Fate/Apocrypha beast~TS変態オヤジの聖杯大戦~   作:あんぱんくん

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アタランテ姉さん空気の回


No.004 ハンプティ・ダンプティ

1

 

 

 

────ルーマニアのトゥリファスから十キロ付近のある村のカメラより。

 

ザッザッザッザッザッ!!

 

のどかな田舎の農村に響く統率の取れた無数の足音。

まったく麗しの喫煙タイムが台無しだ。

木霊するそれに耳を傾ながらニックは自分と同様に隣で煙草を吹かしている同僚に声をかける。

 

「ったく仰々しい連中だな。大勢挙って何しに来たってんだ?」

 

「応援だってよ。山の不審者の件で中央の連中が珍しく協力態勢を申し出たんだと」

 

聞きなれない単語の登場、おまけに不穏だ。

 

「山の不審者?なんだそりゃ」

 

「おお友よ、こいつは今朝の会議で出されたばかりの話だぞ。お前の頭はニワトリとどっこいなのか?」

 

そこまで言われてようやく納得する。

知らなくて当然だ。

だって今日起きたのは10時過ぎなのだから。

 

「お前そりゃ会議に出てればの話だろ?」

 

「今日もバッチリ重役出勤か」

 

俺ァなんでお前が未だにクビにならないのか不思議でならないよ。

呆れるように呟く同僚の言葉に笑いかける。

 

「それだけ我らが祖国は平穏なんだよ。まぁそれは良いじゃねぇか。後で上司に空っぽの頭を下げれば済む話なんだし。んで?なんだってんだ今回は」

 

「ん?あぁなんだったか……そうあれは────」

 

同僚が口にした話は衝撃的だった。

元々この案件は二日前に山から降りてきた猟師によってもたらされた通報だったらしい。

内容は、剣を持った巨大な男が道にある物全てを薙ぎ払いながら一直線にこの街に向かっているというモノ。

謎の巨漢の存在は普段から噂話好きの村人達の脳の中であっという間に最近ルーマニアに出没しているという殺人鬼と結び付けられた。

そこまでは良い。

噂話とセックスくらいしかやることの無い田舎者には重要な娯楽だとニックも理解している。

問題はそれを大真面目に信じた署長が他の街の警察署に応援要請をしたり、争い事に疎い村長がわざわざ傭兵を呼びつけた事である。

 

「どいつもこいつも相手を怪獣かなんかと勘違いしてねぇか?見ろよあの傭兵の得物を。ガトリング銃だ。口径が二十ミリはあるぜ」

 

同僚が顎で指した先では、村長が連れてきた傭兵の一人がデカい鉄の塊を地面に杭打機で固定していた。

全長二メートルはあろうかという銃身は三つほどを一つのリングで束ねてある。

ニックはそれがトリガーを人差し指で引くものではなく、安全性カバーの着いた親指で押す類のものであると気づき目を丸くした。

 

「信じられねぇ…毎分四千発はぶっ放せる代物だぞアレ。花火大会じゃねぇんだ、何考えてやがる」

 

他にも村の入り口に止められた複数の特殊車両から武装した警官達が次々と出てきて傭兵の横で隊列を組んでいる。

装備や身のこなしを見るに何らかの特殊部隊なのは間違いない。

 

「おいおい…相手は人間一人だろう?」

 

「もう既に何十人も例の殺人鬼に殺されてんだ。そしてその被害者リストには警察官も載ってる。制服組は意地でもここで〆る気なんだよ」

 

「チクショウ……火消しをやるこっちの身にもなれってんだクソが」

 

そう言ってニックが吸い終わった煙草を踏み消したその時、遠くで村の入り口を見張っていた農民の声が響き渡った。

 

『来たぞッッ!!!』

 

慌てて二人は銃を引き抜き、既に思い思いの武器を構えている警官隊の列に加わる。

緊迫する場に撃鉄を起こす音があちこちで鳴り響く。

 

────そして

 

遅れて標的に向けて銃を構えたニックは思わず銃を取り落としそうになった。

 

「……何だありゃ」

 

入り口に止められていた特殊車両が四方八方にその重量を感じさせないスピードで吹き飛んでいく。

遅れて生じた衝撃波が入り口の土を巻き上げ、視界を塗り潰す。

 

信じられない出来事を目の当たりにし、動揺する警官達の目の前で土煙を裂いて悠然と踏み出てくるものがいた。

 

「ジーザス……」

 

どんな猛獣や戦闘兵器が出て来るかと思っていたニックは思わずそう呟く。

 

通報通り、それは男だった。

 

男を一言で表すのなら、筋肉。

 

青白い全身に数え切れないほどの傷跡を持つ、筋骨隆々とした戦士。

 

そして誰が分かるだろうか。

 

男の無造作に持っている小剣(グラディウス)こそが、先ほどの特殊車両を吹き飛ばした元凶だと。

正確には筋力で薙ぎ払ったというべきだが。

 

