ハイスクールD×D ~神魔兄弟の奮闘~   作:さすらいの旅人

19 / 21
久々の更新で短いです。


第十六話

 決戦の時刻。今はもう既に夜となっている。

 

 俺達はオーディンや日本の神々が会談する予定である、都内のとある高層高級ホテルの屋上にいた。

 

 高層ビルだけあって、風が激しく吹き荒れている。

 

 此処ではない周囲のビルの屋上にはシトリー眷族が各々配置され、既に待機していた。遠目で見なくても、彼女達が発してるオーラで人数も把握済みだ。

 

 だが、その数の中に匙のオーラは感じられない。この場にいないと言う事になるが、彼は遅れると事前に聞かされていた。どんな特訓をやらされているのかは知らんが、戦闘終了後に登場は流石に勘弁して欲しい。

 

 アザゼルも同様にいなく、会談での仲介役を担う為にオーディンやフレイヤの傍にいる。本当だったら俺も一緒に仲介役になっていたが、オッタルの件もあって、今回はイッセー達と同じく戦闘側に参加している。その為、俺がアザゼルの代理として総大将になったのは言うまでもない。尤も、それは名ばかりに過ぎないが。

 

 戦闘に不参加であるアザゼルの代理として、バラキエルがこの場で待機。ロスヴァイセも北欧側の代表として戦闘に参加しており、以前に見た鎧姿で待機中だ。

 

 そして遥か上空にはタンニーンもいる。流石に巨大なドラゴンの姿を人目に付けば大騒ぎになるのは確実なので、悪魔側の方で一般人に視認出来ない術を施している。

 

 少し離れた所にいるエリーやヴァーリ達も待っている。

 

「――時間ね」

 

 リアスが腕時計を見ながら呟いた。

 

 それは会談が始まった時間だ。今頃ホテルの一室で大切な会談が始まっているだろう。

 

 アザゼルやオーディンなら問題無く成功すると確信している。フレイヤは少しばかり性格的に問題あるが、重要な会談に関して真面目にやるから大丈夫だ。念の為に俺が『会談に成功したら俺と二人っきりのデートでもどうだ?』と言った瞬間、フレイヤは今まで以上に物凄いやる気を見せていたので。因みにエリーが知ったら百パーセント面倒事になるので伏せている。別に付き合ってもいないのに、何でこんな事をしなければならないんだか。

 

 まぁそれはそうと、残すは奴が来るのを待つだけだ。

 

 ロキの性格から考えて――

 

「――兄貴」

 

「ああ、来たな」

 

 どうやって来るかを考えてると、隣にいるイッセーが声を掛けてきた。それに反応した俺は上空を見上げる。

 

「小細工なしか。恐れ入る」

 

 ヴァーリが苦笑しながらも、俺と一緒に上空を見ていた。

 

 

 バチッ! バチッ!

 

 

 突如ホテル上空の空間が歪み、大きな穴が開いていく。

 

 そこから出てきたのは当然――悪神ロキと神喰狼(フェンリル)、そしてオッタルだ。

 

 思った通り、やはり正面から堂々と来たようだ。

 

「バラキエル」

 

「承知。――目標確認。作戦開始」

 

 俺が呼ぶと、バラキエルは耳に付けていた小型通信機に指示を送った。その直後、ホテル一帯を包むように巨大な結界魔法陣が展開していく。

 

 ソーナを始めとしたシトリー眷族が俺達とロキとフェンリル、オッタルを戦場に転移させる為、大型魔法陣を発動させたのだ。

 

 当然ロキも感知してる筈だが、向こうはただ不敵に笑みだけで無抵抗の姿勢だった。まるでこうなる事を初めから分かっていたように。

 

 そして、魔法陣に包まれた俺達は――――――大きく開けた土地へと転移された。

 

 既に使われていない古い採石場跡地で、周囲は岩肌だらけとなっている。此処がロキ達との決戦の場だ。

 

 隣のイッセーや後方のアーシア、リアスと眷族を確認。イリナやバラキエルにロスヴァイセも同様。

 

 エリーも含めたヴァーリ達も少し離れた場所に転移していた。

 

