TS男とTS女の生活   作:YUKIもと

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 一話だけ試しに書いてみました。





一話

 僕はふと意識を取り戻す。

 

 ああ……いつのまにか寝てたのか……。

 

 目を開けると見覚えの無い天井が見えた。

 

 ……え?何処だここは?僕は妻と飛行機に乗って海外へ……。

 

 そこまで考えて僕は隣に座っているはずの妻の方を見た。

 

 そこには僕を見つめる赤ん坊がいた。

 

 どうなっている?僕は目をこすろうと手を……そこで僕は気が付いた、僕の手が小さい事に。

 

 「うあぁ……」

 

 思わず叫んだが口から出たのは赤子の様な声だった。

 

 僕は体を動かす、バタバタと手足が動くだけで何も出来ない……僕はしばらくの間呆然とするのだった。

 

 

 

 

 

 僕はしばらく呆然としていたがこのままではどうにもならないと考えた。

 

 幸い動揺も大分収まり、あれこれと考える余裕が出て来た。

 

 転生や憑依などの話は知っているけど、本当に起こるなんて……それこそ自分がその立場になるなんて思いもしなかった。

 

 僕はまず周囲の大人の会話や僕に対する言葉から出来るだけ情報を集めようと考えたのだった。

 

 「姫乃(ひめの)ちゃーん、総士(そうし)くーん元気かなー?」

 

 そう思っていると一人の女性が僕の視界に入る、黒髪の優しそうな女性だ。

 

 隣に寝ている赤ん坊は姫乃と言うのか、と言う事は僕は総士と言うんだな。

 

 そう思っていると女性は僕を抱き上げて言う。

 

 「起きてるわね。さあ姫乃ちゃん、おっぱいの時間ですよー」

 

 ……何だって?僕が……姫乃ちゃん?

 

 抵抗せずおっぱいを飲みながら混乱している僕だが、やがて落ち着きを取り戻し考えた。

 

 転生であれ憑依であれ、どうして前世と同じ性別であると思い込んでいたのだろう……と。

 

 

 

 

 

 

 ん……?私は寝ていたのか……。

 

 隣に座っていた夫が寝ていたので私も寝てしまったのだったな。

 

 私は目を開けて隣に居る夫の様子を見ると眠っている赤ん坊がいた。

 

 「うぁ……」

 

 突然の事に状況が分からずどういう事だと声を上げようとしたが、私の口から出たのは赤子の様なうめき声だけだった。

 

 私はここで自分が赤子になっている事に気が付いた、隣で寝ている赤子を見つめながら自分を落ち着けていると赤子が目を覚ましこちらを見る。

 

 すると赤子は目を見開き声を上げ、バタバタと暴れ出した……混乱が収まりつつある私は元気な赤子だなと思いながら見ていたが、突然動くのをやめてボーっと天井を見ていた。

 

 しばらくそうしていると思えば突然きょろきょろと辺りを見回し始めた。

 

 「姫乃(ひめの)ちゃーん、総士(そうし)くーん元気かなー?」

 

 すると突然黒髪の女性が現れる、私は姫乃と……いや、まだそうとは断定出来ない。

 

 これが転生であるなら性別も二分の一の確率で変わるはずだ……。

 

 そう思っている内に女性は隣の赤子を抱き上げ、姫乃と呼んだ……ああ、今世の私は男なのか。

 

 

 

 

 

 

 自分が女である事を知り、数日のうちにある程度の事が分かった。

 

 今世の僕は佐神姫乃(さがみ ひめの)と言う事、隣で寝ていた赤子は隣に住む夫婦の子供で四季夜総士(しきや そうし)と言う事。

 

 両夫婦は仲が良い事や四季夜家が会社を経営している事などを会話から得た。どうやら僕の父親もそこの社員のようだ。

 

 この世界は前世の地球では無いが前世の地球に近い事も分かった。

 

 僕はベビーベッドでゴロゴロしながら考える。

 

 今世も幼馴染がいるとはね。

 

 ……前世の妻は僕の幼馴染だった、道場の娘として生まれた彼女の面倒をよく見ていた覚えがある。

 

 男勝りだった彼女は成長しても変わらず、何も出来ない彼女の面倒を見ているうちに料理や家事全般が楽しくなり趣味になったんだった。

 

 僕は大分若い時から彼女を愛していたし辛いと思った事なんてなかった。

 

