リーオーを動かす謎の男リボンズ・アルマーク。しかし、彼の企みをヒイロ・ユイのウィングガンダムゼロが打ち倒す。アズールレーンとレッドアクシズとの戦争が激化する中、本来なら存在しない者たちが与える変化は彼女たちにどのような影響を与えるのか。
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強者など何処にもいない!人類全てが弱者なんだ!
俺もお前も弱者なんだ!
ヒイロ・ユイ
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アズールレーン基地
黄色の毛を持った生き物が動いている。見た目はひよこなのだが、様々なサイズの者がおり、中には帽子を被った者まで居るようだ。彼らの名前は饅頭。アズールレーンの雑用から整備までを担当する優れ者だ。小型のボートから負傷者の捜索作業にあたっている。
重桜からの攻撃をなんとか退けたアズールレーンを襲った謎の存在。ウィングゼロの回収を小型の船がロープを5隻に繋げてドックまでの移動作業をおこなっている。
それを遠くから見守るウェールズとイラストリアス。
ウェールズ「やられたよ。重桜に先手を打たれるとは。」
イラストリアス「重桜が鉄血と組むことは予想されていました。でも……。」
イラストリアスが見ている先はセイレーンの残骸。セイレーンたちは重桜に攻撃せず、アズールレーンだけ攻撃してきたのだ。つまり重桜を含むレッドアクシズはセイレーンをも取り込んでいることになる。
ウェールズ「セイレーンの力。それがどれほど危険なものか、わかっているのか?」
イラストリアス「復旧を急ぎましょう。私たちロイヤルの主力も直に到着します。二度と、こんな不覚をとらないように。」
ウェールズ「…ユニオンのエンタープライズ。今回は彼女に救われたな。」
イラストリアス「ええ。ですが、彼女は危ういです。」
ウェールズ「あいつは強い。まっすぐに放たれた矢のように迷いがない。だが……。」
イラストリアス「強く張り詰めた矢は、簡単に切れてしまいます。」
ウェールズ「それに、問題はそれだけではないからな。」
ちょうどドックの中に運び込まれていくウィングゼロをチラリと見ながら
ウェールズ「イラストリアス。……あれをどう見る?」
イラストリアス「………わかりません。でも、あれは彼女のことを守っているように見えました。敵として見るのはまだ早いのかもしれません。」
ウェールズ「あれに乗っている者に話を聞くしかないだろう。それにしても、あれは一体なんなのだろうか?」
イラストリアス「今は、敵ではないことを祈るしかないですね。」
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アズールレーン基地 ドック内
???「慎重に固定しろよー!」
ウィングゼロをドック内の壁に固定するように饅頭に指示を飛ばしている男が一人。肌の色は日焼けして黒く、身長は180もある40歳ほどの大男だ。名前をウルド・シバ。このアズールレーンの新設基地に派遣された整備担当である。
ウルド「ったく。まさか派遣一日目で基地が襲撃されるとは、ついてねぇーなあ。……それにしても、いったいなんなんだこりぁ?」
ウルドは壁に固定されたウィングゼロを見る。機体は損傷がひどく、至るところに様々な傷が付いている。
ウルド「どっから手をつけるべきだ?」
ウルドはウィングゼロをじっくりと眺めていく。すると
ウルド「お?ありゃあ、もしかして操縦室か?」
コックピットを発見する。すぐに上下移動式のリフトをウィングゼロの下に持ってくる。ウルドと数人の饅頭がプラットホーム型の乗る部分に乗り、コックピット前に到着する。
ウルド「……しっかし、こんなもん開くのか?…ん?もしかしてこれか?」
ウルドが発見したのはコックピットの開閉装置だ。コックピットは暗証番号でしっかりとロックされている……が
ウルド「…適当に押してみっか。……これと、これと……お!開いたぜ!」
