懺悔します。私はコロナのせいで外出もできず、家でグダグダしてばっかりで全くこの小説を書いていませんでした。
今回はそこそこ長めです(約9000字ほど)
それでは本編をどうぞ
「これで終わり? つまんないなぁ」
倒壊した建物が辺りに並ぶ荒地で柄頭から青い布が二つ伸びる細剣を左手で握り、蒼い刃身に金色の装飾が施された直剣を右手で握る少女が両手の剣を弄びながらそう呟く。
彼女の回りには大の大人が倒れ付しており、少女が握る二つの剣によってつけられた切り傷が全身に走っており、血は流れていないものの、気絶していたり、激痛に悶えて倒れているもの、それぞれに多少の違いはあるものの全員が地面に倒れ付し少女以外に立っているものはいなかった。
*
ジータさんが
僕達は入口付近で13号先生に庇われるようにしてその場に止まっていた。相澤先生の個性は見た人の個性を消却する。異形系だったりには効かないらしいけど、それでも身のこなしで大量の
「始めまして、雄英高校の皆様。今日この場に参上したのは、平和の象徴〈オールマイト〉に
言外にオールマイトを殺しに来たと言う
13号先生は相手から見えないように個性の発動を制限するセーフティーをカパッと外して隙を伺う。そして
しかし殴り付けた腕は黒い霧、おそらくワープゲートになっているのだろう腕で止められ、いや腕だけを別の場所にワープさせられた。
「話を最後まで聞きましょうか、雄英生」
そう呟いたと同時に黒い霧が一斉に広がる。それは僕や近くにいた峰田君も包み込み、水の上にワープさせられた。
「うわわわっ!?!?!?」
水面に叩きつけられ、身体の左側に鈍い痛みが走るがそれよりどうにかして陸地に上がろうともがき、目を開けると、目の前には鮫のような見た目の
「モガガガッ!?!?!?」
慌てて水の中から這い出ようとするが、それよりも早く、
だけど次の瞬間に僕を襲ったのは痛みではなく浮遊感で、
「けろっ、大丈夫かしら? 緑谷ちゃん」
「あ、蛙吹さん!?」
「梅雨ちゃんと呼んでちょうだい、とりあえずあそこの船に避難するわ」
蛙吹さんの舌で、絡めとられるように水中から出された僕は近くにあったおそらく難破船の設定なのだろう船の上に避難させられた。
「つ、梅雨ちゃん、ありがとう」
「けろっ、無理しないでも大丈夫よ」
蛙吹さんは油断なく水面を見ながら返答を返してくれる。僕もそれに習い水面を見ていると......
「へぇ、水中で強い個性か面倒だなぁ、鮫っぽいのもいるし」
「!? ジータさん!?」
「やぁ、出久も飛ばされたのかな?」
不意に耳元で呟かれたよく聞く声音とは違う声に驚きつつも横を見れば、そこにはやはりジータさんの姿があった。
「水中にいられると困るなぁ、あんまり面攻撃は得意じゃないからなぁ......」
そう呟くジータさんは少し考えた後一瞬のうちに衣装が変わっていた――その一瞬の間に真っ白なパンツが見えてしまったのだが――衣装が変わったあとのジータさんの姿は黒いとんがりが途中で折れたつばの広い帽子と、黒いゆったりとした膝したまであるローブ、そして膝上から足全体を覆うブーツ。
そして良くある悪魔の羽を模した装飾のついた杖を片手で持って、水面をまた見つめていた。
「ええっと、ジータさん、その衣装は......?」
「これは、ウォーロックって言って魔法みたいな事が出きるよ」
そう言って何かを唱えると、ジータさんの手のひらの上に拳大の大きさの六色の球体が出現し、くるくると回転し始める。
回転し始めた球体は速度をどんどんと上げていき、一つ一つの球体が見えなくなってきたくらいでジータさんはそれを水面に投げつける。
投げられた球体一つに重なったかと思うと水面で大爆発を起こして大きな水柱をあげる、それで三人ぐらいの
「うーん、ダメか、何発も打てる訳じゃないし」
僕が考えていると、何かがビタンッ! と叩きつけられる。
僕とジータさんはその音に反射的に振り向くとびしょ濡れの峰田くんが倒れふしていて、ジータさんはそれを見て何かを考えている素振りを見せたあと、また一瞬のうちに衣装が代わり――今回は目線を反らしていた――次は真っ白なバニーガールのような衣装になり、
