というだけでも彼の興味を惹くには十分であったのだ。

 しかし、彼とて軍人。「向こうの世界」では同階級でも、今この世界ではメビウスの方が階級は下である。そういった時、どうやって対面したらいいかぐらいは心得ている。

 

「ヴィルフリート・アイヒベルガー少佐とお見受けします。私は、アメリカ陸軍第103特別試験小隊小隊長のメビウス・N・フィッツジェラルド大尉であります。今回の作戦への参加の許可、ありがとうございます」

 

 斜め前方に陣取り、敬礼をしつつメビウスはそう畳みかけた。

 アイヒベルガーは一瞬、僅かに表情筋を固まらせたが、その後すぐにメビウスに腕を下げるよう促しつつ、返事を返した。

 

「貴官が噂の大尉か。活躍は欧州にまで届いている。先のブリーフィングで金の腕輪(ドラウプニル)はああ言っていたが、気にせずいてくれると助かる。こちらとしても、戦場では出来る限りのサポートはするつもりだ」

 

地獄の番犬(ツェルベルス)にそうまで言ってもらえれば安心です」

 

「我々にとっては"いつもの"ことだが、貴官らはBETA相手の実戦はないと聞いている。いい土産話でも作るといい」

 

 ニヤリと笑うアイヒベルガーは、手を差し出した。彼が誰かに握手を求めるのは稀なことで、副官の女性も驚いていた。もちろん、メビウスは喜んで握手を返した。

 どうなるものかとヒヤヒヤしていた欧州戦線での初戦は、思ったよりも精神的に楽になりそうであった。

 

 

 

 

 

 

≪1997/6/22 旧フランス ダンケルク≫

 

 

 

 

 

 

 西ドイツ海軍の所持する戦術機空母「テュフォーン」によってドーバー海峡を渡ること十数分。元々戦術機でも飛行可能なほどに短い距離なだけに、空母は中継地点程度の役割しか今回は果たさない。

 それでも、海を渡ることは燃料の消費が激しい戦術機としては遠慮願いたいものなので、戦闘前の消費をできるだけ抑えてくれるこの輸送は、これから戦地へと赴く衛士達にとっては非常にありがたいものに違いなかった。

 

HQ(ヘッドクォーター)よりMB(メビウス)01、もうすぐ目的地だ≫

 

 空母内の指令室にいるオペレーターの声がインカムを通して聞こえるが、メビウスはすぐに返事を返すことができなかった。

 ただただ不快な気分になるような空気が流れ、重力と空気そのものが重くなったかのようにすら感じられたのだ。

 

(この感覚を味わうのは、何年ぶりだろうか)

 

 この空気を作っているのは別段誰というわけではなく、この場にいる全ての戦術機に乗る衛士が放つものだったが、特にメビウスの小隊の3人は酷かった。

 BETAとの戦いは過酷。死ぬことは特別珍しいというものでもない。

 数年前に比べれば、衛士の死亡率は低下傾向にあるとはいえ、比べる時期が時期なだけにあまり意味をなしていない。

 どこの国でも、「死の8分」という地上でのBETA戦初期に作られた単語が未だに色濃く残っているのは、人類とBETAとの戦闘においてどちらが優位に立っているのかをよく示している。

 

≪HQよりMB01、問題でもあったか?≫

 

「いや、少し眠かっただけだ。ここの空気はアメリカよりも湿っぽくて敵わん」

 

≪ヨーロッパは冬場以外年中こんなさ。慣れてくれ≫

 

 眠気など生まれるわけがなかったが、こうでも言ってないと、メビウスは参ってしまいそうだった。

 空調設備はコックピットに標準搭載されているし、そもそも強化装備そのものにも体温管理装置がついている。

 こちらの世界にきてから、戦術機を用いた初めての本格的な実戦。それも、人類が最も押し込まれていると呼ばれている欧州戦線での実戦。年甲斐もなくメビウスは戦場への恐怖をその身に感じていた。

