Fate/Apocrypha beast~TS変態オヤジの聖杯大戦~   作:あんぱんくん

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誤字修正してくれた方々、本当にありがとうございました!


No.002 自己強制証明(セルフギアススクロール)

1

 

 

 

最初、タクシー運転手を勤める男はそれを悪いジョークと捉えた。

 

「は?今なんつった?」

 

「だから梟の館。ここら辺にあるって聞いたんだがどうにも行き道が分からなくてね」

 

いやに目つきの鋭い男だった。

筋骨隆々の身体、顔の疵痕(スカーフェイス)、血と火薬の濃厚な匂い。

どう見てもカタギではない。

観光客(カモ)だと思って乗せたことに今さら後悔し始める。

 

「オレからも頼むぜ。歩いて行くのはかったるいんだ。連れてってくれよオッサン」

 

バックミラー越しに後部座席で寝っ転がっている金髪の少女と目が合う。

これもこれで怖い。

腹部を晒したチューブトップに真っ赤なレザージャケット、行儀の悪さだけ見ればただのチンピラだ。

しかし、纏う雰囲気は別格で人間の形をしたグリズリーを思わせるほど。

内心、助手席に座ったのが厳つい男の方で良かったとすら思っていた。

 

「……梟の館は東の方にある森の奥だ。歩いて五時間ほどだし大した距離じゃない。どうせなら歩いたら?」

 

「「嫌だね」」

 

(マジかよ……ツイてねぇってレベルじゃねぇぞ……)

 

無理矢理握らされたチップと呼ぶには多すぎる金。

かけられる威圧、笑いかける巨漢。

しかも最悪な事にこの物騒な客はもう乗車してしまっている。

 

「はぁ……仕方ねぇか」

 

「お、言ったな?二言は無しだぜ」

 

人間、諦めが肝心だ。

住所をナビに入力、心を仕事モードに、足をアクセルに。

後は野となれ山となれ、だ。

家々が飛ぶように過ぎ去っていく外の景色を見ながら男が笑う。

 

「ったく助かった。実はあんたで十二人目なんだよ。どいつもこいつも彼処にだけは行きたくないだ、他の自殺の名所を教えてやるからそこにしろだっつって逃げちまう。とんだバカチン野郎どもだぜ」

 

「マスターの言う通りだ。アヴァロンに連れてけって言ってるわけでもねぇのによ」

 

タクシーの運転手は顔を引き攣らせ、なるべく彼らの目を見ないように笑う。

それはそうだ。

梟の館と言えばここらの人間なら誰でも知っている超危険スポット。

ブカレストのチンピラですら胆試しのリストから外すくらいなのだ。

あんな森の奥に行きたきゃハリー・ポッターにでも頼めばいい。

運転手もチップと生来の頼まれたら断れない性格がなければ絶対に断っていた。

 

「にしてもあんたら変わった組み合わせだよな。もしかして誘拐の真っ最中?」

 

「あん?こいつをか?」

 

驚いたように後ろを指す男。

後部座席にて天井をぼんやりと眺めていた少女が爆笑する。

 

「はっは!おいオッサン、オレが誘拐されるようなタマに見えるのか?」

 

見えない。

見えないが一応の確認である。

どっちかというと二人組の悪党という印象の方がしっくりくるとは流石に言えなかった。

 

「んじゃあんたらはあーその……あんな僻地に一体何をしに?」

 

お願いだから麻薬取引とか言い出さないでくれよ。

そう懇願しながらの質問、面倒事はゴメンだ。

しかし、人が寄らない場所でする事といったらそれくらいしか運転手は思いつかなかった。

 

「飲み仲間の知り合いとちょっとした取引をな」

 

「やっぱり麻薬取引か……」

 

「いや違ぇよ!?つかなんだよやっぱりって。誰も麻薬とは言ってねぇだろ」

 

うんざりといった具合の男。

どうやら早とちりだったらしい。

 

「……すまねぇ。あんたら如何にもそれっぽいからよ、麻薬の密売人かと思った。場所も場所だし」

 

「話し合いだよ話し合い。予定通りこっちに着いたは良いが一切コンタクト無しでな?時間もない事だし、わざわざ此方から会いに行くしかないって感じだ」

 

話し合い?

わざわざあんな所で?

