ナギの親友物語   作:バター

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6話

 「もう始まってる!?」

 どうする!?魔法が使えないと俺もたいした事が出来ない。・・・いや、待てよ。魔力が無いから皆苦戦してるんだよな・・・この空間に一時的に魔力が戻れば・・・

 「ナギ!聞こえるか」

 「ッ!アレンお前今何所に」

 「そこは頑張って探してくれ!それより今からこの空間に魔力を満たすからその間に救える限り救えよ!」」

 「おい!ちょ!」

 ナギに伝える事は伝えた・・・あとは俺の魔力がどこまで持つか・・・

「死ぬまでやってやるよ」

 空中王都の石畳に手を当てそこに魔力を流し込む!頼む!少しだけで良いから!俺の願いが届いたのか王都は崩落を止めた。だが俺の体から凄まじい速さで魔力が無くなっていく。

「っ!?や、やばいぞ、これは案外直ぐ無くなるかも」

 

 

 「陛下!」

 「泣き言をなどもういらんぞ!」

 崩落が始まってからアリカ姫の迅速な対応で住民の避難は遅いとはいえ進んでいた。このまま行けば、被害は最小限に抑えられる。だがその最小限はあまりに大きい。少なくともこの国は粉々になるだろう。分っていた事だ。それしか手が無かった。必死に自分の中で抑えてきた。

 だが実際目の当たりにしてしまうと心が砕けそうに成るほど辛い。

 「王都の崩落が止まりました!!」

 「なに!?」

 

 

 

 「なるほど、王都全体に魔力を満たす事で一時的に崩落を止める・・・いやはさ、本当にアレンには驚かされる」

 ナギたちはその状況を船の中から見ていた、ナギ達も出来る事ならば救出に向かいたかったが、魔法が使えないならば非難した人達の頭上に落下する岩を壊せと言われてたのだ。

 「あの野郎、こんなことするなら俺も呼べよ」

 ナギの顔は笑っていた。アレンが必死に止めている間に俺達もやるべき事をやる。そう決めたのだ。

「感謝するぞ・・・アレン。なにをしておる!この間に最大効率で船を回せ!!誰一人捨てるな!」

 

 

 

 「はっ!ここはどこ?」

 気付けば俺はボロイ小屋で寝ていた・・・ん?なんで俺こんな所いるんだ?確か俺は・・・崩落を止めるために魔力を流して・・・

 「そうだ!王都は!?」

 「目が覚めたようですね」

 何時の間にかアルがドアの前に居た。

 「アル。なにがあった、なんで俺達はこんな場所に居るんだ?」

 「アレンのおかげで、オスティア崩落による犠牲者は人口の2%を下回ったそうです。あの状況を考えれば。奇跡的な数字ですが・・・」

 「なんだよその含みの有る言い方は」

 「アリカ姫は「反魔法場」を姫御子ごと封印する事で世界を救いました。その代償に王都を中心に半径50キロ圏内は以後20年魔法が使えない大地を化しました。」

 「しかも災害復興支援の名目でメガロメセンブリア軍によって王国は実効支配されることに。数百万の民は周辺各国へ流出。そしてアリカ姫は戦争の責任を全て背負わされ、処 刑される事に」

は?

 「なんでアリカ姫が捕まるんだよ!アリカ姫は世界を救ったんだぞ!?」

 そりゃ自分の国を滅ぼしたのは責められるかも知れない!でもそれだって仕方なかった事だ。感謝すれど捕まるなんて

 「父親殺し、自らの国を亡ぼし、奴隷公認法を通した事など。これらの事から戦争に疲れていた人々の不満と憎しみの象徴にされたのです。」

 「・・・助けには」

 「・・・・行けば間違いなく戦争になります」

 「・・・・ナギは何所にいる」

 あいつがこんなこと黙って見過ごすなんて有り得ない。

 「外に居ます」

 

 

 

 「ナギ」

 「・・・アレン、もう大丈夫なのか?」

 「ああ、俺はもう大丈夫だ。それより」

 ナギはずっと空を見ていた・・・ただじっと・・・

 「アリカ姫は助けないのか?」

 「・・・」

 「・・・戦争になるもんな」

 「・・・ああ」

 「難しいな」

 

 

 

 「どうしてナギさんはなにも行動しないんですか!?アリカ姫の処刑が10日後に決ったんですよ!?アレンさんからもなにか言ってください!」

 あれから俺達は各地の紛争地帯を回り「完全なる世界」の残党狩りや、傷ついた人達の治療と地道ながら活躍していた。クルトはそんな俺達が気に入らないらしい

 「ナギにも考えが有るんだよ」

 「その考えってなんですか!?あなた達の力と名声が有れば!アリカ姫救う事は出来るんじゃないんですか!?」

 「それだと意味無いんだよ・・・」

 「ッッッ!?」

 話に成らないと思ったのか、最後にナギの姿を睨みクルトは通信を切った。あれはそうとう怒ってるな

 「なぁ、アレン」

 「どうした?」

 「敵を倒しても戦争は終わらねぇな」

 さっきまでナギの腕に抱かれていた子は治療され。別の人に運ばれていった。

 「終わわねぇな」

 「でも今日は一人救ったぜ・・・」

 「そうだな」

 

