ハイスクールD×D ~神魔兄弟の奮闘~   作:さすらいの旅人

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久しぶりの投稿です。


第十一話

 翌日、兵藤家の地下一階の大広間に全員集まっていた。

 

 俺やグレモリー眷族にイリナ、アザゼル、バラキエル、シトリー眷族に……そして、ヴァーリチーム+エリーと言う異様な面々が揃っている。

 

 ヴァーリや美猴がいるのは別に良いんだが、問題はエリーだ。共闘するとは言え、正直色々と複雑な気分だよ。リアスも彼等やエリーの同席に最後まで反対していたが、俺やアザゼル、更にサーゼクスの意見を聞いて渋々承諾する事となった。

 

 因みにエリーに関して俺が責任持って対応する事となっている。もしも裏切り行為が発覚した瞬間、俺とイッセーが全力で倒す手筈だ。イッセーは頷き、エリーも了承している。加えて、ヴァーリ達もエリーの事を完全に信用はしてないみたいで、もしもの時は自分達も対処すると言ってきた。

 

 俺に惚れている事もあって一切嘘は吐いてないエリーだが、それでも油断は出来ない相手だ。色々な意味で、な。

 

 まぁエリーだけでなく、ヴァーリ達にも言える。ロキを屠るとか言って共闘を持ちかけてくれたが、ライバルのイッセーを横取りされたくないと言う理由だけじゃない筈だ。何か別の目的もあると見るべきだろうな。

 

 因みに北欧組のオーディンとロスヴァイセ、そしてフレイヤは別室で本国と連絡を取り合っている。どうやら向こうも、ロキが日本に来た事で相当大問題らしい。

 

 ヴァルハラには他の神話体系と同盟を結ぶ事に反対する連中はいる。だが三大勢力と表立って敵対するだけの度胸はないから、オーディンは敢えて放置していた。ロキが俺達の前に姿を現わして敵対するまでは。

 

 それはそうと、俺達はロキ対策について話し合いを始めていた。

 

 今回の件については魔王サーゼクスも知っている。勿論、堕天使側や天界にも情報は伝達済みだ。

 

 何としてでもオーディンの会談を成就させる為、三大勢力が協力して守る事が決定した。

 

 協力と聞こえはいいが、協力態勢の強い此処にいるメンバーのみで力を合わせて何とかしろと言う意味だ。当然、三大勢力の助っ人である聖書の神(わたし)も加わる事になっている。

 

 早い話、ロキを俺達だけで退けろと言う事だ。

 

 相手は人間に転生した聖書の神(わたし)と違って純粋な神。だが、問題は奴が引き連れている魔物――神喰狼(フェンリル)とフレイヤの英雄――オッタル。

 

 フェンリルは生み出したロキを凌ぐ正真正銘の怪物。封じられる前のニ天龍に匹敵するほどの力を持っているらしく、アザゼルやタンニーンでも単独では勝てない相手だ。

 

 当然、未だ二天龍の力を完全に引き出せていない赤龍帝(イッセー)白龍皇(ヴァーリ)では歯が立たない。人間に転生した聖書の神(わたし)も含めて。………尤も、それは能力に関しての話だが、ここでは敢えて省かせてもらう。

 

 次にオッタルは嘗てフレイヤの英雄であり、その中でも最強の武人だったとフレイヤ本人が言っていた。聞いた話によると、オッタルは誰よりもフレイヤを深く敬愛しており、強大な魔物相手に一切怯まず戦い続けたようだ。人間の身でありながらも、神に匹敵するほどの力を持っているとか。

 

 昨日に僅かな時間だったが、奴と手合わせした時に相当の実力者だと分かった。ロキに仮初の肉体と武器を与えられても、流石は武人と思わせるほどの力と剣筋だった。ああ言う奴とは、別の出会いで手合わせしてみたかったと思う程に。

 

 しかし、今のアイツは俺を殺す事しか考えてないロキの操り人形だ。フレイヤを奪ったと勝手に思い込んだ逆恨みで。嘗て戦ったラディガンと同じ理由だから嫌になるよ、本当に。

 

 そんな厄介な存在達により、ロキとの一戦で残りのメンバーで死力を尽くせば勝てるんだが、それでも犠牲は出る。何名か戦死するのは確実だとアザゼルが真剣な顔で言う程に。…………もしも本当にそうなる場合、聖書の神(わたし)の命一つで何とか済ませたいがな。