 

「メールなり電話なりでビジネスホテルに呼び出しゃいいじゃねぇか」

 

「連絡先を知らねぇしホテルもあまり好きじゃねぇ。まるごと爆破される可能性がある」

 

あってたまるかそんな可能性。

内心そう吐き捨てる。

まったく一体全体何をどうしたらそんな発想に行き着くのか謎だが、男はそう信じきってやまないらしい。

 

「でもよ、梟の館っつったら廃墟だぜ?あんたらを出迎える暖かいベッドも美味しいステーキもない。言っとくが帰りは徒歩で帰れよ、あそこで夜を明かすのだけはゴメンだからな」

 

ただでさえ日が暮れるまでに着くかどうかなのだ。

話し合いが終わるまであんな不気味な森で待ちぼうけなど御免被る。

 

「廃墟?っかしーな俺は住んでるって聞いたんだが」

 

「冗談だろうよ。彼処は館に住む一族が黒死病(ペスト)で絶えてからずっと誰も住んでない筈だぜ」

 

確かに国有地ではないから土地は誰かしら所有している可能性はある。

しかしわざわざ彼処に住むという選択は運転手には信じがたい話だった。

 

「まぁそれはいいや、どうせ着けば分かることだしな。それよりもウチの王様が退屈そうなのが問題でね。着くまでなんか面白い話でも聞かせてくれよ」

 

そんなことを宣う巨漢に、運転手は本日最大の溜め息を吐くことになった。

 

 

 

2

 

 

 

 

召喚されてから三日が過ぎた。

黒のサーヴァントの襲撃や赤側からの接触もない、何て事のない日々ではあったが赤のアーチャー(アタランテ)は早速悩みの種を抱えていた。

 

悩みの種とは言わずもがな、部屋を徘徊しながらブツブツ呟く親愛なる我がマスター、アレイスター=クロウリーに他ならない。

 

「今度はウクライナ人主催の魔のテキーラおっぱい地獄にしようかな……いやムラムラしてるし遠出をしてロシア系の抜きギャバに行くのも……うーん妥協するくらいなら折角ルーマニアにいるのだし、本場のエロマッサージで日頃の疲れを癒すのもいいかな?深夜のブカレストで立ちんぼ探すのも面倒臭いし」

 

直接的かつ卑猥な内容に頭痛を覚える。

行動を共にしていて分かったことだが、この少女は酷く破天荒だ。

朝早くに起きたかと思えば館を飛び出しルーマニア各地の酒場を巡る。

そして浴びるように酒を飲み干し、ブカレストのチンピラと法外な額の賭博をしては泥酔したまま風俗街に消えていく。

まさに負のルーティンであった。

もちろん、ダメダメ中年親父のような生活習慣に付き合わされたアーチャーとしては堪ったものではない。

 

「なぁマスター、酒を飲むのはいい。ギャンブルも勝っている限り文句は言わない。だから頼む。お願いだから風俗とやらに行くのだけは勘弁してくれないか?」

 

「は?何故だ?」

 

朝日はどちらから昇りますか?と聞かれたとてこんな顔はしないだろう。

こちらの意図を図りかねるといった様子のアレイスターにアーチャーは抗議の意を込めて続ける。

 

「あのな?同性の胸を揉んだり接吻をしたりする趣味は、悪いが私にはない。いつも隣で私がどんな思いをして座っているか分かるか?端的に言うと全体的に悲しいのだ!絵面が!」

 

「いつも言っているだろ。あれはだな」

 

あぁその先は分かっているとも。

またお得意の詭弁が出るのだ。

あれは女の身体の神秘を介した儀式だとか、欲望を制御する精神統一修行だとか。

故にアーチャーは鬱陶しそうに耳を押さえる銀の少女の言葉を遮る。

 

「言い訳は聞き飽きているからいい。とにかく魔術だか何だか知らんが汝は不埒に過ぎるのだ。それに仮にも私は月の女神に純潔を誓った身、ああいう場所は好まない」

 

「なら私の欲求不満はどうしてくれる?誰が解消する?まさかとは思うが、こんな陰気臭い館に引きこもって読書でもしていろと?」

 

そもそもその陰気臭い館を作り上げたのは誰だ。

そんな言葉を飲み込んでアーチャーは冷静に諭すことに全力を注ぐ。

 

「欲求不満は適度な運動でもして解消すればよかろ。ランニングなら私も微力ながら共に走ってやれる。これでも競走は得意なのだ」

 

「君は馬鹿かね。こっちは体を動かすんじゃなくて綺麗な女の子と話しながらおっぱいが揉みたいんだと言っている」

 

あっさりとこちらの提案は却下。

揉みたい揉みたいと駄々をこねる様はまさに我が儘な赤ん坊の如く。

元々子供は好きな方なのだが、このマセガキ(アレイスター)に関しては殺意すら湧く。

 

「そんなに胸が揉みたいなら自分の胸でも揉んでれば良いであろうが!なぜ金を払ってまで他所の胸を揉もうとするのだ!」

 

「揉み心地が良い故に!……なぁ。おっパブに行くのを止めるなら君が私を抱いてくれよ?」

 

「は?」

 

掛け値なしに固まるアーチャー。

この腐れマスターは自身を純潔の狩人と知った上で言っているのか?

