あいりすペドフィリア   作:サッドライプ

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 余剰EXPでEXポテンシャル解放!
………もう完全に使うアイリス固定しろって言ってるよね感。

 キャラは使い捨てにしてナンボのソシャゲにあって個人的には好感が持てるスタイルではあるけれども。




冥き茨の簒奪者4

 

 「天に還る時が来たのです!」とか「退かぬ、(冥王様に)媚びる、顧みぬのです!」とか「我が生涯に一片の悔い――――彼氏が欲しかったぁぁぁっっっ」とか。

 なんとなく拳で殴り合ってそうに思えるが実際はピンクとブルーの謎オーラのぶつけ合い。余人には理解できない高尚か低俗かも不明な、恋愛脳ばーさすリア充抹殺し隊の会話のドッジボールを挟みつつ、ビターショコラを下して激闘を制したのはラブリーショコラだった。

 

 他のアイリス達も介入できない――介入したくなかったという本音はさておき――正々堂々一対一の戦いはお約束通り最後に愛が勝ったわけだが。負けたビターショコラが散り際にどことなくやり遂げた感満載の笑顔だったのと裏腹に、勝ってその衣装を受け継いだクリスの翠眼は、用水路のどぶ川のように濁り切っていた。

 

「わたくしは、この戦いで何を得て、何を失ったのでしょう……?」

「………愛?」

 

(冥王、流石にフォローしてあげて、ね?)

 クリス、よく頑張った!さすがは俺のクリス!!

 

「……うふふー、だまされてあげますー。あなたのクリスですよー」

 

 色違いラブリーショコラの衣装も、少なくとも残り十の試練を抜けるまでは脱げないのだとパターン的に予想できてしまう惨事。フランチェスカがけしかけた冥王の必死のフォローに対しても、頬を赤らめていやんいやんと左右に首を振りながら眼だけはどぶ川のままだった辺り、深刻な精神ダメージを負っていることが推察された。

 

 さしものアイリスも恐怖を覚えながら傷心のクリスへの対処を冥王に丸投げしてしまったのを、薄情と謗ることはできまい。

 裏切りのロリ巨乳幼女ダークアイリス。彼女の仕掛けた恐るべき罠は、残りの犠牲に選ばれたアイリス達にも等しく降り掛かる未来が待っているのだから。

 

 残りアイリス、22名。残り冥戒十三騎士、10名。

 戦慄のルーレットは、まだ回り始めたばかりである―――!!

 

 

 とはいうものの。

 

 

「あなた達はいいですよね…どうせ私なんか……。

 どうしました?笑えばいいじゃないですか。こんな私を馬鹿にすれば、世界中のみんなが笑顔になるんでしょ?」

「ええっと……あ、あはは……?」

 

「今、私を嗤ったな―――?」

 

「理不尽っ!?」

 

 擦り切れた黒革の装束で、時間の流れを捻じ曲げながらクルチャに超高速の連続蹴りを叩き込んでくる地獄パトリシアなんかは純粋に脅威度の高い部類ではあったが、その一方で。

 

 

「せしる・だーかー・でびる・べるぐるんどです!よっし、これで今日から私も冥王様のお嫁さんです!!」

「あわわわ、ダメです!ハイエルフィンの真名はそういう風に使うものじゃないです!!」

「今日一番のおまいう案件ですが、それはそれとして問題ないです。私は悪い子になったセシルなのですから!」

「そんな、悪い子になった私……!?」

 

「悪い子なので、お仕事中の旦那様に飛び掛かって抱きつきます!旦那様が仕事に集中できないようにいっぱいいっぱいぎゅってします!」

「そんな…なんてひどいことを!?」

「悪い子なので、夜は旦那様のベッドの中にもぐり込みます!旦那様は私の温もりがたくさんこもったおふとんの中で寝るしかなくなるのです!」

「お嫁さんにあるまじき身勝手……っ。その狼藉、この私が許しません!」

 

 セシルは可愛いなあ。

「ほっこりしてる場合か!?炎も氷も雷も半端ないんだけどあのぽけぽけ姫!?」

「大魔導士の名に懸けて、あんなのに遅れを取る訳には……!」

 