「〈ヒールオールⅢ〉」
峰田君の身体をペタペタと触り、少し首をかしげながらも僕にも使ってくれた回復魔法のようなものを峰田君にかける。
「ありがとな、ジータ! ついでに胸も......」
「いいですよ、でもこの状況を抜けてからです」
「マジで!?」
いろいろと不穏な言葉は聞こえてくるが、無視を決め込む。僕が状況を打開しようとずっと考えていると、ツンツンと頬をつつく指があった。
「ふぇっ!? ジータさんっ!?」
「あはは、緊張はほぐれた? 緊張してたみたいだからね~。ちょっと悪戯したくなっちゃった」
そう言いながらも油断なく水面の方を見て、適度に風の塊のようなものを投げつけて牽制するジータさんは僕に峰田君の個性について教えてくれた。
ジータさん曰く頭の髪のような物体がもぐことができ、それがとてもくっつくらしく、同じ物体どうしでぶつけると異様な反発を見せるとか。
だけど、それを見た僕の頭の中に一つ今の状況を打開する方法が思い浮かぶ。
「ジータさん、空中にいる間に攻撃が来たら守ってもらえますか?」
「何か策があるんだね、了解。任せて」
そういうとジータさんはほぼ下着のような鎧――ジータさん曰くだけど――と、金ぴかの兜の衣装に円型の大きな盾、そして左右対称の装飾が少しだけ施された直剣を持つ、〈スパルタ〉と言うらしい衣装に着替えたジータさんに僕の近くに来てもらい、蛙吹さんに舌で僕とジータさんを纏めて縛ってもらう。峰田君はジータさんが捕まえている。
僕は蛙吹さんを見て頷き、大きく跳躍してもらう。
「いくぞ! 〈ファランクスⅢ〉!」
そして湖の中央あたりまで跳んだタイミングでジータさんが薄い障壁を出現させて、下から飛んでくる攻撃を防いでもらう。
そして僕は指が壊れるのも躊躇わずに水面に向けて、ワンフォーオールを使ってデコピンの要領で衝撃波を打つ。
使った右手の中指はぼろぼろになって、激痛が走るが僕はその衝撃波で水面にぽっかりと穴が開き、そこに水が流れ込むことで渦潮のようなものが発生する。
「うおりゃぁぁぁっ!」
そして峰田君の個性を使ってもらって、渦潮の中心に集められた
「よしっ!」
痛む右手ではなく左手でガッツポーズを取る僕と頭から血を流しながらも
「梅雨! 我だけおろせ!」
「けろっ!?」
突然、命令口調でそう言われ、反射的に拘束を緩めた蛙吹さんの舌から抜け出たジータさんは衣装が変わって――今回は驚くほど早く変わっていた――いて、中央広場に立っていた鉄塔を、手に持っていた蒼く光るラインのある機械仕掛けの弓でワイヤーのついた矢を射つ。
寸分の狂いなく、鉄塔に突き刺さった矢はジータさんがワイヤーを引っ張ることで、返しが鉄塔に食い付き、ワイヤーをグッと引っ張ったジータさんはそのまま振り子のようにして中央広場に着地する。
僕達も多分、水害のゾーンを抜けて中央広場の近くの岩場に身を隠してそっと中央ゾーンを見る。
するとそこには脳を丸出しにした異形で、屈強な体の男が相澤先生を組伏せ、左腕を折っているところだった。
「先生の上から退けぇっ!!!」
そしてその異形の男に向かって巨大な片刃の斧を片手で持ち、襲いかかる。
ジータさんの衣装は最低限の部分を隠す装甲と、腕と脚を覆う少し厚めの黒い装甲にいつの間にか変わり、荒々しい連撃で異形の男をどんどん押していく。
異形の男も拳で反撃しようとしているのだが、それに合わせてジータさんは斧を振るって弾き、異形の男の体に傷をつけていくが、それよりも早く傷口が閉じていく。
対するジータさんは直撃こそ受けてないものの斧と拳がぶつかり合うときの衝撃や異形の男の攻撃が掠めたりして、傷が増えていく。
それでもジータさんは狂戦士の如く咆哮を上げ斧を振るい、真っ向から向かい合い衝突する。
「っ! 僕達に何かできることは......っ!」
「緑谷ちゃん、私達にはあの戦いに割って入ることは無理よ」
僕もどうにかして介入しようと策を巡らせるが蛙吹さんに止められる。あの凄まじい速度で繰り出される拳と斧の速度は僕には見えない。
