ストライク・ザ・ブラッド~神代の剣~   作:Mk-Ⅳ

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気がついたらお気に入りが、50突破していました。ありがとうございます。


第五話

前回のあらすじ

年下の女の子にぼこられると予想以上に凹む

 

 

「いっ、てぇ」

 

ふと目を開けると真っ暗闇だった。どれくらい気を失っていたのだろうか。

 

「ぬおらぁ!」

 

とりあえずここから出るために、全身に力を入れて覆い被さっている瓦礫を押しのける。

 

「ぐっ、うぅ」

 

全身に激痛が走る。あっちこっちボロボロだな。声を出すのも辛い。

 

「うん?血の、臭いか?」

 

ふと鉄臭い臭いが鼻を掠めたので、周りを見回すと部屋の中心部の床に赤い池ができていた。その中で姫柊がうずくまっており、その周りには人間と思われる引き裂かれた頭の無い上半身と下半身に磨り潰された臓器が飛び散っていた。

足を引き摺りながら姫柊の元まで向かうと、彼女が何かを大事そうに抱えていた。

 

「無事か、姫柊」

「ッ!?神代、先輩」

 

声を掛けるとハッとしたようにこちらを向く姫柊。よほど泣いていたのか目は真っ赤になっており、声もしゃがれていた。

 

「暁先輩が!暁先輩が、私を庇って…!」

 

必死になにがあったのか伝えようとする姫柊。よく見てみると抱えていたのは古城の頭であった。

 

「わかっているから、落ち着け」

「でも!」

「そいつはそれくらいじゃ、死なんよ」

「え?」

 

俺の言っていることがわからない、といったような表情で古城の顔を見る姫柊。

すると千切れていた古城の体が吸い込まれるように動き出し、元の形へと戻り始め流れ出ていた血液が染み込むように取り込まれていく。

 

「こ、これは!?」

 

予想外の事態に驚愕する姫柊、無理もないけどね。

 

「真祖を殺したきゃあ、文字通り命がけでないといかんのさ」

 

普通の方法じゃ心臓だろうが、脳だろうが潰しても死なないのが真祖だ。常識外れ過ぎるんだよなぁホントに。

 

「とりあえず、ここを出よう。警報がやかましくて、しょうがない」

 

壁にオイスタッハとアスタルテが出て行ったのであろう穴が空いており、そのせいで警報装置がさっきから鳴りっぱなしなのである。

 

「あらよっと」

「あ!神代先輩も怪我をしているんですから、無理をしないで下さい!

 

倒れている古城を肩に担ぎ穴へと歩き出す俺に、心配そうに声を掛けてくれる姫柊。

 

「問題ない、ある程度は回復している」

「ですが…」

「女の子だけに働かせるわけにはいかんだろう」

 

そう言いながら研究所を出ると手頃な広さの公園があったので、そこで古城を降ろすとその近くに腰を降ろし膝枕をする姫柊。

 

「さてと」

 

古城が目覚めるまで暫く掛かるだろう。それまで体を休めるために、近くにある木に腰掛けるのであった。

 

 

 

 

 

『勇、あなたの夢は何ですか?』

『夢か…。俺には夢が無い』

『夢が無い?それでは何のために戦っているのですか?」』

『たとえ俺に夢がなくても、誰かの夢は守れるからだ』

『では、あなたの幸せはどこにあるのですか?』

『…あいつから彼女(・・ )を奪ってしまった俺に幸せになる資格なんか無い』

『だからです。だからこそ、その方の分まであなたは幸せに生きなければなりません』

『…だが、どうすればいいのか俺にはわからない』

『でしたら、わたくしと一緒に探してみませんか?』

 

そう言って彼女は手を差し伸べてくれた。

 

 

 

 

 

「む?」

 

いかん寝てしまったのか。にしても彼女の夢を見るとは古城と姫柊に影響されたのか?

 

「…逃げておいていまさらか」

 

さて、古城も起きたみたいで姫柊と何か話してるな。あ、姫柊を押し倒した。あんまし邪魔したくは無いがそうも言ってられんので、立ち上がり二人に近づく。

 

「おはようさん古城」

「勇!無事だったのか!」

「頑丈さが取り柄なんでな」

 

まあ、今回は結構やばかったが…。つーかそんな不満そうに睨まんで下さい姫柊さん。

 

「で、一応聞いておくが浅葱にここを調べてもらったのか?」

「あ、ああ」

 

申し訳なさそうに俯く古城に姫柊。別に怒っちゃあいないが。

 

「余り何も知らない者を巻き込むなよ。でなきゃ説明しておけよ」

「わかってるけど…」

 

怯えるように目を背ける古城。大方今の関係を壊したくないんだろう。浅葱ならそれくらいで態度を変えたりはしないだろうけど。

 

「とりあえずはその話は置いておくか。とにかくオイスタッハの野郎を追うぞ」

「オッサンがどこに行ったのかわかるのか?」

「ああ、キーンストーンゲートの最下層に向かってるだろう」

「キーンストーンゲートに何故?」

 

姫柊が疑問の声を上げる。そう言えばまだこの二人は知らなかったな。

 

 

