久しぶりにこっそりとハイスクールD×D連載の第四弾を出しました。
プロローグ
『ふはははは! ついに貴様の最後だ!
見ただけで怪人と思われる輩が勝利宣言するように高笑いをしていた。
『どうかな! 勝負ってのは最後までやってみねぇと分からねぇぞ! 行くぜ!
イッセーそっくりの特撮ヒーローが画面で変身を遂げた。元来の茶髪からリアスと似た深紅色へとなって逆立ち、同時に全身から真紅のオーラを放出させている。
その姿はイッセーの
俺――兵藤隆誠と(イッセーとアーシアを含めた)グレモリー眷族、イリナ、アザゼルは兵藤家の地下一階にある大広間で鑑賞会をしていた。
巨大モニターに映る鑑賞作品は、俺も監修した『拳龍帝ファイタードラゴン』という特撮作品。現在、冥界で絶賛放映中の子供向けヒーロー番組だ。
もう言わなくても分かるが、この作品は俺の弟――イッセーが主役だ。
尤も、アレはイッセー本人が演じていない。イッセーと背格好が同じ役者にCGでアイツの顔を合成加工している。何れは本当にやってもらう予定で、修行の合間を縫って俺が時々演技指導中だ。と言っても、俺の場合は戦闘をメインとした指導だけど。
「……始まってすぐに冥界で大人気みたいです。特撮ヒーロー、『拳龍帝ファイタードラゴン』」
イッセーの膝上に座っている子猫が尻尾をふりふりさせながら言う。随分と詳しい事で。
ここまで大人気なのは正直言って予想外だった。放送開始されて早々に視聴率が五十%を超えるお化け番組になってると聞いた時、俺は思わず言葉を失って呆然としてしまう程に。子供に人気があるので、最初は十%程度の視聴率は出せるかもしれない、と言う予想を遥かに超えていたからな。
物語のあらすじはこんなところだ。
伝説のドラゴンと契約した若手悪魔の武道家イッセー・グレモリーは、悪魔に敵対する邪悪な組織と戦うヒーローである。
強さを求め、強くなる為に戦う男。自身に迫りくる悪人を倒す為、伝説のファイタードラゴンとなる! ってなところだ。もうぶっちゃけ、ドラグ・ソボールの空孫悟と似たキャラだ。
今まで編集でしか見なかったが、番組として見るのは初めてだ。近くにいるイッセーは今も恥ずかしそうに見ている。
因みに著作権に関してはグレモリー家が仕切っている。番組を考案した俺も当然著作権を持っているが、殆どはグレモリー家に任せきりだ。冥界に関する番組は悪魔が仕切らないと色々と問題が起きかねないからな。俺としても、信用と信頼のあるグレモリー家だからこそ任せている。
グレモリー夫妻から聞いた話だと、『ファイタードラゴン』で相当稼ぎ始めたようだ。グッズも販売開始したとかも言ってた。何とも行動が早い事で。
しかも玩具版のブーステッド・ギアの試作型なんて送られてきたんだよな。恐ろしい程に精巧で、音声まで再現されてから、俺やイッセーも思わず感心したぞ。
『いくぞ、邪悪な怪人!』
真紅の
その後、主人公は敵の新兵器の力でピンチになるが、そこへヒロイン登場となる。
『ファイタードラゴン! 来たわよ! 私の力を使って!』
登場したのはドレスを着たリアス。彼女も当然本物じゃなく、リアスとよく似た背格好の役者にリアスの顔を加工している。
『来てくれたかっ、アリス姫! これなら勝てる!』
『ファイタードラゴン』をサポートするアリス姫が飛ばした紅い魔力をその身に受けた。これも言うまでもないが、アリス姫はリアスの役名だ。リとアを入れ替えて『アリス姫』。俺が考えた安直なネーミングだが、流石にリアスじゃ不味いので、敢えて別名にさせたって訳だ。
そして紅い魔力を受けた主人公の身体が紅く輝き、パワーを取り戻して戦いを仕掛けていた。
「味方側にはファイタードラゴンの相棒役としてアリス姫がいてな。ピンチになった時、アリス姫からの魔力を送る事で無敵のファイタードラゴンになるんだ」
