クロスレイズレーン ーThe Gandamuー   作:Abe

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皆さん明けましておめでとうございます。今年がよい年になるといいですね。(ちなみに私は編集用のパソコンが壊れました。)←聞いてない。

諸事情により、4日に出せなくなったので投稿します。まだまだ雑な部分もあるからそれでもいいよっていう方はどうぞ。


第1話 ゼロ始動

「ねぇ、お母さん。」

 

「どうしたの?」

 

まだ幼い子供が母親らしき人と話している。

 

「お父さんまだ帰ってこないの?」

 

「いつも遅いからね。さあ、もう寝なさい。」

 

「えぇー。お父さんに会いたいー!」

 

「明日は休みだからすぐに会えるよ。」

 

「うーん。……じゃあまたお父さんのお話聞かせて!」

 

「また?…それを聞いたらすぐに寝る?」

 

「うん!」

 

その女性は諦めに近いため息を出しながら話し始めた。

 

「昔々あるところに一人の少女がいました。」

 

これは、この世界を守る為に戦った、英雄たちの物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユニオン本国近海

 

そこには一隻の空母が目的地に向かうべく航路を進んでいた。空母には二人の少女の姿が見える。

 

ヴェスタル「いよいよ、出発ですね。」

 

幼さを持った白髪の少女は、ユニオン所属の工作艦 ヴェスタルだ。

 

ヴェスタル「大きな戦いになるかも……気を付けてね」

 

ヴェスタルはもう一人の少女を心配そうに見ている。

 

エンタープライズ「ああ。……そうだな。」

 

声をかけられた少女は右腕に鷹を乗せながら真剣な表情をしている。

 

この少女はの名は、エンタープライズ。

 

グレイゴーストの異名を持つ、ユニオン最強の空母である。

 

彼女たちは対セイレーンの為に造り出された存在、Kinetic Artifactual Navy Self-regulative En-lore Node。通称KAN-SEN。この技術を用いてセイレーンから制海権を奪還し、再び平和が訪れたと思ったが、敵は内部から現れた。それはアズールレーンからの重桜と鉄血の脱退。そこから重桜と鉄血は同盟を結び、レッドアクシズを結成。こうして再びアズールレーンとレッドアクシズ、そしてセイレーンとの三つ巴の戦争に向かっていた。今向かっているのはレッドアクシズに対抗するための基地の内の一つ。その船は止まることなく、航路を進む。

 

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戦い、そう……戦いはいつの世も変わることはない。

 

              エンタープライズ

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アズールレーン新設基地

 

一人の少女が木の上から基地を見下ろしている。誰かと話しているようだ。

 

綾波「はい。こちら綾波。」

 

???「作戦中だぞ。コードネームを使え。」

 

綾波「あ。ごめんなさい。こちら、柚。……基地の構造はだいたい把握した、です。」

 

???「よし。こちらもそろそろ仕掛ける。状況を見て合流しろ。」

 

綾波「了解。」

 

綾波は先程会った少女たちの姿が思い出されるがそれを振り切り、合流ポイントへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アズールレーン新設基地近くの海域

 

二人の少女がアズールレーンの基地を眺めている。

 

???「いつでも行けるぞ、大鳥。」

 

???「加賀。戦いの本質はなんだと思う?」

 

加賀「あの、赤城ねえ様。コードネームを。」

 

赤城「戦いとは傷つけること。戦いとは傷つけられること。戦いとは、痛みを交換することよ。」

 

赤城が加賀を抱きしめる。

 

赤城「痛みを通じて、互いの思いに触れあうの。すなわち、愛に他ならないわ。」

 

しかし、加賀がその手を払う。

 

加賀「加賀には、ねえ様の言うことがよくわかりません。私はただ、討ち滅ぼすだけ。」

 

風向きが急に変わり、黒い雲が近付いてくる。

 

赤城「うふ。釣れない子ねぇー。」

 

赤城が黒いメンタルキューブを手に持つと、それに呼応するようにセイレーンの大艦隊がどこからともなく現れる。

 

赤城「さあ、戦争を始めましょう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘開始から数十分後

 

