「俺はどうすればいいと思う?」
「いきなり呼び出して、何の相談ですか?」
彼方さんへの思いに関して、俺はどうすればいいのか遥ちゃんに相談をしていた。
遥ちゃんは話を聞いて、あきれた顔をしていた。
「それでしたら、早いところ告白してください。きっとお姉ちゃんならokしますよ」
そうは言うけど、実際問題、告白するとしても恥ずかしい。
「どうにかして恥ずかしくならずに告白出来ないか…………」
「男の人って面倒ですね~それでしたら、慣れるのはどうでしょうか?」
「慣れる?」
遥ちゃんの提案は彼方さんが寝ているときに、告白の練習をしてみればいいのではないかと言うことにだった
それは流石にバレるんじゃないかと言われたが、寝ているから大丈夫だと言われた。
放課後、寝ている彼方さんに試しにやってみることにした。
「彼方さん、好きです」
「くぅ~」
寝ているから反応はない。と言うか言葉にするだけでも恥ずかしい。
遥ちゃん曰く慣れるまでやってみてらしいけど、これ誰かに聞かれたりしてないよな。
「ねぇあれって彼方のマネージャーの…………」
「うん、詩音くんだよね」
「いやぁ~寝てるときにあんな風に愛を囁くなんて…………」
「あれで付き合ってないみたいですよ」
果林さん、エマさん、愛さんと一緒に部室に向かう途中、詩音が彼方さんに愛を囁いている場面に遭遇した僕ら。もう少し人目を気にして欲しいのだけど…………
「と言うかもし起きていた時とかの事を考えているのかしら?」
「さぁ?」
まぁ、変に茶々入れずにその場から立ち去る僕らであった。
練習から数日が過ぎ、今日も練習をすることになった俺。だが今までとは違う言葉で練習するようにと言われた。
『好きですだけじゃ駄目です。ちゃんとどんなところが好きなのか言ってください』
とのことなので…………
「彼方さん、俺は彼方さんの事が好きです。一目惚れかもしれないですけど、意識をするようになって、貴方のちょっとした仕草、優しさに触れていって、貴方への思いが強くなって来ています」
うん、かなり恥ずかしい。わざわざ言わなくてもいいだろ。
またまた目撃してしまった。詩音の愛を囁く時間。
今回は莉奈、かすみの二人とだ
「弟さん、あの二人は付き合ってないんですよね」
「それにしては見てられない。莉奈ちゃんボード『うっとり』」
「と言うか誰の入れ知恵だ?詩音があんなことを自分からやるのはおかしい」
考えられるのは姉さんか?でも姉さんがあんなことをさせる事は思い付かない。
姉さんは人の恋愛に対しては少しのお節介をして、後は応援のみだ。だとすると…………
会ったときがないけど、彼方さんの妹が入れ知恵をしたのか?
「とりあえず変にからかわないで、放っておこうか」
後は成り行きに任せることにしたのだった。
また数日後、遥ちゃんの指示は、後はもう『大好き』と言うことだけだ。
何でここに来て直球なのか気になるけど…………
「彼方さん、大好きです」
練習のお陰である程度なれては来ているけど、未だに恥ずかしい。
すると遥ちゃんからメッセージが入った。
『いい忘れましたが、耳元で囁いてください』
何処かで見てないよね?
とりあえず言われた通りにしてみよう。
「彼方さん、大好きです」
これはこれで恥ずかしいな…………と言うかこれをまだ続けないと行けないのか?
「…………私も~」
不意に彼方さんの声が聞こえた。最初は寝言かと思ったけど、彼方さんの目は開いている。
「私も詩音くんの事が好きだよ~」