ならばそれはアーチャーにとってこの上ない侮辱である。

本来なら二度とそんな口がきけないように自慢の足で蹴り抜いてやるのだが、それよりも先にこの年頃の少女から出るとは思えない単語に意識を奪われそうになった。

見たくないはないものの、見やると答えを待つギラギラした瞳。

本気も本気、マジであった。

 

「こっちは女の身体を試してみたくてウズウズしているんだ。潮吹きや貝合わせに壺洗い、頭で処理しきれず失神する快楽。女性同士の方が気持ちの良い所を熟知しているんだろう?」

 

想像を絶する下ネタの連呼。

もう限界だ。

ジリジリ迫るアレイスターに己の貞操の危機を感じ、強烈な蹴りをその小さな体に叩きこむ。

 

ただでさえある体格差。

 

しかもサーヴァントの力で蹴り上げた。

小柄な少女の体は二十メートルほどポーンとバウンド無しに飛んでいく。

 

「ふーむ体格差が違うとこうも吹き飛ぶものなのか?いや今のは純粋にサーヴァントと人間の膂力の違いという事なのか。いやそれにしても痛みという感覚は悪くない。確か女性体は出産に備えて男性体より多くの脳内物質や自家麻酔を分泌できるという論文があったな」

 

ダメージを感じさせることのない軽やかさで体を捻りふわりと優雅に着地をするとアレイスターは言う。

忌々しいことにこの腐れマスターはゴキブリ並みにしぶといのだった。

まぁお陰でこちらも遠慮なく蹴りをいれられるのだが。

 

「茶番はいい。それで?どうして共闘を断ったのだ。ユグドミレニアは完全に一枚岩で来るぞ。彼処は我慢して手を組んでいた方が良かったのではないか?」

 

こてん、と可愛らしく銀の少女が首をかしげる。

 

「ん?君は自分のマスターをヤク漬けにしようとする輩とニコニコ手を取り合うというのかね。変わった性癖だ」

 

「…どういう事だ?」

 

「昔シチリアで麻薬や性魔術を応用した悪魔的な儀式を繰り返していたことがあってね。世間から厳しいバッシングにあう位にはドラッグに精通している。有り体に言うとその手の毒の匂いには酷く鼻が利くんだよ。あの扉の奥と幽かにアサシンから漂う匂いに思い当たる節があった。いやはや味方を名乗るくせに現実と妄想の区別もつかなくなる香を焚くのは如何なものかね」

 

教会で赤のアサシン(セミラミス)の匂いをしきりに嗅いでいたアレイスターを思い出す。

あれは単に彼女の性癖が爆発しただけかと思っていたがそうではなかったらしい。

確かに言われてみれば妙な匂いはずっとしていた。

だがそれは教会独特の匂いだと気にも止めていなかったのだ。

 

「私の真名を偽ったのは?」

 

「名前というものには必ず価値がある。敵か味方かも分からない内にそう簡単に教えるものかよ」

 

それにだ、とアレイスターは続ける。

 

「前提条件として人間は嘘で出来ている。表に出る正の感情や行動には必ず裏がある。信用できるのは負の感情くらいなものだ。憎悪や殺意などは偽りなき真実を我々に導いてくれる」

 

そこまで言ってアレイスターは近くに転がっている酒瓶を手にすると、残っていた蜜酒をごくごくラッパ飲みする。

 

「要はニコニコしている奴なんか底無しの馬鹿か、良からぬ事を企んでいる奸物しかいないというわけだな。私が言うんだ、間違いない。そしてそのどちらだったとしても背を預けるのは御免だ」

 

アーチャーは呆れ顔になりながらも感心する。

どうやらこの変態、己に降りかかる災難を潜り抜ける才能は持ち合わせているらしい。

その偽りを見抜く冷静さ、洞察力、幅広い知識は本物だ。

 

「さて私は答えたぞ?そっちは何故賛成した。君の言葉から察するに彼らといた方がメリットがあると考えていたのだろう?何故、あっさり私に着いてきた?」

 

「マスターの意見に従うのはサーヴァントとして当然のことであろ?」

 

「それでは先生に指示されたから絵を描きましたという幼稚園児と同じだ」

 

そう言って銀の少女は首を横に振る。

アーチャーの回答はお気に召さないと言わんばかりだ。

 

「君は己の思考を働かせる事もなく、何の根拠もなしに全ての決定権を他者に委ねるようなタマじゃないだろ。着いて来たのにはそれなりの理由があった筈だ」

 

本当に変態の癖に頭は回る奴だ。

聖杯大戦においては喜ぶべき事なのかもしれないが。

 

「……あの二人からは陰謀や血と暴力の匂いが漂ってきた。ああいう輩は好かん」

 

「直感、いや野生の勘と言った方がこの場合は正しいのかね。いや、結構結構。直感に優れた者は多々いれどそれに己を預けられるものは少ない。私は良いサーヴァントを持った」