状況から言うに、見事に重桜の作戦ははまり、赤城と加賀の息の合った攻撃に、アズールレーン側の艦船たちも疲弊しきっていた。そして唯一その場にいた軽空母のユニコーンも、加賀の船が獣のような姿に変化した巨体の獣の攻撃に被弾してしまう。海に落ちたユニコーンを殺そうと大型艦が口を開けた……その時だった。何処からともなく現れる一機の艦載機が巨体の獣の体内をつき抜ける。

 

赤城「なに!?」

 

赤城が艦載機が飛んできた方向に目を向ける。セイレーンの艦隊よりもさらに奥。一隻の空母が佇んでいる。

 

クリーブランド「あの船は!?」

 

その船はグレイゴーストの異名を持つ、ユニオン最強空母エンタープライズ。

 

赤城「ユニオンの空母ね。もしかしてあいつが……。」

 

クリーブランド「間違いない。あれこそ私たちユニオンの最強空母!」

 

赤城「灰色の亡霊。大いなるE。まさか!?」

 

加賀「そうか。貴様が!」

 

 

 

エンタープライズ「エンタープライズ、エンゲージ!」

 

エンタープライズが叫ぶと艦がキューブ化し、それがエンタープライズの体に集まっていく。それは艦載機を射出する滑走路と長い弓に変化した。

 

エンタープライズ「行くぞ。」

 

エンタープライズが海面を勢いよく蹴り、赤城と加賀のもとへと高速で接近する。しかし、正面はセイレーンの艦隊が行く手を阻むように道をふさぐ。エンタープライズは飛翔し、艦載機の上に乗る。セイレーンの艦隊がビーム兵器で艦載機を撃墜させようとするが、それを巧みに避け、即座に反撃の機銃をお見舞いした。セイレーンの包囲網を抜ければ赤城と加賀はすぐそこだ。

 

加賀「面白い!」

 

加賀の後ろから青白い炎が展開し、それをエンタープライズに向けて発射させる。

 

エンタープライズ「はぁ!」

 

エンタープライズがそれを見て即座に弓を放つ。それはある所で分裂し、加賀が放った炎を消し去る。消し去れなかった炎は、エンタープライズが弓の先端を使い、振り払っていく。

 

エンタープライズ「ツッ!?」

 

大型の獣がその鋭い爪で襲いかかるが、艦載機から飛び降りすぐさま弓を構えて発射する。魚雷の形をした矢が大型の艦載機に命中し、獣が悲鳴をあげる。海に崩れていく巨体の獣の背に乗り、加賀の近くまで駆け抜ける。

 

加賀「私を楽しませる、亡霊よ!」

 

再び加賀の後ろに炎が展開される。

 

赤城「待ちなさい!加賀!」

 

赤城が止めるがもはや聞く耳を持たない。その炎をエンタープライズに向けて、すべて射出させる。しかし、すべての炎を華麗に躱し、弓を構えた状態で加賀に詰め寄る。

 

加賀「貴様!?」

 

エンタープライズ「とったぞ。」

 

エンタープライズの矢が加賀の胸に突き刺さり加賀が悲鳴をあげる。

 

加賀「ぐわぁー!?」

 

加賀は青白い炎を全身に出して燃えている。エンタープライズが海面に着地すると、それと同時に加賀が召還していた大型の獣が完全に消滅する。

 

加賀「クッ!?私の体に傷を!……この体はねえ様の!」

 

加賀はもう一度換装を展開し、それをエンタープライズに向ける。エンタープライズはただ無言で加賀を見上げている。

 

赤城「そこまでよ。加賀。」

 

加賀「!?、ねえ様!加賀はまだ戦えます!」

 

赤城「わかっているわ。でも、そろそろ潮時よ。」

 

セイレーンの艦隊がアズールレーンの砲撃や艦載機の魚雷で攻撃されている。すでに沈んだものもいるようだ。

 

赤城「目的もおおむね果たしたわ。上々な戦果よ?」

 

赤城が黒いメンタルキューブを手に持つ。

 

加賀「はい。ねえ様がそう言うのでしたら。」

 

エンタープライズ「逃がすと思うか?」

 

エンタープライズが弓を二人に向ける。

 

赤城「あーら、怖い怖い。そんな目で見つめられたら私どうにかなってしまいそう。」

 

