彼方さんと付き合うことになったのはいいけど…………
「く~」
「彼方さん、起きてください」
この抱き締めながら寝られるのはどうにか出来ないものか…………
顔も近いし、色々と感触が…………
「彼方さん、起きてください」
もう一度声をかけると、ようやく彼方さんは起き出した。
「ん~おはよう~詩音くん」
「人を抱き枕にするの止めてください」
「詩音くん~抱き心地がいいから~」
また抱きついてくる彼方さん。俺はすぐに引き剥がした。
「……嫌だった~?」
「嫌……じゃないですけど、俺は男の子ですよ」
「うん、知ってるよ」
「そうやって抱きつかれたりされると…………」
俺が言いたいことをすぐに理解したのか、彼方さんは顔を赤らめた。
「こ、恋人同士はそうするものだと思ったのに~」
「まだ付き合いはじめて、一時間しか経ってませんよ」
「でもしずくちゃんと響くんは付き合う前から抱き締めあったって~」
あの二人は…………
「それに一緒に寝たって言ってたよ~それにキスもたくさんしてるって~恋人同士ならそれが当たり前だって~」
生徒会室
「響‼お前‼」
急いで響がいる生徒会実に向い、叫んだ。
「何だよ?あぁ、練習なら早めに終わらせたからって連絡し忘れてたことか?」
「そうじゃなくって、彼方さんにお前らの惚気話を聞かせるなよ」
あれは本気で言っていた。僕としては色々と段階を上げてからじゃないと……
「いや、詩音、お前も大概だからな、耳元で愛を囁くのとか」
こいつ、聞いていたのか?と言うか見られて当然なんだけど……
「因みに同好会のみんなに目撃されてるからな」
「か、隠れてやればよかった…………」
「まぁ、彼方さんに勘違いさせたのは悪かったけど、これからはちゃんとした方がいいんじゃないのか?ほら、あそこで睨んでる奴がいるし」
響が指を指した方を見ると、そこには三船さんが睨んでいた
「お二人とも、試験生ですよね。不純な異性交遊は……」
「不純なって例えば?」
「た、例えば……それは……その……」
「三船的にはどこまでが清純で、どこからが不純なんだ?」
三船さんが、狼狽えていた。あんまりいじめるのはやめた方が……
「響、いじめは駄目だよ」
「いや、三船はからかいやすくって……つい」
響は三船さんの事が嫌いって訳じゃないけど、何故かからかう。何でかは知らないけど……
「全くあなた方といると……」
「因みに三船が恋人ができたとして、最初にして欲しいことは?」
「……答えないと駄目ですか?」
「俺としては参考までに…………」
「………………を」
「「ん?」」
「手も繋いで欲しいです……」
案外純情だ。
「と、とりあえず二人は試験生であり、生徒会ですから、不純なことは駄目ですからね」
そう言って出ていく三船さん。
「とりあえずゆっくり付き合っていくんだな」
「わかったよ」
何気な初登場な栞子でした