 

 

 「もう待てません!あなた達が動かないんだったら、僕だけでも!」

 とうとうアリカ姫の処刑の日になった。でも俺達はボロ小屋の中で座っていた。そこにクルトから通信が入り。さっさとアリカ姫を助けろ!と怒鳴られている。

 「ナギがまだ動かないんだよ」

 「じゃあせめてそれ以外のメンバーで!」

 「心配しなくても大丈夫だよ。いいから待ってろ」

 「・・・分りました」

 諦めたのか、クルトは通信を切った。さてどうする。ナギ

 

 

 「ケルベロス渓谷、魔法を一切使えぬ谷底は魔法使いには「死の谷」よ。いささか残虐な   処刑法ですが、魔法全土の民も溜飲をさげることになりましょう」

谷の端から伸ばされる板は先が無く、その下には無数の魔獣たちが餌を寄越せと。唸り声を上げている。その様子をアリカは無感情に見ていた。

 「歩け!」

 「触れるな、言わずとも歩く」

 歩きながらアリカは過去を振り返っていた。

 (冷たい王宮に生れ、それからは奪い奪わる日々だった・・・終着がここだというなら・・・それもいい。死が人々の安寧にとって意味のあること。・・・ただひとつ・・・心残り・・・ナギ・・・主らと過ごした戦いの日々はなぜか、暖かかった。亡き父王は人の生もこの世界も全て儚い夢に過ぎぬと・・・これもきっと悪い夢)

 アリカはそのまま暗い闇えと落ちていった

 (アリカ様ッ!)

 その様子をクルトはただ見ることしか出来なかった

 「クックッ・・・魔法も使えぬ谷底で幾百の肉片をなって魔獣の腹に収まれば・・・」

 「よぉーっしこんなモンだろ♪」

 アリカが谷底に落ちたのを確認した後、引き上げようとした時一人の兵士が威勢よく声をあげ周りに確認し始めた。

 「撮れたか?これ生放送とかねぇよな?」

 「無礼者!」

 その兵士に向かって、偉いさんが声を荒げる。だが兵士はその偉いさんの頭を掴んだ。

 「録画はここで終わりだ。今からここで起こる事は「なかった」ことになる」

その言葉と共に兵士の鎧が砕けた。砕けた鎧の中に居たのは

 「せ、千の刃のジジャ・・ジャック・ラカン――!!」

 ラカンの登場と共に青山詠春、アルビオン・イマ、ガトウ。<紅き翼>勢揃いである。二人を除いて。

 「赤き翼!では谷底の女王は!?いや、いくら千の呪文の男と言えど・・・あの谷底では」

 「バーカ、もう一人忘れんなよ」

 

 

 (うむ・・・ここが地獄か?もっとお恐ろしいモノかと思うておったが・・)

 「え・・」

 アリカは気付けば魔獣等に食われておらず、ナギの腕に抱かれていた。

 「ナ・・・ギ?えなぜお主が地獄に?」

 「バーカ、あんたを助けに来たんだよ。アリカ」

 「いくら主でも自殺行為じゃ!魔法の使えぬこの場所では、主も普通人じゃろ!!無謀にも程が有る」

 「確かにな・・・でも俺一人じゃねぇぜ」

 ナギの言葉が終わる直前。一匹の魔獣がナギに襲い掛かった。

 「ッ!?ナギ!?」

 「心配しらねぇよ」

 魔獣が大きく口を開けたその口になんと大岩が突っ込んできた。

 「ガァツ!?」

 思わぬ攻撃に魔獣が声を漏らす。飛んできた方向を見てると谷の対岸からアレンが魔力で強化した体で岩を投げていた。

 

 「あぁ!あんな良い雰囲気出しやがって!なんで俺がこんな対岸から岩投げないといけないんだよ!」

 暴れるのはラカン達、アリカ姫の救出はもちろんナギ。ここで俺の出番が無くなった。暴れるのは幾らなんでもオーバーキルだ。と言うわけで俺はナギの補佐役に任命された訳だが、谷底では俺も魔法が使えない。ならば魔法を使える場所から岩を投げたら良いんじゃね?なんて馬鹿筋肉が言いやがるから俺がこんな事を!

 「って!キスしてやがる!?あああ!」

 夕日をバックにキスする二人は殺意が沸くほど美しかった・・・俺帰って良い?

 

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