音ノ木坂学院 1年生
素直になるクスリ
「ねぇ、郁人? もっと私を撫でなさい?」
「う、うん」
彼女に言われて綺麗に手入れされている赤髪を優しく撫でる。
サラサラとした感触がいい。
彼女も気持ちいいのか艶かしい息が漏れている。
(まさかここまで効くとはなぁ……)
彼、
普通の彼女からはありえない甘い声に彼女らしからぬ様々なお願い。
何故こうなったのか、それは少し時間を遡る…………
***
僕はμ'sをサポートするマネージャーとしてこれまでμ'sと様々な事をしてきた。
合宿にも一緒に行ったし、ことりさんの留学騒動も裏で色々策を弄して阻止した。
なんで女子校に男子がいるの? というツッコミはよくアニメである人口減少の為の共学化へのテスト生だ~とか理事長と親が知り合いで~みたいな脳内設定で頼む。
あとマネージャーをやり始めたのは穂乃果さんに脅されたから。弱み握られたの。
そんなこれまで精一杯頑張って来た僕だが、唯一頑張りたくないもの、やりたくないものがある。
それは勉強だ。
しかし学生にはやりたくない勉強をしないと行けない時がある。
テストという魔物が学校にはいるのだ。
だから教えを乞うべく来た訳だ。
っていうかテストが近づくと必ず真姫ちゃんに教えて貰ってる。
本当に神さま仏さま西木野真姫さまやで。
話は変わるが彼女はツンデレだ。
本人は認めようとしないし、言ったら脛を蹴られる。
だからμ'sのマネージャーとして長いこと一緒にいるが本音を図りかねている所がある。
だから! A‐RISEの優木あんじゅさんに頼んでそれ伝いに素直になれるクスリと言うものを作って貰った。
普通にあれが通るあの人とUTXには逆らわないようにしとこ……
それを彼女が席を離れた時に飲み物に入れた。
ぐふふ……これで本音が丸裸だぜぇ……
***
飲んだ直後は変化は無いように見える。
普通通りだね。
「何よ。そんなジロジロ私を見て。恥ずかしいじゃない……」
「あ、ごめん。真姫ちゃんが可愛くてついね」
効果を確かめるために多少の恥ずかしい事を言わないと行けないだろうと判断し、僕は絶対に言わないであろう言葉を言った。多分というか絶対後で死にたくなる。
いつもならきっと『ばっかじゃないの!?』
と言うはずだ。
このクスリを作ってもらう為にあんじゅさんの言う事を何でも一つ聞くという代償を払ったんだからあってくれ! 多分薬の実験体にされて大変な事になるから!
「あの……えっとその……ありがとう」
何この子とっても可愛いんだけど。
俯きながら顔を赤らめて言っているのが可愛いポイント。
本当に効果はあるんだね。
今日は色々試さないと……
「僕の事好き?」
普通だったら殴られるであろう質問。
これは反応が楽しみ(ゲス顔)
「バカ……大好きよ。私達が困ってたら直ぐに気づいて助けてくれる貴方を私はその……好ましく思ってるわ。きっとμ'sの皆もそう思ってるはずよ」
「お、おう……///」
何これ言われる方もくそ恥ずかしい。
でも何より真姫ちゃんが可愛すぎる!
ツンデレもいいが素直な真姫も可愛いんだなぁ……
後で希さんにでも送っとこ
***
次は頭を撫でて見ようと思う。
いつもだったら即刻手を払われて「変態!」って言われる。ソースは俺の実体験。
穂乃果先輩だったら喜ぶのに……
恐る恐る彼女の綺麗な髪に手を伸ばし、触れると彼女がビクンと動いたのがわかった。
殴られるか?
ギュッと目をつぶって痛みに耐えようとしたがいつまで経っても拳は飛んでこなかった。
そこでゆっくりと目を開ける。
「早く撫でなさい。穂乃果にはやる癖に私にはいつもやってくれないんだから」
「だっていつもは殴ろうとするじゃん」
「あれは……! その……恥ずかしいからよ!」
なるほど……いつも羨ましく思ってたと。
可愛いかよこいつ。
それから彼女は撫でる手を止めようとすると「撫でろ」と言う程になった。
何か真姫ちゃんが可愛すぎてこれ以上理性を抑えられる自信がないから次でラストにしよう。
最後の質問はやっぱりこれだろう。
「μ'sは好き?」
質問の答えは直ぐに帰ってきた。
「勿論よ。穂乃果はバカで無鉄砲な感じだけどいつも明るくて私も何度も救われたわ。
海未はとても真面目で…………
ことりは…………」
この調子でμ'sの皆のいい所を一人一人丁寧に話していた。
それから彼女は本当にスクールアイドルがμ'sが大好きな気持ちが伝わってきた。
あ、今のは携帯で録音済みです。さっきμ'sのグループに送りました。
次の日顔を真っ赤にした真姫ちゃんにタコ殴りにされたのは言うまでもないだろう。
そして彼女はμ'sの皆からからかわれたのも。
特に希さんとにこさん。
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