あいりすペドフィリア   作:サッドライプ

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※ちょっと後の学生寮談話室で

「人の意識を強制的に封印するのに対抗する形で冥戒十三騎士の人格が現れたんですよね。まさかジェニファーさん、ここまで見越してアイリス達にあの聖装を?」

「………。ふっ、当然だなこの程度」

「わぁっ!」
「さすがジェニファー様ですっ!」

【………(ふるふる)】
(リリィとセシルしかいないからツッコミ不在だった……)


注)ふわふわ幼女がそこまで考えてたわけないです。




3月31日(後半)

 

 無数の下級天使達の遺骸が横たわる戦場に、乾いた打擲音が弾ける。

 

 僅かコンマ数秒の間に幾十もの拳打蹴撃が繰り出され、その全てがゼロノスの神通力による障壁に阻まれる。およそマリエラのものとは比較にならない強固さが想定されるそれも、こうまで短時間に集中して同じ個所にダメージを蓄積すれば揺らぐのか白い波紋が大きく広がり球形の輪郭を浮かばせていた。

 

「小煩い……」

 

 当然敵もされるがままという訳ではなく、すぐに雷槍を閃かせる。

 如何に感覚が何千倍に加速されていようと雷は見てから避けられるようなものではない。だが『すぐに』というのも今のパトリシアからすればあくびが出て収まるまで以上のタイムラグ。そして予備動作も蠅が止まるような鈍さで認識できる以上、如何に簡素な動作とはいえ放つ時点で効果範囲に留まっている訳もなかった。

 更に認識可能な間隙を置くことなく正反対の方向から無数の打撃が障壁を叩く。

 

「もう、何やってるのか分からないです……」

 

 ナジャ達の元に合流した冥王とユーの目にも、仲間が今どのような戦い方をしているのかさえ分からない。今のパトリシアの速さを言葉に表すのは真っ当な時間の流れの中で生きている者には不可能なレベルだからだ。―――そんな語彙があったとして使う機会など他にある筈がない、という意味で。

 

 だが如何に凄まじい速さを得ていようと、届かなければ意味がない。

 

「―――私に触れるな」

「ちっ……!」

 

 ただの人間が上位種を殺し得る……それをコンセプトにして設計された《冥戒十三騎士》聖装の能力は、ただ一つの例外を除いて特殊能力の一点特化だ。

 セシルの超火力にしろパトリシアの時間加速にしろ、深淵によるブーストにも限りがある為にその強化を一方向に集中させている。そのおかげで格上殺しを成立させる余地があるのだが、その反面凌がれた際に応用が利かない部分も当然ある。

 

 当然彼女とて馬鹿の一つ覚えでただ叩き続けている訳ではない。ゼロノスが動いて外を見て音を聞いている以上は彼の障壁は外的要因を一切シャットダウンする類のものではないと考え、素通しするものや発動条件を満たさないものを探りながら突破口を得んとしている。

 投げや関節技、発勁は真っ先に試したし、防壁に穴がある箇所がないかと全方向からあらゆる部位に打ち込みもした。それらが全て通じないとなると、今度は一瞬の内に連続する衝撃が同一箇所に集中することで破れないか、そこから間を置くことなく正反対の箇所に同じことをされたらどうか……などと傍から見れば一瞬の内に気の遠くなるような試行錯誤を繰り返している。

 

 もしセシルを連れて来ていれば障壁を無理矢理ぶち貫くのは可能だっただろう。ジェニファーの最終形態なら素手で紙切れ同然に突破したかもしれない。

 だがパトリシア=ヘルシスター単体の一撃の破壊力はそれを望むレベルではないのは紛れもない事実だった―――黒柱の倒壊と下級天使達の殲滅を片手間でやってのけるレベルの脅威であることも事実ではあるが。

 

「――――理解したようだな。人間が多少便利な手管を得たところで、天上人である私にその牙は届きえないのだと」

 

 “時”が戻り、肩で息をするパトリシアに言葉を投げかけるゼロノス。一方の闇堕ちシスターは小さく声を喉奥で掠らせた。

 

 

「これが天上人……………ああ大したものですね。くすっ、私を笑わせるなんて」

 

 

「何?」

「その台詞が出る時点であなたは状況を理解できていない、そう言っています」

 