「ちっくしょ…なんだってんだ」

 

そうニックが零したと同時に、もう片方の入り口で待機していた二台の特殊車両が警官達を追い抜いていく。

どうやら巨漢を刎ねて無力化しようとしているらしい。

おまけにどうしたことかその頭に戦車の砲塔がついている。

 

(戦争バカのガトリング銃が甘く見えるほどの戦力の投入?流石にやり過ぎだろ)

 

そう思ったニックを責めるものはいないだろう。

まぁその考えは直ぐに払拭されるのだが。

 

「おぉ圧制者よ! 我、汝を抱擁せん!!」

 

新しい玩具を見つけた子供のように目を輝かせた巨漢は突っ込んでくる特殊車両に向かって迎え入れるように両手を開く。

直後に車両と巨漢が激突し、巨漢は言葉通りに車両を『抱擁』した。

驚くことに時速八十キロオーバーで動いていた鉄塊がそれだけで猛進を止める。

 

「雄々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々———!!」

 

アクセルの空吹かす音が響き、巨漢の両腕が咆哮と共に爆発的に膨らんだ。

金属や複合装甲の塊がメキメキとひしゃげていく。

目の前の光景を理解できないニックが言葉を失い、冗談のような出来事に腰を抜かしてへたり込む同僚が見守る中、もう一台の特殊車両が砲塔の照準を抱擁している巨漢に向ける。

 

「バカ野郎ッッ!!!」

 

我に返ったニックが慌てて叫んだ時にはもう遅く、口径88ミリを超える砲塔が鉄の塊を恐ろしい速度で吐き出していた。

直ぐに来るであろう爆発に備えて慌ててしゃがむ警官達。

 

────結果として、その行為は無意味に終わった。

 

ッッッッゴン!!!と。

 

無類の破壊力を生み出すその一撃は、巨漢の鰐の胴体程もある怪腕に打ち返された。

見当違いな方向に飛んでいった砲弾が小さな民家を半壊させ、巨漢が再びむんずと特殊車両を抱き込む。

 

「愛ッ!!愛ッッ!!!!愛ッッッ!!!!!!!!!!」

 

勢いよく背を逸らす事で放たれる豪快な投げ技は、巨漢の体重の何倍もある特殊車両を粉々に粉砕した。

直後、特殊車両のガソリンに引火した事で大爆発が起きる。

被害はそれだけでは収まらなかった。

中に保存されていた銃火器の火薬にまで着火したのか、耳を覆いたくなるような轟音が続けざまに響く。

 

「ちっくしょう!!!どうなってやがんだッッ!!まるでハリウッド映画だ!クソッたれめ!!!!」

 

咄嗟に爆風から顔を守っていたニックはそう叫びながらも指の隙間から、爆風と共に飛び出した巨漢がもう一台の特殊車両に小剣を肘まで突き立てるのを見た。

 

グギギギ……と金属が軋む音が響き渡り、特殊車両が浮き上がる。

 

「あ」

 

特殊車両を焼き鳥の様に突き刺したまま振り上げられた巨漢の腕に思わず素っ頓狂な声が出た。

振り下ろされれば、そのまま痛みを感じる暇もなくニック達は村の家を何件か巻き込んで死ぬだろう。

絶望に思考が支配されかけたその時。

 

「呆けてる場合かッッ!!!!狙い撃ちにしろォォォォォォォォォッッッ!!!!!」

 

想定を超えた状況に今まで固まっていた傭兵が絶叫する。

前方に向けて一斉の躊躇なくぶっ放されるガトリング砲。

 

ボッッ!!!と爆音が炸裂する。

 

ただし、その矛先は巨漢の肉体ではなく、巨漢が振り上げた特殊車両だ。

大量の弾丸によって紙屑の様に引き裂き裂かれた金属の塊、スポンジの如く穴だらけになる装甲。

瞬く間に赤熱した特殊車両が先程と同じく巨漢を巻き込み大爆発する。

 

「撃て!撃て!撃て!!!!!警察の意地見せろ野郎共ッッッ!!!!!」

 

爆音に負けない大声で叫びながらニックも爆煙で見えなくなった眼前に向けて発砲し、それに倣うように周囲のへたり込んでいた警官達も同じように銃撃を始める。

あちこちに特殊車両が突き刺さり、零れ出た銃器が噴き出た炎に照らされて赤く光る様はまさに戦場。

銃声は全員が弾丸を撃ち果たすまで続いた。

やがて最後の一人が銃を撃ち終えた事で永遠に続くかと思えた銃声が止む。

 

「流石に死んでてくれよ……頼むから」

 

死んだような静寂の中、同僚が誰ともなしにそんな事を呟く。

 

それは生き残った者全員の共通意思だった。

 

だが、そんな願望も炎の奥から歩いてくるシルエットが見えた事であえなく消え去る。

 

