あいりすペドフィリア   作:サッドライプ

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~学園イベント・アナスチガル~

「ジェニファー様、貴女はエルフィンについて誤解があると思うのです」
「誤解?」

「セシルから聞きました。
―――なんですか『エルフィンとは拳をぶつけ合うことでしか分かり合えない悲しい生き物』って!?」

「あーそれか」
「違うのですか、お母様?」

「違いますっ!確かに私はナジャとの一件でそういう解決の仕方をしましたが、元来エルフィンは森と共存し平穏を愛する種族です。年越しの時に森にお招きした際、貴女もその目でご覧になった筈。なのにまるで蛮族のように思われるのは女王として見過ごせません」

「いや、その年越しの時の話なんだが」
「……むむ?なにかあったのですか?」

「―――森の女王が精霊の試練を受けたという。目の前に現れたのは『 愛 と 契 約 』の精霊ユーノ。
 さてセシル、この時女王は一分の躊躇いもなくある行動に出たのだがそれはなんでしょうか?」

「はい?えーとえーと、あの時お母様は、確か―――」
「………、あ」


「『 と り あ え ず ぶ ん 殴 っ て み た 』だったと思います!!」
「正解」
「やりましたっ」


「…………ち、違うんです(震え声」
「「何が(ですか)?」」
「あれは直前のユニコーンと戦いになっていたから、ユーノに対してもそういうパターンなのかなと」
「精霊の試練は立ちふさがる敵を全てなぎ倒して俺最強すればいい、と認識してたならそれはそれでどうかと思うが」
「はうあっ!?」

「で、バーバリアn――――じゃなかったエルフィンの誤解がなんだって?」

「大丈夫です、お母様!」
「セシル……?」

「女王としてどうしても力を示さなければいけない場面がある―――ちゃんとわたしは理解してますから」
「セシル……!」

「そんなお母様がきっちりシメているから、エルフィンは自制しておとなしく森で平穏な暮らしをしているのですよね?」
「セシル……!?」

「わたしが次の女王になった時は、きっと民達が本当の意味で平穏を愛する優しい種族になるよう頑張りたいです」
「セシル、違います!それは確かに、私はほんのちょっとだけ喧嘩早いところもあるのは認めなくもない部分は無きにしも非ずですが、エルフィン全体がそうだというのは考え直して!!」



「?えっと、それはつまり…お母様だけが『拳をぶつけ合うことでしか分かり合えない悲しい生き物』ということなのですか?」



「―――――ぐふっ」

……ちーん


※以上。

※ふわふわ幼女が適当なこと言うのもあるんだけど、親の背中という意味でもトップの人間を見て集団を評価するという意味でも、アナちゃん先生の言動でセシルは自分の種族に変てこなバイアスが掛かってる模様。

※つまりエルフィンは身内に旦那シーフするいやらしい種族(風評被害)………ん、いやソフィとティセの例を見ても親友の好きな人に言い寄ってる訳だし……?

※セシルがアナちゃん先生を撃沈した(悪意ゼロ)ので、今日のカウンセリングルームはセシルと幼女が相談相手になってくれます↓




ジェニファーとセシルのアイリスお悩み相談室

 

~クリスのオナやみ相談~

 

「ということでまずはクリス様を呼んでみました!」

「困ったことがあればなんでも話してみるといい」

 

「とりあえずこういう風に機会があれば真っ先に私を弄りに掛かる幼女に困ってます」

 

「我以外にもそんな幼女が居たのか……見つけたらお菓子でもあげようかな」

「あなたのことに決まっているでしょう!?」

「言われてるぞセシル」

「私ですか!?ごめんなさい、クリス様に意地悪をした覚えはないのですが……」

 

「そうか?ちょくちょくやってると思うが。ほらクリスの邪念芸のものまね」

「はっ、言われてみれば!?」

 

「いや邪念芸ってなんですか!?」

「悪いなクリス、セシルが汝の持ちネタを勝手に」

「持ちネタとかないです!」

「でもその、抑えられないんです!ふと旦那様といちゃいちゃするのを想像したら、こう気持ちが『ほわわ~』ってなって周りのことが見えなくなってしまうので」

「ええ、それは分か……、…りませんけどね!!そういう邪念は退散させることにしていますので!!」

 

「そうだセシル、どうせなら次やる時はその後のシラズの泉の儀式までやってみるか?我も付き合うが」

「そうですね、ジェニファー様と一緒なら楽しそうです!こう、『邪念、撲滅!へあっ、へあっ!!』って。クリス様も合わせて三人で!」

 

「ごめんなさいそれは本当にやめてください勘弁してください」

 

 

「――――、ってぇっ!!ほらまた流れるように私のことからかうじゃないですか!しかもセシルさんまで一緒になって!!」

「うむ、セシルも腕を上げたな。先の宣言通りお菓子を進呈しよう」

「…わーい?なんだか褒められちゃいました。えへへ、ありがとうございます、このお饅頭もおいしいです!」

 

「~~~~、ふぅ。もう何も言いません。ただそのお饅頭どこから出したんですか?」

「賢明だな。あ、饅頭はそこの戸棚だ。クリスも要るか?」

「いただきます。はむ」

 

 

「――――食ったな?」

 

 

「……はい?あの、まさかこのお饅頭に何か仕込んで!?」

「いや、それ自体は地上のある街の名産品だ。それなりに評判がいいらしいな」

「そうですよね、いくらジェニファーさんでも食べ物を粗末にするようなことは―――」

 