 その挑発に込められていたのは、果たして虚勢か確信か。

 そして魂が不純なものだと主張するゼロノスにそれに乗る感情があるかは不明だが、彼は無表情を崩さないまま両手を拡げる。淡い雷雲が彼の周囲に展開し、稲光が幾重にも折り連なって集束していく。解放されるその時を待ち侘びて。

 

「ならば身の程を思い知らせてくれる。いくら蠅のごとく飛び回ろうが、周囲一帯ごと焼けば貴様に逃れる術はない」

 

「おお野蛮。ですが最適解。なるほど大正解。

―――あえて言おう。や っ て み ろ よ 三 下 」

 

「吠えたな―――!」

 

「………あれ、これこっちもまずくないですか?」

 

 そして文字通り人智を超えた莫大なエネルギーを自在に操る相手にドスの利いた声で挑発を重ねるのは豪胆の極みか狂気の沙汰か。

 けれど超広範囲殲滅攻撃などされれば冥王や戦闘不能状態のアイリス達、それに自分も危ういと焦るユーにパトリシアは振り返り、安心させるように小さく笑った。どこかおどけたようで、いつものスマイル全開の彼女の面影も確かにあって。

 

「虚無に還り、その無軌道を悔やむ間もなく散るがいい!!」

 

 その背中で、パトリシアの育ったこのソルベンヌの街ごと纏めて覆う戦術規模の裁きの雷が解き放たれる。

 半球状に拡散した稲妻が天蓋を形成し、無数の落雷が光の牢獄の中を蹂躙する。地表を舐め、空気を灼き、形あるもの全てを崩壊させようとする。

 

 

 中に閉じ込めた人も家々も、草木はおろか地を這う蟻ですら――――微塵も害することが出来なかった、見掛け倒し極まりない結果に終わった轟雷。

 

 

 

「あ、あれ?皆さん無事ですか?」

 

「……何故だ、一体何が……!?」

 

 狼狽するゼロノス。かつては長い付き合いをしていた冥王ですら見たこともない困惑顔に、命の危険を感じていた少女達も訳が分からないといった混乱顔になる。もはやそれら一切を意に介すことなく、冥王の前まで歩み寄ったパトリシアは……そのままふらりと倒れ込んだ。

 

「冥王、さま……ごめんなさい、電池切れたのでちょっと休ませて」

 あ、ああ。ナイスガッツ。

「……わらってくれた。あなただけでも笑ってくれるなら、それだけで―――」

 

 抱きとめた冥王の懐で、能力が強力な分消耗も早いのか疲労困憊の体で眠りにつく偽パトリシア。落ちる直前のぼやけた囁き声は冥王の耳にのみ届いたのだった。

 

 一方で疑問に何の解決も示されないまま置いてかれてしまった他の面々。ただ……無理な話ではあるが、置いてかれたままの方が幸せだったかも知れない。

 

 

 

「何故?何が?問わばこの私、冥戒十三騎士が二の祈り手、『金の杖僧』クリスティン=ビターショコラがお答えしましょう

 ここからが私のステージであると!!」

 

 

 

 ふりふりでありながらダークブルー。キュートでありながらダークブラウン。全体的に寒色で暗い色合いなのに、弾けているとしか言い様がない甘ロリファッション。

 重度の妄想癖と恋愛脳に目を瞑れば一応清楚で真面目な聖神官のクリスとは大違いの、はっちゃけたクレイジーガールが今まで真っ当に異能バトルをしていたパトリシアに交代する形で前に出て来てしまったのだから。

 

 ゼロノスの正面に踊り出た偽クリスは、そのまま両手の直角にした親指と人差し指で四角を作りその中から相手を覗く仕草をする。何らかの攻撃をするつもりかと思い警戒するゼロノス。

 

 

「恋愛力…たったの5…童貞ですね…」

 

「………」

 

 

 違った。なんか謎の数値を計測しているだけだった。

 

 決してツッコミのつもりではないのだろうが、ましてや童貞呼ばわりされてイラついた訳ではないのだろうが、ゼロノスは無言でビターショコラ目掛け雷撃を放つ。二度。三度。何度も何度も。