ウルドの驚愕するほどの強運で暗証番号を一発で引き当てる。コックピットハッチがゆっくりと開いていく。
ウルド「……誰か中に居るのか?」
コックピットの中を警戒しながら恐る恐る見ていくと
ウルド「お、おい!大丈夫か?」
中には頭から血を流している青年が気を失っている。体には至るところに傷があり、かなりの重症のようだ。
ウルド「誰か!医療スタッフ呼んでこい!」
ウルドか叫ぶと、下から見守ったいた饅頭たちが医療スタッフを呼ぶためにドックを飛び出していく。
ウルド「…とりあえずこの中から出すか。」
ウルドは饅頭たちと協力して青年を操縦席からプラットホームまで運び、リフトを下へと降ろしていく。運んだウルドは青年を見て驚く。
ウルド「こんな若いのがこれを動かしてんのか?……すげぇな。」
ウルドが感心していると後ろから医療スタッフが数人走ってくる。
医療スタッフ「ウルドさん。その方ですか?」
ウルド「ん?ああ。こいつだ、こいつ。ずいぶんと傷がひでぇから急いでくれ。」
医療スタッフ「わかりました。」
医療スタッフたちは慣れた手つきで青年をストレッチャーに乗せ、医療病棟へと運んで行く。
ウルド「さてと、もうこれに構わなくてもいいか。よし、お前ら!今から艦の修復作業に戻るぞ!持ち場もどれよー!」
ウルドが叫ぶと一目散に持ち場えと戻る饅頭たち。そこえ、
イラストリアス「あら?ウルドさんですか?」
ウルド「ん?おお!イラストリアスの嬢ちゃんか。本国以来だな。」
イラストリアス「やっぱりウルドさんでしたか。お久しぶりですね。」
ウェールズ「おや?ウルドではないか。久しぶりだな。」
ウルド「ん?ウェールズか。つーことは女王様も直に来んのか?」
ウェールズ「ああ。もちろんだ。」
ウルド「………前線に来る女王って今考えたら駄目だろ。」
ウェールズ「……まあ、本人もやる気が出ているのだからいいだろう。」
イラストリアス「そういえばウルドさん。修復作業は順調ですか?」
ウルド「いや。こっちも手が追い付いてねぇーよ。なんたってドック内に入りきらなくて外でも整備してるんだぜ?」
イラストリアス「そうですか。……やはり痛い攻撃でしたね。」
ウェールズ「ああ。だが今回は完全に私たちの落ち度だ。主力艦も揃っていない状態で追い返せたのはやはり奇跡だな。」
ウルド「……というかあれは一体なんなんだ?セイレーンがあんなもん作ってたら一瞬で国が滅んじまうぞ。」
イラストリアス「……あれについては私たちにもまだわかりません。」
ウェールズ「そもそもセイレーンか、と言われるとまた違う気もするが。……それにしても大きいな。何メートルあるんだ?」
ウルド「だいたい17メートルぐらいあんなぁ。そういやーあれを動かしてたと思う奴なら怪我してたから病院に運んどいたぜ。」
ウェールズ「本当か?すまない、忙しいときに。」
ウルド「ま、いいってことよ!くれぐれも怪我すんなよ!」
ウェールズ「その言葉。そっくりそのままお返しさせてもらう。」
イラストリアス「ウルドさんもお体にお気をつけてくださいね?」
ウルド「おうよ!」
ウルドが駆け出すと二人もドックを後にした。
♦️
アズールレーン基地 近海
二隻の空母が500メートルほどの位置に居るアズールレーンの艦たちに迫っていた。重桜の五航戦、瑞鶴と翔鶴だ。
翔鶴「ああ、可愛そうな私。意地悪な先輩に目を付けられるなんて。そう思わない?瑞鶴?」
瑞鶴「……真面目にやろうよ翔鶴ねえ。この戦いで一航戦の先輩に、私たちの実力を認めさせなくっちゃ。」
翔鶴「もー。本当に瑞鶴は素直なんだから。大丈夫よ瑞鶴。お姉ちゃんが守ってあげる!」
瑞鶴「うん!お姉ちゃんがいれば、何も怖くない!」
ー同時刻 アズールレーン基地指令室ー
ウェールズ「ホーネットたちの援護に向かうぞ。誰か動ける船は居るか?」
その時指令室の扉が開き、イラストリアスが入ってくる。
イラストリアス「ウェールズ!エンタープライズ様が…。」
ウェールズ「なに?」
クリーブランド「エンタープライズ!先走るなってば!」
エンタープライズ「事態は一刻も争う!グッ!?」
いきなりエンタープライズが体制を崩す。それをなんとか支えるクリーブランド。