それこそ、僕が憧れるオールマイトの繰り出す拳撃と近い、それと同じ速度で繰り出されている攻撃の中に僕が入っていって何ができるかどうか。
僕はジータさんの戦いを見守ることしかできなかった。
*
高速で右上から繰り出される拳に合わせながら斧を叩きつけて弾き、左下からアッパー気味に繰り出される拳は身体を少し反らして避けながら空いた体に斧を叩きつけ、大きな傷をつけるがそれもすぐに修復される。
この男の奥にいる手のような何かをを身体中に着けた悪趣味な見た目の男が指示を出しているのか、それが真実なのかはわからないがアタシは目の前の男に意識を向ける。
すでに体はボロボロで後二分も持ちそうにない。それまでに飯田が間に合えばいいけどそう上手く行くわけもない。
「脳無! さっさとその女を片付けろ!」
後ろの男が喚き、その声に反応したのかさっきよりも速い拳を一瞬のうちに15発以上打ってくる。私はそれを弾き反らし、拳が来ない僅かな隙間に入り込んで拳を避け、反撃に斧を振るって傷をつけていくがそれを厭わずに連撃を繰り出してくる男は生物なのかどうなのか怪しいが、アタシにそんなことを考える余裕はない。
恐ろしい速度で繰り出される拳をもう見ることは叶わない、徐々に息が上がってきたせいで斧が思ったように振るえず、相手にダメージを与えることも自身の身を守ることも難しくなってきて、
「あがっ!?」
ややアッパー気味の右下から来た拳を避けることができず、直撃を受け、大きく吹っ飛ばされる。
空中を一瞬舞った後、中央ホールに降りるための階段に叩きつけられ止まる。
意識は朦朧として腕は全く動かず、斧はコロンと音を立てて階段の下まで落ちて消える。
霞む視界の中でゆっくりと歩いてくる異形の男を睨み付けるもののそれぐらいしかアタシにできるとこはなく、脚や腕を動かそうとするもののピクリとも動かず、身体中から血を流しながら走馬灯のように今までの記憶が思い出される。
「あはは......皆を助けてよ......? 〈オールマイト〉」
私の目の前に立ち、その拳をゆっくりと振り上げる男を最後まで睨み付けながら、そう呟いた。
そして振り下ろされる拳に、思わず目を瞑ったアタシをその拳が撃ち抜くことはいつまで立ってもなく、その代わりに扉が開け放たれる大きな音が響いた。
「もう大丈夫、私が来た!!!」
首を動かして入り口を見てみれば、ネクタイを引きちぎり、白い吐息を吐きながら佇む〈オールマイト〉がいた。
しかし〈オールマイト〉の顔にいつもの笑顔はなく、怒りに歪んでいて、次の瞬間には〈オールマイト〉の姿が消えていて目の前の
「ごめん、なさい〈オールマイト〉。皆を守る事ができなかった......」
「気にしないでいいよ、蒼山少女。君はよく頑張った。後は私に任せてくれ」
そう言った〈オールマイト〉は一瞬のうちに相澤先生と後ろから湖にいた
ボロボロの私の近くにお茶子さんが近づいて、簡易的な手当てをしてくれる。
霞んでいく視界の中には異形の
*
『おい、特異点。まだ寝てるつもりなのかい?』
直接脳に響くような声、しかしそれは気分を逆撫でする無性に腹が立つ声。
この声のする方を見れば全体的に浅黒いスタイルのいい男がいて、いやらしく笑いながら私に近づいてくる。
こいつの名前はベリアル、今まで私の個性が発現してから夢に毎回現れては「俺と姦淫しよう」だの「達する」だのほざいて私を休ませてくれない。
それなのに朝起きれば体も頭も働かないことはなく、睡眠不足は一度も経験したことがない。なのに夜には毎回こいつがいて変なことをほざき続ける。
『おいおい特異点。そんな顔で俺を睨み付けるなよ......達するだろ?』
勝手にイってろ、だけど私の夢の中でイくな汚い
『次は言葉責めか? いいねぇ』
キモいタヒね私の夢の中で騒ぐな!
『つれないねぇ特異点』
ニヤニヤといやらしく笑うベリアルを無視して回りを見る。そこはいつもの夢の中のように真っ白な空間に私とベリアルがいるだけ。いや、今回は私もベリアルも木の椅子に座り、机を囲んで対面している。
『今回は特異点が寝込んでいるから俺が出てきた訳だ、あんまり無茶しすぎるとファーさんが来そうだ』
ファーさん? 誰?
