東方遊々記 ~のらりくらりと幻想探訪~   作:ジャンヌ

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第三話 猫に狐・・・何がしたいんじゃ?

 八雲亭の奥へと引きずり込まれる柳仙。締まる首を必死で対処しつつ、屋内を見渡す。

―――あの時と変わらんのぉ・・・いやはやあのときにゃまだ、新築同然だったきに。

 どうせ境界でも弄っているのだろうと納得する。

 それより、回避すべきなのは、窒息死。今は陰=妖力を押さえているから、洒落にならない。

「おーい、ゆかりーん?」

「フフ・・・待ってて幻想郷・・・」

 あ、だめだオワタ。

 

 

薄暗い部屋に連れ込まれ、ポイと投げられる。着地の際、ゴキと腰が砕けた音がしたのは、気のせいだ。

ま、まさか凌辱かいな・・・と意外と余裕のある様子。腰をさすっているうちに、紫が中央の明かりをつけた。

白い光に照らされる紫の姿。なるほど、600年前とはえらい変貌した。

背は伸び、顔もあどけなさが消えてまさに妖艶。一国の主を落とせるほどに美しい。まあ、胸も尻もムチムチに・・・

「殺すわよ?」

「・・・なんでお前さんは思考を読んでくるんじゃ」

 美人の笑みが最凶の武器であることは、流石に分かる。これでも人の顔は伺える、いやむしろ得意かもしれない。

「ま、まあ嬉しいこともないのだけれど・・」

「ん?そうじゃろそうじゃろ、どうじゃいっちょ再会のあいさつを」

「え?なにアソコの境界無くしてほしい?」

「すまんかった」

 表情が読み取れなければ、死、あるのみである。

 

 はあ、と息を吐く紫。

「久しぶりに会ったと思えば、全然変わっていないじゃない・・・」

「まあ、な。それより、口調・・」

「ああ、あれは演技ですわ」

 いや、そんなレベルじゃないじゃろ、と思わず漏らす。いや、流石にあれは怖かった。どこのとち狂った教祖かと思った。あの触れてはいけない邪心的な。時代が合わないとか言わない。

「藍には聞かれたくなかったもの。とくに、あの日のことは」

「なあ・・・それなんじゃが。いや、話すよ?渋ってるわけじゃないんじゃが・・」

 ん?と首をかしげる紫。やはり話すには辛いのか、と心配していたが、そうではないという。

「・・・あの日あの日って・・・うるさくない?」

 ・・・なにを言ってるんだ、この遊び人は。

「まあミステリアスじゃけど。これじゃあ読者が離れるっちゅーか。くどけりゃ、そりゃ読むの止めるわな。この時点で、UA数も三桁いっとらんし」

「貴方は誰目線で話しているの?というより、そこまで言うなら早く話したほうが」

「―――それじゃ!」

「いま気付いたの!?遅くない!?」

「いやー、さすが妖怪の賢者、だったかの?」

「あなたの頭がおかしいだけよ!!」

 はーっはーっ、と肩で息をするほどに脱力した。思えば、以前もずっとこんな調子だった。そうして、話をはぐらかされる。

 今回ばかりは、絶対、聞き出すが。

 

 