クリーブランド「やっぱりダメージが残ってるじゃないか!こんなの無茶だよ!」
エンタープライズ「……ホーネットは私の妹だ。」
クリーブランド「!………エンタープライズ。……なんだ。人間らしいところ、あるじゃないか。仕方ない、付き合うよ。」
クリーブランド「……私も、妹がたくさん居るんだ。気持ちはわかるよ。でもせめて、護衛艦が居てくれればなぁー。」
ラフィー「ラフィー居る。」
ジャベリン「みんなを助けに行きましょう!」
エンタープライズとクリーブランドの後ろに現れるラフィーとジャベリン。
クリーブランド「…オーケー!」
一方その頃、ホーネットは五航戦の翔鶴の航空機から落とされる魚雷を必死に避け続けていた。
翔鶴「この笛のしらべは、亡者も沈める鎮魂曲。」
翔鶴の笛に合わせて多量の航空機が射出されていく。すでにホーネット以外の艦は攻撃をくらい、沈没仕掛けている者がほとんどだった。
ホーネット「防戦一方ってのは性に合わないんだけどな!」
ホーネットが魚雷を避けるため、わずかな隙ができる。
瑞鶴「もらったぁ!」
そのわずかな隙を付いてホーネットに迫る瑞鶴。
ホーネット「しまった!?」
瑞鶴の刀がホーネットを切り裂こうとしたその時、何処からか現れた航空機が瑞鶴に機銃を発泡する。
瑞鶴「なに!?」
しかし、優れた反射神経で銃弾を刀ですべて弾き返す。瑞鶴が航空機が来た方向を見ると銀髪の長い髪を持つ艦が一隻、こちらに迫っている。エンタープライズだ。
ホーネット「姉ちゃん!」
エンタープライズ「行け!」
エンタープライズがホーネットの撤退のために前に出る。
ホーネット「ありがとう姉ちゃん!」
緑と青の航空機が入り乱れる。
瑞鶴「来たかグレイゴースト!……ハァ!」
瑞鶴がエンタープライズに急速に迫り、刀を振り下ろす。
エンタープライズ「フッ!」
エンタープライズもそれに反応し、弓を構えて防御し、つばぜり合いの形になる。
瑞鶴「ユニオン最強空母、エンタープライズ!相手にとって不足なし!」
瑞鶴が刀をエンタープライズの弓へと押し込む。しかし、その力を利用して一気に瑞鶴を弓で吹き飛ばす。瑞鶴はすぐさま体勢を立て直し、エンタープライズとの距離を開ける。
瑞鶴「いざ!尋常に勝負!」
瑞鶴が刀を構え、エンタープライズも弓をすぐさま射出が出来るように構える。今、戦いの火蓋が切って落とされた。
クリーブランド「おーい、ホーネット!助けに来たよー!」
ホーネットが呼ばれた方を見ると、クリーブランド、ジャベリン、ラフィーが他の艦の救助にあたっていた。
ホーネット「ナイスタイミング。間一髪だったよ。」
ホーネットが近くによると安心したのか体勢が崩れそうになるが、クリーブランドがすぐさまそれをおさえる。
クリーブランド「よっと。今のうちに撤退しよう。待ってて。今、船を出すから。」
キュィーンというエネルギーのチャージ音。
???「そいやー!」
新たな艦からの攻撃を全員がすぐさま避ける。空中に浮遊している少女から発射された砲撃が水柱をあげる。
???「ウフフフ。」
クリーブランド「今度はなんだよ!」
???「グーテンターク。私たちとも遊んでよ?アズールレーン。」
少女の後ろから船が数十隻も現れる。赤が特徴的な船だ。セイレーンとはまた違う。
ホーネット「お前たち鉄血か。」
???「任せてもいいかしら?ニーミ?」
また新たな少女が現れる。ニーミと呼ばれた少女は身長が他と比べると低い。どうやら鉄血の駆逐艦のようだ。少女が換装をアズールレーンに構える。
Z23「鉄血、駆逐艦。Z23と申します。貴方たちをここで倒します。」
それと同時にもう一人少女が出てくる。今度の少女は鉄血よりも重桜の艦にも見えるが。
ジャベリン「あ!綾波ちゃん………。」
綾波と呼ばれた少女はジャベリンとラフィーの存在に気付くが、すぐに目をそらされる。そんな中、ラフィーが前に出る。
ラフィー「みんなを連れて撤退して。」
ジャベリン「な!?ラフィーちゃん!?」
Z23「自分から殿をかって出ますか。敵ながら敬意に値します!」
♦️
???
