天災と最強と変態 作:嫁にするなら千冬、愛人にするなら束
乳を揉むとは、どういうことか。
即ち、女性に触れるということだ。
女性の、滅多にお目にかかれない、大事な部分に触れるということだ。
……お分かりいただけただろうか?
「──つまり、セックスだな」
「違うわ、たわけ」
俺が結論づけると、真横から広辞苑が飛んで来た。
厚さにして三千ページ超。弩級の隕石になすすべもなく俺の頭部は破壊された。
ごちんとか、がんとか、そんな生ぬるい音じゃない。頭に直接響く、「ドッ……」という不気味なまでに静かな重低音だった。
俺は正座しながら、真後ろに倒れた。
「全く、どうしてお前はそう、事あるごとに性の話題にしたがるんだ……」
ため息と共に、目の前の女性──千冬が頭を抱えた。
俺は広辞苑の衝撃でガンガン痛む頭をさすりながら、改めて正座をしなおして、仕方なく彼女のその姿を眺めていた。
黒いスーツに身を包んだ彼女は、顔立ちが凛々しい事もあってか、とても様になっている。
特にパンツスーツから覗く太もも。以前全裸で土下座しながら何回も頼んだ甲斐があって、八十デニールのタイツを穿いてくれている。黒く、むっちりとした脚線美に、自然と目線は吸い寄せられた。
うむ、やはりエロい。生足ももちろんエロスはあるが、こうして多少なりともムレたあの危険ゾーンを間近で見ると、ホカホカな千冬スメルが鼻に香るような気がして元気になる。
そう、元気になるのだ。
たまらず笑みをこぼした。
「何処を見ている……?」
「魅惑のデンジャラスゾー……ごふっ」
どすっと、俺の顔面につま先が刺さった。俺はまた後ろに倒れた。
「話が進まん……おい、まじめになれるか?」
「六おっぱいとなります。現金払いで、先払いです。さぁ、お脱ぎになさりませ」
「お、タウンページがここに……」
「待て、今の子はタウンページなんて言っても伝わらな……うわぁ、振り上げるな!」
慌てて頭を下げると俺の耳元に豪速球が投げ込まれ。
……球? いや、本……?
「豪速……本……?」
「ぶげぇっ!?」
投げ飛ばされた本は、俺の後ろで寝ていた同居人にヒットした。寝起きドッキリにしては、かなり痛い。
千冬がしまったという顔をした。
罪悪感からではない。
その顔は恐らく、めんどくさい奴を起こしてしまったという顔だった。
「もー……いきなり何すんのぉ……束さんは、SMぷれいは気分が乗らないとー……んー……?」
のそのそと布団から這い出て来たのは全裸の女性だった。
凹凸のはっきりした女体を揺らして、俺のそばまで這ってくる。
長い髪の彼女は、美女と形容するほかなく、はっきり言って女神とか、天使とか、そんなレベルの美貌だった。
「……お、まーくんも朝から元気そうですなあ♡」
彼女は千冬には目もくれず、俺の背中側から抱きついてくると、さすりと俺の股間部を撫でた。
ブチッと、千冬から何か千切れる音がした。
あ、死んだなコイツ。
「……ふぅー、落ち着け、落ち着け千冬……コイツらのペースに乗せられるな……」
と思ったが、なにやら向こうも向こうで本当に大事な話があるらしく、必死に堪えていた。
俺はあまり千冬をいじめるのも可哀想かと思い──
「──よし、千冬。お前も脱げ。久しぶりに抱いてやる」
この後、俺の記憶は無い。
ひとつ言えることは、今度から分厚い本は家に置かないようにしよう、ということだ。
ーーーーーーー
朝から三つほどたんこぶをこしらえた俺と束は、千冬に無理やり服を着させられ、寝室で正座させられていた。
和室だからまぁいいものの、ここがフローリングの床とかなら死んでたな。
「……これ以上、私を怒らせるなよ?」
「凄いよ、中盤で出てくる強キャラっぽいセリフだ……ひょぼっ!?」
