クラリッサさんの口調って難しい……難しくない?
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「……春万さん、もうそろそろ……」
「ごめんなさいクラリッサさん、あとちょっとだけ……」
まだ……一夏兄さんはまだ生きてるんだよ……皆はもう、一夏兄さんは死んでるって思ってるけど……絶対、生きてるんだよ……
「……兄さん……兄さん……」
「……春万さん、時間です」
「……うん……」
……今日も一夏兄さんは見つからなかった……生きてるなら……また会いたいよ……
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『おーい、春万!早く来いよ!』
『待ってよ一兄!』
昔から、僕は一夏兄さんに引っ張れていた。昔からあまり自分から動くことはできず、周りからは、一夏兄さんに引っ張られないと何もできないと思われていた……ISが現れるときまで。ISが現れてから、僕はどんどん……自分で言うのも才能を発揮して、周りは掌を返し、流石ブリュンヒルデの弟と褒め称えた。そして、周りは一夏兄さんの方を何もできないと言い始めた。そんなことないのに……
一夏兄さんは、剣道がとても上手だった。昔、千冬姉が僕達に真剣を握るよう言ったことがあった。僕はその時怖くなって、剣道を辞めた。二人は何も言わなかったけど……でも、周りは僕のことを散々罵った。千冬姉の才能を無駄にするゴミとか……でも、ISが出てからは、一夏兄さんを無能扱いした……そこから、すごく周りが怖くなった。自分達の都合でコロコロ評価を変える人達がすごく気持ち悪かった……ある時、一夏兄さんに聞いてみた。辛くないって。
『いや、全然。俺のこと、ちゃんと見てくれてる人がいるならそれでいいよ』
思えば、一夏兄さんはきっと辛かったはず……いや、いろんな人に罵倒されて、物を投げられて……それでおかしくならない人がいるはずなんてないのに……
『春万!帰るぞ!』
『今日は……そうだ!唐揚げにするか!』
『あ、弁当作るの忘れてた!?』
……いつも通りの声で、いつも通り話す一夏兄さんに、僕はずっと甘えた。その甘えに、一夏兄さんは嫌な顔一つせず答えてくれた……何もできていないのは僕の方だ。あの日もそうだった。トイレに行くという一夏兄さんに着いていって、で何もできなかった。一夏兄さんが拐われるのを、どうにもできなかった。あれから、千冬姉さんは暗いままだ。家事は僕と千冬姉さんでやるようになった。でも、それができたからって、一夏兄さんは帰ってこない。
「……ねぇ、一夏兄さん、どこにいるの?」
一夏兄さん……
一夏兄さんになったのは、罪悪感からか……ご自由に妄想を。