 人間など尽戮し滅殺し塵も残さない禍々しき奇蹟、それらの一つたりとも―――聖装の布地を汚すことすらできない。

 

 攻撃の手は止めないながらも、もはや黙り込むゼロノス。一方嫌な予感しかしないながらもこういう時の自分の役回りを受け入れているユーが問う。

 

「あのー、クリスさん?さっきから無敵モードみたいなんですけど一体どうなってるんです?」

「いえ、そんな難しい話ではありませんよ?《深淵の園》でも言ったでしょう、『敵に愛の為に戦う戦士が居ない限り、この力が弱まることはありません』と」

「いや分かんないです。それ本物のクリスさんをおちょくる口実だったんじゃ―――」

 

 

「だから、愛がなければ勝てないんです。愛が勝つんです。

 私が戦いの場に設定しているのは、そういう“ルール”というだけの話なんです」

 

 

「………え、え?」

「そういうことで実はお恥ずかしながら、私が冥戒十三騎士で最弱なんですよね。特にかつての私は“恋破れたクリスティン”。恋愛弱者のざこざこ非リアですから、実はアイリスの誰を相手にしてもあの時敗北は決定していたんです」

 

 それはつまりあの時クリスはラブリーショコラに変身しなくても実は勝てたということだが、些細な問題なのでそれはさておき。

 

 今の偽クリスの言葉に嘘はない。そしてそうでありながら、『冥戒十三騎士団は一人一人、ジェニファーさん第三形態と同じくらいの実力を持っています』という言葉にも嘘はない。

 最弱の冥戒十三騎士であると同時に、彼女は最も理不尽で反則の冥戒十三騎士でもある。

 

 ゼロノス相手に自分では相性が悪いと判断したパトリシア=ヘルシスターが、とりあえず悪あがきしてみながらも、他の障害の排除とついでに能力発動時の注意反らしに専念して後を託すに足る“一点特化の能力”をビターショコラは持っている。

 

………摂理の、書き換え?

「ぴんぽーん。明晰な冥王様も素敵です、うふふ」

 

 反則というか、そもそも“ルール”が違うと。

 こんなすごい攻撃ができるんだとか、こんなすごいバリアで防げるんだとか、こんなに速く動けるんだとか―――ビターショコラの戦場にそういった概念が通じる余地はない。夢の中でラブリーショコラと戦ったポリンやウィルの時のように、彼女の認めた土俵以外での戦いが全て無意味になる。記憶を失って以降恋を知らないという意味で相性最高のジェニファー相手ならば一方的に下すことすら可能にする力。

 

 

「そして今の私はクリスティン=ケトラの肉体と魂に融け込んでいます。それはつまり、愛しの冥王様とのいちゃいちゃらぶらぶちゅっちゅいやんばかんな経験と思い出を得た……いわば大人の味のビターショコラ!ぶっちゃけて言うと非・処・女!!ああなんて素晴らしい響きなんでしょう」

「クリスさんウェイト。それ後で本物のクリスさんが死ぬやつなのでお口いったん閉じて」

 

「それに引き換えなんて哀れなゼロノス。まるで天真爛漫な笑顔が可愛い幼馴染がいつまでも同じ距離感でいると根拠もなく思っててふとした瞬間にその女の子は別の男に自分に向けたことがないような雌の顔をするになっててでも何の努力も働きかけもしてこなかった自分を棚に上げて裏切られたとか奪われたとか傍から見ると滑稽なだけの怒りや悲壮感を抱いてるくせにそれを自覚すらしないで超然ぶってるみたいなもの凄い童貞臭がします!それだけお顔が整っていながらこの残念さはまさに奇蹟ですよ奇蹟。さすがは天上人!!」

「クリスさんだからウェイトですってば!というかなんでそんな具体的―――え、冥王様もどうして顔を反らしてるんです?まさか心当たりがあるんですか!?」

 

 ユーの静止が聞こえているのかいないのか、後でクリスが聞いたら悶絶するような罰当たり極まる妄言を立て板に水の如く吐き倒すビターショコラ。

 そしてなんとも言いがたい表情で古い因縁の相手を見る冥王と、昔の女の影という想定外の方向からのジャブを喰らって混乱するツッコミ役。

 