「あ……あぁ……神よ……」

 

現れた時と同様、ゆったりとした足取りで火の海から現れた巨漢は心なしか更に大きくなっているような気がした。

異常な程に筋肉質な男は、成す術もないニック達に向かって一歩一歩ゆっくりと近づいてくる。

その歩幅は警官達の寿命だ。

逃げようと思っても蛇に睨まれた蛙の様に体が動かない。

両目をぐるりと回して失神する傭兵の前で、それはピタリと止まった。

ニッコリと茫然としている警官隊に微笑む巨漢。

 

「哀れな圧制者の走狗達は我が剣と拳で眠りました」

 

微笑む。

 

微笑む微笑む。

 

巨漢は一層笑みを深くしながら、その拳を振り上げた。

 

 

「さぁ君達も」

 

 

 

2

 

 

 

 

魔術協会の本部であり、野望に燃える若き魔術師達が集う最高学府────ロンドン、時計塔にて。

現代魔術科学部長ロード=エルメロイⅡ世、召喚科学部長ロッコ=ベルフェバン、降霊科学部長ブラム=ヌァザレ=ソフィアリ。

幾重にも結界が張られた地下講堂にて時計塔の重鎮である三人は、掻き集めた数多の新聞を前に固まっていた。

記事の内容はどれも信じがたい内容ばかりである。

鉛よりも重い空気が落ちている中、金眼の老人が口火を切った。

 

「金色の魔法使いの噂は聞いたかね?」

 

「聞いたも何も。そこに書いてあるでしょう。今朝一番の大見出し記事だ」

 

“大英博物館襲撃か!?エリザード女王陛下、市民に冷静さ求める”

 

記事の一つを指で指しつつ淡々と答えるのはロード=エルメロイⅡ世。

顔に皺を寄せて蝋燭の炎で葉巻に火を点けるその顔は不機嫌そのものだ。

ゆるゆると立ち上がる紫煙。

 

「ロードエルメロイ。煙草なら喫煙所で吸いたまえ」

 

嫌煙家のベルフェバンが若干、眉を顰めながら吐き捨てるように告げる。

 

「Ⅱ世だ、ご老体。最近は心労が酷くてね。ところ構わず副流煙を撒き散らさないと気が済まないんですよ」

 

「ペラッペラだ、人として薄すぎる。若きロードは老体に及ぼす副流煙の危険性が理解出来ないらしい」

 

肩を竦めてエルメロイは飛んでくる嫌味をスルー。

ただでさえ喫煙所を設けられたことで肩身の狭い思いをしているのだ、こんな時くらい吸わないとやってられない。

 

「喫煙所の件なら私も迷惑している」

 

意外なことに今まで口を閉ざしていたブラムまでも口を開く。

 

「好きな時に煙草が吸えず部下の仕事効率に影響が出ている。それに煙草とて昔から退魔にも利用される立派な魔術用品だ。まぁご老体もまさか己の好悪だけでそんな浅はかな判断に踏み切られた訳では無いと私は信じてますがね」

 

ブラムにじっとり睨みつけられること数秒、折れたのは当然べルフェバンだった。

 

「わかったわい、その話はもういい。ニコチンが切れてエルメロイの慧眼が鈍っても困るからな」

 

よっしゃッ!ナイスブラム!!

そう心の中でガッツポーズを取るエルメロイと真逆の心情を顔に浮かべつつべルフェバンは脱線した話の軌道修正を始める。

 

「さて、この記事の話だが襲撃犯はその場にいた一般スタッフを丸ごと皆殺しにした挙句、通りがかった一般人まで手にかけよった。口封じなんてもんじゃない。見境がないにも程がある」

 

「……安い狂気だ。とても正気とは思えない。そこまでして襲撃者は何を?」

 

ブラムが不可解そうに尋ねるのも無理はない。

大英博物館にはイギリス清教が世界各地から“強奪”した霊品法具の数々が展示されている上に、その最深部には魔術協会に封印指定された者を幽閉する特別区画の『橋の底』もある。

そこに手を出すという事はすなわち、魔術協会、イギリス清教、そして王室に喧嘩を売るのと同義だ。

 

「封印指定者を連れて逃亡などが考えられますね。まさかとは思いますが『悪霊ガザミィ』?」

 

魔術協会厄ネタ不動の一位を誇る名前にベルフェバンは肩をすくめる。

 

「もしそうなら、こんな悠長なことしてられん。盗難物じゃよ。『四種の神器』、一世紀寝かされた骨董品じゃな。イギリス清教の狗共を出し抜くのには苦労したわい。ワシとしてもヒュドラの幼体に勝るとも劣らぬコレクションだった」

 

最後のベルフェバンが使った過去形がエルメロイには気になった。

 

「だった?」

 