リジェネ「この座標だ。くれぐれもガンダムのパイロット以外は殺すなよ。」
サーシェス「おう。殺さなきゃいいんだろう?殺さない程度にしときますよ。………それに、ガンダムのパイロットは殺していーんだろ?」
リジェネ「ああ。出来れば機体の完全な破壊ではなく部品の回収ができる程度に抑えてくれよ?」
サーシェス「はいはい。リジェネの旦那からの任務ならいくらでも!」
ヤークトアルケーガンダムのコックピットが閉まる。それと同時にサーシェスとの通信を切る。
リジェネ「狂人め。野垂れ死にでもすればいいのに。」
サーシェスに聞こえないように悪態をついた。
サーシェス「さーて。久々に暴れられるぜ!やっぱ、ガンダムとじゃねーとな!」
目の前のゲートが開き、真っ青な空が現れる。
サーシェス「ヤークトアルケー。出るぜぇ!」
機体色が真っ赤に染め上げられたヤークトアルケーが擬似改良型太陽炉の粒子の赤い光と合わさり、まさにそれは命を刈り取る真っ赤な死神のようだった。ヤークトアルケーはガンダムを破壊するためにアズールレーンの基地へとトップスーピードにて突き進む。その航路に戦闘中のアズールレーンとレッドアクシズが居ることなど誰も予想は出来なかった。
ーアズールレーン基地指令室ー
机に置かれている備え付けの電話が鳴る。
ウェールズ「アズールレーン基地指令の…」
???「久しぶりね!ウェールズ。」
ウェールズ「陛下!?」
ウェールズの言葉を遮ったのはロイヤルの戦艦にして、艦隊を束ねる高貴なる女王、クイーン・エリザベスだ。
エリザベス「待たせたわね。このクイーンエリザベスの高貴なる艦隊が到着よ!」
アズールレーンとレッドアクシズの交戦地点から数キロ離れた地点にいるのは、フッドやウォースパイトなどのいるロイヤルの主力艦隊だ。
ウェールズ「助かりました陛下。実は今、友軍が敵襲を受け…。」
エリザベス「もちろんお見通しよ!すでに手は打ってあるわ。」
ロイヤルの主力艦隊から先行して進んでいる艦が一隻。白い髪を揺らす少女だ。服は……メイド服?
エンタープライズの弓から矢が発射される。
瑞鶴「クゥ!?」
しかし、瑞鶴も刀で矢を横に受け流す。受け流された矢が海中て爆発し、巨大な水柱を上げる。すぐさま次の矢を放つため、弓を構えるが
瑞鶴「させるかぁー!」
瑞鶴が打たせまいとエンタープライズに接近する。すぐさま弓で刀をガードするエンタープライズ。
瑞鶴「まだまだぁー!」
ガードを崩すため怒涛のラッシュでエンタープライズを追い詰め、再びつばぜり合いになる。
瑞鶴「この程度か、グレイゴースト!」
瑞鶴の怒涛のラッシュで体勢が崩れたエンタープライズ。それを逃すまいと、瑞鶴が迫る。
翔鶴「駄目!瑞鶴!」
瑞鶴はエンタープライズが倒れながらも弓を構えている姿を見る。
瑞鶴「クッ!?」
瑞鶴はなんとか刀で矢を頭上に受け流す。しかし、その矢は一機の航空機へと変化し、二人に向かって魚雷を落とす。
瑞鶴「なっ!?無茶苦茶だー!?」
巨大な水柱が発生し、煙が蔓延する。すぐに瑞鶴は煙から出るが、エンタープライズの蹴りを食らって海面を転がる。
瑞鶴「な、なんて奴なんだ。」
なんとか体勢を立て直す瑞鶴だが、すでに立て直しているエンタープライズが正面に立っている。
瑞鶴「ま、まだ……。せめて………一太刀!」
エンタープライズ「無理だ。諦めろ。」
瑞鶴がなんとか力を入れて立ち上がろうとするが、エンタープライズが弓を構える。しかし、その弓がダメージを受けていたこともあり、壊れてしまう。
瑞鶴「今だ!」
それを見た瑞鶴は力を振り絞って立ち上がり、全力で刀を振るう。それを迎撃しようと航空機を射出しようとするが、蓄積したダメージがあるためそれが出来ない。
瑞鶴「もらったぁー!」
瑞鶴の刀がエンタープライズを切りつける、はずだった
???「失礼いたします。」
