起きたら鞠莉がいた件
とても暖かい……
陽だまりの様な温かさだ。
そしてほのかに香る甘い香りやその陽だまりの様な包み込む温かさが安らぎと安心を与えてくれる。
小さい頃、お母さんに抱きしめてもらった時を思い出す。
それほどに暖かく安らぎを与えてくれる。
まるで人に抱き締められているような感じだ。
……ん?
普段は1人で寝ている僕だからというか高校生にもなってお母さんと寝ている人は居ないかもしれないが、僕は1人でいつも寝ている。
だから人肌を感じるのはおかしい。
今までのウトウトとしていたのが一気に醒めたのを感じた。
そして、じっと耳を澄ませるとすぅすぅと言う規則的な息遣いが聞こえる。
ん……?
ゆっくりと恐る恐る目を開けるとそこには陽の光を受けてキラキラと眩しく輝く金髪をもつ少女がいた。目の前に
僕の知り合いの中で金髪は1人しか居ない。
そう……小原鞠莉だ。
…………なんで僕、ホテルニューオハラにいるの?何で鞠莉の部屋にいるの?
取り敢えず布団から出ようとしたが、がっちりと彼女にホールドされていた。
パジャマのせいで普段より伝わってくる彼女の柔らかく温かい感触。そしてふにふにと形を変える大きなモノ。
どうやってここに至ったか記憶無いなぁ…
取り敢えず起こして問いただそう。
「起きて~!何で僕はここにいるの!」
ゆさゆさと揺らしてみても起きる気配がない。
終いには
『マリーだけをずっと見てなきゃNOよ~?』
なんて寝言を言う始末
どんな夢見てるの……?
あと起きないし
もっかいゆさゆさとしてみる。
「マリーは郁人の事very very Loveよ~」
「ねぇ多分って言うか絶対起きてるよね。」
「起きてないわよ~ぐ~す~」
「起きてるじゃん……」
するとゆっくりと身体を上げて起きる鞠莉ちゃん。そしてぐっ~と身体を伸ばすと彼女の豊満な胸が強調され目を奪われた。
そしてバレないようにサッと視線を外に移す
「Good morning!ダーリン!」
「おはよう。鞠莉。」
そう言えばと前置きをして僕は切り出した
「何で僕は鞠莉の家にいるの?」
「一緒に寝たくて連れてきちゃった♪」
道理で記憶が無いわけだ。きっと拉致されたんでしょ。
そう考え込んでいるとグイッと布団の中に引き釣りこまれた。顔をグッと近づけられ……
そして彼女のもつ携帯からはカシャという音。
………
「消してぇぇぇぇ!」
写真だけ見たら完全に事後なんだから誰かに見られたらヤバい!
もしそれがダイヤさんだったら……想像もしたくない。
「消してぇぇぇぇぇ!」
「NO!」
「それなら僕に携帯寄越して!ほら!」
「嫌よ~♪もぅこんなに積極的に近づいてきちゃってマリーの事をそんなに愛してくれてるのね!」
「そんな場合じゃないって!ほら、携帯頂戴!そして消して!」
「もうそんなに揺らさないで~♪操作ミスで送っちゃうかも~」
「ぐっ!」
2人でもみくちゃになって携帯を巡る攻防が繰り広げられている
「あ~間違ってAqoursのグループに送ってしまったわ~」
「はあ!?」
わざとらしく、棒読みでそう言った鞠莉
冗談じゃない!
そしてバイブレーションでガタガタと震える僕のスマホの姿が…
あまりにも震動するそのスマホは尋常じゃないほど動き、ぼとりとテーブルから落ちた。
ぱっと携帯を見ると、大半が千歌と曜とダイヤさんだった。ダイヤさんからはこんなメッセージが……
『後でじっくりお話を聞かせて頂きますね。
郁 人 さ ん ?』
ひぃぃぃ!
「ほら、ダーリン学校に行くわよ?」
「今日は休む。ダイヤさん怖い……」
「んもぉワガママさんね~♪」
「元はと言えば鞠莉が!」
本当にこの人が写真を送らなければ平和だったのに。
敢えて拉致に触れないのは察して
「学校行かないのならもっとvery very 過激な2人の写真送っちゃおうかしら~♪」
え………?
「寝てる時にまさか郁人がマリーにあんな事をしてくるなんて……///」
顔を赤らめてモジモジとしだす鞠莉
……僕寝てる時に何したのぉ!?
「分かった!行くから本当に辞めて!やめろ下さい!」
土下座をして懇願する。本当だとしたら命がないよ!
「それじゃあ行きましょう!Go to school!」
***
「はぁ……憂鬱。」
浦の星女学院についての第一声はこれだ。
何で女子校に男子がいるのかはテスry……
「あ!いっくん!」
教室に入るとこちらを見つけた曜と千歌がドタドタと近づいてきた。
「なにあれ!ちか何も聞いてないよ!ちかといっくんの間には隠し事はダメって昔から言ってるじゃん!ちゃんと私に報告してよ!」
「千歌ちゃんかせめて私に報告して欲しかったなぁ…そしたらそっちに行ったのに
一緒に寝るとか羨ましい……」
おいおい、曜。それはどういう意味だい?
「あれは鞠莉さんに拉致られて仕方なかったの!寝てる時に拉致られたの! 」
「いっくんが寝てる時に油断してるのが悪い!」
「そうそう!ちゃんと寝てる時にも鞠莉ちゃんに連れ去られないか気を張ってないとダメ!」
「寝ながら警戒とか神経すり減らして過ぎて早死するわ!」
幼馴染2人と言い合っているとポンッと優しく肩に手が置かれる。
後ろを振り向くと…………
そこにはとってもいい笑顔のダイヤさんがいるではありませんか
忘れてたぁ……
「郁人さん?少しお話があるのですが?」
「僕には無いんですけど……」
「私にはありますので付いてきてくださいますか?不純異性交遊は禁止とあれ程言ったはずですわよね?」
「いやぁ…あれは僕は悪くないと思いますけどねぇ……」
「そんなにグダグダ言ってないで大人しく着いてきて下さい!」
そしてそのままズルズルと生徒会室へ僕は引っ張られて行った………
今回の裏話
高海千歌
幼馴染、愛が重い。
小さい時に部屋の鍵を締めて郁人閉じ込めたことがある。動機はずっと一緒に居たかったから
渡辺曜
幼馴染、愛が重い。
小さい時に警察の真似といって本物の手錠を自分と郁人の片手にかけ鍵を意図的に無くした事がある。動機はずっと一緒に居たかったから。
小原鞠莉
金持ちのヤベー奴