前回は「巨大な兵器」がアームズフォートではなく、自律兵器であるとの妄想をした。
「タワー」を中核に、生産・整備・補給を人の介在なしに行う自律兵器という構造こそが、「巨大な兵器」だという理屈である。
今回はこの、「自律兵器」について考えてみることにする。
国家解体戦争と、それに続くリンクス戦争において、主力兵器として用いられたアーマードコア・ネクスト。
その概要については周知のとおりであると思うので、ここでの解説は省くこととする。
ネクストはきわめて強力な兵器だが、一方で戦略兵器的側面さえ持ちうる性能のコントロールを、リンクスという「個人」に一任するという点において、兵器として必要不可欠な要素である「安定性」が欠如していた。
その結果として、企業が生み出した新たな兵器種が「アームズフォート」であることも、リンクス諸兄にとっては周知の事実であろう。
アームズフォートは、ネクストに代わる、新たな戦略兵器である。ネクストに欠如していた安定性は、「大多数の凡人によって制御させる」という方法によって解決した。
その思想とは、「艦艇や戦車の大型化」であり、「集団」として機動させる軍隊を、「アームズフォート」という「物体」として、形あるものとして顕在化させたものである。
その思想は「ワンマンアーミー」の極致たるネクストとは対極に位置するものであり、平たく言えば「既存の兵器への先祖返り」だ。
しかし、アームズフォートは「有人機」である。「大多数の凡人」によりその性能を発揮することができるとはいえ――すべての道具そうであるように――実戦に足り得る性能を吐き出させるためには、クルーへの十分な訓練が必要不可欠だ。
兵器において、最も脆弱な部品は、それを扱う人間である。そして人を育てるには、時間も金もかかる。
だが、これが機械ならば、同じものを生産するだけで済むのである。機械の性能は平準化されているから、ばらつきも少ない。
兵器から人間の関与する領域を減らし、「有益な」機械に置き換える事が、性能向上と同義であることは、歴史から読み取れる。
テクノロジーの発展が、無人化を推し進める。現代兵器の趨勢がそうであるように、アームズフォートにもまた、「完全な自動化」という思想が生まれたのは、想像に難くない。
まあなにせ、人の意識を電子化してしまうような連中のすることである。
そうして生み出された自律兵器は、「タワー」を中核とした「システム」と呼べるものだった。
功を焦って大筋だけ書いた為、前回でも述べたが、要するに「製造」という段階までが、一つのシステムに組み込まれている兵器ということである。
人が下す判断は、システムを動かすか止めるかという、その一点だけである。
そうして、人が行う領域を減らしながら、戦争は続いた。続いて続いて、ついにコジマ汚染が地上を破滅させたのだ。
技術の衰退は、それを扱う人間がいなくなるなどして、情報の流れが途絶えるから起きる。職人の技術のようなものであれば、こうしたことはよく起きるが、極論、人類の9割が滅んでも、火の起こし方を忘れるわけではない。
が、こうした技術の「外在化」がまかり通っていたら、どうだろう。
人は技術を忘れ、必然的に過去の遺産に縋りつくようになるとは思わないだろうか。
ここからは、オマケ程度の話である。Vシリーズの自律兵器を、fA時代との関連性を交えて解説する。
Vシリーズに登場する自律兵器は、大きく分けて4種類に分類できる。
一つは「自律兵器」だ。
まるっこい見た目が愛らしいAMMONシリーズや、OOTHECAがこれに該当する。
これらは、個々の戦闘力は低くとも(それでも、なかなかに凶悪な攻撃力があるのだが)、数の有利を生かして戦う。
また、ACVのストーリーミッションで、狭いトンネル内に侵入している個体もあることから、小回りが利くことが分かる。
後述の特殊機動兵器や特殊兵器がこれらを子機として搭載していることから、「歩兵」か「使い捨て万能ミサイル」といった意味合いの兵器だったことが推測される。