メイド服を着た少女が腕に付けた換装で、瑞鶴の刀を止める。
瑞鶴「な!?なんなのーあんたは!」
???「通りすがりの、メイドでございます。」
すぐさま翔鶴が瑞鶴の隣に降り立つ。翔鶴が瑞鶴を心配しているが
瑞鶴「メイド!なんの冗談だ!」
???「大真面目なのよそいつは。ロイヤル、エディンバラ級軽巡洋艦ベルファスト。こんなふざけた格好してても歴戦の強者よ。甘く見ないことね。」
ベルファスト「ご機嫌麗しゅうございます。鉄血のプリンツオイゲン様。このような場所で会うとは奇遇でございますね。」
オイゲン「そうね。鉄血とロイヤル。遠く離れたこの場所で決着をつけるのも悪くないわね。」
ベルファスト「私は一向に構いませんが。」
ベルファストの後方からロイヤルの主力艦隊が到着する。
ベルファスト「その分、こちらも全力でお相手させていただきます。」
エンタープライズ「あれは、ロイヤルの主力艦隊。」
今、ロイヤルと鉄血の総力戦が始まるのを赤いガンダムが上空から見つめていた。
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ロイヤル対鉄血 海域上空
サーシェス「おいおい、こんなところで戦争やってんのか!いいーねぇ、楽しそうじゃねぇーか!」
サーシェスの操るヤークトアルケーガンダムが上空からロイヤルと鉄血との戦闘を眺めていた。
サーシェス「そういやーリジェネの旦那からはガンダムのパイロット以外は殺すなって言われてたな。………別に殺さなきゃいいんだろ?怪我はさせるなとは言われてねぇーよな。」
サーシェスの顔が笑顔に変わる。
サーシェス「任務とちげーが……まあいいだろ。いい声で泣けよ?女ども。」
その笑顔はまるで残忍な殺人鬼のような顔だった。
オイゲン「準備はいいかしら?ベルファスト?」
ベルファスト「ええ。もちろんでございます。」
戦いが始まる、その時だった。
サーシェス「行けよ!ファング!」
ヤークトアルケーのスカート内に搭載されているGNファングが空を舞う。12基のファングが先端から艦たちに向かってビームの刃が牙を剥く。ロイヤルや鉄血の艦たちはほとんどが避けるがエンタープライズはダメージの蓄積により、すぐには動けなかった。それを見逃すはずもなくファングがエンタープライズに接近する。エンタープライズがファングの存在を気付いたときにはすぐそこまで迫ってきていた。それを見てエンタープライズは死を悟った。
ー………ここまでか。ー
せめて、潔く死のう。そう思っていたその時
ベルファスト「エンタープライズ様!」
ベルファストがエンタープライズを突き飛ばす。
エンタープライズ「なっ!?」
エンタープライズは突き飛ばされ海面を転がる。数秒後、ベルファストが先程いた場所で爆発が起こる。すぐさまエンタープライズはベルファストが居ると思われる方向を見る。煙が少しずつ晴れていく中からベルファストが現れ る。
エンタープライズ「お、おい。大丈夫か?」
エンタープライズが声をかけるが反応がない。エンタープライズが立ち上がりそれに近づく。それはとても痛々しい姿になっていた。GNファングに貫かれた部分は肉が抉られ、そのあとの爆発による火傷などもひどい状態だった。
エンタープライズ「ッツ!?また、私をかばって?」
ヒイロ。ウィングゼロにも助けられベルファストにも助けられた。しかし、自分はなにも出来ない。エンタープライズは膝をついてしまう。そんな姿を見て、ヤークトアルケーからのスピーカー
サーシェス「クハハハッ、どうしたどうしたぁ!?もしかしてお前、助けてもらったのかぁ?そりゃー良かったなぁー!……もしかしてお前、怖じ気づいたのか?……プッ!クハハハハっ!そうそかそうか、怖いもんなぁ。自分は助けてもらったが、なにも出来ない出来損ないじゃねぇーかよ。」