 中盤にライバルキャラとして出てきそうな黒い魔法少女風衣装の偽セシルは、元が元のせいか性格は殆ど人畜無害だった。ナジャやラディスが全力で焦る程度には、災害レベルの大自然の脅威がまとめて襲ってくる理不尽な戦闘力を有していたが。

 

 

 世界を揺るがす《深淵》の発生地、その最深部へ到達する為の試練といえど―――そもそもの仕掛人がジェニファーである。多分に愉快犯的思考が優先されるものの、笑い話では済まないレベルの悪戯はしてこない。逆に言えば全力でネタに走ってそのギリギリのラインを攻めてくるのではあるが、受け手の性格によっては案外楽しいイベントだったで済む場合もあった。

 

 聖装を受け継いだセシルが新しい可愛い服を着れたと単純にはしゃいでいたのが好例だし、通気性の良さそうな半袖長ズボン(Palvinsとロゴが入っている)と左耳だけガードされたヘルメットを被ったルージェニアが偽物と球技対決をした時は姉姫当人が完全にノリノリだった。ちなみに分裂する魔球を分裂するバットで全て打ち返すという意味不明な対決だった。

 

 

 デコ剣(だーりんLOVE♡)を振るおうとする度に強く葛藤と羞恥の表情を浮かべるアシュリーや、全く正気に戻る気配のないどぶ川クリスなど尊い犠牲を払いながらも、アイリス達は偽アイリスを倒し一つずつ試練を突破していく。

 回数をこなすにつれて、雑多なコスチュームが紛れ込んだイロモノ集団になっていくのはご愛敬か。

 

「しかし、こうして見るとジェニファー様と特に交流が深かった方々が冥戒十三騎士に選ばれているようですね。私も含めてですが、うふふ」

「それで私も選ばれたのはなんか納得いかないんだけど」

「コト様、不機嫌になりきれていませんよ?」

「……あぁもう。にーさん、違うからね?確かにぐーたらするのも居眠りするのも好きだけど、あんなの絶対私じゃないからね?」

 大丈夫、分かってる。

 

 『私は風になるのでございますー!!』とか言いつつ明らかに世界観を無視した自動二輪を乗り回して爆走していた偽ソフィをはたき落として、ぴっちりしたライダースーツを受け継いだ恵体のダークエルフィンが弾んだ声で話す。

 一方偽コトが相当クドい性格だったのだろう、『働きたくないでござる!絶対に働きたくないでござる!!』とトミクニの文字それも毛筆調で書かれた白の文字Tとスパッツ姿の女剣客は冥王に絡みつつも、怒るに怒り切れない実に微妙な表情をしていた。

 

 自分そっくりの偽物が繰り出す大惨事な言動に直面するなど御免だが、あの悪戯幼女の気質を考えればある意味親愛表現であるのは、真っ先にアシュリーが出て来たことを鑑みても分かることで。自分がそこに入っていないというのもそれはそれでなんかシャク、という複雑な心境である。

 

 とは言え泣いても笑っても試練の数は決まっている。そして一人一人が、真面目にやり合えば大陸最強の聖樹騎士団に『首狩り童女(ヴォーパルアリス)』として恐れられた黒髪ジェニファーと同等の実力を持つ冥戒十三騎士である。

 アイリス達は選ばれてしまった尊厳の犠牲者と被害を免れた代わりにネタにもなれない微妙なポジションに分かれつつ、油断のできないパチモノ共を相手に戦い続ける。

 

 そして、『Ⅻ』の試練を終えた。

 

「……まったく、偽物の私とは、ある程度覚悟していましたがやはり酷いものでした。

 ご主人様にああも下品な言動、主従関係をなんだと思っているのでしょうか。メイドの風上にもおけません」

 

((((ベア先生、鏡に悪口言って楽しいのかな…??))))