「然様。最大主教(アークビショップ)の女狐が喧しくてな。四年前の第三王女(ヴィリアン)様誕生の際に女王陛下に献上という形でワシの手元から離れた。平たく言えば嫌がらせじゃよ。女王陛下ならば、あの女狐とて手出しできないと踏んでな」

 

なるほど、とエルメロイは合点する。

荷物を預けておくならば、これほど最適な場所はない。

しかし、仮にも一国の主を駅前のコインロッカー代わりに扱うのは些か考え物だ。

 

「王朝はあっさり滅んでしまう、王墓などに入れられれば、盗掘、湿気、ネズミの心配がある。その点、あの大英博物館という場所は最適というわけか。女王も市民が普通に訪れる場所で保管しておけば容易に手が出せないと考えたのだろう……まぁどうにも裏目に出てしまったらしいが」

 

声も無く笑うブラム。

ひとしきり無声の哄笑が終わると、うっすらと笑顔を返してエルメロイは問う。

 

「そもそも、あの手の道具は自分で聖別したものでないと使い物にならないのでは?」

 

然様、と頷くベルフェバンにブラムが不満も露わに呟く。

 

「ご老体、キャスタークラスの聖遺物に何故あれを推奨してくれなかったのですかな。そうすれば私としても満足のいく結果になったのだが」

 

わずか数日で高位の英霊を召喚するに足る触媒を揃えた彼としてはキャスターがシェイクスピアというのはどうにも不満足らしい。

恨みがましい視線に晒されたベルフェバン。

一瞬、躊躇いの表情を見せるもブラムから視線を切らずにゆっくり首を振った。

 

「……危険すぎるが故じゃよ、ソフィアリ講師。アレを制御できるマスターなんぞこの世におらん」

 

どこか身震いするように吐き出された言葉に、その場の誰しもが言葉を失った。

どんよりとした空気が部屋全体を重苦しく包み込む。

どうしようもない閉塞感を打ち破りたくてエルメロイは咄嗟に思い付いた話題をベルフェバンに振った。

 

「懲罰部隊の派遣は?これだけの事をしたのですから然るべき処罰が必要でしょう」

 

ベルフェバンの金目がギラリと光る。

 

「それが、雲を霞とその場から消えおったらしい。一瞬じゃよ。目的のブツを手に入れたらそのまま周囲一帯を消し飛ばした。生存者は無し、というか細胞レベルで分解されとった。お陰様で下手人の性別、年齢、人種、何もかも分からないまま。まったくどうしたものだか」

 

それでは部隊も動けないわけだ、とエルメロイは納得する。

痕跡消しを徹底している上に、行動も早い。

死体がない以上、死霊術師や降霊術師も役には立たないだろう。

事件が闇に葬られるのは、まず間違いない。

ブラムも同じ考えに至ったようで、それ以上追及する事無く腕時計を見て小声で呟く。

 

「今は考えても詮無きことでしょう。時間だ。そろそろ本題に入りたい、報告を」

 

来たか、とエルメロイは内心溜息をつく。

元々本題はそっちだ。

今までの話は蛇足に過ぎず、意味など実のところ何もありはしない。

 

「えぇ。まずルーマニア政府直々に送り出した警官隊が壊滅、死亡者こそいませんが負傷者は数知れず。被害総額は……確かな事は言えませんが、に……二億五千万€を超えるかと」

 

掠れた声と共にエルメロイは煙を吐き出した。

己の表情は疲れ切っていて見るに堪えないだろうな、と他人事のように思いつつ記事の一つをベルフェバンに差し出す。

 

“トゥリファス付近の農村で謎の大爆発、警官隊壊滅、重軽傷者多数”

 

それを震える手で掴み取ったベルフェバンはもはや天を仰ぐほかない。

それどころか懐から錠剤が詰まった瓶を取り出し口に含み始めた。

 

「……これは悪い夢だ。こんな事があっていい筈がない。そうじゃろう?」

 

モゴモゴ呟かれる言葉には悲壮感すら漂っていた。

 

「私にとっても悪夢ですよ……正確な補修予算は明日にでも」

 

今飲んでいるのは頭痛薬と胃痛薬のどっちなのだろうか。

虚ろな目で錠剤を飲み干す老人を見てエルメロイは不謹慎にも笑いがこみ上げる。

とはいえ、自分もその事でしなければならない仕事が増えたのを考えるとあながち笑ってもいられない。

 

「バーサーカーの説得は?あのバーサーカーは狂化ランクが特異な為、最初は魔術師達とも意思疎通が出来ると聞いている」

 

「当然試みましたよ。しかし説得を続ける事一時間、向こうはこちらの話をサッパリ理解していない事が分かりました」

 

報告によると赤のバーサーカーは誰が何と言おうとも戦闘の目的を変える事も無ければ止まる事もないらしい。

歩き出したが最後、救出手段が存在しない以上赤のバーサーカーは見捨てるしかないという事を悟ったべルフェバンの表情が渋い物へと切り替わる。

 