 

アーチャーはニマニマと嗤う銀の少女から顔を背け嘆息する。

個人の好き嫌いに拘らず、アレイスターの人との接し方は不器用と言わざるを得ないだろう。

恐らくはその事で多大な損を被ってきた筈なのに、この魔術師はブレない。

 

「まぁそんなことはどうでもいい。それよりこれを見てくれ」

 

徐にスマホで何やら操作し始める銀の少女。

連動するように部屋の端に置いてあったコピープリンターが起動するのを見てアタランテが眉を顰める。

 

「それはなんだマスター」

 

「コピープリンターというものでな。本や書類を印刷する機械だ。しかも最近のは便利で写真も現像出来る」

 

言葉通りコピープリンターが吐き出した用紙には何処かの場所を空から撮った写真が現像されている。

だが、かなり遠くから撮ったらしく全体像がハッキリしていても細部まではよくわからない。

 

「これは?」

 

「分からないかね?あのいけすかない糞教会をドローンで真上から撮った写真だ。相手に見つかるリスクは高かったが良いものが撮れた」

 

実際、上空から写真を撮れるかどうかは賭けだっただろう。

下手に魔術で隠蔽すればアサシンが察知し叩き落とすだろうし、そうでなくとも鳩に扮した使い魔に破壊される恐れがあったのだから。

どうやら今回は敢えて魔術を使わないことが功を奏したようであった。

 

しかしそこまでした割には、肝心の教会がボヤけていて見えない。

 

「撮るのが遠すぎたのではないか?教会が辛うじて見えるかどうかでは撮った意味もあるまい」

 

「いいや?これで『全部』だ」

 

パチン!!

指を鳴らすと何処からともなくカードの束が飛んでくる。

銀の少女はその中から女教皇のカードを抜き取るとそれを写真に翳した。

 

「我、言語と文法を紡ぎ陣を描く者。魔力を練り上げ知識を基盤に彼方を幻想する。深淵の理をヴェールで覆いし者よ。魔術の真髄を見せよ。今こそ学問と真理がもたらす闇を拭い、才無き者にありのままの世界をありのままに映し出せ」

 

二人が食い入るように写真を見つめる中、空気が変わった。

温度が下がり、心なしか肌寒くなってくる。

 

「いいか?目に見えるものに騙されるなよアーチャー。目というものは非常に単純で錯覚を起こしやすい。私からすれば目など有って無いようなものだ。まぁ悲しい事に目に見えるものこそ真実そのもの、などと甚だしい勘違いをした愚か者もいるがね」

 

写真にも変化が生じ始める。

大多数が森を占める教会の写真にボンヤリと何かが浮かび上がってきたのだ。

森の代わりに数十の建築物が立ち並び、写真の印象をガラリと変える。

 

────それは要塞だった。

 

しかもギリシャの大神殿を想起させるほどの規模、アサシンのクラスの宝具だとはとても思えない。

 

「流石は女帝セミラミス、超弩級の宝具だな?恐らくバビロンの空中庭園を宝具へと昇華したものだろう」

 

まさに破格の宝具、これでも同じ英霊なのだろうか。

それに全てを結界で包み秘匿する魔術も目を見張るものがある。

 

「ちょっと待て……空に浮かぶと言うのか?これが!?」

 

「多分、な」

 

滅茶苦茶だ。

逆にここまで派手にやってくれるとかえって清々しさすらある。

 

「ここは大丈夫なのか?この規模の要塞に攻められたらひとたまりもないぞ」

 

「問題ない。その事も考えて館の周囲は現実のものから位相をズらしていてな?私が設定した匂い付きの者しかこの館に入れないようになっている。だから……ん?」

 

ブゥン!!

いきなり空中に直接現れる四角い画面。

UNKNOWN INTRUDERと表示されるそれを見てアレイスターは眉を潜める。

 

「侵入者だと?馬鹿な、どうやってここに入った」

 

「言っているそばからこれか。まったく大した防衛網だな」

 

アーチャーに鼻で笑われ、銀の少女はムスッとしつつ画面を操作する。

 

「侵入者の座標を抽出。場所は……正門か」

 

画面が切り替わりこの館の正門前が映し出される。

梟の館、その正面に堂々と立つ二名の男女。

顔の疵痕、剃刀のような目つき、筋骨隆々とした肉体の巨漢。

そして物々しい鎧に身を包んだ二十歳にも満たない剣士。

 

「……サーヴァントか」

 

あれからは人間ではありえない特有の気配がする。

サーヴァント同士はある程度の距離であれば互いの距離を感知する能力を持つのだ。

 

「恐らくあれはセイバーだろう。ステータスが群を抜いて高い」

 