その時、何処からともなく赤い紙がエンタープライズの腕にぶつかる。それが水に落ちると炎を出して消滅する。エンタープライズが目を向けるとそこには一隻の艦船、瑞鶴が佇んでいる。

 

瑞鶴「先輩方、そろそろ時間です。」

 

赤城「ええ。おいとましましょう。」

 

赤城と加賀は瑞鶴のもとへと飛翔する。

 

エンタープライズ「待て!」

 

しかし、もうかなり遠くなってしまった二人を追いかけるのは容易ではない。

 

赤城「さてと、後はここを去るだけ……あら?」

 

加賀「どうかしましたか?ねえ様。」

 

赤城「セイレーンの格納庫の中に……なにかしら?」

 

セイレーンの戦艦の格納庫から姿を見せている不気味な存在、汎用量産型モビルスーツ リーオーが起動の時を静かに待ち続けている。その存在はレッドアクシズにもアズールレーンのどちらとも知らない、未知との遭遇であった。それと同時に別方向から落ちてきている謎の物体を加賀は静かに見上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

???

 

家具がソファーしかない無機質な部屋で一人の男が座っている。その男は薄い緑の髪を持ち、白を基調とした服を着ており、紫色の瞳をしている。

 

???「もう、重桜はなくなっても問題無いだろう。大蛇が起動すると厄介だからね。」

 

???「……これでまた計画が進むだろう。…………さて。」

 

???「さあ、始めようか!」

 

その男はどこかに向かって声をあげた。

 

???「きたるべき未来の為に!」

 

謎の男の前に置かれたコンピューターが物凄い速度で何かに情報を送っている。内容は読解不能な語源の為、何を送られているのかかわからない。はたして、彼がやっていることは正義なのか?それともすべてを破壊する悪そのものなのか。?それはまだ、誰にもわからない。

 

???side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

宇宙空間

 

無重力空間の中、一機のスペースシャトルが飛んでいる。いや、それはスペースシャトルではない。スペースシャトルの外装をしたモビルスーツ(MS)、ウィングガンダムゼロだ。ウィングゼロはネオバード形態に変形させることが可能で、そこにスペースシャトルの外装を取り付け偽装している。ウィングゼロのパイロット、ヒイロ・ユイは真下にそびえる地球と似たような惑星を見つめていた。

 

ヒイロ「……これは。……驚いたな。これほどまで地球と似た星があるとは。」

 

ヒイロは自分たちの世界を守りきった後、流浪の旅に出た。様々な人や自然にふれあい、誰もが悲しまない世界を目指すため彼は今も戦い続けている。

 

ー文明はどれほど進んでいるのだろうか。降りてみたいが……。ー

 

その時、ウィングゼロのレーダーに数十人の生体反応と数えきれない程の数のモビルスーツの反応が出る。

 

ヒイロ「なに?このモビルスーツの反応は、リーオーだと?!………どうやら考える時間は無さそうだ。」

 

両手で握る操縦桿を素早く倒し、白い翼を広げメインスラスターから大出力の推進力を生み出し、空気を切るようにその場所へと加速する。接触までにかかる時間は200秒。一瞬の迷いもなくヒイロのウィングゼロは、戦場へと高速で迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

加賀「ねえ様。もう行きますが?」

 

赤城「ちょっと待って加賀。」

 

リーオーのツインアイに明かりが灯る。それは続々と他のセイレーンか艦船から出てくる。

 

クリーブランド「……すっごく嫌な予感がするなあ。」

 

クリーブランドのフラグは見事に当たり、105mmマシンガンをアズールレーン、重桜に構える。

 

エンタープライズ「なっ!?まずい!、逃げろ!」

 

エンタープライズが声をあげる頃にはリーオーがマシンガンを周りに発泡していた。

 

ジャベリン「ひぃー?!」

 

ラフィー「た、助けてー。」

 

エンタープライズ「クッ!?……フッ!」

 

エンタープライズは怯むがすぐに体勢を立て直し、矢を放つが、リーオーの装甲にはその攻撃では傷一つつかない。そのうちに一機のリーオーがビームーサーベルを引き抜き、エンタープライズに突き刺そうとする。