『おっと、失言だな。気にしないでくれよ特異点? いいね?』
最後の言葉だけはいつものおちゃらけた雰囲気ではなく、ゾッとするような、ベリアルの本当の恐ろしさが垣間見えたような気がした。
『おいおい特異点、これぐらいで萎えてくれるなよ?』
うるさい! あんたは最後までボケないと気がすまないのか!
『この俺相手にここまで対等に喋れるのも特異点、お前ぐらいだ......っとそろそろ潮時か』
ベリアルは何かを見てそう呟くと、そっと座っていた何かから立ち上がる。そして瞬きの間に私の目の前にその顔を近づけていた。
『ふぅん、もう人じゃなくなり始めてるね......いいねぇ、じゃあ俺から一つプレゼントを送っておくよ』
私の髪をそっと触って私にベリアルは背中を向ける。それと同時に私の意識は薄れていき......
「ん? んん......?」
「ジータちゃん? 起きたのね!」
そっと目を開けると家の天井じゃない、真っ白な天井が視界に入ってきた。
身体はベッドに寝かせられていたらしく、腕をあげようとしたときに激痛が走り異形の男にやられたのを思い出した。
「ジータちゃん大丈夫? 私のことわかる?」
「ソーンさん......?」
茶色のきれいな髪と茶色の吸い込まれそうな瞳の綺麗な女性が私の寝るベッドの横で立っていて、私の手を綺麗な手で包み込んでいた。
「あ......他のみんなは......」
「大丈夫よ、オールマイトのお陰でね」
「そうですか......よかった」
そういって私は身体を起こそうとするがあまりの激痛に諦めてベッドに寝たままになる。
「えっと、それじゃあ私は皆を呼んでくるね」
「あ......はい」
ソーンさんはそう言って病室を出ていく、多分だけどお医者さんを呼びに行ったのだろう。
「心配かけちゃたかな......」
「ああ、少なくともファーさんは心配してたぜ、特異点」
「ベリアル!?」
私の病室にいつの間にか現れていた変態野郎に思わず逃げ出そうとするが激痛にさいなまれて私はベッドに寝たままの状態で睨み付けるだけしかできない。
「そう睨んでくれるなよ......今回は贈り物を届けに来ただけさ」
そう私の耳元で囁いたベリアルは私の髪をさわさわと少し摘まんだ後に何か聞き取れないような小さな声で何かを呟き、私の側を離れて窓をそっと開ける。そして窓の縁に手をかけてそこから身を投げる。
そのままベリアルは落ちたのかと思うと、蝙蝠の大群が何処かに飛んでいく。
それを私は目で追いながら触られた髪にそっと手を伸ばす。特に変化したような場所はないはずだけど......
「ジータちゃん! 先生連れてきたわよ......? あれ、ジータちゃんの髪って......
私がそうやって考えているとソーンさんが医者を連れてきたが、私の髪を見てそう呟く。
その言葉に私はサーッと血が引いていくような感覚に襲われ、ソーンさんの持っていた手鏡で色が一切抜け落ちたような真っ白の髪を目の当たりにし、心の中で私の髪を真っ白にしてくれやがったあの変態野郎に呪詛を吐いた。
*
USJでの
「あれ? まだジータさんも相澤先生も来てないの?」
「ん? ああ、そうみたいだな......あれだけの怪我をしていたのだから仕方がないだろう」
飯田君の言葉に、僕はジータさんと相澤先生のひどい怪我を思い出す。
相澤先生は目から血を流して気絶しており、肘はぼろぼろになっていた。
ジータさんはそれよりも酷く、右腕はあり得ない方向に曲がっていて切り傷がない場所を探す方が難しいぐらいだった。
それらを考えると早すぎる気がするけど......