エンタープライズ「……貴様に。貴様に何がわかる!?」
サーシェス「わかる?わからないねぇなぁーそりゃあ。でも、おめぇは自分の命すらも自分で守れねぇーんだよなぁ?」
エンタープライズ「……仕方ないだろ!こんな状態で来たのだから。」
サーシェス「でも、ここにそんな状態で来たのは誰かのせいかぁー?」
エンタープライズ「…………。」
サーシェスに問われた質問に答えることが出来ずに下を向いてしまうエンタープライズ。しかし、その回答をサーシェスが変わりに話した。
サーシェス「結局のところ全部自分のせいなんだよ。そんな状態だから自分も守れず、誰かを犠牲にしてんだよ。」
サーシェスがひどく冷淡な声でエンタープライズのプライドを引き裂く。
サーシェス「そこの女も可愛そうだなー?こんな出来損ないのために命を落とすなんてよー。」
エンタープライズは自分はこんな男よりはましだと勝手に思っていただけだった。仲間が自分を助ける理由を作ったのはエンタープライズ自身。そうーーーーもとからこの男に優れているところなど、どこにも存在しなかったのだ。
サーシェス「こんな出来損ない、神にかわって罰を執行する。」
ヤークトアルケーの背中に設置されたGNバスターソードを引き抜き、エンタープライズに構える。
ベルファスト「出来損ないでは……ございません。」
エンタープライズの前に立ったのはベルファストだ。
ベルファスト「というか、なぜ貴方に決められないといけないのでしょうか?」
ベルファストは先程の傷を感じさせない振る舞いだが、体はやはり先程の攻撃でかなりのダメージを受けているため、立っているのがやっとの状態だ。だが、それでもエンタープライズの前に立っている。
ベルファスト「エンタープライズ様、あなた様は出来損ないではございません。」
エンタープライズ「どうして……どうしてそんなことが言えるんだ?」
ベルファスト「価値は自分で決めるものではないからでございます。」
サーシェス「女。悪いことは言わねぇ……そこをどけ。」
ベルファスト「断じてお断りさせていただきます。」
サーシェス「そうか……じゃあ、とっとと死ね。」
ヤークトアルケーのバスターソードがベルファストに向かって振り下ろされる。エンタープライズが後ろから手を伸ばすが、届くはずもない。ベルファストは目を閉じてその時を待った。しかし、いつまで待っても攻撃がこない。ベルファストはゆっくりと目を開ける。
サーシェス「なんだぁー、てめぇ?」
ベルファストが見たのはヤークトアルケーのバスターソードを片手で止めているELSクアンタの姿だった。
刹那 side
ヤークトアルケーのバスターソードを片手で止めながら、刹那は後ろに立っている少女を見ていた。
刹那「……ひどい傷だ。……人の命は、失えばもう、戻りはしないとゆうのに。」
サーシェス「まさかお前さんが目標のガンダムか!壊しがいがありそうだぜ!」
ー……話すだけ無駄か。ー
刹那は無線通信をきる。
刹那「力を持った人間はまだ、このような争いを、繰り返すつもりなのか……。」
刹那は目の前のヤークトアルケーを見る。
刹那「そんなこと、絶対にやらせはしない。……今再び、武力介入を行う……!」
クアンタの目が力強く光り、辺りに緑色のGN粒子が放出される。対話を求めるために生まれたガンダム。ELSクアンタは刹那とともに、武力介入を開始する。……そう、あの頃存在した、ソレスタルビーイングのように。
サーシェス「……何処かで見たような機体だと思ったら、まさかクルジスのガキだとは思わなかったぜ!ハハハハ!また、説教でもしてみたらどうだぁ?あぁ?」
しかし、サーシェスの煽りに微動だにしない。それもそのはず、先程に刹那は無線通信をきってしまったためサーシェスの声が中に居る刹那に届くことはないのだ。さらに、サーシェスは煽るのに夢中だったためクアンタの目が光るのを見落としていた。