 

エンタープライズ「こんなところで……せめて、一矢報いる!」

 

最後の抵抗を見せ、戦闘体勢に入るエンタープライズだが、いつの間にかリーオーは空を見上げていた。エンタープライズも空を見上げると、それは白い装甲を赤く燃やしながらも、こちら側に高速で迫ってきている。一機のリーオーがスペースシャトルがこちらに近づいてきていると感知するとそれに反応し、全機のリーオーが105mmマシンガンを発泡。105mmマシンガンの集中砲火がスペースシャトルを襲う。スペースシャトルにマシンガンの集中砲火が当たり、木っ端微塵になる、誰もがそう思ったがそれは違った。それは自分から白い装甲を吹き飛ばす。

 

エンタープライズ「あれは、鳥?」

 

鳥のようなシルエットをした何かがこちらに迫ってくる。しかし、鳥にしてはずいぶん大きい。

 

エンタープライズ「あれは一体?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒイロ「……あれか。全機破壊する。」

 

ヒイロは上にあるレバーを引く。すると機体がネオバード形態から、人型へと変形する。リーオーの大群を過ぎたところで反転し、ツインバスターライフルを前方に構える。ゼロシステムとヒイロの技量により、一寸の狂いもなく照準を合わせる。

 

ヒイロ「ターゲットロックオン。……そこだ!」

 

ヒイロがトリガーを引く。大出力のビームを発射される。それはリーオーの大群をたちまち飲み込んでいく。とてつもなく激しい衝撃波が押し寄せる。艦船たちは皆、吹き飛ばされないように必死に海面に踏みとどまる。エンタープライズは、衝撃波がおさまると目を開けてその光景に驚愕した。数秒前までいたリーオーの大部隊のほとんどか消滅していた。エンタープライズはもう一度降りてきたモビルスーツを見る。それは、トルコロールのカラーリングの装甲と、背部に背負う羽と大型のバーニアを持っている。

 

 

 

その名はガンダム。ゼロの名前を持った、世界を変える力を持ったガンダムである。その機体を操り、ヒイロは一体どんな未来を掴むのだろうか。

 

 

 

ヒイロ「残敵残り10か。……すべて片付ける!」

 

ペダルを踏み込み、バーニアからの推進力でリーオーに接近する。接近するウィングゼロを打ち落とそうとリーオーがマシンガンを乱射するが、それを巧な操縦桿捌きで避けていく。リーオーが接近された為、肩に設置されたシールド裏からビームサーベルを引き抜こうとするが

 

ヒイロ「遅い!」

 

ウィングゼロがすでに右肩からビームーサーベルを引き抜いていた。そのままリーオーに向かってビームーサーベルが振り下ろされる。リーオーは為す術もなく袈裟斬りされ、機体が真っ二つに切断される。巨大な爆発に飲み込まれるが、ウィングゼロは次のターゲットを探すべくペダルを踏み込む。黒煙が晴れ、その中からウィングゼロが現れる。その隙をつこうと、リーオーが三機で突貫するが、

 

ヒイロ「邪魔だ!」

 

ウィングのビームーサーベルがリーオーに横一閃切り裂く。リーオーの胴体が宙を舞う。さらに爆音が辺りに響く。黒煙の中から無傷で出てくるウィングゼロ。一瞬にして三機のリーオーがやられたのを目の当たりにした残りのリーオーが戦線を離脱していくが

 

ヒイロ「逃しはしない。……沈め!」

 

ウィングゼロがそれを許さない。ツインバスターライフルの照準がリーオーに定まる。

 

ヒイロ「俺を敵に回したのが運の尽きだ。」

 

ヒイロがトリガーを引く。大出力のビームがリーオーを消し飛ばしていく。それが止んだときには数分前に居たリーオーの大部隊は一機も見当たらなかった。

 

 

 

 

 

加賀「……すべてを蹂躙するか。……面白い!」

 

加賀がウィングゼロの強さを目の当たりにして、換装を展開して勝負を挑もうとするが

 

赤城「無駄よ加賀。手痛い反撃を食らうだけよ。」

 

加賀「しかし、ねえ様!」

 