銀の少女の言葉に思わず舌打ちする。

セイバーは三騎士の一角にしてバランスが取れた能力から「最優」と称されるクラスだ。

魔力を除いた能力値が軒並み水準以上、その優秀さは過去に行われた冬木の聖杯戦争全てにおいて最後まで残ってた事を鑑みても単体でも十二分に脅威である。

おまけに敵はもはや目と鼻の先で衝突は免れない。

そんな中、銀の少女は何故か苦笑していた。

 

「なるほどなるほど。匂いのキーコードは蒼崎橙子、と。まったくあいつも余計な事をしてくれる」

 

よっこらせ、とソファーから腰を上げて。

 

「アーチャー。面倒なことに知人の知り合いのようでな?話も聞かずに叩けば後が怖い。仕方ないがお客様を迎えに出るぞ」

 

 

 

 

3

 

 

 

「そら。もうすぐ着くぜクソッタレ」

 

鬱蒼とした森の中、隣でハンドルを切った運転手が呟く。

密集した木々の間を辛うじて抜け、苔や雑草が生い茂る獣道を無理矢理引き潰して車は進んでいた。

実際にタクシーに乗った時間は三時間くらいだろう。

途中で渋滞に合ったのもそうだが、森に着いてから道が悪く遅々として進まなかった。

まぁその間に幾つか面白い話も聞けたから良しとする。

 

「へぇ……あれが」

 

歴史を感じさせる荘厳な門がここからでも見える。

そしてその奥にある広大な面積を有する館の全貌も。

赤の煉瓦で出来たそれは蔦と苔によってすっかり色褪せてしまっていた。

門の前、少し開けた場所にて車が止まる。

 

「おい、出るぞセイバー」

 

「ぅん……あぁ、もう着いたのか」

 

あーよく寝た、と背を伸ばす少女こそ『(ロート)のセイバー』モードレッド。

今回、獅子刧の相棒足るサーヴァントだ。

どうやらかの叛逆の騎士様はいつの間にか寝ていらっしゃったらしい。

わざわざこいつの為に色々話を聞かせてくれた運転手に謝罪の意を込めて、タクシー代を多めに払う。

今日はとにかくツイていない。

 

「いや、そりゃ昨日もか」

 

昨日の夜まで辛うじて形を保っていたブリテンの円卓の木くずを未練がまし気に眺めて獅子劫は溜息を吐く。

 

「何時までその一銭にもならんモンを持ってるつもりだマスター?」

 

面白がるような声。

先に出たセイバーに獅子刧は愚痴るように言う。

 

「……お前さんが粉々にするまでは俺の全財産と同じかそれ以上の価値があったんだよ」

 

霊体化を嫌っているのか召喚してからずっと現界し続けている己のサーヴァント。

こいつはなんと召喚して直ぐに、己の触媒がブリテンの円卓と気づくや木っ端にしてしまったのだ。

 

「でも今はただの木くずだ」

 

悪びれもしないセイバーに再び溜息を吐く獅子劫。

 

「ここまで壊れてたら誰も買い取ってくれねぇよなぁ…ま、しゃーねぇわな」

 

この事は聖杯を手に入れてからでもまた考えればいいと道端に木屑を撒くべく外に出てーーー暫し絶句する。

 

(……なんだよこりゃ)

 

まず生き物の息遣い、風の音といった環境音がまったくしない。

そのくせ、あちらこちらから無数の視線が感じられるのだ。

重く立ち込める静寂、粘ついた空気。

周辺住民が近づきたがらないワケだ。

土地も空気も穢れているこの空間では普通の人間や低級の魔術師はその悪影響をモロに受けてしまう。

魔術師の獅子刧やサーヴァントであるセイバーは大丈夫として、一般人であるタクシーの運転手は不味い。

 

「すまねぇなタクシーの兄ちゃん、これはとっとと帰った方がいいわ」

 

言われなくてもそうするわ、という捨て台詞と共にタクシーが再度急発進。

車が見えなくなるのを見届けると獅子刧は目を閉じ、この地の霊脈と一時的な同調を行う。

 

途端に流れ込んでくる激痛、怨嗟、慟哭、憎悪。

 

怨みを呑んで死んだ人間は念として残る事が多い。

そしてそれを生きた人間が整えて呪いという形に昇華させるのだ。

 

「とんでもねぇな、何人ぶっ殺したらここまで念が溜まるんだ?」

 

話には聞いていたが正直強い念を残して亡くなった人間がここまで多いとは驚きだ。

獅子刧は死霊魔術師(ネクロマンサー)という立場上、この手のことには詳しい。

だからこそ普通の魔術師よりもことさらこの館の異質さを理解できる。

念の強い低級霊だけで数十、、、形のない怨念めいたモノまで加えれば優に数百は超えるだろうか。

しかも術式の構成を見るに互いの霊を呪縛させることで容易に念を薄れさせないようにまでしている。

霊魂という目に見えない存在を虚数と仮定して数式で縛る効率の歪さ。

 