「さっそく一名脱落かね。シロウ神父は何をしておる?まさか聖堂教会め、不良品を押し付けてきたのではあるまいな」

 

「赤のバーサーカーのマスターは令呪を消費して止まるように命じたようです。しかし二画消費したにも拘わらず、令呪の鎖を引きずりながらも未だ一直線に目指しているらしい────ユグドミレニア城塞を」

 

こうしている今も被害は出続けているだろう。

未だ赤のバーサーカーは敵の全てを叩き潰さんと黒の陣営を目指して進行中だ。

令呪のお陰で速度は幾分か遅くはなったらしいが、どの道このままでは結果は見えている。

 

「放っておくわけにもいくまい。早急な対策が求められる。ソフィアリ講師、エルメロイⅡ世如何する?」

 

 

 

3

 

 

「しっかし気味の悪い屋敷だぜ。マスターもそう思うだろ?」

 

もう何度目になるだろうか。

胡乱気な顔で誰もいない背後を振り返った赤のセイバー(モードレッド)がポツリと呟く。

 

「魔術師の工房なんてこんなもんさ」

 

口数少なく返す獅子劫もまた異質な物を感じていた。

現在、充分な睡眠をとった獅子劫はセイバーと二人で散歩がてら館のだだっ広い廊下を歩いている。

しかし不思議な事に気配がするのだ、何十という数の人間がとぼとぼと後をつけてくるような。

 

「どうせ何かあったら俺よりも先にお前が気づくだろうセイバー。お前の直感スキルはアサシンの接近も通用しないだろうし」

 

そう言って獅子劫はふと気づく。

数が纏まっているせいで分かりにくいが足音の一つ一つが小さい。

これは恐らく────

 

(……子供、なのか)

 

思わず舌を鳴らす。

術式の構成は何となく分かっていたが、ここまでの外道をやってのけるとは。

 

「別に構わないだろう?」

 

背後からかけられる声に振り返ると、そこには寝起きなのか眠たげに瞳を擦る少女が窓辺に腰を掛けていた。

 

「おはよう。良く眠れたようで何よりだよ」

 

何処から現れたのだろう。

気配は全くしなかった。

隣で僅かに目を見開いているセイバーを見るに、あちらも完全に接近を察知出来ていなかったらしい。

 

「おはようさん。まぁ良い機会だし挨拶がてら聞いとこうか……この館はなんだ」

 

「君が自分で言ってたじゃないか。魔術工房だよ魔術工房」

 

「そういう意味で聞いてないことくらいわかってんだろ?」

 

ふむ?小首を傾げる銀の少女に獅子劫はぐるりと廊下を見渡し、静かに続ける。

 

「この館は隅から隅までお前さんの魔力が通っている、そこいらの雑霊からすらな。ここはまるで腸だぜ。一体何をした?」

 

「君には関係ないことだろうに」

 

そっと息を吐く彼女の表情からは何も伺えない。

確かに彼女の言うことも一理ある。

他人の魔術の詮索は時計塔ですらあまり推奨されていない。

相手が悪ければ場合によっては殺されても仕方ないケースだって無数にある。

だが敢えて獅子劫はその一線を踏み越える。

 

「ここは魔窟だ。館を呪う負の情念で結界が練られてやがる。おまけに部屋の構造も歪だ。殆どの部屋が鬼門を向いて作られて、そうでない部屋も廊下から邪な物を迎え入れるような仕組みになっている」

 

「面白い着眼点だな。それで?」

 

「ここの不可解な点は雑霊の数と数百年の年月を経たとは思えない強烈でリアルな思念だ。どんな処刑場や戦場だってここまで強く念が残り続けていることはないだろうさ。そしてそれらが馬鹿デカい力場を作っている」

 

ここはどこの霊場よりも残留思念が濃く残っており、土地に横たわる力場も大きい。

その力で隔絶された異界を作れてしまう程に。

龍脈や地脈がまったく通っていない山中において絶対に有り得ない現象だ。

 

「俺が思うにここは霊脈を曲げ……いや、新しい霊脈を人工的に作り出そうとする儀式場。術者にその莫大な力を流し込む為に造られた人工霊脈だ」

 

「なるほどね」

 

そこまで分かっているのならば隠しておくこともないか。

そう言ってアレイスターは唇を歪めて笑う。

 

「実の所は私もよく分かってはいないのが現状だ。多少手を加えはしたがこの館は来た時から概ね完成はしていたしな。しかも術式構成はどれもこの国にはないものの組み合わせばかり。中華の蠱術や日本の物忌、ギリシャの天体を利用した占星術。他にも沢山あるんだが概ねの骨格はそんなところだ」

 