俺の説明に反応したリアスがこっちを見る。
「……ねぇリューセー。グレイフィアに聞いたわ。アリス姫の案をグレモリー家の取材チームに送ったのはあなたよね? このアリス姫って、もしかして何れは『ファイタードラゴン』と……」
リアスは何かを期待している様子で訪ねてきた。
「悪いけど、そう言うネタバレ的な内容は答えられないよ。取り敢えず今は、リアスの人気が一段と高くなったって事で満足しといてくれ」
「……分かったわ」
俺からの返答にリアスは残念そうな表情をする。
リアスの質問内容は、『アリス姫』と『ファイタードラゴン』が結ばれて夫婦になる予定はあるのか、と言う質問だ。いくら俺が監修者だからって、そう言った展開は物語を見ながら楽しまないとダメだ。こう言ったヒーロー番組は特にな。
………まぁぶっちゃけ、リアスが望んだ展開にしようとは思っている。俺としても、いくら『ファイタードラゴン』の設定が大して女に興味無い武道家だからって、『アリス姫』を戦いだけの相棒役だけで終わらせようと思っていない。恋愛シーンも時折出すつもりだ。流石に子供向けの番組だから、卑猥なシーンは一切無い健全なものだけど。
「ってか兄貴、やっぱり俺チョー恥ずかしいんだけど……」
「そう言うなって。初めて悪魔活動のデビュー早々大人気になるなんて、滅多に無いんだぞ」
知っての通り、イッセーは先日のレーティングゲーム襲撃後に人間から転生悪魔となり、漸く正式なリアスの眷族となっている。妹分のアーシアも同様に。
本来、眷族となったばかりの悪魔は雑用などの地道な活動からスタートするのが決まりとなっている。と言っても、眷族候補の時から既にやっていたが。しかし、眷族候補は悪魔としての経歴には一切入らないので、正式な悪魔となった事によって一からスタート状態となっている。
だと言うのに、イッセーは最初の悪魔活動で早々に華々しいデビューした。冥界側からすれば、もう完全に順序をすっ飛ばしているも同然だ。
当然、イッセーのデビューを快く思わない新米の眷族悪魔達もいるだろう。だが、イッセーは現赤龍帝で並みの上級悪魔を簡単に倒せる実力者。気に食わないという理由で襲撃したところで、返り討ちにされるのがオチだ。
加えて
「こんな形でお前が有名になった事で、兄の俺としては鼻が高い」
「そうよね。幼なじみがこうやって有名になるって、リューセーくんの言う通り鼻高々よね」
俺の台詞にイリナが賛同するようにキャッキャはしゃぎながら言う。もう『ファイタードラゴン』を存分に楽しんでいるみたいだ。
イリナは天使だが、もうすっかりオカ研の面々にとけ込んでいる。俺も幼なじみとして接してくれるも、少しばかり
「そういえば、イッセーくんって小さい頃、特撮ヒーロー大好きだったものね。私も付き合ってヒーローごっこしたわ」
と、イリナが変身ポーズをしながら言う。俺やイッセーが小さい頃に見ていたヒーローのものだ。
言われてみればイッセーは空孫悟だけじゃなく、特撮ヒーローにも憧れていたな。特に変身シーンはキラキラしながら見ていた。
「確かにやったなぁ。あの頃のイリナは男の子っぽくて、やんちゃばかりしてた記憶があるな。それが今じゃ、俺好みな可愛い美少女さまなんだから、人間の成長って分からん」
俺好みの辺りを聞いたイリナは、途端に顔を真っ赤にする。
「もう! イッセーくんったら、いきなりそんな風に口説くんだから! も、もしかしてそう無自覚にリアスさん達を口説いていったの……? だとしたら恐ろしい潜在能力だわ! 堕ちちゃう! 私、堕天使に堕ちちゃうぅぅぅっ!!」
あっ、イリナの羽が白と黒で点滅してる。堕天するシーンは久しぶりに見たな。
