『A.L.I.C.E』in SWORD WORLD   作:騎士見習い

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設定ガバると思うので優しくしてね。


もう一度

 

ひんやりと冷えた純白の石床を彼の血で赤く染まっていく。最高司祭アドミニストレーターの激闘の末、彼は親友と右腕を失い、今にも自分の天命自身も失いそうになっている。

 

「キリト!しっかりしてください!あなたが……あなたが私を呪縛から解き放ったのです!最後までその責任を果たしてください!」

 

切断部分に全身全霊の神聖術を施すが一向に止まる気配がない。焦りと絶望が背筋を凍らせ始め、手の震えが次第に止まらなくなる。最高司祭アドミニストレーターによって記憶を消され、『アリス・シンセシス・サーティ』という騎士としての道を歩んできたが彼のおかげで二度と歩むはずのなかった『アリス・ツーベルク』としての自分を見出してくれた。

 

 

「だから、____死なないでください!」

 

 

だが私の願いを嘲笑うかのように彼の天命は止まることはなかった。意味はないと知りながらも彼の切断された腕を自分の手で力強く握る。

何故なのだろうか。私は今まで大勢の民を救ってきたのに何故、たった一人の大切な人を救うことができないのか。この力は何のためにあるのか、何のために私は………生きているのだろうか。

 

 

「嫌、やめて。お願いだから。私からもう何も奪わないで……お願い……」

 

 

 

 

 

 

どのくらいの時が経ったのだろうか。彼の天命が尽きていることから目を背けるために永遠と神聖術を施し続けていた。彼の身体が石床と同じように冷たく、純白に色づいていた。涙は枯れ、思考を放棄し、ただ彼の冷えた身体を温めるために抱き寄せる。

 

 

『創生神ステイシア』、『地母神テラリア』、『太陽神ソルス』。どうか私に機会をお与えください。どんな試練を与えてくださって構いません。騎士『アリス・シンセシス・サーティ』でも、ルーリッド村の『アリス・ツーベルク』でもない、ただの『アリス』として、彼を……キリトを守らせてください。

 

 

届かない願いと知りながらも私は意識が消えるまでひたすら願い続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心地良い風がなびき、暖かく煌びやかな光が暗闇の中に差し込んでくる。ゆっくり目を開くと雲一つない青空が広がっていた。そして、辺りには緑豊富な草原が広がっていたのだ。

 

 

「わ、私はいったいどうしたのだ。先程まで……」

 

 

重大なことに気づき、途中で言葉が切れる。意識が途切れる寸前まで抱き寄せていたキリトがいなかった。人の気配がなく、しかも死体を持ち去るような酔狂な人間の仕業かと考えを巡らせ、

 

 

「もしや、整合騎士の何者かが……」

 

 

キリトはアドミニストレーターに牙を剥く大罪人であり何人もの整合騎士を倒した。死体だろうと問答無用で罰を与えるはずだ。

今の状況を理解することが全くできていないが、キリトを探してからでも問題はないと考え、腰に挿している『金木犀の剣』の存在を確かめ、走り出す。

 

 

探す途中で何体かの獣に襲われ、その度に倒していた。不思議なことに獣は死体にならず光の細やかな結晶として消えていき、貨幣のようなものを残していた。この場所の手がかりだと信じて集めた。そしてローブも獣から出現し、身を隠すために纏い始め、それから幾分もせずに円を描くように石の壁で覆われた大きな街を見つけた。

 

街の周辺には私と同じように獣を狩る兵士たちがいた。《セントリア》では見ない装備を身に包んでいたが整合騎士との繋がりを考慮し、慎重に話かける

 

 

「突然ですまないが、黒髪で背丈は私くらいの男性を見なかったか?」

 

「ん〜見てないかもなぁ。その男性のプレイヤー名は?」

 

「ぷ、ぷれいやめい?とはなんだ。何かの隠語か何かか?」

 

「ああ、君そういう設定なのね。おーけおーけ。その探してる男性の名前を教えて欲しいってこと」

 

 

名前は知らない、と嘘をつき感謝の言葉を述べ、その場を後にした。聴き慣れない言葉や装備が存在しているが、秘奥義を扱う者が何人もいた。あまりに異色な光景の数々に私の疑問は膨れ続けた。

先程と同じ質問を何人にもしたが収穫はなく、街に入り情報を集める決意をしたとき、

 

 

「キリト。本当にこれでソードスキルが出るのかよ」

 

「勿論だとも。だけどそんなへっぴり腰じゃ上手くいかないかもな」

 

 

聞き覚えのある声だった。頭よりも先に身体が動き始め、いつのまにか走り出していた。彼が死んだことを一番近くで見届けたのにも関わらず、それが何者かの罠という可能性すら省みずに私は一直線に声の方向へ向かった。

 

 

「キリト!!」

 

 

期待を込めて名前を呼んだが、目に映るのは彼とは全く違う見た目の男性だった。

 

 

「知り合いか?」

 

「いや。リアルの知り合いはいないはずなんだけど」

 

「でもよぉ。同じプレイヤー名が使えないSAOじゃ、お前以外考えられないよな」

 

 

何故だろうか。別人のはずなのに。彼はもうこの世にいないのに。なぜかキリトだと確信してしまっている。私の心だけじゃない、彼の剣と何度も刃を交えた金木犀が本人だと教えてくれるような感覚もあった。

 

 

「私の名前は……」

 

 

大きな鐘の音が響き渡った。改めて名前を名乗ろうとした瞬間、謎の浮遊感に襲われ、気がつけば先程の街と思われる中にいた。次々起こる不思議な出来事に理解が追いつかない。私と同じ現象に襲われたのか、辺り一面には大勢の人がおり混乱の渦が巻いていた。突然、巨大な人のような物体が現れた。それが言葉を紡ぎ終わる頃には混乱などという生易しい状況ではなくなった。

 

 

 

 

 

 

巨大な物体は私たちに『えすえいおう』というげえむをくりあをするように命じた。この世界での死は現実世界の死であること。この世界は全百層の建物で形成されていることと様々な情報を伝え、消えていった。その後、神聖術の一種だったのか周りの人たちの顔や身長、性別が変わっていた。だが私には何一つ変化がなかったことを運が良かったと半ば納得させ、キリトと名乗る彼を探し始めた。

 

絵本のように大切な人と会うのに様々な冒険が必要というわけもなく、街の正門らしき場所に彼はいた。時間だけなら半日も経っていないかがとても長く感じた。身を隠していたローブを脱ぎ、姿を見せる。

 

「ようやく会えましたね。キリト」

 

 

彼の進行先を塞ぐように前に立つ。死んだ者が生き返ることはない、と分かっているはずなのに、少し幼い気がする彼が目と鼻の先にいる。それだけで今までの疑問が吹き飛ばされる。

 

あのときの、とキリトは少し驚いた顔をしていた。

 

「君は誰なんだ?」

 

記憶喪失という言葉が真っ先に浮かび上がったが、ここはきっと素直に答えるべきだと思った。

 

 

「私の名前はアリスです」

 

神が私の願いを聞き届けてくれたのか分からない。けど、私が成すことはたった一つ。

 

 

あなたを守ります。

 

 

 

 

 




ちょっとした息抜き投稿なので好評だったら連載していきたいッス
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