「―――そう。博麗神社で、ねぇ」

「そうじゃ。やっぱ思い出の場所だしのぉ。あ、見つけるのは無理じゃよ?お前さんでも破れぬ結界じゃから。正直、あと百年はもってもおかしくなかった」

「まあ、それはいいわ。無事だったならそれでいいもの。それにしても・・・自爆したのに生きてるとは、ね」

「いや、自爆やない。巻き添えになっただけや」

「それは大丈夫、ただのアホというのよ」

「あのなぁ・・・おう、ずれたの。それで、レイミアは?」

「ええ、確認したけど、しっかり霊痕が刻まれていたわ。今も劣化していない」

「・・・ほうか。そりゃ、あれだけした甲斐があったものじゃ。―――そうじゃ、博麗の巫女にあったぞ」

「ああ、言っとくけど、祈璃には何も関係ないわよ?私が外界からスカウトしてきた子の娘だから」

「・・・まあ、そうかい」

「煮え切らない返事ね?まあ、確かに雰囲気は似ているけど・・・。事実、あの子の霊力は尋常じゃないわ。祈璃とはおお」

「あ?なにかいったかスキマ?」

「し、失礼したわ。でも、博麗大結界の管理もしっかりしているし」

「そう、それじゃ。ついに成功したんじゃのう、やったじゃないか、紫」

「べ、別に・・・まだ途中だし」

「おう、その意気じゃ。わしも昔みたいに協力するけぇ、安心するきに」

「フフ・・・昔、ねぇ。あれだけ私を避けてたのが、嘘みたいな発言をするのね?」

「流石に理想を実現したやつに反発などせぇへんよ。ま、ゆっくり視察させてもらうがの」

「どうぞ、ご自由に。幻想郷は、意固地な鬼をも受け入れますわ」

「・・・カッカ、堂に入ってるやないか。そうじゃ、轟斗は?薫はどこにおるけぇ?ここかいの?」

「そうねぇ、風雷神轟斗は今も全国放浪・・刃野薫についてはごめんなさい、行方が分からないの」

「そう、かい。ま、元気でやっとるじゃろ。さ、そろそろ茶をくれないかの?」

「はいはい、藍おちゃ・・・って。防音結界張っていたんだったわ。さ、居間へ案内するわ」

「へいへい、よろしゅう」

 

 

***

 

 紫様とあのダメオは、何でもなかったような顔で戻ってきた。

 いや・・・二人とも、妙に清々しいというか。さぞ昔話に花を咲かせたのだろう。忌々しいが。ああ、いますぐ弾幕で押しつぶしたい。

 そう、四人分の緑茶とお茶うけを用意しながら、そう呪った。

 狐の恨みとは、崇り神のそれより恐ろしいのだと、いつか思い知らせてやる。

「はいどうぞ紫様、えっと・・・だれでしたっけ?」

「おう、柳仙鬼人じゃよ。それはそうと、この猫ちゃんお前さんの式じゃろ?茶汲みくらいやらせたらええのに」

「馬鹿言え、橙にはまだ・・ってな、なにをやっているんだっ!?」

 あ、あろうことか・・橙が。わたしのちぇんがぁ・・。

 女ったらしの汚らしい膝の上に座ってる、だと・・・!?

「ちぇ、橙!!今すぐそこから離れろ、穢されるぞ!!」

「カッカ、なんという言い草じゃ。のう、橙?」

「藍さま、そんなお怒りにならなくても、」

「あー聞こえないっ!!私のチェンがこんなに穢されたわけがないっ!!」

「いいじゃない、そんな目くじら立てなくても。橙も満更じゃないみたいだし」

「紫様は黙っていてください!!というか自分も、みたいな目線をむけてはいけません!!」

 驚いた表情の紫様はさておき。

 これだから嫌なのだ、この男は。

 いつだって、私の大事なものにとりいって、否、心の隙に入り込んで、奪っていく。

 あの応仁のときのように・・・!

 ギリ、と思わず歯ぎしりをする。殺したい。でも八雲紫の式に、そのような蛮行は許されない。

「はぁ、もういい。お茶だけはくれてやるから、とっとと帰れ」

「お、なんじゃお菓子ほしいんか?遠慮せずとも、やるきに」

「な、ち、違うっ!!というよりこれはうちのものだ!!」

 ・・・嘘ではない。あ、一人分増えるな、とか断じて思っていない!

 ああもう、橙も紫様までニヤニヤと・・・地底への穴があったら、落っこちたい・・・。

「カッカ、まあおもろいものも見れたし、そろそろおいとまするきに」

「あら、もう行くの?よければ、ここに泊ってもいいのよ?」

「断じて反対ですっ!!」

「次はいつ来るんですか、柳仙さん!」

「カッカ、風がここに向けて吹いたら、足を運ぶきに」

「???」

「あー、橙?この男の言うことを真に受けてはだめだぞ?」

 ・・・まあ、紫様が喜ぶのなら、それでよいのだが。

 だからといって、柳仙を認める気にはなりたくない藍だった。

 

 

***

 

「それじゃあ、行き先は人里の門の前・・・間違いない?」

「ああ、おっけいじゃ」

「またね、柳仙さん!!今度会ったら、四人でカルタしましょう!!」

「フフ、楽しみね」

「私は席をはずします」

 藍も意固地なんだから・・・と呟き、紫はスッと人差し指を宙に走らせる。

 間髪待たず、柳仙の目の前にスキマが現れる。

 流石に境界の使い手の前で、古いスキマをこじ開ける気にはなれないのだろう。いや、普通そんなことは誰にも出来ないのだが。

 「それじゃあ・・・またな」

 手を後ろ手に振り、スキマへと姿を消した。

 その姿を見届け、紫は思う。

 

 

―――大丈夫。ここにもう悲劇がおこることはない、いや絶対起こさせない・・・!。

―――だから・・・いつか、きっと・・・!!

 

 

 

 

 




(後書き)
紫「途中、会話文が多すぎたわね・・・」
柳「・・・ああ、それは思った」
 ごめんなさい。

あと最後の思わせぶりですけど、さて柳仙の身になにが・・・!
嘘です。ジャンヌはまだ何も決めてません。
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