獅子劫はその話に驚嘆した。

根本的な話になるが魔術の源流は古代エジプトであり西洋と東洋で基本的に違いはない。

そう、違い何て無いのかもしれないがそれでも宗教観や生活圏での匂いというのはどことなく残るものである。

簡単な話だと西洋なら悪魔や天使、東洋なら神や仏といった具合だろうか。

無論、時計塔で研究を進めていけばいずれ東西のどちらも頭に叩き込まなければならない。

例えばカバラの独特の宇宙観と仏教の神秘思想である密教との類似性についての論文といった具合でだ。

しかしそれでも東西の魔術の混合とは術式を著しく複雑化させてしまい使い勝手が悪いので好んで使う魔術師は少ない。

獅子劫の驚きを余所に銀の少女は話を進める。

 

「複雑怪奇な術式群の中で私が最も注視したのは凡そルネッサンス期まで遡る源流を歪めた亜流の錬金術だ。霊魂を利用した神人合一にも似た悪魔召喚術の痕跡。多分だが源流は十五世紀のイタリアかな」

 

「錬金術か。昔っからアインツベルン辺りが有名どころだが。しっかし分からねぇ。なんで悪魔召喚なんだ?あの学問は物質の変換の筈だろう」

 

その質問を受け、窓からの景色を楽しんでいたアレイスターが胡乱げな目付きで獅子劫に視線を移す。

 

「元々の錬金術とは人体と生命、魂の在り方について深く極めるものだ。他の卑金属を黄金へと変換する術はその過程で生まれた副産物に過ぎん」

 

「何でもいいけどよ。お前のサーヴァントに同情するぜオレは」

 

会話を中断するようにアレイスターの饒舌な語りを遮る声。

傍らを見るとうんざりといった調子のセイバーが不機嫌そうに腕を組んでいた。

 

「お前ら人間にゃ聞こえないだろうけどよ、オレらエーテルを肉体とするサーヴァントは霊に近い。聞こえるんだよ、連中の声が。『助けて助けて』『死にたくない』『わたしがなんで?』って具合にな?いくら何でも悪趣味だぜお前」

 

それは知らなかった。

セイバーの言葉が本当ならなんとも惨い話ではある。

恐らくここに彷徨う魂達は皆、未だに死の直前の恐怖を味わっているに違いない。

 

「悪いが私はリアリストでね、死者の念なんてものには頓着しないタチなんだ。それに魂というエネルギーの塊が野ざらしになっている状態に我慢が効かなかったのもある。何せ分野が分野だ。この豊富なエネルギーを有効活用出来る者は早々いないのだし」

 

開け放たれた窓から入ってくる風に猫のように目を細めるアレイスター。

その顔からは罪悪感や死んでいった霊達への憐憫の情は感じられない。

この館の状況を完全な他人事として話し、秋の香りを楽しむ彼女はやはりどこか壊れている。

 

「罰当たりな野郎だ」

 

「罰当たり、ね。言っておくが神代を終えたこの時代に神も仏もいやしないぞ?綺麗事を言う奴から喰われていくんだ」

 

ああ言えばこう言うとはまさにこの事だろう。

これ以上の屁理屈の応酬はお互いにとって無益、そう判断した獅子劫は話題を変える。

 

「そういやお前は昨晩言っていたな。明日は行動を起こすから忙しくなるってよ」

 

「あぁそのことか」

 

考えはある。

そう呟くと窓辺から降りて獅子劫達を追い越して先へ行ってしまう銀の少女。

仕方なくその後を追いかけつつ獅子劫は先を行く背に声を投げかける。

 

「赤と黒どちらから手をつける気でいるのか知らないがどう動く?黒は軍勢としての体を成しているのは間違いない。赤とて一筋縄ではいかないのは昨日のランサーの戦闘力を見ていれば分かる筈だが」

 

「何も大物から手をつけることもあるまい」

 

「というと?」

 

「全ては問題なし(ノープロブレム)ということだよ。昨日からタロットは来客を示している。ゆえに私に出来るのは待つ事だけだ」

 

その言葉に獅子劫は思わずセイバーと顔を見合わせて肩を竦める。

 

「はっ!おいクソガキ。占い師の真似事なら観光地でやってな。聖杯程じゃねぇだろうが幾らか儲かるぜ」

 

獅子劫も顔に出さないだけで同じ考えだった。

堂々と言い放ったアレイスターには悪いが、カード占いで先行きを決めるというのは些か心許ない。

 

「おや。占いはお嫌い?」

 

荒い口調で小馬鹿にするセイバーの言葉に足を止めた銀の少女は振り返り、こてりと首を傾げる。

 

「あぁとも。占い師って生きもんは言うだけ言って発言の責任は取らないからな」

 

聞いて彼女は小さく笑う。

まるで大人の揚げ足取りをして喜ぶ子供を見るように、ばかばかしいと口元を歪めて。

 

「よりにもよって『黄金』の魔術師が扱うタロットを『表』のオカルティストのそれと同列に扱うとはね」

 