 ここまでの恐怖を感じたのは、生まれてこの方初めてだ。あの絶望の初出撃の時でさえ、ここまでの恐怖を感じはしなかった。これは死に対する恐怖というよりかは、「ヒト」という生物の本能的恐怖に近いのだろう。

 

『隊長大丈夫ですか?』

 

「ああ。いや、実を言えば少し緊張している。訓練通りにできればいいんだが」

 

 レオンの気を使う声を聞いて、本音を漏らした。

 戦場で指揮官が弱音を吐くのは非常に良くない事であるのが常識だったが、この場では寧ろそれがプラスに働いたらしい。メビウスが呟くように出した弱音に、部隊の誰かが笑ったような気がした。いや、誰かではなく全員かもしれない。

 

『それは自分も同じですよ、隊長』

 

『ようやく隊長殿が普通の人間だと思えてきました』

 

『私たちだけじゃなく、隊長にとっても初めての実戦ですものね』

 

「お前ら……」

 

 さっきまでの重苦しい空気が消え去り、部隊内に普段通りの軽口が帰ってくる。

 この世界では模擬戦ばかりのメビウスと同様、そもそも実戦経験のない彼ら3人は、シミュレーションで映し出されるデータの塊のBETAは飽きるほど見ただろうが、実際に戦うとなれば話は別。

 彼らもまた「死の8分」という幻に縛られ、緊張で身体が強張っていた。

 十全な訓練を行い、衛士としての腕は確かな彼らだとしても、それは変わらないのだった。

 だが、そういった時活きてくるのは、部隊内の仲間との仲だ。幸い、この小隊はそういった面でも恵まれていた。

 

≪HQより各機へ。作戦時間に入った。戦術機部隊は、規定通りに発艦せよ。繰り返す。戦術機部隊は、規定通りに発艦せよ≫

 

『ツェルベルス1より大隊各機へ。これより我が大隊は一足先にBETA群へと突入する。いつも通りの作戦ではあるが、向かうは欧州大陸、我ら番犬(ツェルベルス)の故郷、即ち地獄だ。気を抜くな!』

 

 タイミングを計ったかのように、HQとアイヒベルガーの声がかかる。「オーカニエーバ」は「ツェルベルス」に付随するように動くことになっているため、先陣をきるために先んじて発艦するのだ。

 AL弾による先制砲撃があったとはいえ、ほぼ無傷のBETA集団を突っ切るということは、危険度が高いのは当然であるが、それを可能にするのが戦術機と、そして高い練度の衛士。

 そして冷静な思考を取り戻したメビウスはその両方が備わっており、また彼自身も全員が帰還するのが不可能だとは微塵も考えていなかった。

 

「よし、無事帰還した奴には一杯奢ってやる。生きて帰るぞ!」

 

『了解!』

 

 航空機乗りらしい激励に3人の声が続き、それと同時に戦術機の跳躍ユニットから光が放たれる。

 オペレーターが出すGOサインを確認すると、膝を僅かに折り曲げバネのようにし、それを解放しながら勢いよく甲板から出撃した。

 光線級の対空攻撃に焼かれないギリギリの高度を維持しつつ、アフターバーナーを吹かして戦地へと4機のF-4EJ(スーパーファントム)が飛び立った。周囲の戦術機のいずれもがF-16(ファイティングファルコン)ないしその改修機であることも相まって、元のF-4よりも更に大型化したその機体は、もはやA-10(サンダーボルトⅡ)とも区別がつかない程である。

 しかし、それでも決してF-16に見劣りしない速さで陸地へと到着すると、全機が今ではすっかり見る機会が減った、対光線塗膜が塗布されている多目的追加装甲を構え、そのまま再度跳躍、そのまま匍匐飛行へと移行する。

 F-15のものと同等のものに交換された高性能光学センサーは、前方数キロ先から時速200キロ近くであと数分としない

 

「ああそうだ。オーカニエーバは独立行動を保証されたんでな。お前らには悪いが、我が小隊は単独行動だ」

 

『そいつぁいい。俺の腕試しにもなるってわけだ』

 