 ……妻は無事だろうか?こうしてここに居る以上恐らく僕は死んだのだろう。

 

 直前の記憶から考えれば飛行機事故しか思いつかなかった。

 

 彼女はきっと無事だったと思いたいが隣に座っていた僕が死んでいる以上……おそらく彼女も。

 

 それから僕は泣いた。

 

 もう会えない、死んでしまったかもしれない妻を思い泣き喚いた。

 

 今世の母親は僕の尋常では無い泣き方にすぐに駆けつけ抱き上げてくれたが、僕はすぐに泣き疲れて寝てしまった。

 

 それからしばらく僕は常に母親に抱かれたまま生活する事となった。

 

 

 

 

 

 

 男として生まれた事を知って数日が経ち、私は両親を始めとした周囲の会話からある程度の事が分かった。

 

 まず自分は四季夜総士と言う名前の男の子で、隣で寝ていた赤ん坊が佐神姫乃と言う女の子である事。

 

 私と彼女の両親が親友で家族ぐるみの付き合いである事や父親が会社経営者である事などは分かった。

 

 後……どうやら前世の地球とは違うみたいね。

 

 ベビーベッドで寝たふりをしながら私は思う。

 

 今世にも幼馴染がいるのか……。

 

 前世の私の夫は幼馴染だった。

 

 男勝りな私の傍に幼い頃からいてくれた……母親の居ない私に料理を作ったりして世話を焼いてくれた。

 

 私は彼に甘えた。そして男らしく自由に振る舞った……でも……彼の前では女だった。

 

 夫は無事だろうか……隣に座っていた私がこうなっている……すぐ隣にいた彼が無事である可能性は……。

 

 道場の娘として育った私は、涙を見せる事は弱さだと教えを受けていた……でも……今だけは……。

 

 私は泣いた。もう二度と会う事が出来ない、死んでいるかも知れない愛する夫を思って。

 

 泣き声に慌ててやって来た今世の母に抱かれてより一層泣いた、前世では知らなかった実母のぬくもりを感じて泣きに泣いた私はやがて眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 僕が佐神姫乃として生まれてから時が過ぎ、僕と総士は同じ小学校へ入学した。

 

 この頃になると成長の過程で感じていた事がはっきりとしてきた。

 

 それは他の同年代の子供達よりも体の性能がはあるかに高い事。精神的には転生しているのだから違うのは当然だけど、この体は物覚えが良い上に色々な意味で凄かった。

 

 勉強すればかなり早く覚えて理解出来るし、運動も男子よりも出来る……一応やりすぎないようにはしているけどね。

 

 正直転生した何かが影響しているとしか思えないような性能なのだが、もう一人似たような子供がいる。

 

 それが今世の幼馴染である四季夜総士だ、この幼馴染凄い。僕は転生と言うアドバンテージがあるが彼はそんな物は無い。

 

 にもかかわらず僕とほぼ同じ様な状態になっている、僕がある程度この体の実力を出しているのは普通の子供である彼がここまで出来るのだから同じ程度はやっても問題ないだろう、という考えからだ。

 

 そのせいか女子は僕、男子は彼がリーダーのようになっていて時々女子と男子で喧嘩になる事もある。

 

 その時は僕が女子を、彼が男子を止めて仲裁する。

 

 朝は毎日同じ班で登校しているし、帰りも毎日二人で一緒に帰っている。

 

 いや、本当によくできた幼馴染だなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 四季夜総士として過ごし、幼馴染である姫乃と小学校に入学した私は自分の体の異常さに気が付いた。

 

 頭脳も体も、同年代を大きく引き離している事に気が付いた。それからは自身を鍛えつつもやりすぎない様にして生活している。

 

 小学生はやはり小学生、他愛のない事で一喜一憂する姿は微笑ましい。

 

 だが、私の幼馴染である佐神姫乃は例外だった、前世がある私から見ても彼女は素晴らしかった。

 

 礼儀正しく、優しい。やりすぎない様にしているとはいえ勉強も運動も私とほぼ同じだ。

 

 普通の女の子である彼女があれだけ出来るのならば同じ程度は力を出しても問題無いと私は考えている。

 

 私は彼女と一緒に居ると楽しいし安心する、家が隣同士なので登校も一緒だし帰りも二人で帰っている。

 

 彼女が幼馴染で良かったと思う。

 

 

 

 

 

 




 もし続きを書く場合は色々とおかしな所は見ない事にして書きます。


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