そう言って獅子劫の顔にアレイスターは懐から取り出したタロットの束を突きつける。

 

「あん?何だこりゃ」

 

顔を仰け反らせつつ受け取ったカード。

その中身は獅子劫の知るタロットとは少し配列が異なっていた。

 

「……トートタロットか」

 

「あぁ。世界に振動を与えた珠玉の一品。君のサーヴァントがいた時代の占い師のようにタブレットを取り出して一々儀式場を築く手間を必要としない優れモノだ」

 

そう言えばこのタロットの作者もアレイスターという魔術師だった。

とはいえ一世紀も前に墓の下である事はイギリス清教によって確認されている為、その関連性について獅子劫が深く考えることはない。

同名だからとそんな所まで似せなくても良いのに、と嘆息するだけである。

 

「優れてようが何だろうが構わねぇけどよ。やる事はちゃんとやってくれよな」

 

「安心したまえよ。他人よりは確実に重い自分の命が掛かっているんだ。いつもよりは真面目にやるさ」

 

 

 

────……

 

 

 

結果としてアレイスターの読みは当たっていた。

 

『息災かな?獅子劫界離』

 

360度ぐるりと囲むモニターが群れなす部屋。

その中でも一際巨大なモニターがSOUND ONLYと映し出される画面越しに声が響く。

声の主はロード・エルメロイⅡ世。

現代魔術科学部長であり今回の聖杯大戦の対策に当たる魔術協会の重鎮である。

 

「アジトが無いのとゆっくり風呂に浸かれないことに目を瞑ればすこぶる息災だロード・エルメロイ」

 

『Ⅱ世だ』

 

Ⅱ世だろうがⅠ世だろうがさほど変わりないだろう。

そんなことを思いながら獅子劫は気を取り直して用件を聞いた。

 

「これは失礼、そんで何のようだい?」

 

『シギショアラに配備していた魔術師から連絡があった。赤のバーサーカーが一人ユグドミレニア城塞を目指して突っ走っている、と』

 

その言葉に獅子劫は僅かに目を開いた。

七騎対七騎の戦争で一騎が突撃すれば当然お陀仏である。

戦力の逐次投入など補充が利かない現状まず考えられない。

恐らくは暴走だろうと煙草に火をつけ、煙を空に吹かす。 

 

「説得はしたのか?」

 

『しないと思うか?』

 

確かにそれは愚問と言えるだろう。

この状況でサーヴァントを一人突っ走らせるメリットなどありはしない。

 

「状況は分かった。だが解せねぇな、そういうトラブルも込みの聖杯大戦だろう?馬鹿がトチって死ぬような状況であんたらが出しゃばるとは俺には思えねぇ」

 

『確かに。単体で突っ込んで勝手に死ぬだけならば私がこうして君と話すこともロッコ老が胃痛薬を十錠まとめて飲むことも無かったろうが……そうだな。回りくどい言い方はこの際止めよう。よく聞け

────バーサーカーは『神秘の隠匿』を破った』

 

「は!?」

 

説明されること数分。

その話は今まで聞いた時計塔のスキャンダルの中でもトップクラスで獅子劫を唖然とさせるものだった。

 

「暴走したサーヴァントが農村で散々暴れた上、新聞に載っただぁ?はははははは!!!」

 

隣でセイバーが笑い転げるのも無理はない。

こんな事は前代未聞だ。その場にいるアレイスターと赤のアーチャー(アタランテ)も笑いこそしないがほとほと呆れ果てたといった調子で嘆息している。

 

『現在、魔術協会は薄氷の上で崖っぷちだ。今ここで食い止めないと大事になる』

 

普段より一層険しいエルメロイの声。

焦りすら感じさせられるその声音に自然、獅子劫の背にも緊張が帯びる。

 

「嫌な雲行きだ……まさかとは思うが、馬鹿の尻拭いを俺らにしろってか?」

 

『依頼だ。赤のバーサーカーが黒の陣営に到達するのを阻止してくれ。それが出来ないならば共に黒の陣営に乗り込んで赤のバーサーカーの援護をして欲しい。もちろん今回の騒動と関係ない哀れなルーマニア市民を極力巻き込まない形でだ』

 

なんて素敵な依頼だろうか。

ここに彼がいなくてよかったと心底思う。

いればそのケツを蹴っ飛ばし、背中にガントをぶっぱなしていただろう。

 

「あんたは重大な勘違いをしてるぜロードエルメロイ。俺らは時計塔の捨て駒じゃない。んな破れかぶれの作戦に付き合ってられないね」

 

二人の会話を静観していた銀の少女もたまらないとばかりに口を開いた。

 

「馬鹿が一人爆死しようがそれは私達の関心事ではない。巻き込まれる市民もだ。そもそも『神秘の隠匿』の管理は君らの仕事だろう?」

 