 対して、前方にはロキとフェンリルとオッタル。特にオッタルの奴は、今か今かと俺に襲い掛かりそうで、途轍もない殺気をぶつけている。

 

「トリックスターと呼ばれるお前が何もせず見守っていたのは、こうなる事を既に予想していたのか?」

 

 俺の問いにロキは笑う。

 

「その通り。どうせ抵抗してくるのだろうから、ここで始末してその上であのホテルに戻ればいいだけだ。遅いか早いかの違いでしかない。会談をしてもしなくてもオーディン達には退場して頂く」

 

「けどその前に、ヴァルハラに来た元凶と言う理由で聖書の神(わたし)を殺すんだろう? そうなれば、三大勢力の戦争を再開出来る口実になるからな」

 

『!』

 

「ほう。やはりそこまで見抜いていたか」

 

 リアス達が驚愕しているのを余所に、ロキは全く動じないどころか更に笑みを深めていた。

 

「いくら『神々の黄昏(ラグナロク)』を成就させたいと言っても、ロキ一人だけで三大勢力や各神話体系を相手にするのは無理だ。そこでお前は考えた。人間に転生した聖書の神(わたし)を殺して全世界に宣言すれば、例えどんな結果であっても、各勢力は以前と違って必ず何かしらの行動を起こすとな。特に反応を示すのは三大勢力側の天使勢だ。そこをロキが情報操作すれば、聖書の神(わたし)天使(こども)達はお前の操り人形の如く掌の上で踊らせる事が出来る筈だと。そうなれば三大勢力の足並みが乱れるどころか折角締結された同盟も決裂し、再び三大勢力の戦争が起きて、更には『神々の黄昏(ラグナロク)』も成就出来ると言う非常に好都合な展開にもなる。例えオーディン達の始末に失敗しても聖書の神(わたし)さえ殺せば、世界は必ず再び混乱するとな。以上が俺の推測だ。どこか間違いがあれば遠慮なく指摘してくれ」

 

「ふははははははは! 大正解だ! どうやら腐っても聖書の神のようだな!」

 

 一切否定せず、愉快だと言わんばかりに大笑いをする悪神ロキ。

 

「しかし、見抜いていながら何故私の前に姿を現すと言う愚を犯している? それは自ら死に足を踏み入れているも同然だぞ。本来であれば、聖書の神(きさま)もオーディン達と一緒に会談をすべきだったであろうに」

 

 そう。奴の言う通り、聖書の神(わたし)がこの場にいるのは最も危険だった。もし俺が死んだ時点でゲームオーバーになってしまう。何もかもが、な。

 

 因みにこの推測をアザゼル達に話した際、俺が戦う事を真っ先に反対した者達がいた。教会出身のゼノヴィアとイリナ、そして妹分のアーシアが。当然リアス達も参加しないべきだと言っている。

 

 だが、それでも俺は参加すると皆の反対を押し切った。ロキ側にはオッタルと言う非常に厄介な相手がいるに加え、自分だけ安全な場所へ隠れて皆に任せる訳にはいかないと。

 

 万が一に俺が危険な状態に陥った際、アザゼルよりある物を貰っている。この場から強制的に避難させる為のアイテムを。それを身に付けない限り、参戦は許可しないってな。自分だけ逃げる対策を立てられるのは非常に気が乗らないが、それでもイッセー達と戦えるならと敢えて承諾してる。

 

聖書の神(わたし)より、自分を心配したらどうだ? この後に敗北する自分を、な」

 

「―――よかろう。人間の身になり堕落した元神には、先ずは堕落した英雄(オッタル)と殺し合ってもらおうか。どうやら我慢の限界が訪れてるのでな」

 

「ウゥゥゥゥゥゥ……!!」

 

 そう言いながらロキはオッタルの方を見ると、もう暴れる寸前に陥っている。あと数秒したら、ロキの命令を無視して俺に襲い掛かって来るだろう。

 

 因みに俺がロキと話してる間、イッセーはいつでも禁手(バランス・ブレイカー)になれる準備をしていた。同時に昇格(プロモーション)も含めて。

 

「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 その瞬間、オッタルが雄叫びをあげながら俺に向かって突進してきた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。