『ちょっとユウヤ、調子乗ってると墜ちるわよ』

 

 単独行動という言葉に、メビウス03(ユウヤ)は大層機嫌が良くなったようだ。自身の腕に自信がある者ほど、こういった事は大抵好むものだ。

 かくいうメビウス自身もまたその一人だ。現実とシミュレーションとでは大きく違うとはいえ、今や重苦しい空気はこの場には存在しない。そして部隊の士気も高いとくればこれに乗じない手はない。

 操縦桿にを握りしめながら視線で武装変更を行い、一番機にのみ装備されたRKT(ロケット弾ポッド)の狙いをつける。

 既にBETA先鋒との距離は3000もない。おそらくF-4EJよりも機動性に優れるツェルベルスは、交戦を開始している頃合だろう。

 

「俺がRKTをBETA先鋒へと発射したら、それに続いて120㎜HESH(粘着榴弾)を前方に向け射撃。その後、隊形を槌壱型(ハンマーヘッド・ワン)から楔壱型(アローヘッド・ワン)へと変更しながら突撃する」

 

『了解』

 

「いいか、死にたくなければ各機体の距離を詰めすぎず、自分の目の前の敵と、俺が仕留めきれなかった奴だけ撃ってついてこい。こういう場合、抜けた方が楽だ」

 

 小隊という小規模部隊でBETA群へ突撃し、光線吶喊を行うのは普通なら自殺行為もいいところだ。

 だが、むしろこの小隊だからこそできることもある。それこそがフットワークの軽さを用いた突破戦法である。

 中隊規模にもなれば遅れる者が出る他、隊列が肥大化するために倒すべきBETAの数も増え、それに伴って味方間での連携の重要性も増すのだが、少数精鋭を地で行く小隊であれば、それを遥かに超える速さでの突破が可能だ。

 勿論それには相応の危険も存在し、特に打撃力不足によって撃ち漏らしが多数に達したその瞬間には全滅ということにもなり得る。

 しかし、そのリスクを受け入れてでもメビウスは突撃する。自身がどれだけできるのかを知りたいという気持ちもあっただろうが、それ以上に彼は自身の味方を信じているからだった。

 

「準備はいいな? よし、全機、突撃!」

 

 掛け声と共に、機体をロールさせ、匍匐飛行状態のまま横転させた。そのままの状態でトリガーを引き、RKTを連続発射、そのままピッチを上げることによって、横転したままロケット弾を横薙ぎにばら撒いた。

 匍匐飛行状態の横転は、失速(ストール)やバランス調整ミスを始めとする墜落の危険性のオンパレードであり、それだけで高等技術もいいところだったが、何より驚嘆に値するのは、発射したロケット弾のおよそ8割が見事命中していたことだろう。

 驚くことに既に慣れた3人が、事前の命令通りに120㎜HESH弾を爆炎の上がる前方に向け3発射撃し、弾薬をキャニスター弾に変更しながら隊形を変更する。

 突撃前衛(ストーム・バンガード)MB01(メビウス)強襲掃討(ガン・スイーパー)MB02(レオン)MB03(ユウヤ)、そしてMB04(シャロン)打撃支援(ラッシュ・ガード)と見事なまでに攻撃的な編成が、今ここで活きる。

 小隊の編成としてはいささか攻撃的にすぎるが、今この瞬間において、BETA群を突破しての光線吶喊という事に関しては、これほどまでに向いている編成もそうそうないだろう。

 RKTとHESHによって黒煙塗れの地へと足を踏み入れた彼らは、光線級による予備照射を受けながらも突撃級(デストロイヤー)群を越え、120㎜キャニスター弾で足元で移動する戦車(タンク)級と要撃級(グラップラー)を粉砕しながら着地、そして推進剤を消費しつつも再度の跳躍を行い続け、BETAもかくやという勢いで進撃を続ける。

 

『くっ、なんてGだ!』

 

『隊長はこれで前衛を張ってるってのか』

 