『よしてくれ。こういう場合我々の図体は大きすぎる。それにバーサーカーとはいえサーヴァントだ。匹敵する戦力を選別するのに一月はかかる』

 

予想通りか、と獅子劫は舌打ちした。

サーヴァントを止めるのは基本サーヴァントしかいない。

現場から最も近い赤のサーヴァントのマスターである獅子劫にお鉢が回ってくるのは当然といえば当然だった。

とはいえ最後の悪足掻きのために口を開く。

 

「爺さんはどうした?そういうのは雇用主の意見も鑑みなけりゃいけない」

 

『ご老体なら報告会を終えると同時に心労で医務室に運ばれたよ。獅子劫界離によろしくだと』

 

詰みだった。

 

「……そうかい。肝心のバーサーカーの進路が分からん、追跡はしてるんだよな?」

 

「おいおい正気かマスター?」

 

セイバーが信じられないとばかりに目を剥く。

 

「仕方がない。どちらにせよバーサーカーをただ無駄死にさせるよりは一か八かの賭けに出て相手の頭数を減らすのも悪い手ではないからな」

 

『依頼は受けて貰えたという解釈で良いかな?』

 

ホッとした声を聞くに本当にどん詰まりだったのだろう。

お偉いさんも大変だなと思いつつ獅子劫は肯定の返事を返す。

 

「あぁ。気は進まないがね」

 

『迷惑をかける。気休めになるかは分からないが此方の魔術師が発見と同時に使い魔で監視をさせているから追跡に関しては安心して欲しい。人間台風の進路はこれでもかというほど判り易いからな。詳細はメールで送ろう』

 

その言葉を最後に、モニターは物言わぬ鉄塊に戻った。

どんどん悪くなっていく現状にドッと疲れると分かる。

獅子劫は後ろにいる銀の少女に振り返ってから笑いをした。

 

「ったくせめて懸賞金くらいはかけて欲しいもんだ。やってらんねぇよ」

 

「まったくだ。しかし君は運がいい。君は小さな歯車で私もまた小さな歯車。一つ一つは役立たず。それでも二つ合わせれば不思議な力が生まれる☆」

 

どこかで聞いたような台詞に思い当たる節があった獅子劫は目を瞬かせる。

 

「そりゃアニメの引用か?お前でもそんなもの見るんだな」

 

「どっちかというと君がそれを知っていたことの方が驚きだがね。まさかその歳になっても幼児向けの番組を見る趣向が?」

 

「馬鹿言え、それは流石に小学校で卒業してるさ。まぁそのなんだ?あれは国民的アニメだぜ?日本に住むなら誰でも知ってる。まぁあの勧善懲悪の内容に思うところはあるんだが……とそんな事より端的に言いたい事を言え」

 

「毒を喰らわば皿までと言うだろ?協力してやろうと言ってるんだ」

 

そういう表現は好きではない。

同盟を組んでいる以上、迷惑をかけている自覚はある。

しかし仕方ないから付き合ってやるという言葉にも女子らしくもっと優しい言い方は出来ると思うのだ。

せめて乗りかかった舟とか。

 

「私に優しさを求めるならお門違いだ。私は優しくないからな」

 

そんな獅子劫の心を見透かすような発言。

まったく可愛げのない奴である。

おまけにせっかちなようで言いたいことを言い終えると部屋をさっさと出ていってしまうアレイスターの背を獅子劫は追いかける。

 

(ったく……今日はこいつを追いかけてばかりだ。ロクな日じゃねぇ)

 

内心そう愚痴りつつ歩くこと数分、たどり着いた場所は地下の駐車場だった。

獅子劫はこの館にここまで大きな駐車場が存在していることにも驚きを覚えたが、用意された車にも驚いた。

 

「メルセデスかよ……」

 

「私のお気に入りなんだ。窓は防弾ガラス、紛争地域でも使えるように車も全体的に弄っているので多少(・・)は運転が荒くても問題はない」

 

得意そうに言う彼女と違って獅子劫は戦闘用に派手に弄られてしまった高級車をなんとも言えない目で見つめた。

 

「車はいかに早く走るかだぜ?フロイライン」

 

「走りをファッションにしているような輩に限ってそう言うが君も同種かね。車なんぞ必要な時に安全に目的地まで走れればそれでよろしい」

 

流石は金持ち、考え方からして小市民の獅子劫には及びもつかないものばかりだ。

 

「それで?運転は誰がするんだよ。まさか俺か?」

 

「いや。そこはもう考えてある」

 

そう言ってアレイスターは視線を不躾に車を触って状態を確認しているセイバーに投げる。

 

「あん?オレかよ」

 

「君は騎乗スキルを持っているだろう。これから行く先は山の中で悪路が多い。君のようなベテランがいるのなら安心安全というワケだ」

 

 




メルセデスをメルセルデスって書いてしまった……お恥ずかしい

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