 ノーコメントで。

 

 冥王をご主人様と慕いつつも卑語と淫語をオープンにして迫る偽ベアトリーチェ夏服メイドという、最後まで性格の吹っ飛んだ相手が立ちはだかる試練だった。ある意味顔面剛速球レベルの皮肉だが、当の本人には通じていないのは果たして狙ってのことなのか。

 慣れてしまって『ベア先生だから』で最近は流していたアイリス達だが、改めて教師役メイドの問題素行を実感し直す契機となった。だからどうしたということもないが。

 

 ブーメランが凄い勢いで後頭部に刺さっているベアトリーチェをスルーしながら一行が中央の広間に戻ってくると、一人の幼女がそこに立っている。

 

 

 首から下は白黒パンダの着ぐるみを着て。

 

 

「ぷほっっっっ!!!??」

 

「ジェニファー!!」

「落ち着きな。あれはジェーンだ」

 

 鼻血を噴いて倒れた約一名を放置して、アイリス達は銀髪虹眼の幼女の様子を窺う。

 ここが深淵の園であるからなのか、黒髪でなくとも現実世界で分離できている巫女幼女は、紛れもなく探し人の片割れだ。

 

 ジェニファー以外とろくに喋れないのは継続中なのか、パンダ幼女は文字が書かれた看板をどこからともなく取り出してコミュニケーションを図ってくる。

 

『よくぞしれんをとっぱした、アイリスたち』

『めーかいじゅーさんきしがついのそーきがかたわれ、「くろのけんみ」ジェーン=ドゥ』

『わたしのジェニファーにあいたければ、ここでわたしもあいてしてもらう』

 

 何やら剣呑な文面だが、如何せん着ぐるみ幼女である。

 『銀髪鬼姫』時代の教会騎士殺戮の主犯なので戦闘力は折り紙付きではあるのだが、これまでで最も戦う気が削がれる相手になる。

 困ったように視線を交わし合うアイリス達を見かねてか、冥王が声を掛ける役目を買って出た。

 

 

―――お願いジェーン。ジェニファーの下に俺たちを案内して欲しい。

『いいですよー』

 

「「「「いいのか……」」」」

 

 

 流石は冥王の巫女というべきか、神からのお願いには即答でころっと態度を変えるジェーン。

 もともとそうするつもりだったのかもしれないが、いずれにせよこれでやっと目的地にたどり着ける、長く濃ゆい戦いだった、と各々が一息吐く。

 

 そんな中、ふと気になったことをアシュリーが闇の女王の半身に尋ねた。

 

「なあ、ジェニファーはなんでこんな試練なんてやったんだ?私達に来て欲しくないんなら、単純に道を閉ざせばいいだけの話だっただろう?」

【………(じゃん!)】

 

 もしかしたら、ジェニファーも冥界に帰りたい気持ちがあるんじゃないか、と。

 先輩騎士の問いに対して、ジェーンは今度は三枚の看板を一度に取り出し、さあどれでしょうと言わんばかりに首を傾げる。

 

 

『① しゅみ』

『② おわかれのおもいでづくり』

『③ これでまけてつれもどされるなら、それはそれでべつにいーかなって』

 

 

「………。①も②も③も全部」

【………(ぱちぱち)】『だいせーかいっ』

 

 ジェニファーの行動原理をきっちり把握しており、どれを選んでも酷い三択を完全正解するアシュリー。

 だが相も変わらずの厨二幼女のふわふわ具合に、これまで付き合わされた惨事を思い少女達―――特に被害が大きかったクリスなどがぷるぷる震え出す。

 

 

「「「―――ジェニファーを、絶対連れ戻すッ!!」」」

 

 

 ちょっとやんちゃし過ぎの幼女にお灸を据えるべく、旅立ち前の決意の時から怒り五割増しの荒っぽい誓いを繰り返し、アイリス達は深淵女王との対決への意気込みを新たにするのだった。

 

 





 いやまあ、実際は④とか⑤もあるし、②も③もそれなりに感傷的な注釈は付きますが。
 ただし試練がこんな形だったのは①の転生幼女の趣味が九割九分です。

 明かされなかった残りの冥戒十三騎士の犠牲者と被害内容は、ご想像にお任せ。ネタが思い浮かばなかったとかじゃないよ、ほんとだよ。
 テイルブルー衣装の巨乳ポリンが現れて貧乳ポリンを挑発した上に、戦闘終了後一抹の期待を持たせて聖装受け継ぎやったけど案の定巨乳は受け継がれず、しかもまな板なのに胸の谷間をスリットで強調する衣装だったとかいう往復ビンタ展開、とか考えたけど流石になー二度ネタにもなるしなーと思って没にしたとかそんなこともないよ、ほんとだよ。

 次回から最終決戦。ちゃんとシリアスになるよ、ほんとだよ。

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