 

 だったら加勢を頼めば良いと思われるだろう。しかし、残念ながら期待できない。しかもどの勢力からも、だ。理由は英雄派から神器(セイクリッド・ギア)所有者を送り込んでくるテロ行為は未だ断続しており、各勢力を混乱させているからだ。

 

 その為に各重要拠点は警戒を最大にしており、戦力を避けない状態だ。因みに天界にいるミカエルから――

 

『神よ、申し訳ありません……。本来であれば即座に我々が神をお守りしなければならないと言うのに、どうか不甲斐ない私を罰して下さい……!』

 

 映像用の通信で聖書の神(わたし)を見て早々に頭を下げ、更には自分に対する罰を求めてきたよ。

 

 一先ずは『全然気にしてないから』と言っておいた。アイツは天界の長としてやるべき事をやっているから、罰しようなんて気は元から無いので。

 

 なので加勢が頼れない以上、出来るだけ犠牲を出さないようにして勝つ方法を探っている。

 

「まず先に。ヴァーリ、お前が俺達と協力する理由はなんだ?」

 

 ホワイトボードの前に立ったアザゼルが一番の疑問をヴァーリにぶつける。

 

 俺達に協力する理由を、この場にいる誰もが気になっている事だ。

 

 アザゼルからの問いに、ヴァーリは不敵に笑むと口を開く。

 

「ロキとフェンリル、そして英雄オッタルと戦ってみたいだけだ。美猴たちも了承済みだ。あとは俺の得物(ライバル)を横取りされるのは我慢ならない。これらの理由では不服か?」

 

 相変わらずヴァーリはイッセーに強いライバル意識を向けてるな。それだけ以前の戦いで心に響いたと言う事か。理由を聞いたイッセーは少し嫌そうな顔をしているが。

 

 それとは別に、アザゼルは怪訝そうに眉根を寄せている。

 

「まあ、不服だな。だが、戦力として欲しいのは確かだ。そこのエリガン・アルスランドも含めてな。今は英雄派のテロの影響で各勢力ともこちらに戦力を避けない状況だ。英雄派の行動とお前らの行動が繋がっているって見方もあるが……お前の性格上、英雄派と行動を共にするわけないか」

 

「ああ、彼らとは基本的にお互い干渉しないことになっている。俺はそちらと組まなくてもロキ達と戦うつもりだ。――組まない場合は、そちらを巻き込んででも戦闘に介入する。更に聖書の神には、エリガンをぶつけさせる」

 

「私はダーリンと戦わせてくれるなら、全然問題無いわ♪」

 

 ……嫌な脅しだ。組むなら、俺達と共にロキを倒す。その逆なら、ロキを倒す為に俺達ごと攻撃する、か。更には(俺限定で)エリーからの妨害も含めて。

 

「サーゼクスも相当悩んでいる様子だったが、旧魔王たちの生き残りであるヴァーリからの申し出を無下に出来ないと言っていてな。本当に甘い魔王だが、おまえを野放しにするよりは協力してもらった方が賢明だと俺も感じている。エリガン・アルスランドに関しては、聖書の神(おやじ)に任せるしかないが」

 

「納得できないことのほうが多いけれどね」

 

 リアスがアザゼルの意見にそう言う。文句はあるが、悪魔の王たる魔王が良しとするならば、リアスも強くは言えないからな。

 

 ソーナもかなり不満のある表情だが、それでも了承している。特にエリーを睨んでいた。そうしているのは、アイツが以前にコカビエルと一緒に駒王学園を戦場にさせた件があるからだ。自分の愛する学園を勝手に戦場とさせた事に憤っていたし。

 

 厄介なヴァーリやエリーが勝手に動かれるよりは、監視下に入ってもらった方が対処はしやすい。どちらも面倒な事に変わりは無いが。

 

 因みに素直なアーシアはヴァーリに助けてもらった事もあって、大して疑問を持っていない様子だ。エリーに対してはディオドラの件もあって少し戸惑い気味だが。他の眷族達は彼女と違って文句ありそうだが、渋々応じている。エリーに対して少し殺気立っているが、そこも我慢してもらう。

 

 すると、アザゼルはヴァーリをジッと見ている。

 

「何か企んでいるだろうがな」

 

「さてね」

 

「怪しい行動を取れば、誰でもお前を指せる事にしておけば問題ないだろうな。エリガンも含めて」

 