 あー。ゼロノス、お前フリッカのこと……。

「………ハデス、貴様がその顔で何を言いたいのか分からないが、何をおいても貴様を殺すべきだと今確信した。やはり私の判断に間違いはなかった」

 

「だぁめ、ですっ。かつて全てのリア充を呪っていた身としては貴方に同情しなくもないですが、冥王様に危害を加えるというならお話は別です。

――――童貞が彼氏持ち非処女に勝てるなんて思わないでくださいね?」

 

 おもむろにスカートを翻し人差し指でばっきゅーんな『可愛らしいポーズ』を決めるビターショコラ。

 そして例によって発生するブルーの謎オーラ、それがゼロノスの方に纏わりついていく。相殺も防御も手段は一つ、恋愛力を高めて己の誰かを愛する気持ちを堂々とぶつけること以外“許されていない”。

 

 それが出来るような精神構造ならそもそもこいつは今この場にいない。そういう意味ではまさに天上人特攻。

 故に為す術なく受けたゼロノスは最初は反応なしだった。そして一瞬の間を置いて。

 

 

「……?ぁ、ああ、ああああぁぁぁッ!!?が、ぐ、ああああァァァ~~~~!?あっあっあっあああああああぁぁっっ!!!!」

 

「ひぃっ――!?」

 

 

 すぐに異常が現れる。手足の関節をやたらめったら折り曲げ、体の至るところを掻き毟り、頭を不規則に振りたくり、鼻と耳から鮮血を垂れ流し、奇声も同然な絶叫を上げて悶え苦しむ天上人。

 あまりの奇態についユーは悲鳴を漏らす一方、偽クリスは慈愛の眼でそれを見つめていた。

 

「痛いでしょう?苦しいでしょう?じっくりことこと何万年も熟成させてきた童貞には、愛の尊さに身を切り刻まれそうなほどに切なさが溢れて止まらないでしょう?」

「く、クリスさん……?今度は一体何が」

 

「アンデッドに浄化の光を浴びせれば苦しみ悶えながら消滅していくように、童貞に愛の波動を浴びせれば七転八倒しながら堕ちていく。それだけのことです」

 

 ナジャ、分かる?

「お手上げです(白目)」

 

 ユーのツッコミ気質はこの意味不明な偽クリスの活躍をなんとか咀嚼するのに大いに助かっているが、大魔導士のナジャを以てしても理解の範疇外にあるらしかった。

 リディアの一命を取り留めたところで精魂尽きたアナスチガルも眠ってしまったこともあり、今正気と意識を保っているアイリスは彼女一人だけ――――ある意味で果てしなく貧乏くじである。他のアイリス達を護れるように気を張りながら、このカオス空間を観戦し続けなければならないのだから。

 

 この自分のらぶらぶ攻撃(?)で悶絶する天上人をどこまでも労りの生暖かい視線で寒色甘ロリ神官が観察し続ける狂気の空間を。

 そして吐く言葉はやはりろくでもない。

 

「彼には今、存在の奥底にまで染みついた童貞臭を洗い流す過程で様々な苦痛が降り掛かっていることでしょう。

 そう、頭痛眼痛歯痛神経痛圧痛胸痛胃痛腹痛腰痛関節痛筋肉痛そして生理痛」

 

「いや最後の……なんて?」

 

「ぐ……ぉぉ……!?」

「うーん。天上人ゼロノスはちょっと重い方なのでしょうか」

 

「聞き間違いじゃなかった……!?あの、それでいいんですか冥戒十三騎士さん」

「いいに決まってるじゃないですか。リーダーはジェニファーさんですよ?それに―――」

「いくらジェニファーさんでもここまでじゃないと思うんですが。え、『それに』……?」

 

「童貞が女性に抱く童貞臭い憧れ――その幻想をぶち殺す、私はそういう事に幸せを感じるんです」

「割と最低ですね!?」

 

「ちょっと身をもって性別的に未知の体験をしたせいで、彼のジェンダーが歪んで彼女になっちゃうかも知れませんが、まあコラテラルダメージということで」

………っ!けほっ、こほっ!

