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インタビュー終了後……
「いやぁ、相変わらず織斑選手は強いですなぁ!」
「全くだ。今頃、各国ので日本を称えるニュースが流れているさ」
一夏をあっさり見捨てたというに、そんなことはなかったと言わんばかりに酒を飲み、つまみを貪る政治家達や主催者達。彼らの頭には、一夏の命より、千冬が優勝した際の日本の栄光の方が大きいとでたらしい。
「しかし、まぁ……織斑一夏君には同情するよ。こんな日でなければ、すぐにでも助けを寄越すのだがね」
「またまた、本当は織斑千冬のヒモがいなくなって嬉しいんでしょう?」
「ははは、分かるかね。まぁ、これからも彼女には、日本の栄光やプライドを背負ってもらわねばならん。それに、でき損ないは不要なのだよ」
そう言い、一斉に笑い出す。あぁおぞましい。これが権力に取り憑かれた魔物だ。まるで獣だ。自分以外の犠牲は何ら躊躇わない。彼らは知らないのだろうか?千冬がどれだけ一夏を大切にしていたかを……
「……失礼します」
「……?おんや、千冬君か、どうした?」
「……いえ、何。お話がありまして」
はて、話とは何か?政治家達には分からなかった。まぁ、まさか今まで従ってきた人間が、いきなり自分に刃を向けるなんて誰も思わないだろうが。
「……ドイツ軍から教えてもらいましたよ、あなた方が、一夏を拐った誘拐犯共から連絡を受けていた、というのをね」
「……!?な、何故それを!?」
「言ったでしょう、ドイツ軍が教えてくれたと」
それだけ告げると、千冬は下を向き……次の瞬間には、千冬以外が地に伏していた。何のことはない。ただISを振るっただけだ。
「……ふが、が?」
死んではいない。が、今まで大人しく従ってきた忠犬がいきなり狂犬に変わり、全員混乱する。そんな中、千冬は告げる。
「本日付で、日本代表を降りさせていただきます!真実も全て公表します!」
自分達の悪事を日の目にさらすと。
「や、やめんかバカ!貴様!ブリュンヒルデだからといって調子に……!」
「私の弟の命を軽く見捨てるような国に仕えたくはありませんね!失礼します!」
そのまま、千冬は去ってしまう。
数時間後、あるニュースが流れた。「日本政府やモンドグロッソの運営委員会、女性権利団体などが、織斑一夏が誘拐されたという真実を隠していた」と。「織斑千冬が日本代表を降りる」とも。この二つを見て因果関係に気づかなかったものはいなかった。すぐにSNSや新聞で炎上が起き、関係者が何か言い訳しても炎上が起きた。数日後には政治家の総辞職、緊急声明、千冬へのインタビューがニュースや新聞のトップを飾る。だが、千冬はそれでも満足しなかった。だって、気づいているから。一夏はもう帰ってこないと。
報道されたニュースでは、大きな血痕が見つかり、間違いなく致死量だ、と報じられた。恐らく、織斑一夏は死んだだろう、とも。だが、このニュース、正確ではない。伏せられた情報がある。
織斑一夏の死体は見つかっていない。
まぁ、死体が勝手に動くわけはないですしね。じゃあ、誰がやったかって?……さぁ?