サーシェス「おいおいおい!だんまりかぁー?クルジスのガ……。」
その瞬間、クアンタの鋭い蹴りがヤークトアルケーを蹴りあげる。
サーシェス「グホォ!?」
サーシェスでも反応出来ないほどの蹴りが炸裂する。上に飛ばされたサーシェスは自分に一体何がおこったのかもわからないまま上へと飛ばされる。だが、すでにクアンタは次の攻撃に入っており、強烈な右腕のパンチにより今度は横へと吹っ飛ばされる。
サーシェス「ゲバァ!?」
海面を転がるヤークトアルケー。クアンタから少し離れたところまで転がるが、そこは流石と言うべきかGN粒子を放出させすぐに機体の体勢を立て直す。
サーシェス「…てめぇ、クルジスのガキじゃねぇな。あのガキの動きじゃねぇ。」
本当は刹那が乗っているのだが、長い年月をかけて精練された戦闘技術は、サーシェスを遥かに凌駕していた。
サーシェス「ならこいつはどうだぁ!行けよ、ファング!」
ヤークトアルケーは再びGNファングを発射。ビームの威力を最大に上げたファングがクアンタに向かって高速で迫るが……。
刹那「……見えている。」
クアンタが手を前に出すとGNソードビットが後ろから召喚される。その数はヤークトアルケーの発射してきたファング11基の数を凌駕する驚異の30基。
サーシェス「おいおいまじかよ!?」
刹那「……目標を、駆逐する。」
クアンタの後ろにテレポートされたソードビットが一斉に発射される。赤と緑の光がぶつかり合う。それに打ち勝つのは緑。クアンタのソードビットがその数で押しきる。
サーシェス「チッ。舐めんじゃねぇーぞ!俺の方が上なんだよ!」
ヤークトアルケーの背部の右側に設置されたGNランチャーで迎撃を試みるが間に合わない。捌ききれなかったソードビットがヤークトアルケーに突き刺さる。両腕と両足を素早く切断され、胴体部分しか残っていない無惨なヤークトアルケーが出来上がる。
サーシェス「糞がぁー!?うぜぇーんだよ、ガンダム!」
これ以上の戦闘は不利だと判断したサーシェスは戦闘から離脱しようとするが……。
刹那「……逃しはしない。」
クアンタの手がELSに包まれる。その中から形成されるのはGNソード。GNソードをライフルモード切り替えてヤークトアルケーを狙う。刹那の射撃技術も合わさり、ヤークトアルケーに照準を合わせる。
刹那「……必ず当てる。……そこだ。」
刹那は静かに引き金を引いた。ヤークトアルケーの動力源である擬似改良型太陽炉を正確に撃ち抜く。
サーシェス「糞がぁー。覚えてろよ、ガンダムゥ!」
捨て台詞を吐いて空中で爆発。黒い黒煙が空に広がっていく。そのなかを突き破ってくるのは脱出用のコアファイターだ。それは空へと向かって飛び去っていく。
刹那「ああ、そうだ。かつて俺も、このように武力介入を行っていたんだ……。」
刹那 side out
クリーブランド「おーい!二人とも、怪我はない?」
エンタープライズ「私よりも彼女を。ひどい怪我なんだ。」
クリーブランド「こ、この傷は……こんな場所で治療できるものじゃないよ。」
エンタープライズ「そんな……じゃあ、彼女を見捨てるのか!?」
クリーブランド「……でも、どうすることも出来ないじゃないか!」
クリーブランドに最もな意見を言われ、エンタープライズが押し黙る。
クリーブランド「応急処置しても基地まで体が持つかどうか……て、うわぁー!?」
いつの間にかクアンタが音もなくクリーブランドのすぐ横に居た。中腰になったクアンタのコックピットハッチが開く。その中から出てくるのは青いパイロットスーツを着た男だ。顔の部分は外からは見えない仕様なのか曇ったように見える。
エンタープライズ「彼女に近づくな!」
刹那「……信用出来ないかもしれないが攻撃の意思はない。」
その男はクアンタの腕の上に乗っている。どうやらタブレットで腕を操作しているようだ。
