想いは彼方へ   作:水甲

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12 バレンタイン

バレンタイン当日

 

お昼休みに彼方さんとお弁当を食べていると、彼方さんがあるものを渡してきた。

 

「どうぞ~」

 

「これは?」

 

綺麗な包装紙に包まれているけど、何なんだろ?

 

「今日は~バレンタインだから~」

 

そういえばバレンタインだっけ?特に気にしてなかったから、言われるまでは分からなかった。

 

「早速食べてみて~」

 

彼方さんに言われるまま、包装紙を開けてチョコを見てみるとトリュフチョコが入っていた。

 

「美味しそう…………だけど」

 

「だけど~?」

 

てっきりハート型だと思っていた。まぁ、気にしないようにするか

俺は1つ食べると…………

 

「美味しい」

 

「えへへ~ありがとう~もう1つどうぞ」

 

彼方さんにあ~んしてもらい、もう1つ食べる

 

「美味しいですよ。彼方さん」

 

「ほらほら~あ~ん」

 

またあ~んしてくれる彼方さん。これもしかして止めないと無くなるまで続くのかな?

 

「えっと、彼方さん。後はゆっくり食べるんで…………」

 

「そう~?でも私は詩音くんの美味しいそうに食べてるところがみたいから~私が満足するまで~」

 

そう言いながら更に食べさせてくる彼方さん。ここは我慢しないといけないのかな

 

 

 

 

 

結局最後まで食べさせてもらったけど、ちょっと苦しい。

 

「ご、ご馳走さまです」

 

「お粗末様です。あっ、そうだ~」

 

まだあるのかと身構えると、彼方さんが突然キスをしてきた

唇を離すと彼方さんは頬を染めながら笑顔で…………

 

「とびっきり甘いチョコだったけど~美味しかった~?」

 

「…………とても美味しかったです」

 

不意打ちは止めてください。彼方さん。

 

 

 

 

放課後になり、生徒会に寄ると、何故か響が項垂れていた。三船さんに聞くと…………

 

「彼女からまだチョコを貰ってないみたいです」

 

「は、はぁ」

 

まだ貰えてないのはおかしい気がするけど、何か考えてるのかな?

 

「あぁそれとどうぞ」

 

三船さんから板チョコを貰う俺。まさか三船さんから貰うとは…………

 

「日頃のお礼ですので」

 

なんと言うかこんな日でも通常運転だな。三船さんは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、彼方さんの家に招かれ、夕食をご馳走してもらうことになり、待っている中、遥ちゃんからチョコを貰った。

 

「お姉ちゃんのには劣りますけど、どうですか?」

 

「美味しいけど…………」

 

彼方さんの最後のあれが凄かった…………

 

「どうかしたんですか?もしかしてお姉ちゃんのチョコが凄く美味しかったんですか?まぁ、大好きな人のチョコは他のより数倍美味しいですからね」

 

「そ、そうだけど…………」

 

流石に言えないよな。最後のあれは…………

 

「私もお姉ちゃんから貰ったけど、美味しかったです。これはお返しも考えないとダメですね」

 

「そういえばお返しか…………」

 

クッキーとかマシュマロとかの方がいいんだっけ?やっぱり手作りの方がいいかな?

 

「詩音さん、お返しはお姉ちゃんがしてほしいことの方がいいですよ。そっちの方がお姉ちゃんも喜びますので」

 

「わ、分かったよ」

 

彼方さんがしてほしいことか…………何なんだろう…………

 


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