想いは彼方へ   作:水甲

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05 愛の囁きの練習

「俺はどうすればいいと思う?」

 

「いきなり呼び出して、何の相談ですか?」

 

彼方さんへの思いに関して、俺はどうすればいいのか遥ちゃんに相談をしていた。

遥ちゃんは話を聞いて、あきれた顔をしていた。

 

「それでしたら、早いところ告白してください。きっとお姉ちゃんならokしますよ」

 

そうは言うけど、実際問題、告白するとしても恥ずかしい。

 

「どうにかして恥ずかしくならずに告白出来ないか…………」

 

「男の人って面倒ですね~それでしたら、慣れるのはどうでしょうか?」

 

「慣れる?」

 

 

 

 

 

 

遥ちゃんの提案は彼方さんが寝ているときに、告白の練習をしてみればいいのではないかと言うことにだった

 

それは流石にバレるんじゃないかと言われたが、寝ているから大丈夫だと言われた。

 

放課後、寝ている彼方さんに試しにやってみることにした。

 

「彼方さん、好きです」

 

「くぅ~」

 

寝ているから反応はない。と言うか言葉にするだけでも恥ずかしい。

遥ちゃん曰く慣れるまでやってみてらしいけど、これ誰かに聞かれたりしてないよな。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇあれって彼方のマネージャーの…………」

 

「うん、詩音くんだよね」

 

「いやぁ~寝てるときにあんな風に愛を囁くなんて…………」

 

「あれで付き合ってないみたいですよ」

 

果林さん、エマさん、愛さんと一緒に部室に向かう途中、詩音が彼方さんに愛を囁いている場面に遭遇した僕ら。もう少し人目を気にして欲しいのだけど…………

 

「と言うかもし起きていた時とかの事を考えているのかしら?」

 

「さぁ?」

 

まぁ、変に茶々入れずにその場から立ち去る僕らであった。

 

 

 

 

 

 

練習から数日が過ぎ、今日も練習をすることになった俺。だが今までとは違う言葉で練習するようにと言われた。

 

『好きですだけじゃ駄目です。ちゃんとどんなところが好きなのか言ってください』

 

とのことなので…………

 

「彼方さん、俺は彼方さんの事が好きです。一目惚れかもしれないですけど、意識をするようになって、貴方のちょっとした仕草、優しさに触れていって、貴方への思いが強くなって来ています」

 

うん、かなり恥ずかしい。わざわざ言わなくてもいいだろ。

 

 

 

 

 

 

またまた目撃してしまった。詩音の愛を囁く時間。

今回は莉奈、かすみの二人とだ

 

「弟さん、あの二人は付き合ってないんですよね」

 

「それにしては見てられない。莉奈ちゃんボード『うっとり』」

 

「と言うか誰の入れ知恵だ?詩音があんなことを自分からやるのはおかしい」

 

考えられるのは姉さんか?でも姉さんがあんなことをさせる事は思い付かない。

姉さんは人の恋愛に対しては少しのお節介をして、後は応援のみだ。だとすると…………

 

会ったときがないけど、彼方さんの妹が入れ知恵をしたのか?

 

「とりあえず変にからかわないで、放っておこうか」

 

後は成り行きに任せることにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

また数日後、遥ちゃんの指示は、後はもう『大好き』と言うことだけだ。

 

何でここに来て直球なのか気になるけど…………

 

「彼方さん、大好きです」

 

練習のお陰である程度なれては来ているけど、未だに恥ずかしい。

 

すると遥ちゃんからメッセージが入った。

 

『いい忘れましたが、耳元で囁いてください』

 

何処かで見てないよね?

 

とりあえず言われた通りにしてみよう。

 

「彼方さん、大好きです」

 

これはこれで恥ずかしいな…………と言うかこれをまだ続けないと行けないのか?

 

「…………私も~」

 

不意に彼方さんの声が聞こえた。最初は寝言かと思ったけど、彼方さんの目は開いている。

 

「私も詩音くんの事が好きだよ~」

 


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