「これを考えついた奴は悪魔的天才だな」

 

そして稀に見るクソ野郎でもある。

これを見ても何も感じない様子の王様が羨ましい。

 

「ちょいと念の為だ、兜を着けろセイバー」

 

「分かった」

 

前言撤回、セイバーも何か異質なモノを感じていたのだろう。

息苦しくて嫌いと言っていたわりに文句もなくラフな軽装の上から鎧を顕現させ、兜も被る。

 

「それにしても何もねぇな」

 

獅子劫は違う意見だった。

確かに形だけ見れば本当に何もない場所だ。

門を潜って中に入るとそこかしこに雑草が生い茂って茂みと化しているので随分長く手入れをしていないのが分かる。

 

しかし、こんな古ぼけた館も専門家が見れば、その真の特性は嫌というほど判る。

 

眺めただけでざっと十以上の妨害や探知の術式を織り交ぜた防壁が幾重にも張り巡らされている。

おまけにどういう理屈か、外と隔絶された空間は半ば異界と化していた。

 

(あいつには感謝しなきゃな)

 

手元の『煙龍』と書かれた煙草を見る。

恐らく外敵と認識されていないのはこれがあったからだろう。

でなければ館の術式群が意図的に対象から獅子劫達を外す理由はない。

 

────ガチャリッ

 

館の正面玄関が開く。

 

「グーテンターク!真綿の地獄へようこそイエローモンキー君!橙子から話は聞いているよ」

 

中から出てきた少女を見て、獅子劫は度肝を抜かれる。

日本人ならテレビで一回は見る顔。

こりゃなんの冗談だと空にでも向かって叫びたい気分だった。

 

「……仮にも大企業の敏腕美少女社長様なら礼儀の一つくらい出来ると思っていたが?それにあんたドイツ人でもないだろ。なぁアレイスター=クロウリーさんよ」

 

「おや?私の事を知っているのかね。いやはや有名人というのも困り者だな」

 

口ではそう言っているが少しもそんなこと思っていないのは態度を見れば分かる。

テレビ出演の数もそうだが目立ちたがり屋なのだろうか。

 

「俺は獅子劫界離、フリーランスの死霊魔術師をやっていて今は赤のセイバーのマスターだ」

 

自己紹介に応じたアレイスターがすっと手を差し出す。

 

「元官能小説家で今は……って私の事を知っているなら自己紹介は不要かな?アレイスター=クロウリーだ。どこぞのヘビースモーカーのお陰で今は赤のアーチャーのマスターをやっている。どうぞよろしく」

 

見た目と違って食えない女だと獅子劫は思う。

握手を求める少女のその後ろ、暗がりで奥は見えないがずっと此方を伺う気配が一つある。

十中八九サーヴァントだ。

 

「どうかしたのかね?」

 

此方を蕩けさせるような甘い微笑み。

どこか泥沼を思わせるそれに獅子劫はゾクッとする。

何か下手な動きをすれば迎撃する、そういうことだろう。

 

「いや何でもない。此方こそ、どうぞよろしく」

 

まるで脅迫のような手口に内心苦笑しつつ、獅子劫はその手を握り返した。

 

 

 

 

4

 

 

 

獅子劫達が通されたのは小洒落たバーのような一室だった。

その豪華な内装はかなり金をかけていると言えるだろう。

ソファーも十人以上座れる大きな物だし、部屋の奥にはバーのカウンターらしきものまである。

 

「すげぇな。この羽振りの良さは成金ならではって所かね」

 

カウンター席から酒瓶とグラスを幾つか抱えて持ってきたアレイスターが隣にちょこんと座ると笑う。

 

「成金、ね。間違ってはいないが些か不本意だな。ここは我が社の試作品運用試験の為という名目で確保しただけの、言わば仮の拠点だ。潰されてもすぐに次の霊脈のある土地に移れるよう、これでも内装には金をかけていない。人並みに質素だと自負しているよ」

 

「質素って単語を辞書で調べ直してこい。これが質素だったら俺の実家はあばら家か何かだ」

 

実際そうだろう。

張り合ってもしょうがないことだが、元々獅子劫の家もそれなり以上に財を蓄えた一族ではある。

そんな獅子劫家の屋敷と同じかそれ以上の広大な土地を手に入れ、あまつさえ使い潰す気でいるというのは並大抵の財力では考えられない。

 

「あんたのマスター金持ちで良いなぁ。こっちなんて地下墓地(カタコンべ)だぜ?ベッドも風呂もなくて、シャワーと寝袋二つ。やってらんねぇよ」

 

