天災と最強と変態   作:嫁にするなら千冬、愛人にするなら束

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今更ですが本作品は見切り発車だし、何も考えてないし、そもそも自分の息抜きで書くので、読む人は肩の力を抜いてお楽しみください。(クソびびり予防線)


三話

 IS学園に来て、一週間が経ちました。今のところ俺は用務員のような立ち位置で女生徒達から慕われている。

 そう、なんと俺は凄く慕われているのだ。

 凄く。

 嘘だ、危険物みたいに避けられてる。

 みんな警戒してるんだ、なぜか女子だらけの学校にいる素敵お兄さんに。けどそのうち分かってくれるはずだ。

 ……まぁ思ったよりも女の子達の防御が鉄壁なので今のところ千冬と約束したとおりになってしまっているのは事実だ。俺はおっぱいを揉まないと死んでしまうというのに。

 

「……いやー、いい学校だな、ここは」

 

 そんな事を呟きながら、俺は屋上から双眼鏡を熱心に覗いていた。

 ちょっとばかし広すぎるグラウンドでは、スクール水着のなり損ないみたいなISスーツを着た美少女達が、ぷるんぷるんと若々しい肉体を振り回して実技に勤しんでいた。

 飛び散る汗。弾ける青春。

 うん。

 良い。

 実に良い。

 健康的だね。

 良きかな、良きかな。

 

「全くですね、普段おとなしい簪ちゃんも、今だけは平然とあんな格好で動き回ってる……あ、見て、今倒れちゃった子!!」

 

「何処だ何処だ……う、おお! 見えちゃってるぜ、見えちゃってるぜ!!」

 

「最近の子は皆発育もよろしくてね……侮れないわ」

 

「ああ、全くだ」

 

 そう言うと俺は双眼鏡を下ろし、となりの少女と目線を合わせた。

 俺達は分かりあったような意味ありげな視線を交わし、コクリと頷いた。

 いつの間に居たんだこいつ。

 

「ん、もう終わりか」

 

 その時、ちょうど授業終了のチャイムが鳴った。

 

「あら、もう終わりなのね」

 

 発色のいい髪の少女は、「残念」と達筆な字で書かれた扇子を広げてみせた。

 全くだ。これからが良いところだったのに。

 グラウンドを見れば俺の桃源郷は撤収を始めていた。花の女子高生達は、皆テキパキと帰り支度を行なっている。

 

「はぁ、もう終わりか……」

 

 がっくりと肩を落とし、大袈裟にため息を吐いてみせる。

 ちくしょう、俺もあれに混ざりたいな。せめてISに詳しかったら、あの子達に手取り足取り教えることが出来るかもしれないのに。

 

「はぁ……俺もあの子達の柔らかなお身体に触りたいもんだ……」

 

「……あのー、太刀川センセイ、私が言うのもなんなんですけど、本当に貴方教師なんですか?」

 

 疑わしそうな視線に、俺は鼻で笑い返した。今までノリノリだったのに、まるで茶番には飽きたとばかり真面目路線に走る彼女には、ちょっぴり失望を覚えた。

 全く、これだから最近の若いやつは。少しは堪え性ってものがないのだろうか。

 しかし、俺は大人として、質問には答えてやった。

 

「馬鹿な、これほど教師としてあるべき姿を反映した人間はいないだろう。片時も目を離さず、生徒の成長を見守っているんだぞ!」

 

「センセイ、また女子更衣室にカメラ仕掛けました?」

 

「……生徒会長、一体今の言葉の何処からそう思った?」

 

 ギクリと肩をはね上がらせる。

 すると彼女はため息を吐き、「織斑センセイに言いつけますよ」と肩を落として言った。

 

「それは困る……というかだからなぜ分かった?」

 

「……大体、三日もすれば太刀川センセイがどういう人なのかすぐ分かりますから」

 

「そうか」

 

 そんなことはないと思うが、いやしかし、そう言われるとついつい思い出してしまうな。

 彼女と出会ったのは、この学校に来た次の日。放課後、人気がなくなったのを確認した俺は、重要なスニーキングミッションに挑戦していた。

 俺は千冬に任された。教師として生徒を見守っていてほしいと。本当もうすこし違う事を言われていた気がしなくもないが、とにかく見守ってくれと言われた。

 ならばと思い、まずは俺の目の届かないところに「目」を置く必要があった。

 更衣室。あそこで生徒達が何か危険な目に会うかもしれない。或いは何かとてつもなく人として成長するかもしれない。

 それを見ていませんでしたでは済まされないだろう。教師として、しっかり目をやるべきだ。

 だから俺は、カメラを仕掛けていた。それはもう、ありとあらゆる角度から見れるように。

 そして、彼女に捕まった。生徒会長と名乗る、この少女に。

 

「はぁ……センセイって織斑センセイのなんなんですか? こんな事する人を、どうして……」

 

「いや、そんながっかりした目で見られても。あいつは俺の女だよ」

 

「いやいや、そいういのいいんで。間に合ってますから」

 

「いやいやいや、ほんとなんだって」

 

 「またまたぁ、嘘はいいですよぉ」と一向に信じない生徒会長。

 それなら証明してやろうじゃねぇか、という事で俺たち二人は職員室へと駆け込んだ。

 

「千冬、俺たちの仲を再確認する意味でもまずはキスをしようじゃないか!」

 

「くたばれ阿呆がっ……!」

 

 俺は数秒と経たず意識を刈り取られた。

 以降楯無は完全に俺を残念な大人を見る目で見るようになった。

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 実のところ俺がこの学校に来たのは千冬の弟のせいである。

