お昼休み、何となく昨日の場所に来てみた。別に彼方さんに会いたいとかそう言うわけではなくと、誰かに言い訳するように心の中で思っていると、昨日みたいに誰かの足が見えた。
「また寝てる……彼方さん」
そっと近寄り、声をかけると彼方さんはすぐに起き出した。
「むにゃ、あれ?君は昨日の…………」
「またここで寝てたんですか?」
「そう~最近は天気が良いからね~天気が悪いときは保健室で寝てるよ~」
「そうなんですか」
「それで何か用事~?」
彼方さんは首を傾げながら聞いてきた。用って訳じゃないのだけど
何を言うべきか悩んでいると、彼方さんは…………
「そっか~一緒に食べる人がいないのか~」
「そう言うわけじゃ…………」
言い訳しようとしたけど、事実だからな…………もう一人の試験生と食べても良いけど、生徒会長と仲良さげで邪魔するのは悪いし…………
「そんなところです」
「そっか~じゃあ一緒に食べよ~」
彼方さんはお弁当を広げ、俺も買ってきたパンを食べ始めた。
特別話すこともなく、ただただのんびりと食べるだけだった。
食べ終え、教室に戻ろうとすると、彼方さんが呼び止めてきた。
「明日も一緒に食べよ~」
「良いですけど、俺と一緒で良いんですか?」
「うん、詩音くんが寂しくないようにね~」
なんと言うか面倒見のいい人だな…………
「それと何処にいるか分かるように~」
彼方さんは携帯を取り出し、何をしようとしてるのか理解し、連絡先を交換するのであった。
それから一緒に食べることになってから、一週間が過ぎたある日の事
「何だか最近、仲がいい人ができたみたいだな」
生徒会室で作業をしていると、響がそんなことを言ってきた。何か噂になってるのか?
「まぁ、三年生の人と…………噂になってるのか?」
「うん、まぁ、試験生だから目立つからな」
目立つのはしょうがないけど、悪い噂だったら、彼方さんに迷惑かけるよな。
「悪い噂とかは?」
「ないみたいだな。まぁ、良いんじゃないのか?先生達も馴染んでないかって心配はしてたし…………」
「そう言う響は?」
「僕は…………特には」
響は仲がいい女友達とかいないみたいだ。きっかけでもあればいいのだけど…………
響の事を考えつつ、帰り道を歩いていると、誰かに声をかけられた。
「あの」
「はい?」
振り向くと可愛らしい見た目の女の子がいた。何処と無く誰かににてる気が…………
「えっと…………?」
「神北詩音くんですよね。私、近江彼方の妹の遥って言います。少しお話いいですか?」