「ほう。なら変わるか?この腐れマスターはいつも酔ってそこらに吐瀉物を撒き、それを私に掃除させる。おまけに同性愛を拗らせていて、しょっちゅう胸や尻を揉もうとしてくるが……まぁそれでも温い風呂に入れて暖かいベッドでは寝れるぞ」

 

「……お前も大変だな」

 

サーヴァント達がそれぞれ己の不遇を嘆きあっているのを特技聞いてないフリで流しつつ獅子劫は話を続ける。

 

「もう教会には行ったんだよな」

 

「あぁ。胡散臭いことこの上なかったから共闘は丁重にお断りさせて貰ったがね」

 

そう言って肩を竦める銀の少女。

 

「っはは!だろうな。あいつらキレてたぞ?協調性のない小娘が一人独断行動をとっているって」

 

「ここにいるということは君もそうだろう。ホイホイついていけば君とて無事じゃ済まなかった筈だ。何せ連中、味方にドラッグサロンを提供する癖があるみたいだからな」

 

その言葉に唖然とする。

何やらイヤな予感はしていたがまさか味方に毒まで盛るとは。

セイバーの直感を信じて本当に良かったと今更ながらホッと胸を撫で下ろす。

 

「ということは……あー他の連中は全滅かね?」

 

「聖杯大戦から脱落という意味ならな。あの毒ならヴァルハラ行きは免れるだろうが、戦線復帰は絶望的だ」

 

獅子劫は思わず頭を抱える。

どいつもこいつも此方の連絡に返事一つ寄越さない理由がこんなところで分かるとは。

確かにその状況なら電話ボックスまで行くのはさぞ困難なことだろう。

 

「まったく聖杯大戦初っぱなから随分な出だしじゃねぇか。どうすんだよこれ」

 

「まだ大丈夫だろう。今回の聖杯戦争は通常のバトルロワイヤル方式ではなく、同じ陣営に属する他の組との連携が求められるチーム戦だ。基本的に此方が赤陣営として行動している間は下手に仕掛けては来ないだろう。連中とてユグドミレニアが邪魔なのは同じだからな」

 

そう言って酒瓶を豪快にラッパ飲みする銀の少女。

若い飲み方だ。

この調子では明日もこいつのサーヴァントは吐瀉物処理に追われるに違いない。

獅子劫も見るからに高そうな年代物のスコッチを開けてグラスに注ぐ。

どうにも幸先は良くない、飲まなきゃやってられないというやつだ。

 

「そういや聞いたか?今回の聖杯戦争もルーラーが召喚されたらしいぜ」

 

「るーらー?何だそれは」

 

アレイスターが怪訝そうに眉を潜める。

 

「何だ知らんのか。十五体目のマスターを持たないサーヴァントだよ。そして聖杯戦争の絶対管理者でもある。あぁ俺にあまり詳しい説明を求めるなよ?ルーラーに関する情報は大聖杯で厳重に秘匿されているのか詳しい情報は分からねぇ。分かっている事と言えばルーラーってのは『現世に何の望みもない事』『特定の勢力に加担しない事』が絶対条件で基本的にどの陣営にも組しない事と他の十四騎のサーヴァントへの令呪を二画ずつ持っている事くらいだ」

 

ルーラーとはエクストラクラスの一つである「裁定者」の英霊だ。

聖杯自身に召喚され、『聖杯戦争』という概念そのものを守るために動く存在。

部外者である一般人を巻き込んだり、聖杯戦争そのものが成立しなくなるような事態を防ぐために用意されている装置の一つというのが通説ではある。

 

「十五体目のサーヴァントだと?大体管理者なんぞがいて『戦争』が成立するのか?殺し合いにルールを設けるなど馬鹿げている」

 

アレイスターは明らかに不満気で、甘っちょろいルールにほとほと呆れているといった様子だ。

煙草を咥えて獅子劫はにんまりと嗤う。

 

「一騎と一騎が殺し合うだけで周囲の建物が吹き飛ぶんだ。それが七騎と七騎の全面戦争に発展している。その保険は当然だろう?」

 

サーヴァントは一夜で街一つ滅ぼす事の出来る規格外の戦力だ。

それが十四体。

思い思いに暴れ出したら手に負える負えないの騒ぎではない。

多分、一週間もしない内にルーマニアは国としての機能を失わざるを得ないだろう。

だかそれでもまだ銀の少女は納得がいっていないらしい。

酒瓶をとっとと空にした彼女は新しく蜜酒の瓶を開け自分のグラスに注ぎ始める。

 

「君の話だとまるで前にも召喚されたような口ぶりだな。まさか前例があるのか?」

 

「あーそっかそっか。前にルーラーが召喚されたのは過去において行われた第三次聖杯戦争だ。つまり大聖杯を使った前の冬木の聖杯戦争なんだよ。それにあの戦争は不可解な事も多すぎるし何よりも半世紀以上も前の話だからな。亜種聖杯戦争が出回っている昨今、知らないのも無理はない」