「オカマの天上人とか嫌過ぎる!?どうするんですか女装する敵とか出て来るようになったらどう頑張ってもシリアスになれませんよ!?」

「知りません!そんなことは私の管轄外です!!」

「あなた本っ当に最低ですね!?」

 

~~~~っ、ちょっ、面白過ぎるからやめて……。

 

 ゼロノスの艶姿を想像してしまった冥王を爆笑のあまりギブアップさせる快挙をも達成するビターショコラ。彼女の快進撃は止まらない、かに思えた。

 

 腐っても天上人筆頭、闇精霊の加護が付いた深淵の騎士といえどただ一人の人間に敗れることなどないということなのか。

 

「ぉ、おおおおお~~ッ、な゛め゛る゛な゛ぁーーーーッッっ!!!」

 

「っ!!?まさかっ」

 

 振り絞るような咆哮と共に、ゼロノスの体から青いオーラが排出されては空中で霧散する。それを見た偽クリスは素早く指で四角を作ってまた謎の計測を始めた。

 

 

「童貞力90000……100000、110000……!?ばかな、まさか、ま、まだ上昇している―――!?」

 

 

 また意味の分からない数値が出て来たが、そうこうしている間にも天上人は体内の毒を排出し終え全身を襲っていた苦痛から解放されていた。

 

「ふーっ、フ~~~っっ!!」

「童貞力、じゅ、180000……!!きゃっ!?」

 

 七孔から流した血をぬぐうことなくビターショコラを睨み付けるゼロノスに、当初の余裕とついでに威厳はない。あと立ち姿が心なしか内股になっているので、消えない傷跡はちょっと残ったらしい。

 

 そして至近距離で何かが割れたみたいに仰け反る偽クリスだが、例の幼女よろしくその場のノリで適当言ってるだけなので注意である。起こった事象としてはゼロノスが地上の管理者として『金の杖僧』の歪んだルールを強引に修復して通常の法則に戻した、というのが正しい。

 

 己の特有の能力を破られればセシル以上にどうしようもない最弱の冥戒十三騎士はそれを受けて―――。

 

 

「どうやら私にできるのはここまでのようですね。

 それでは皆様、さよ~なら~………」

 

 

 寝た。

 

「あ、あの人……掻き回すだけ掻き回してあっさり退場して行ったんですけど!?」

(まずい……クリスの距離が遠いっ!)

 

 残されたのは壊滅したアイリス達と、怒髪冠を衝く勢いにしか見えないゼロノス。

 こうなる可能性も見越していたナジャは隠れて練っていた集団転移の魔術の発動を試みるが、対象に含められる範囲から離れている位置関係のためクリスを見捨てることが出来ず動けない。

 

 急転直下冥王一行の全滅の危機は再発し―――。

 

 

「はい、そこまで」

 

「お前は―――!?」

 

 

 それを止めるべく、天から銀髪の少女が舞い降りたのだった……。

 

 

 





 以上。

 サブタイで分かるとおり、四月馬鹿の前日譚的なやつ…のつもりだったんだけど、絶対これ世界線違うよなぁ……。

 パトリシア・クリス(パチモノ人格)VSゼロノス。ある意味幼女以上にフルボッコしている模様。でもサンドバッグにしても何も心が痛まないキャラって逆に素敵だと思うんだ。

 最後の銀髪の少女、一体何ッカ……だったらいいなあ。このあと助けに来たのがあの子だとまだ軌道修正の余地がありますが、何ファーだと更に煽り倒してぶち壊しにした挙句夢オチエンドのアレに突っ込んでしまいます。いやまあ、ビターショコラに散々煽られた後によりによって幼馴染がゼロノスの邪魔しにくるのも、それはそれでなんだけど……。


 ビターショコラの能力は『強制恋愛力バトル』。
 恋愛感情だけで聖樹教会の上級神官という超エリートの立場を投げ捨てて冒涜された邪神に付き従い、そして今現在ちゃんと想い人と睦み合うことが出来ている幸せの最中にあるクリス相手に『愛情の大きさ』勝負をして勝てとかいう割と無理ゲー。
 どう見てもふざけているのに変に理屈が通っていて一周回って戦力としてはガチである(しかも仮想敵に特攻)あたり、我らが厨二幼女の作品である。創造主にも突き刺さる性能をしてるのが尚更。



Q.ところでビターショコラになってる時の記憶、本物のクリスに残ってるの?
A.当たり前でしょ?(悪魔)



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