ウィングゼロが加賀の存在に気付き、そちらを向く。しかし、武装を使うようすはない。

 

赤城「いい?加賀。……相手に攻撃の意志がないならそれでいいじゃない。今は一刻も早くここを離脱することが最優先よ。」

 

加賀「………はい。わかりました、ねえ様。」

 

重桜の艦隊が退いていく。それが見えなくなるまで見届けると、ヒイロはパイロットスーツのヘルメットを外した。

 

ヒイロ「なんとかなったか。しかし、リーオーがこの星にいる。……先程のリーオーはおそらく無人機。誰かが遠隔で操作していたということか。」

 

ヒイロはリーオーの残骸を見る。その残骸からはとても機体のデータが取れるとは思わない。

 

ヒイロ「駄目か。……やはり情報が少ないか。ここにリーオーが来ているのも気になる。……一体誰が?それにしても、兵器との一体化か。……酷いものだ。だが……これが戦争か。」

 

バーニアに火が付き、今まさに飛び立とうとした時

 

エンタープライズ「待て!」

 

輪とした声が響く。ウィングゼロがツインアイがそちらを向くと

 

エンタープライズ「お前は一体なんだ?何を目的としている?」

 

エンタープライズは恐怖していた。その圧倒的な力があれば、すべての艦船を。さらにはセイレーンをもすべて絶滅させる力があると確信したからだった。しかし、その機体から発せられた言葉はエンタープライズの予想を大きく上回るものだった。

 

ヒイロ「気の効いた言葉は言えないが、誰もが笑っていられる世界を求める。……ただ、それだけだ。」

 

エンタープライズ「そんな力がありながら笑顔を求めるだと!?笑わせるな。」

 

ヒイロ「出来るさ。世界を変えるのは、絶対的な力を持った強者ではないからだ。」

 

エンタープライズは改めてその機体を見る。彼が言った言葉には嘘偽りが一切含まれていないと感じていた。

 

エンタープライズ「なら、なぜ戦争は続いていく?」

 

エンタープライズがその機体に問いかけたその時

 

 

完全に破壊されなかった一機のリーオーが4連発バズーカを二人に構え、狙いを定めてロケットが打ち放つ。。轟音が辺りに響きわたる。リーオーはバズーカを打った反動で水面に叩きつけられる。それにより限界を迎えたリーオーは、海中へと沈んでいった。

 

 

 

ヒイロはリーオーからのロケットの存在に気づいていた。避けようと思えば避けられるのだが、目の前のエンタープライズはウィングゼロの巨体な体のせいでちょうどロケットを隠しているのだ。それに、もう当たるまで時間があまりない。だが、ヒイロは自分が決断したことをやめようとはしなかった。ヒイロの強い意志が、恐れを吹き飛ばす。

 

 

 

「答えろ!」

 

エンタープライズがその機体に詰め寄る、その時だった。

 

ウィングゼロのシールドがエンタープライズの髪を掠める。一瞬何がおこったかわからなかったようだが、自分の上にシールドを展開しているのは理解したようだ。エンタープライズばその意図がわからない行動に疑問を口にするため声を出そうとしたが、それはロケットがウィングゼロに当たる爆音でかき消された。

 

 

 

一発目は右側の大型バーニアに被弾。出力が25%ダウン。

 

機体はエンタープライズから退く様子はない。コックピットルームにもその衝撃が伝わる。いくら厚い装甲を持っているとしても、動力源を狙われては出力が下がる一方 だ。しかし、ヒイロは一歩も退かない。

 

 

 

二発目が右側のバーニアの制御装置に直撃する。さらに出力が50%ダウン。

 

もはや移動することもこの出力ではままならないが、ヒイロの意志は変わることはない。目の前の命を助けるために、姿勢を維持させることをやめない。

 

 

 

三発目がウィングゼロの左後頭部に直撃。ヒイロにモニターが見せていた景色がブラックアウトする。しかし、かろうじて右目のツインアイが生き残る。ヒイロは衝撃で頭を打ち、血が流れるがそれでもなおウィングゼロを動かそうと必死に操縦桿を握る。

 

 

 

 