 ここIS学園では、インフィニットストラトスと呼ばれるおんにゃのこ専用のロボっぽい奴を色々教えているところだ。

 そんなところに、何故か男の身でISを動かせてしまった弟くん──つまり一夏くんが一人で通う事になった。姉として、同性の一人でも付けてやろうかという考えだろう。

 俺だったら余計な事を、と思う。

 いくら昔からの知り合いとはいえ、こんな素晴らしい場所に別の男を入れるなと。

 でも一夏は違った。

 

「マキ兄、コーヒーでいいか?」

 

「ん、適当に頼む」

 

「了解」

 

 一夏は備え付けのキッチンで湯を沸かすと、何処からか仕入れてきたコーヒー豆であーだこーだとしている。

 手慣れた手つきは年月を感じさせ、普段から行なっているのだろうと一目で分かった。千冬がやらせてるのかと考えたが、ガサツなアイツがコーヒーの味など気にするわけもなく、つまり一夏の趣味なのだろうと考え直した。

 

「にしても嬉しいよ、マキ兄とこうしてまた話せるなんて」

 

 一夏は本当に嬉しそうにして笑った。そう、こいつは俺のことを歓迎していた。ハーレム学園に異物混入を喜んでいるのだ。俺としては美味しい汁を吸わせてもらう狙いなのでありがたい話だが、相変わらず変な奴である。

 

「……そうかい」

 

 俺は頷くとそう返した。

 現状、一人しかいない男子生徒を女生徒と同じ部屋にするわけにはいかない。

 そういう理由で俺はIS学園の寮に一夏と二人暮らしすることになった。

 一応俺は教員なんだよな、と千冬にダメ元で一人部屋をねだったところ、有無を言わさない拳が返ってきた。ダメらしい。よほど弟のことが大事なのだろう。

 とはいえ千冬のことである。夜のうちにちょちょっと酔わせればそのままベッドに連れ込めるだろう。あまり気にするものではないと俺は考えた。

 

「ほい、熱いから気をつけて」

 

「んー、べりーさんきゅぅー」

 

 手渡されたマグカップに口をつける。

 別にブラックそのままでも問題はなかったが、どういう訳かそのコーヒーは俺の口に合うような砂糖とミルクの配分がされていた。

 どういうマジックだ、と彼を見返す。

 一夏は気にした様子もなく、口を開いた。

 

「それで、いつやるんだ、結婚式?」

 

「──は?」

 

 なんの話かまるで分からず、心の底から声が漏れる。

 結婚式。一体なんの話だ。

 一気にコーヒーなんてどうでも良くなった。

 

「……それは誰の話だ?」

 

「そりゃ、マキ兄と千冬姉のだろ。いやー、ついに心を決めてくれたんだな、嬉しいぜ……」

 

 一夏は一仕事終えたような顔つきで手元のコーヒーに口をつけている。

 一方の俺はまだついていけなかった。

 

「なんで千冬と結婚式なんだ?」

 

「いや、束さんとは別れたから日本に帰って来たんだろ? 安心してくれよ、式場は既に見繕ってあるし、なんなら新婚旅行も計画してるぞ」

 

 俺は一夏が急に異世界人になったみたいに何も言葉が理解できなくなった。

 式場。新婚旅行。いや、だからなんの話だ。

 思考が急停止して、変や冷や汗が出始める。

 

「いや、一夏、だからなんの話──」

 

「その話、ちょっと待ったぁ!!」

 

 と、そこに。

 ババーンと勢いよく扉を蹴破り突入してくる女子が一人。

 長いポニーテールが美しい、篠ノ之箒その人だった。つまり束の妹である。束が毎日飽きもせず遠隔盗撮した写真を見せてきたので見間違えるはずもない。

 

「残念だが一夏、兄さんは姉さんと別れたわけではない! よってお前の今の言葉はルール32の『太刀川マキに対して両者の姉との結婚を促すような発言をしてはならない』に抵触しているぞ!! つまり死ね!!!」

 

 箒は流れるように何処からか取り出した日本刀を手に、一夏に斬り掛かった。

 なんだなんだ、なにが始まったんだ。

 

「その前に訂正しろ箒、そもそも束さんとマキ兄は恋人関係ではなかった筈だっ! そしてルール32はマキ兄達が成人した以降は撤廃されただろ!!」

 

 一夏はそれを器用に回避すると、ベッドのスプリングを活かして箒と距離を取る。

 

「ええい、細かい事はどうでも良いわっ、いい加減諦めろっ!! 兄さんは姉さんのものだっ!!!」

 

「箒っ、それは納得できないぜ。マキ兄の隣は千冬姉しかいねぇ!!!」

 

「馬鹿め! 千冬さんなら貰い手なんて幾らでも居るはずだ!! 兄さんがいなければ一生独身街道爆走中のうちの姉と一緒にしないでもらいたい!!」

 

「その言葉、そっくりのまま返すぜ!! 千冬姉が結婚出来るはずがねぇ!! あの人ダメダメなんだぞ!!!」

 

 そしてぶつかり合う二人。一夏は懐から取り出した包丁で箒と斬り合いを始めてしまった。

 俺はそんな二人を目の前にして、ただただ恐怖するしかなかった。

 

「な、何してんだお前ら……」

 

 俺は腰を抜かして、逃げるように部屋を出た。金属音と火花が部屋の中から飛び散った。

 

「あっ、兄さん、ご挨拶が遅れました、久しぶりですっ!」

 

 そんな箒の声を後ろに、俺は一目散に千冬の部屋に逃げ込んだ。

 一体なんなんだ畜生。

 

「おいなんだこんな時間にっ……生徒たちに噂されたらどうするんだ……」

 

「噂ってどういう噂だよ、早く部屋に入れてくれ」

 

「あ、ああ、こら、揉むなっ、分かったから、んん──♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





何かしらイチャイチャをねじ込まないと死んじゃう病。

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