「おはよう~」
そんなことを考えていると聞き馴染みのある声が教室に響く、それに皆が反応するが、そこには真っ白な、純白の髪に変わっているジータさんがいた。
*
白髪のことで皆に心配されたけど、個性を使いすぎた反動と言うことでどうにか皆を納得させ、私は自分の席に座った。身体に不調はなく教科書等を整理していたとき、ガラガラッと前の扉が開く。
「全員さっさと席につけ」
そこには怪我の酷かった肘に包帯をつけ、完治とは行かずともそこそこ怪我の治った相澤先生が教室に入り、いつもの調子で声を発した。
「お前達、既に新たな戦いは迫っているぞ」
相澤先生の言葉に教室が緊張感に包まれる。
「雄英体育祭が迫っている」
「「「くそ学校っぽいの来たぁあああ!!!」」」
相澤先生の一言で私を含めたほぼ全員が立ち上がり雄叫びをあげる。
普通に授業等はあっていたが頭が痛くなってしまうようなものやついこの頃の
そんなこんなでHRが終わり、私達が教室から出ようとしたときに、廊下に群がり私達を値踏みするような視線を送ってくる他の科の生徒達が爆豪君と衝突している様子が見えた。
「一体どんな奴らと思ってきてみれば随分付け上がってるみたいだなぁ!?」
やけに声の大きい、切島君に似た波長を感じる白髪の生徒に煽られる形で近くの生徒も爆豪君を罵倒しようと口を開きかけるが、
「うるせぇなモブども、俺はおめぇらなんか眼中にねぇんだよ」
爆豪君にしては静かな、だけどはっきりと聞こえるその声に好奇心にかられて来た生徒達は口を閉ざす。そして爆豪君は他の科の生徒達を押し退けてどこかに行こうとするのを緑谷君が追う。
「そう言えば私が選手宣誓か」
ついさっき来たミッドナイト先生に告げられた選手宣誓を私がすることで決定したと言うこと。まあ、テンプレートでいいかなぁと思いつつ私は一日を過ごしていった。
『リスナーの諸君! 準備はいいかぁ!?』
『イエェェェーーー!!!!!』
入場口で整列したA組の先頭で深呼吸をした私はすぐ横で、異様な熱狂の余波を受けてガチガチに固まっている緑谷君の頬を、ツンツンと指でつつけば大きな反応を返す緑谷に苦笑しながらも緊張をほぐしてあげる。
『それじゃあ選手入場だ! まずはなんと言ってもこいつら!
声だけで人を殺せるのでは無いかと思うほどの大音量の中、私は堂々と胸を張り入場する。
特設の運動場で行われる雄英体育祭は多くのプロヒーローやサイドキックが優秀なヒーローの卵を見つけるために観客としてくる。そして体育祭の結果ではヒーロー科に普通科から転科もあり得る。そのためヒーロー科だけでなく普通科等も多くがやる気を出して参加している。
そうこうしている間に全クラスが並び終わり、私達の前の台にミッドナイト先生が登る。
『今年の審判兼司会進行は18禁ヒーロー、ミッドナイトだ!!!』
その紹介と共にピシャッ! と手に持った鞭のような何かを鳴らす。
後ろで18禁ヒーローが高校にいても良いのかと言う至極真っ当な疑問が出たが無視する。ミッドナイト先生も無視をした。
「それじゃあ! 選手宣誓を、1-A組主席〈蒼山ジータ〉!」
ミッドナイト先生に合図を受け、私は台に登りマイクの前に立つ。
手には選手宣誓のテンプレ、スポーツマンシップに則りなどが書かれているが、それをポケットにしまいこみマイクを握る。
「宣誓! 我々は勝利を求め己の持てる力を全て出しきり、全力で勝利を取りに行きたいと思います! 自由が校風の雄英らしく自由に戦います!」
宣誓が終わると同時にワッ! と沸き上がる。ミッドナイト先生も私の宣誓に良かったわよ、とお墨付きをくれた。
「それじゃあまずは第一種目の説明から!」
そう言って鞭を向けた先には巨大なモニターがあり、そこに写し出されたのはこの第一運動場の回りをぐるっと囲むマラソンコースで、そこを赤い線が通って再度ここに戻ってくる。
「全長四kmの特設コース。三つの区画に別れたこのコースを走って順位を競う〈障害物走〉よ! ここで上位四十名までが次の種目に出場できるわ!」
なるほどここでふるいにかけられると......私は話を聞きながら身体を調子を確認する。特に痛む場所もないのはフュンフさんが回復してくれたお陰だろう。
「それじゃあスタート位置に行きなさい!」
スタートの位置は横に五人も並ぶことのできない狭い出入口、つまりはまともに走ろうとすれば人の波に巻き込まれて録にスピードは出せないだろう。
出入り口の少し前に並んだ私達は合図を待つ、個性は既に発動している。後は最適のタイミングで飛び出すだけ!
「第一種目、スタート!!!」
ミッドナイト先生が鞭を振り下ろしピシャッ! と音がなる。それを合図として生徒達は一斉に狭い出入り口に雪崩れ込んだ。
いかがでしたか?
少し展開が早すぎると思われる方もいらっしゃるとは思いますが、この小説ではそうなんだ、ぐらいに思って見ていただけるとありがたいです。
感想、評価、お気に入り登録など、いただけるとありがたいです。
それでは次の作品で