四発目がコックピットルームの背面に被弾。衝撃で体がハッチに何度もぶつかる。右腕などの各所の骨が折れたのをヒイロは感じる。しかし、ヒイロは満足そうな感情をうかべていた。

 

「……任務……完…了。」

 

 

 

 

 

エンタープライズは数秒間に一体何がおこったのかまるでわからなかった。爆音が止むと頭上に構えられたシールドから出る。

 

 

そこにある機体は酷かった。ウィングゼロの要でもあるバーニアは右側が50%ほど消し飛び、左肩もバーニアが付いているが機能が完全に停止した状態になっている。ウィングゼロの頭の部分も半分ほど消失している。かろうじて右目のツインアイが残っているだけだ。コックピットの背面は装甲がへこみ、痛々しい姿となっていた。

 

「……なぜ。……なぜ私を助けたのだ?」

 

ウィングゼロが姿勢の維持が出来なくなり、海へと倒れていく。ヒイロは意識が途切れながらも、少女の問いかけに答えようとする。

 

「……死んで…いい…人間など、この…世には存在し…ない。……行き続けろ。それが……命ある…生命…の…義務…だ。」

 

言葉が途切れ途切れになりながらも、ヒイロはなんとか話しきる。

 

ウィングゼロは主の意識がなくなったのを確認して、完全に機能を停止した。ツインアイの光がなくなる。

 

その光景を、完全に破壊されなかったリーオーの正方形のモノアイが静かに眺めていた。それを誰が見ているのか、その時そこに居合わせた者は誰一人として知ることはなかった。

 

 

ヒイロ side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??? side

 

???「さっきの別次元から出したリーオーって機体。すべて破壊されたようだよ?リボンズ。」

 

紫色の髪を持ち、眼鏡を掛けた中性的な顔立ちをした者がソファーにいるリボンズという男に向かって話しかている。

 

リボンズ「なに?艦船たちにそのような力があるとは考えにくい。……どういうことだリジェネ・レジェッタ。」

 

リジェネ「ガンダム、と言ったらわかるだろう?」

 

リボンズ「そんなことがまさか………別次元からか?」

 

リジェネ「ああ、おそらくあのリーオーがいる次元から来たんだろうね。」

 

リボンズ「だとしても旧型機。それにも関わらずあの数を倒すガンダムか。……少し興味が出るね。」

 

リジェネ「そうだろう?だとしたら戦わせてみないかい?君のお気に入りの傭兵君を。」

 

リボンズ「アリー・アル・サーシェスか。……だがガンダムがどこにいるかわからないでか?」

 

リジェネ「その点は問題ないよ。リーオーの目から直接見たからね。」

 

リボンズ「そうか。……もし、サーシェスが倒されることがあったら……それは面白い余興だがね。」

 

リジェネ「旧型機は新型機には倒せない。それは君も知っているだろ?そんなことはあるわけないよ。……さてと、彼にその事を伝えてくるよ。」

 

リジェネが部屋を出ていく。一人残されたリボンズ。

 

リボンズ「リジェネ・レジェッタ。君が僕からベーダを奪おうとしているのは知っている。……時期に始末してやるさ。せいぜい今を楽しむといい。」

 

リジェネは自分の計画がリボンズの手の上で転がされているのを知るよしもなく、破滅へと進んでいく。

 

ーリジェネ、使いやすい駒としての役割を果たすんだよ。ー

 

リボンズがほくそ笑みを浮かべていた。

 

リボンズ side out

 

 

 

           ーto be countedー

 

 

 

次回予告

     BGM ーコードネームはヒイロ・ユイー

 

ヒイロ

 大損害を受けたアズールレーンは急ピッチで艦船の復興を急ぐが、帰還中の部隊が五航戦の空母の翔鶴、瑞鶴の攻撃を受ける。急いで援護に出るエンタープライズたちだが、そこにヤークトアルケーガンダムを操るアリー・アル・サーシェスが現れる。サーシェスの無差別攻撃に、どちらの陣営も壊滅寸前まで追い込まれる。しかし、雲の影から一つのG(ガンダム)の影が現れる。 

 

 

 

次回 クロスレイズレーン 第二話 対話を求めるガンダム

 




4日から一週間の間に2話投稿予定。なるはやでがんばります。

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