二つ目は、「特殊機動兵器」だ。
鳴き声がかわいらしいSCAVENGERシリーズや、「ヘンなの」To-605シリーズ、フレンチクルーラーことGRAY LOTUSがこれに該当する。
基本的に、自律兵器よりもはるかに高い戦闘力を保有している。大火力の兵装と高い機動力、連携による戦術的な
戦闘は、「無人化されたAC」という印象がある。事実、「ポストAC」と呼べる兵器だったのかもしれない。
また、SCAVENGERシリーズとヘンなのシリーズは、それぞれライバルメーカーが開発したとされている。
ヘンなのがトーラス製(型番の『To』、ソルディオスにしか見えないレーザー砲、あと回転攻撃の変態性)だという話があるが、トーラスのライバルといったらオーメル社である。
以下は個人的な感性に基づく考察だが、どうにもSCAVENGERがアリーヤ系デザインを受け継いでいるように見えるのだ。fAのオーメルといったらレイレナの技術者を取り込んでおり、そもそもレイレナに社を乗っ取られてるという考察もあるぐらいなので、もしや…と思った次第である。
ちなみに、SCAVENGERは、ACVの時点では単に「自律兵器」の分類になっている。
これに関しては、タワーを得たVD時代の人類が、過去の技術やデータなどを得た結果、自律兵器の枠組みを再定義し、「特殊機動兵器」という部類に分けられたのでは、と考えている。
これと同様の事例として、後述の特殊兵器に分類されるEXSIAは、V時代では「巨大兵器」という、身も蓋もない部類になっている。ただ、時代を考えれば、仕方ない事なのかもしれない。
三つ目が、「特殊兵器」である。
これは、「特殊な粒子」を動力源とする、極めて高性能な兵器を指す。対特殊機動兵器用に開発され、「特殊な粒子を用いたジェネレータ」を稼働させることによって莫大な出力を獲得し、この粒子を「機体周囲に滞留させる」ことで、強靭な防御力を発揮するという。
もう何を言うつもりもないが、要するにコジマ兵器であるということだ。EXUSIAやLiV、N-WGⅨ/vがこれに該当する。
その性能は驚異的である。VACを一瞬で葬り去りうる火力と機動性をもち、プライマルアーマーにより防御も完璧。
これらの兵器は、コジマ技術の極致なのであろう。総じて高い粒子制御能力がある。
LiVは浮ける。文字通り「浮く」といったら、思いつくのはソルディオス・オービットやフェルミ、アンサラーだ。物体を「点」でなく「面」の力で浮かべるには、それを実現している兵器が大概コジマ方面に変態度を発揮する企業によって作られていることから、相当な整波技術が必要と推測される。
EXUSIAも、きわめて高性能な整波装置を搭載しているらしく、多数の攻撃を発生粒子のコントロールによって実現している。これは、アサルトキャノンから発展したと考えるのが自然だろう。
N-WGⅨ/vは、整波装置を展開することで、金属を溶融させるほどの高熱を発生させる。
鋼材の融点は1400℃前後だ。それだけのエネルギーを、広範囲にわたって展開している。おそらくは高エネルギー状態のコジマ粒子が、大気の分子を励起させているのだろう。あのダメージ空間は、実はとんでもないことになっていたのだ。
プライマルアーマーも、単純比較で一般的なネクストのそれよりも遥かにに強力だ。ストミ黒栗第一形態や鳥主任を見れば分かるが、被弾を完全に無効化している。
4つ目が、「巨大兵器」だ。過去の技術で製造され、VDにおいてその動向が分かっていない兵器をこの区分とする。
明確に有人型であると分かるもの(RAIJIN、St.Elmo)は除き、L.L.L.とTYPE D No.5がこれに該当する。
それでも、そもそも自律兵器だと明記されている訳ではないので、これ以上深入りしない。
長くなったが、この辺で終わりにする。次回はゾディアックを考察したい。