 

 

「戸棚の奥の方に隠してあったし、アナちゃん先生も楽しみに取っておいてたんだろうなあ」

「――――」

 

 

 

「という訳で共犯者確保。―――うむ、うまい」

 

「アナちゃん先生、本当ごめんなさい……!」

「お母様のおやつ……!?あわわわわ」

 

 

 

※アナちゃん先生が意識を取り戻したタイミングでお見舞いと称して果物とか差し入れておくことで、後々発覚しても怒りにくくさせるテクニック。またの名を悪知恵。あるいは相手をキレさすラインを微妙に越えない範囲でおちょくってくる悪ガキの性質の悪さ。

 

 

 

~プリシラのお悩み相談~

 

「悩み事、ねえ。最近でいえば、またお姉様が一人で服を買ってきたんだけど」

 

「ああ、毎回奇矯なデザインのを買ってくるやつか」

「着るものとしてはともかく、すごい独特なデザインがあって見てて面白いです」

「本当どこで見つけたのあんなの、って感じのをよく見つけて来るのは色んな意味でお姉様らしいんだけどね」

 

「それで今回はどんなのだったんですか?」

「いや、今回はダサいっていうのじゃなかったよ。デザインは奇抜だけど斬新とも言えるし、強烈に目を惹くけど一定の人には大受けする魅力はあったというか」

 

「ふむ。察するに………えっちいやつか?」

「裸に直に太めのベルト巻いてく感じで、当然肩とか脇とか背中とか、ベルトの隙間の素肌が見えるだろうから。お姉様のスタイルで着たら――――それはもう、ものすごくえっちいだろうね」

「―――!!?る、ルージェニア様が大胆です!」

「うん。なんていうか例えるなら、夏という季節がおっぱいを刺激してたわわになる感じだった」

「冥王的には全部おっけー、と言いそうではあるが」

「流石にこう、男の人とそういう雰囲気になる為の衣装なのはお姉様も理解してたんだろうね。ちょっと恥ずかしそうだったけど」

「ふあぁ~~~!ちかいうちに、そんなえっちい服を着たルージェニアさまと、だんなさまが……大胆!大胆です~~!!」

 

「あはは……悩み事相談っていうより、女子会の恋バナみたいになっちゃったね。

 でもあの服かなり際どいやつだから、男の人によっては逆に引いちゃうこともありそうだけど」

「主上に限ってはそういうことはないだろうな。ちょうどイメージカラーである黒だし、ルージェニアの白い肌にも映える」

「男の心理は完全には把握できないけど、ジェニファーが言うんならそうなんだろうね。がんばれ、お姉様。

…………って、あれ?」

「プリシラ様、どうかしたんですか?」

 

 

「ねえジェニファー、ボクその服の色が黒だって言ったっけ?」

「…………」

 

 

「黒い露出の大きな衣装……ごくり」

「セシルの様子を見るに、言ってないみたいだね」

「ふっ」

 

 

「犯人は、お前だっ!!」

「ククク……よくぞ見抜いた名探偵」

 

 

「――――で、どーいうこと?あの衣装ジェニファーが作ったの?」

「冥戒十三騎士聖装の没ネタだな。まずポリンに着せようと思ったが流石にイジメにしかならないし、フランチェスカ辺りに着せようにもいまいち面白いキャラが浮かばなくて削った。ただ折角作ったし処分するのも惜しかったから冥界の市場に流したが――」

「それをお姉様が気に入って買ってしまった、と」

 

「うん。だからその、なんだ。一つ懸念事項が」

「ジェニファーがそうやって言い淀むの、すごい嫌な予感しかしないんだけど」

「あの没衣装。《深淵の園》でそれぞれに渡った聖装程ではないが、深淵の扱いを補助する程度の性能は保持している」

「…………つまり」

「あの服を着ていると戦闘能力が上がる。即ち、戦闘服として有効な衣装なのだアレは……!!」

 

「「………」」

 

「あ、あはは……まさか、まさかだよ。いくらお姉様でも、アレを着て戦闘したり、訓練したり、冒険に出たり………お姉様、でも。お姉様」

「―――奴は、ルージェニア。パルヴィンの第一王女だぞ?」

 

「だから人の国に風評被害をぶっかけるのやめてくれないかなあ!?」

「汝こそ姉の後頭部を握ったブーメランでフルスイングするのやめてやれ」

 

「「………」」

 

「大丈夫、だよね?」

「主上なら……主上ならきっとなんとかしてくれる……!」

「うわあ冥王さんに丸投げしたよこのふわふわ幼女」

 

 

 

「もし私が同じように迫ったら……きゃあきゃあ、旦那様大胆不敵冥王計画邪念撲滅です~~~!!へあっ、へあっ!!!」

 

 

 





 待望の青SSRセシルが来ていつも通り最高に可愛かったので書いた。それにふさわしい内容なのかは不明。とりあえずいつも通りクリスはいぢめたのでノルマは達成。
 アナちゃん先生?うん、年越しイベントの時に何すればいいのか分からないからって躊躇なく目の前の『愛と契約』の精霊ユーノに殴り掛かったのは当時爆笑した記憶がある。そんなんだから肉食わない代わりにプロテイン食って筋肉鍛えてる蛮族だとか(作者しか言ってない)

 西川の兄貴のアレ、色んなキャラが着てるけどなんとハローキティ様も着たことがあるという超どうでもいいトリビア。



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