『ぐああっ!ク、クライン・・・アッー!』

 

と思っていると不意に俺のスマフォの着信音が鳴り出す。む、浅葱からだ。

 

「っとちょいと失礼」

「…その着信音どうにかなりませんか?」

「え?おもしろくない?」

「いや、そういうことじゃ」

「やめておけ姫柊。こいつのネタに付き合ってたらキリが無いぞ」

 

何か古城の哀れむ目が気になるが、取りあえず電話に出よう。

 

「浅葱かどうした?」

『どうしたもこうしたもないわよ!今キーンストーンゲートにいるんだけどテロリストに襲撃されてるのよ!』

「む?今お前キーンストーンゲートにいるのか?」

『ええ、アルバイトで来てたんだけど…』

 

そういえば浅葱は人工島管理公社でプログラマーのバイトをしているんだったな。

 

「おい勇!浅葱は無事なのか!」

 

浅葱と聞いて古城が切羽詰ったように肩を掴んで揺らしてくる。

 

「落ち着け!今確認するから!」

 

古城達にも聞こえるように設定して通話を続ける。

 

『え?古城もいるの?』

「ああ、後姫柊もな。それで怪我は無いか?」

『うん。アイランド・ガードの人に誘導してもらったおかげでなんとか』

「よかった。そっちの状況はわかるか?」

『アイランド・ガードが迎撃してるけど、防衛線が次々と破られてる。でも、通信で勇が来るまで無理せず時間を稼ぐようにって言ってるけど』

 

父さんの指示か、なるほどこうなることも予想済みって訳ね。

 

「なら暫くは持つだろう。すまんがやってもらいたいことがあるんだが」

『やってもらいたいことって何よ?』

「人工島の連結部に関する情報にアクセスしてもらいたい」

『連結部の何で?』

「少しばかり確認したいことがあってな」

『わかった。ちょっと待ってね』

 

浅葱がそう言うと電話越しのキーボード高速で叩く音が聞こえてきた。相変わらずのタイピングだな。

 

「なあ、勇もしかしてオッサンのいってた”至宝”ってのと関係あるのか」

 

ん?そこまでは聞いていたのか、抽象的ではあるが。

 

『至宝? 何よそれ?』

「知らん。だけど、あのオッサンはそいつを取り返す為にこの島に来たらしい」

「至宝ねぇ。あいつにはそうなのだろうが…」

「神代先輩は知っているんですか?至宝の正体を」

「ああ、それをお前達にも見てもらおうと思ってな」

「ちょっと勇!何よこれ軍事機密並みのプロテクトじゃない!」

 

浅葱が驚き呆れる。だが、その声は愉しさも混じっていた。

 

「破れるか?」

『当然!モグワイ!』

 

どうやらサポート人工知能(AI )を呼び出してプロテクトを破ったようだ。

 

『え? これって‥‥‥そんな、嘘でしょ‥‥‥』

 

パソコンに表示された情報の見て、呆然と呟く浅葱の声が聞こえるのだった。

 

 

 

 

 

「そういう事かよ‥‥‥」

 

浅葱との通話を終えると、納得がいったと言ったというように古城が呟いた。

 

「勇はこのことを知っていたのか?」

「知ったのはここに来る前だがね。さてと真実を知ったお前達はどうする?」

「……」

 

意地悪く聞くと、どうしたらいいのかわからないと言った風に俯く古城。

 

「お前は止めに行くのか?」

「ああ、過去のために未来を犠牲にしてたまるか」

 

確かにこの島を造りだした連中のやり方は間違っていたのだろうし、オイスタッハのやっていることは間違いでは無いのかもしれん。

 

「たとえ俺の方が悪だと世界中から言われようが、自分の信じた道を突き進むだけだ。だからお前も後悔しない道を選べ」

 

そう言って背を向けてトルネイダーを呼ぶ出しながら公園を出ようとすると、姫柊と目が合う。

 

「…すまんが、後は頼む」

「はい」

 

押し付ける形になってしまうが、俺の意図を読み取ってくれたようで頷いてくれる姫柊。

 

「さて、行きますか」

 

トルネイダーに跨りキーンストーンゲートへ向かうのであった。

 

 

 

 

 

キーンストーンゲートに到着すると入り口部は見る影も無く破壊されており、降ろされた隔壁はこじ開けられていた。

 

『ぐああっ!ク、クライン・・・アッー!』

 

っと着信だ。

 

「父さんか、状況は?」

『目標は間もなく最下層に到達する。これ以上の足止めは無理だな』

「わかった後は俺が引き受けるから、部隊を下がらせてくれ」

『すまんな頼むぞ』

 

通話を切りこじ開けられた隔壁を走り抜けて行く。所々にアイランド・ガードの負傷者が見られるがそれ程の被害が出ていないようだ。

 

「む!見つけた!」

 

暫く走っていると最下層へ到る最後の隔壁の前に居るオイスタッハとアスタルテを発見する。

 

「む?」

「うおらぁ!!」

「バブラー!!!」

 

俺の接近に気づき振り向いたオイスタッハ。

その顔面に、勢いのままにライ○ーキックを叩き込み、隔壁をぶち破りながら最下層に突入するのであった。

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