バレンタイン当日
お昼休みに彼方さんとお弁当を食べていると、彼方さんがあるものを渡してきた。
「どうぞ~」
「これは?」
綺麗な包装紙に包まれているけど、何なんだろ?
「今日は~バレンタインだから~」
そういえばバレンタインだっけ?特に気にしてなかったから、言われるまでは分からなかった。
「早速食べてみて~」
彼方さんに言われるまま、包装紙を開けてチョコを見てみるとトリュフチョコが入っていた。
「美味しそう…………だけど」
「だけど~?」
てっきりハート型だと思っていた。まぁ、気にしないようにするか
俺は1つ食べると…………
「美味しい」
「えへへ~ありがとう~もう1つどうぞ」
彼方さんにあ~んしてもらい、もう1つ食べる
「美味しいですよ。彼方さん」
「ほらほら~あ~ん」
またあ~んしてくれる彼方さん。これもしかして止めないと無くなるまで続くのかな?
「えっと、彼方さん。後はゆっくり食べるんで…………」
「そう~?でも私は詩音くんの美味しいそうに食べてるところがみたいから~私が満足するまで~」
そう言いながら更に食べさせてくる彼方さん。ここは我慢しないといけないのかな
結局最後まで食べさせてもらったけど、ちょっと苦しい。
「ご、ご馳走さまです」
「お粗末様です。あっ、そうだ~」
まだあるのかと身構えると、彼方さんが突然キスをしてきた
唇を離すと彼方さんは頬を染めながら笑顔で…………
「とびっきり甘いチョコだったけど~美味しかった~?」
「…………とても美味しかったです」
不意打ちは止めてください。彼方さん。
放課後になり、生徒会に寄ると、何故か響が項垂れていた。三船さんに聞くと…………
「彼女からまだチョコを貰ってないみたいです」
「は、はぁ」
まだ貰えてないのはおかしい気がするけど、何か考えてるのかな?
「あぁそれとどうぞ」
三船さんから板チョコを貰う俺。まさか三船さんから貰うとは…………
「日頃のお礼ですので」
なんと言うかこんな日でも通常運転だな。三船さんは…………
夜、彼方さんの家に招かれ、夕食をご馳走してもらうことになり、待っている中、遥ちゃんからチョコを貰った。
「お姉ちゃんのには劣りますけど、どうですか?」
「美味しいけど…………」
彼方さんの最後のあれが凄かった…………
「どうかしたんですか?もしかしてお姉ちゃんのチョコが凄く美味しかったんですか?まぁ、大好きな人のチョコは他のより数倍美味しいですからね」
「そ、そうだけど…………」
流石に言えないよな。最後のあれは…………
「私もお姉ちゃんから貰ったけど、美味しかったです。これはお返しも考えないとダメですね」
「そういえばお返しか…………」
クッキーとかマシュマロとかの方がいいんだっけ?やっぱり手作りの方がいいかな?
「詩音さん、お返しはお姉ちゃんがしてほしいことの方がいいですよ。そっちの方がお姉ちゃんも喜びますので」
「わ、分かったよ」
彼方さんがしてほしいことか…………何なんだろう…………