「そんな事をするつもりは毛頭無いが、かかってくるならば、ただでは刺されないさ」

 

「私もよ。ダーリンやイッセーくんはともかく、貴方達に殺される気なんか毛頭ないわ」

 

 アザゼルの言葉にヴァーリは苦笑し、エリーは妖艶な笑みを浮かべて言い返す。

 

「……まあ、ヴァーリとエリガンに関しては一旦置いておく。さて、話はロキ対策のほうに移行する。オッタルに関しては後でフレイヤに確認するから、一先ずはロキとフェンリルの対策をとある者に訊く予定だ」

 

「ロキとフェンリルの対策を訊く?」

 

 アザゼルがリアスの言葉に頷く。

 

「そう、あいつ等に詳しいのがいてな。そいつにご教授してもらうのさ」

 

「もしかして、あの惰眠ドラゴンの事か?」

 

 俺からの質問にアザゼルは再度頷く。

 

「ああ。五大龍王の一匹、『終末の大龍(スリーピング・ドラゴン)』ミドガルズオルムだ」

 

 やっぱりな。まぁ確かにあのドラゴンなら知ってるだろう。

 

「まあ、順当だが、果たしてミドガルズオルムは俺達の声に応えるだろうか?」

 

 ヴァーリの問いにアザゼルは答える。二天龍、龍王のファーブニルとブリトラ、そしてタンニーンの力で龍門(ドラゴン・ゲート)を開き、そこからミドガルズオルムの意識だけを呼び寄せると。

 

 確かにその方法なら、アイツと話せるかもしれない。当の本人は今も北欧の深海で眠りについてるから、()()()()()()直接会う時間なんて無いから無理だ。

 

 聞いていた匙が戸惑うも、アザゼルは安心する様に待機しろと言っていた。その後に奴はバラキエルを連れて、大広間から出て行く。

 

 残されたオカルト研究部と生徒会。そしてヴァーリたち面々だ。

 

 すると――

 

「ダーリン!」

 

「おわっ!」

 

 エリーが俺に抱き着いてきた。

 

「い、いきなりなんだ!? と言うか抱き着くな! 離れろ!」

 

「何よ。あの女神は良くて、私はダメなの?」

 

 何とか引っぺがすが俺だが、それでもまた抱き着いて来ようとするエリー。

 

 いきなりの事にイッセー達はポカンとしている。

 

「お前、この前まで俺達と敵対してたろうが!」

 

「今は共闘してるんだから良いじゃない。それに……あの色ボケ女神とダーリンとの関係も聞きたくてね。どうしてあの女と恋人になってるのかしら?」

 

「あれはフレイヤが勝手に言ってるだけだ。お前と同じく自分勝手な理由でな」

 

 いきなり会って早々俺に熱烈な求愛をしてくるエリーも、フレイヤと全く同じだ。俺の事を好きになる女って、何でこんな自分勝手な性格なんだよ。

 

「私をあんな女と一緒にしないでよ。まぁそれよりも、私をダーリンの部屋に案内して♪ そこで私とダーリンの子供を作りたいわ♪」

 

「どっちもやなこった」

 

 エリーとそんな事をする気など毛頭無いが、万が一にもそうなった場合には俺は間違いなく死ぬだろう。

 

 知っての通り、エリーは夢魔(サキュバス)。コイツの事だから、容赦なく俺の精根を吸い尽くす筈だ。仮に辛うじて生きていたとしても、俺はもう二度と子供を産めなくなると思う。

 

 俺としては出来れば極普通な恋愛をして、自分が心から愛している女性と結婚して子供を作りたいと思ってる。なのでアブノーマルなエリーやフレイヤは断じてお断りだ。

 

「あ、あの、イッセーさん。リューセーお兄さまが……」

 

「良いんだ、アーシア。取り敢えずエリーの事は兄貴に任せとけ。ゼノヴィアとイリナ、お前等もだぞ」

 

「くっ! あの女、主である隆誠先輩にああも馴れ馴れしく……!」

 

「後でミカエル様に報告しておく必要があるわね……」

 

 因みに俺とエリーのやり取りに、イッセー達は手を出さないでいた。

 

 イッセー。前に言ったが、黙って見てないで少しは兄の俺をフォローしてくれ。もしフレイヤが戻ってきたら、また面倒な事が起きるんだからさ。


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