 短距離連続跳躍は戦術機だけでなく衛士への負担も大きい。常に10G近くの高G負荷がかかり続け、心肺機能に大きなダメージを与えるのだ。それは強化装備を着ていても、多少の緩和はできても避けることはできない。

 これを30秒も続けた頃には、既にシャロンとレオンは弾薬を節約しようという気が起きなくなってすらいた。そういった機動が元々得意なユウヤですら、歯を食いしばっていないと気絶しそうなほどだ。

 やっとの思いで第一陣を抜けたと思えば、先頭で突っ込みながらも息を切らした様子すらないメビウスが次の集団を前方に見つける。

 

「前方に要撃級20と戦車級100余数からなる集団が接近しているな。どうやら我々が息つく暇はないらしい」

 

 メビウスはそれだけを口にすると、指揮官機用のセンサーマスト先端に搭載されている投光器を用いて付いてくるように促し、そのまま自身は一足先に歩行で接近する。

 多目的追加装甲を構えつつ、要撃級の十数メートル前方手前まで接近、跳躍ユニットに搭載されているブースターをロケットブースターモードで瞬間点火、数メートルだけ跳躍し、丁度要撃級の触腕よりも少し高い位置に浮かぶ。

 驚異的な定常旋回能力の持ち主である要撃級だとしても、上方向への攻撃は突発的には難しいらしく、その不細工な顔にも似た器官をメビウスの駆るF-4EJへと向けるだけしかできないようであった。

 

「反応が鈍い!」

 

 慣性に従ってゆるりと降下するF-4EJの左脚を勢いよくスタンプし、要撃級の白い皮膚を貫いた。数十トンもの重量を誇る戦術機の脚部によって串刺しにされた要撃級は、その自慢のしぶとさからか完全に止まることはなかったが、モース硬度15を誇る触腕でメビウスを攻撃することは不可能になっていた。

 更にメビウスは右手に持つ突撃砲を投棄し、右兵装担架を起動し長刀を装備、近接戦を開始した。

 左脚を軸足としながら回転し攻撃するこの近接戦は、BETAは同士討ちをしないという前提の下になりたつものではあったが、攻撃地点を要撃級の足元に群がる戦車級と、その身長を活かした横なぎ攻撃を仕掛けてくる残りの要撃級に限定できるため、ほぼ動くことのできない体勢でも対処が容易である上、十数秒もそれを続ければ後続の3機が到着する。

 そうなれば後は殲滅のみだ。

 4機のF-4EJが突撃砲を用いて安全に戦車級を処理する。要撃級は既にメビウスが全部狩ってしまっていたため、残ってすらいなかった。

 

『隊長、進みすぎです!』

 

「分かってはいる。だが、被害を最小限にするためには前に出るしかない」

 

 そう言いながら、突撃砲を回収したメビウスは機体を前に出し続ける。ずっと、同じ場所にとどまっているわけにはいかないのだ。

 一地点を確保したからといえ、ここはBETAの領域。飛び越してきた奴や、まだまだ前方からくるもの、そして左右からも寄ってたかって来るだろう。それを避けるためにも、光線級を撃破するためにも、留まるのは危険だ。

 

『しかし』

 

「案ずるな。数を相手にするのは慣れているんだ」

 

 再び前方に映るBETAの群れに突撃するメビウスの機体を見て、力強さと共にどこか遠い場所を目指すように感じられたのは、一人ではなかった。

 彼と戦場を共にし、彼の後ろ姿を見た者はみな感じれるのだ。彼自身が持つ危うさと、そして彼が追い求めているものをどこか無意識に感じているのだ。

 

 彼らはまだ、その片鱗を見たに過ぎなかった。




ageの20周年boxで暁遥かなり2(体験版じゃないやつ)が遊べたので、やってみましたが、光線級が憎いですね
こう、光線吶喊って重要だけれども危険だし、その後の中隊の行動にも支障をきたすってのが、柴犬の666が冒頭時点で8機しか残ってなかった理由が少し理解できた気がします
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