 

煙を吐きながらカリカリと頭をかく獅子劫。

考えてみれば、自分もべルフェバンからあらかじめ説明されていなかったらその程度の知識だっただろう。

 

「まぁそれは良いんだ。問題なのはルーラーがいるってのに赤の陣営が早速内輪揉めをやらかしてる状況だ。黒の方はその点、縦社会だろうから最初の方は一丸となって此方を攻めてくる。今のところ俺達が単独撃破される確率が最も高い」

 

「何が言いたい」

 

どうやら向こうは回りくどい話が苦手のようだ。

仕切り直すようにゴホンと咳を一つ。

酔いも回ってきた所で獅子劫も漸く本題に入る踏ん切りがつく。

 

「悪い悪い。どうにも俺は遠回しに言うのは苦手らしくてな……率直に言う。俺と組まないか?」

 

グラスを揺らしてその芳香を楽しんでいたアレイスターがじろりと獅子劫を見返した。

いつの間にか外野で騒いでいたサーヴァント達も黙り込んで事の行く末を見守っている。

獅子劫としては、いの一番に口を出してくるかと思っていたモードレッドが何も言わないのは少々意外ではあった。

まぁ余程危険な状況でもない限り基本方針は獅子劫に任せたということなのだろう。

 

「もちろん手を組むという話は最後までじゃない。この黒と赤の陣営の戦いは七人になるまで殺し合うと一区切りつく。いわゆるネクストステージってやつさ。聖杯を手にするのが一組と決まっている以上、基本ルールは他の聖杯戦争と変わらないっていうのがこの聖杯大戦のミソだ。今がカオスな状況であろうと生き残りが七人まで減った時、赤だの黒だの関係なくその七人で新たな聖杯戦争をする事になる」

 

それを聞いたアレイスターは獅子劫の意図が読めたらしく、なるほどねと呟いた。

呑み込みが早いことに獅子劫は安堵する。

聡明である事は懸命だ。中途半端に頭が切れる馬鹿よりよっぽど信頼を置きやすい。

 

「もうわかってくれたと思うが、俺達が手を組むのは黒と赤の陣営の戦いまでだ。ネクストステージからはそれまでの協力関係は無しで構わねぇ」

 

銀の少女の口元が意地悪に歪む。

 

「君の言っている事は分かった。だが状況が状況だ。味方同士で化かし合いが始まっている以上、もはや口約束は信用できない。信用してくださいという言葉一つではあまりに心許ないのだ。どうせなら私が君を信用するに足る誠意を示してくれたまえよ」

 

「言うと思ったぜ。これでどうだ?」

 

獅子劫はいそいそとリュックから紙を取り出す。

紙には彼の血液で描かれた複雑な記号が記されている。

 

「ほう?」

 

その紙の登場には流石のアレイスターも度肝を抜かれたらしい。

 

 

「────『自己強制証明(セルフギアス・スクロール)』……そう来たか」

 

自己強制証明(セルフギアス・スクロール)

 

権謀術数の入り乱れる魔術師の世界において、決して違約不可能な取り決めをする時にのみ使用される、最も容赦のない呪術契約の一つ。

自らの魔術刻印の機能を用いて術者本人に掛けられる強制の呪いは、如何なる手段を用いても解除不可能である上に死後の魂まで束縛する。

 

「ビンゴ!物分かりが良くて助かるぜ。内容は先程話した通りだ。契約者とそのサーヴァントは互いのマスター及びそのサーヴァントに対しての攻撃、妨害、そして裏切りを一切禁ずる。これならお互いゲスな勘繰りをせずとも羽を伸ばして存分に戦える。中々の好条件であると思うが?」

 

渡された『自己強制証明(セルフギアス・スクロール)』を銀の少女はしげしげと見つめる。

そして紙に書いてある内容に抜け道やおかしな点が無いことを確認するとひょいと気軽に左手の人差し指を翳した。

ぴっ、と幼い少女の病的に白い人差し指に小さな傷が生じ、そこから一粒の赤い雫が落ちる。

 

それは吸い込まれるように紙に落ちると、あっという間にエドワード=アレクサンダー=クロウリーというローマ字綴りのサインに変化した。

 

「安心したね。どうやら俺の誠意ってヤツは伝わったらしい」

 

「くっくっくっ、あっはっはっは!!!君、意外と食えないなあ!イエローモンキーと言った事は謝罪しよう」

 

調子が狂ったように鼻をかいたアレイスターが呵呵大笑する。

サプライズを気に入ってくれたようで何よりだ。

掲げられるグラス。

 

「さて話も済んだし夜も遅い。とりあえず信用に値する我々の同盟に乾杯といこう」

 

 

 

 

 

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