天使は常に清純な存在でなければならない。なので欲に負けたり、悪魔の囁きを受けると堕天してしまう。とんだ厳しい誓約を付けてしまったと、
イリナの堕天を見たアザゼルが豪快に笑っている。
「ハハハハ、安心しろ。堕天歓迎だぜ。何しろミカエル直属の部下だ。VIP待遇で席を用意してやる」
「いやぁぁぁぁぁっ! 堕天使のボスが私を勧誘してくるぅぅぅっ! 主よ、じゃなくてリューセーくん、助けてぇぇぇぇっ!」
「はいはい、分かったから」
イリナは涙目で俺に向かって天の祈りを捧げていた。
その堕天は何とかしてあげるから、取り敢えずその祈りは止めような。
因みに堕天の止め方は、白と黒に点滅してるイリナの羽に触れて、
「リューセーお兄さまのおかげで、イッセーさんが有名になるなんて嬉しいです」
「そうだな。私たち眷族の良い宣伝にもなる。隆誠先輩には感謝しないと」
イッセーの隣にいるアーシアとゼノヴィアが楽しそうにしていた。
アーシアから『リューセーお兄さま』……何度聞いても良い響きだ。
初めてそう呼ばれた時の俺は感激の余り、涙を流しながら
アーシアはアーシアで、俺に抱きしめられた事で物凄くパニックになっていたようだ。兄とは言え、
以前の事を思い出していると、何やら朱乃がイッセーの肩に顔を載せて、艶っぽい声を耳元で囁いている。
「イリナちゃんを口説くのもいいですけれど、そろそろ約束を果たしてもらないと困りますわ。ですよね、リューセーくん?」
イッセーと頬ずりをしながら俺にも言ってくる朱乃。
約束? 一体何の話だ?
俺が必死に思い出している最中、イッセーの隣でアーシアが不機嫌となっていた。リアスも目元をひくつかせている。更には子猫も無言でイッセーの太ももを抓っていた。全員、イッセーと俺を見ながら。
「約束?」
「ちょっと待て朱乃。俺はここ最近、お前と直接約束した覚えは無いんだが……」
イッセーと俺が聞き返すと、朱乃は満面の笑みで言う。
「デートの約束ですわ。ほら、ディオドラ・アスタロトとの戦いでイッセーくんが言ってくれたでしょう? 遊園地のチケットをあげるから、二人で行くと良いってリューセーくんが」
……………………あ、ああ~~。やっと思い出した。
確か朱乃をパワーアップさせる方法として、イッセーにデートの誘いをしろって言ったんだった。
もう色々な事があり過ぎたから、もう完全に忘れてたよ。と言うより、思い出してる暇なんか全然無かったし。
それに、あの時の俺は阿呆のクルゼレイやシャルバ、アーシアの喪失、そして暴走したイッセーの事で頭がいっぱいだったからな。
「あー、確かに言いました」
「と言うか朱乃、お前ちゃんと覚えていたんだな」
てっきり、朱乃も俺と同様に色々な事があり過ぎて忘れていると思っていた。
「もちろん。……もしかして二人とも、あれはウソなの……?」
イッセーには目元を潤ませて悲しそうな顔をした後、俺にはジトッとした目で睨んできた。何か俺とイッセーに対する差が違うな。
「ウ、ウソじゃないです! だよな、兄貴!?」
「あ、ああ、勿論だ。遊園地のチケットもちゃんとある、ほら」
俺が慌てながら、収納用異空間から遊園地のチケットを取り出して朱乃に見せる。
チケットを見た朱乃はウソじゃないと分かったのか、更にギュッとイッセーを抱き締めて、心底嬉しそうな声音で言う。
「うれしい! ありがとう、お義兄さま! じゃあ、今度の休日、デートね。うふふ、イッセーくんと初デート♪」
お義兄さまって……いくら何でも気が早過ぎだろ。それに朱乃からそう呼ばれると何か複雑だよ。
それに加え、今の俺はとても不安だった。何故なら、俺とイッセーと朱乃を睨む女性陣を見ただけで何かが起こりそうだと確信しているから。
久しぶりに書きましたが、今回は原作の流れと大して変わりません。