束はツッコミきる前に、鳩尾に拳を叩き込まれ沈黙した。口からなんかベタッとした唾液が漏れてるし、ガチパンチや……怖い……
「まじめな話だ……いいか、マキ?」
そう問われて、俺は覚悟を決めた。
千冬はもう大人の女性だ。そして俺は、大人の男。
つまり男女だ。それで真面目な話と言われれば、まず一つしかないだろう。
妊娠だろう。それしかない。
俗に言う、ご懐妊おめでとうごいますって奴だ。
……千冬はどう思っているのだろう。
喜んでいるのか、悲しんでいるのか。
聞くところによると彼女は今、学校の先生だ。就職した過程はどうあれ、多少なりとも子供好きではないとやっていけない職業だろう。
なら、今の心境はネガティブ寄りではないはずだ。むしろその逆だろう。
俺も男だ。彼女が共に育んでいきたいというならば、喜んで協力しよう。
「ああ、わかった千冬。続けてくれ」
俺はなるべく、優しい声でそう返した。
千冬の性格だ。子供が出来たならば責任を取って籍を入れる、そう考えているのだろう。
つまり、これからプロポーズだ。千冬は俺にプロポーズするつもりだ。
……やばい、緊張してきた。
「実はな、マキ……」
「お、おう……」
だが、俺の考えとは違い、千冬の表情はどこか重い。
え、嘘。何そのシリアスな表情。怖いんだけど。
彼女の口から、もしかしたら聞きたくない言葉が出てくるんじゃないか。
俺の考えとは違う、千冬なりに何度も悩んで出した、重い答えが返ってくるんじゃないか。
そう思うと俺は座ってられなかった。
立ち上がり、彼女を抱きしめる。日頃のゴリラみたいな肉体性能を発揮する彼女の肉体は、けれど驚くほど細く、か弱く感じた。
「俺が責任を持つから……任せろ……」
そうやって千冬を落ち着かせるように笑顔を見せた。
千冬は困ったような顔をして、その後笑顔になった。
「良かった、本当は拒否されるかもと恐ろしかったんだ……」
「まさか、そんなわけないだろ? 俺とお前の仲じゃないか」
「そうだな、本当に、その通りだ」
千冬はそういうと、少し俺から離れてから、胸元から一つの封筒を取り出した。
もしかしておっぱいタイムかと思った俺は、若干しょんぼりしつつ、その封筒を受け取る。
中は、飛行機のチケットだった。
「……ん?」
「今日からお前はIS学園の教師だ。頼んだぞ」
「え、嘘やん……」
俺は鳩が豆鉄砲を食らったような顔で千冬を見つめた。
「……にこっ」
こいつわざわざ口で言いやがって。
俺はまだ現実が受け止められず、後ろを見た。
束はこっちをじっと見ながら、イエスノー枕のイエスの方をこちら側にして抱いていた。
「……それは、これは現実だから諦めろ的な意味のイエス?」
「いや、早く三人でエッチしたい的な意味のイエスだよ?」
「……」
──にこっ。
俺の心の中で、可愛らしい擬音が鳴った。
「な、何をバカなことを言っているんだ束!」
慌てふためく世界最強を横目に、俺は急いで服を脱ぎだす。
「黙れ千冬! クソ、わけわからんが今はとにかく久しぶりの獲物じゃ、束、千冬を捕えろ!!」
「アイアイサー!」
何処からか取り出した赤いボタンのスイッチを束が押すと、黒くヌメヌメした何かが壁から生えてきた。何故かローションじみた体液までポタポタ垂らしているが、そこまで再現する必要はあるのだろうか。
目線でそう問いかけると、自信満々なサムズアップ。俺はよく分かったと頷き返した。やっぱ馬鹿だこいつ。
「な、なんだこのにゅるにゅるした触手は!? どっから出てきた!!?」
ともかく俺は千冬との再会を喜ぶ事にした。難しいことは後で聞こう。
何話まで続くかわかんない。不定期。続きは気が向いたら、適当にかく。
こんなかんじの脳みそ使わないIS二次コメディをだらーっと100話くらい読みたいから誰か書いて。俺は読みたい派。