レガリア修道学園宿舎
「う……うん。すぅ」
カーテンの隙間から朝日が射し込む。ダイレクトにその光が眼に入り少女は眩しそうにしながら頭を反対側へ向ける。
「………んぅ、朝ぁ?」
まだ半分眠っているであろう身体をゆっくりと起こし、そのまま少しだけ頭を揺らす。
「ふぁぁぁぁ、んー」
一人なのをいいことに大きな欠伸をし、身体を伸ばす少女。次第に頭が冴えてきて眼がはっきりと開いてくる
「ふぅ、お父さん・お母さんおはようございます」
家族の写真に向かって朝の挨拶をすると少女は顔を洗うため洗面所へ向う。
少女−ノエルは学園へ行くための身支度を始める。昨夜しっかりとこなした宿題や教材を鞄に入れ制服に着替える。
「よし!じゃあ、行ってきます!」
ノエルは元気よくそう言うと宿舎を出て、一路学園へと向かった
「それでは……本日の講義はレガリア大陸の歴史についてお話しようと思います」
大陸史担当の教授が教本を手に教壇に立ち講義が始まった
「レガリア大陸が初代教皇の手により長く続いた戦争を終わらせた……ここまでが前回の講義の内容でしたね。今回はその続きからになります」
教授の話に真剣に耳を傾けるノエル。教授はゆっくりとした口調で話し始めた。
初代教皇の手によって国同士の戦争が終わり、各国で国交が正常になり通商などで平和になったレガリア大陸。中には小さないざこざなどもあったが目立った争いなどもなく、平和な時は永遠とも思われた。
その平和が突如として崩されたのは、休戦より約200年後。現在からおよそ800年前となる。
教皇も次々と代替わりをし国力を増していたレガリア聖皇国は1つの調査隊を築いた。
レガリア大陸には6つの国の他にもう1つ禁忌とされた土地が東にあった。
その土地は不毛などという言葉では収まらない、まさしく死の大地とも言うべき場所であり誰も近寄ろうとはしなかった。水は干上がり動物も植物も、所謂「命」というものが存在しない……そう言われていた。
しかし、たまたまその土地の近くを通っていたレガリアの通商隊がその土地の方角から悍しい叫びが聞こえたという報告があがってきたのだ。
その事に興味を示した教皇はレガリア軍の中でも特に探索に秀でた人物およそ100人という大規模な探索隊を結成しその土地の調査を命じたのであった。
探索隊は重装備を整え死の大地へと向かった。確かに異様な土地ではあるが脅威と呼べるものはなく探索隊の調査は順調に進むかと思われた。
それからおよそ1ヵ月が経過した。探索隊帰還の一報を聞き、出迎えた教皇は目を見開いた
100人も居た探索隊は僅か3人になっており、その3人もまた一人は両目を失い、一人は腕を、一人は精神が異常をきたし言動がおかしくなっていた。
かろうじて喋る事のできた隊員からの報告書に教皇は目を通すとそこには死の大地についての詳細とその恐ろしさが記されていた
−死の大地には所謂生命と呼ばれるものが存在しないとされていたが、悍しい異形を見た。その異形は角のようなものが生えておりかなりの巨体であった−
ー死の大地の果ての先には海上に浮ぶ村のようなものが存在している−
−探索隊が帰還をしようとした際に、先で述べた異形が探索隊を急襲。戦闘になるもこちらの武器が殆ど通用せず次々と殺されてしまった−
教皇は報告書を見終わると、各国の代表を集め協議を行った。今までの説を覆したこの報告書に各国の代表は半信半疑といった状態であった。そもそもその土地を調べた所でなにもすることはできないので意味がないとされていたからだ。
しかし、報告書の通り異形というものが本当に居るのなら話は別である。現実、探索隊の殆どがこの異形に襲われ命を落としているからだ。異形は一匹とは限らない……。もしもこの異形が国へ攻め込んできたら恐らく甚大な被害が被るだろう…と。
教皇がそう言うと暫しの沈黙の後、「討伐せねばなるまい」と口々に言い始める。
教皇は採択を取った。異形を討伐することで満場一致となり連合軍の創設が決定したのである。更に大陸の歴史に詳しいとある国の長が「異形……。この異形を明確な敵とするために仮称ではありますが名前を付けたほうがよろしいかと」と発言をした。
教皇がその仮称について名を求めると「………。国の歴史書にはこう記されていました。この大陸は我々の他にも様々な生物が居ますが太古に絶滅したのでは、と推定されている生物も居ました。その中に、この報告書の特徴に酷似した存在もあったとされています」長はそう答える
「その生物は……「鬼」と呼ばれ恐れられていたそうです」
「こうして、レガリア連合軍が誕生し禁忌の土地に居ると言われている鬼の討伐が始まったのです」
教授はそこまで話すと教材を閉じ「今日の講義はここまでです」といい教室から退出していった
(レガリア連合軍………。鬼……。)
今日の講義を紙に纏めていたノエルは鬼と呼ばれるものについて考えていた。
(このような恐ろしい生き物が…この世界には居るんだ)
半ばお伽話を聞いたような感覚ではあったがノエルはこの鬼について僅かではあるが興味を抱いた
(次の大陸史の講義は来週…か。ここからどうなったんだろう)
そう考えたノエルは居てもたっても入られず、学園の書庫へと足を運ぶことにした。
はい、前日譚2話でした。まーだ主人公は出てきません。前日譚は次で終わりの予定です。前日譚が終わってからノエルの運命は少しずつズレて行きます。新語がある程度出てきたらまた説明を挟みたいと思います。遅れてしまって申し訳ありませんでした。