刹那「……頼む。彼女を助けたい。」
エンタープライズ「あなたがどうにか出来るのか?」
刹那「ああ。そのために俺はここに居る。……それに、今は一刻も争う。そこを退いてくれ。」
刹那の目の前に立ち塞がるエンタープライズはいまだに信用しきれていないが、エンタープライズを見つめる瞳に嘘偽りは一切ないと感じられた。エンタープライズが道を開ける。
刹那「感謝する。」
エンタープライズ「余計なことでもしてみろ。その首を跳ねるぞ。」
クリーブランド「エンタープライズ、流石にそれは言い過ぎじゃない?……というか、一体なにをしようとしてるの?」
刹那「まあ見ていろ。」
刹那がベルファストの肉が抉れている部分に手を当てる。すると、刹那の手からELSの結晶が生まれ、それが透明の液体に変化させる。その液体がベルファストの傷をとんでもない速度で癒していく。ものの10秒程で傷がふさがり、火傷の後も跡形もなく消えていた。
クリーブランド「……凄い。」
エンタープライズ「……良かった…。」
そう呟くとエンタープライズは限界がきてしまったのか倒れしまうがすぐにクリーブランドの肩に担がれる。
クリーブランド「まったく。無茶するから。それと、本当にありがとう。」
刹那「気にするな。俺が正しいと思ったことを勝手にしたまでだ。」
それだけを話すと、すぐさまコックピットへと戻っていく。そんな中、ベルファストの意識が回復する。
ベルファスト「ここは?……!?、傷が治っている?」
クリーブランド「ええっとたしか……ベルファスト、であってるよね?」
ベルファスト「は、はい。ベルファストと申します。」
クリーブランド「あれに乗ってた人が助けてくれたんだよ。……もういっちゃうけどね。」
ベルファストは今まさに飛び去り始めたクアンタを見る。
ベルファスト「……あの暖かい包まれる感覚……。いったいどのような方なのでしょうか?……また会えることがありますように。」
ベルファストが小さく呟いた言葉に答える者はいない。
♦️
???
リボンズ「なんなんだ。あのガンダムは!」
リジェネ「ヴェーダにも該当する機体は無いね。僕たちとは異なる時間軸の世界から来たのだろう。」
リボンズ「目障りだ。今すぐ抹殺しろ!」
リジェネ「リボンズ、無茶言うなよ。作戦を考えないとサーシェスの二の舞になるよ?」
リボンズ「……あれを操縦しているのは刹那・F・セイエイだと思うかい?」
リジェネ「なんとも言えないね。確かにエクシアとダブルオーがベースの機体だとは思うけど戦い方がデータと比べてもだいぶ違う。」
リボンズ「……今は戦力の増加を急がせるしかないか。」
リジェネ「また新しい世界に割れ目を作るのかい?」
リボンズ「僕が直接手を出せない時なのだから仕方ないさ。準備を頼むよ、リジェネ。」
リジェネ「やれやれ。わかったよリボンズ。」
リジェネが部屋を出ていく。
リボンズ「僕の邪魔をする者は誰であろうと抹殺する。首を取られる覚悟をしておけよ、ガンダム。」
刹那とリボンズ。まったく違う世界を求めて、彼らは激突し始める。その先に見せる未来は一体どのような世界なのか?物語は加速する。更なる未来へと……。
To be counted
次回予告
BGM ーPOWERー
自分の過ちを正すことは出来ない。エンタープライズはどうすることの出来ない思いをヒイロに問う。暗躍するリボンズから真っ向で対立する刹那。二人の次なる一手とは?そして刹那はなぜまだ戦うのか。誰もが理由を探していた。
次回 クロスレイズレーン 第三話 戦う理由
しかし、罪は消えず。
やっぱりせっさんはチートにしないとと思っていたのでこんな感じにしてます。うーん。やっぱり文章下手じゃないか私?もっと勉強しときます。次回の更新は11から18の間になります。アニメ版まったく変わらないなら11話から放送しろ!