仮面ライダービルド−if,World,Rider 作:蒼葉 桜木
科学都市『森羅』様々な技術の研究が盛んに行われる日本随一の大都市である。そんな森羅であるが、非科学的な都市伝説が街で暮らす人々の間で広がっていた。
その内容とは、夜遅くに謎の怪人が人々を襲っているということ、そしてそれを倒す存在『仮面ライダー』がいるというものだ。尤も、この存在を信じているものは少なかったが。
後に、彼らはその存在が都市伝説などというモノでは無いということを知ることとなる。
時刻は、午後11時を回ったところ。街明かりが暗闇を煌々と照らし、道を歩く人々が少なくなってくる。そんな中、森羅の街を走る一人の女性がいた。肩から小さな鞄を下げ、右手には小型カメラを持っている。
「ハァ……ハァ……!!」
息を切らせながらも必死に走り続ける彼女が後ろを振り返ると、一人の、否。人ではない異形の怪物が女性の後を追っていた。
「ハァ……嫌……来ないで……!!」
そう言いながら尚も足を止めずに走っていた女性だったが、途中で足が絡まり、転んでしまう。
「キャア!!」
地面に倒れると同時に鞄の中の小物や持っていたカメラが道へ散乱した。
「……!!」
彼女は急いで落ちた物を拾おうとするが、慌てているせいかもたつき、中々拾えずにいる。そこへ
『━━━━、━━━!!』
怪人がこちらへと歩み寄ってきた。
「ヒッ!!」
後ずさり、何とか逃げ出そうとする女性の髪を怪物は乱暴に掴み、持ち上げる。
「やめて!離してよ!」
女性の言葉を怪物が聞くはずもなく。その拳が勢いよく彼女目掛けて振り下ろされる。女性が悲鳴を上げようとしたその時だった。
ギュイイイイイイイイイイ!!!!
ドリルが回転するような音が鳴り響いた直後。怪物の体から火花が散った。
『━━━━!!!!!、!??』
自身の体を襲った痛覚に困惑し、女性を離した怪物。そして振り返ると、そこには一人の人間が立っていた。その人物が男性なのか、女性なのかは判別できない。何故なら。
その人物の顔と体は鎧で覆われていたからだ。その鎧の色は赤と青で分かれており、その目の部分には兎と戦車を模したようなパーツがついている。そして、それで攻撃したのであろうドリルが左手に握られていた。
「やぁ、お嬢さん。大丈夫かな?」
「あ…貴方は……???」
「おっと、ちょっと待ってね〜。ソイツ倒しちゃうから」
そういった鎧の人物は腰に装着しているベルトから、アイテムを取り外し、ドリルへとセットする。
『ラビット!!』
機械音声が鳴り響き、ドリルが赤いオーラを纏い回転し始める。
「さて、一撃で決めるよ。」
『━━━━━━!!!』
声と表していいのか分からないような声を発しながら突っ込んでくる怪物。
直後、もう一度機械音声が響く。
『Rady GO!!』
『ボルテックブレイク!!』
「はあァァァァ、セイヤアァァァ!!!!」
気合と共に突き出されたドリルは怪人の体を貫き、その姿を爆発四散させた。
「私……助かったの……???」
「そういうことだよ、お嬢さん。それじゃ、また会うことが無いことを祈っているよ。」
そう言うと、片手をヒラヒラさせながら鎧の人物は去っていった。その後ろ姿を見ながら、彼女は一言呟いた。
「あの人が……仮面……ライダー……???」
如何でしたか?この作品も超不定期投稿になるかも知れませんが、ご容赦ください。ではまた次回お会いしましょう。