「それじゃあ小猫、今日もイッセーの治療を頼むよ」
「……分かりました」
リアス達と一緒に戦闘から帰って来た俺は、部屋に小猫を連れてきた。削り取られてしまったイッセーの寿命を、小猫の仙術で治療させる準備を行う為に。
イッセーは転生悪魔になる前に、シャルバとの戦闘で
命を使った為に死ぬ寸前となったイッセーは転生悪魔となるが、悪魔の寿命を使って正常な状態へと戻った。但し、その寿命は二~三十%以上失っている。
悪魔は一万年近い寿命を持っているが、転生悪魔となったイッセーは他と違って七~八千年生きられない。それでも人間からすれば永遠に近いがな。
しかし、イッセーは他のグレモリー眷族と違って寿命が短い分、一番最初に死ぬ事が確定済みだ。イッセーにはリアス達と同じ時間を過ごして貰いたいから、失った寿命を元に戻そうと考えた。
その結果として、俺は小猫に仙術治療をしてもらうよう頼んだ。以前まで仙術を使う事を拒んでいた小猫だったが、心の整理がついたのか、今回の治療を快く引き受けてくれた。小猫としても、イッセーが自分より先に死んでしまうのは嫌みたいだ。
なので俺は数日の間、効率の良い仙術治療法を小猫に一通りの事を教えた。教えられてる小猫はフムフムと学んだ後、イッセーに仙術治療を実践している。因みに『仙術治療の際は、肌と肌を直接合わせる事で回復が早くなる』と教えたら、小猫は顔を恥ずかしそうに赤くしながらも実践したそうだ。治療後にイッセーから聞いた後は、小猫も結構大胆になってきたなぁと思わず感心したよ。
「……あの、リューセー先輩。一つ確認が」
「ん? どうした?」
俺の部屋を出ようとする小猫が、突然振り返って質問してこようとする。しかも顔を真っ赤にしながら。
「………こ、こんな事を訊くのはどうかと思うんですが……。もっと手っ取り早い方法は、ありますか? 例えば、その………ぼ、房中術とか」
「…………………」
おいおい、よりにもよって俺になんつー事を訊いてくるんだよ。思わず無言になってしまったじゃないか。
いくら俺が効率の良い仙術治療を教えてるからって、それは流石に返答に困るぞ。
因みに房中術とは、分かり易く言えば男女の性行為である。イッセー風に言えばエッチするって事だ。
「……え、えっと……その方法は俺じゃなくて、治療してるイッセーに確認を取ってくれ。まぁ敢えて言うなら、それはそれで充分な治療になるって事だけは言っておく」
「………分かり、ました。変な質問して、すいませんでした。では」
恥ずかしい質問をしてると自覚してるのか、小猫は確認した後に颯爽と部屋から出て行った。
その後、小猫が本当に房中術を実践しようとしてるのか不安に思った。もしリアス達の耳に入ったら、とんでもない事になるかもしれないと。
不安を抱いてる俺は確認と言う名目でイッセーの部屋に行くと、扉の前には何故か薄い白装束を纏った猫耳モードの小猫がいた。
「どうしたんだ、小猫? 治療はどうしたんだ?」
「……そ、それは」
小猫が部屋の扉を指しているので、俺がその前に立って聞き耳を立てると――
『それじゃあ、イッセー。聞かせてもらおうかしら。さっき小猫と話していた房中術とか、異種族との交配とか、悪影響とかを全部』
『イッセーさん、ちゃんと聞くまで寝るのはダメですからね』
『ち、違うんです部長! アーシアも勘違いしている! 俺は別に悪い意味で言ったつもりじゃ……!』
どうやら俺の不安は的中してしまったようだ。
取り敢えず小猫には、今後暫く房中術についての話題は一切触れないようにと注意しておいた。
☆
次の日。休日。
今日はイッセーと朱乃の遊園地デートする日だ。
二人が出掛けた後、リアス達が動き出したのは言うまでもない。それは当然、イッセーと朱乃の後を追う為だ。
この展開の後を考えた俺は――
「ふぅっ。取り敢えず逃走成功っと……」
彼女達に気付かれないよう、コッソリと転移術を使って逃げ出した。今は自宅から少し離れた裏路地にいる。
すると、リアス達のオーラを感じたから、俺はすぐに気配を消して隠れる。
「リアスお姉さま、リューセーお兄さまはどこへ行ったんでしょう?」
「どうせ、私達と同行するのが嫌で逃げたと思うわ」
「……こういう時のリューセー先輩は薄情です」
「ぼ、僕はリューセー先輩は用事があってお出かけしたんじゃないかと思いますが……」
「と言うか小猫ちゃん、どうして僕も一緒に来ないといけないの? イッセー先輩と朱乃さんのデートに、僕は関係ない筈じゃ……」
アーシア、リアス、小猫、裕斗、ギャスパーがそれぞれ思った事を口にしながら、二人がいる遊園地へと向かっていた。
ってか何だあの変装は? あからさまに怪しすぎるぞ。特に小猫とギャスパーが。小猫はレスラーの覆面してて、ギャスパーは紙袋かぶってるし。見ててあからさまに怪しいとしか言いようがない。裕斗は変装してないから問題無いが。
まぁソレは別に、どうやら裕斗とギャスパーは俺の代わりとして連れて来られたようだな。すまん二人とも。あと裕斗にはお詫びとして、俺が修行相手になるから。
取り敢えず今日は夕方まで家に戻らないで、どこか適当にブラブラする事にしよう。その時にはイッセーと朱乃のデートや、リアス達の追跡も終わってるだろうし。
そう考えた俺は、リアス達の気配が遠くなったのを確認した後、彼女達とは別方向の道へ行く事にした。
で、俺が来たのは――
「と言う訳で、逃げてきたって訳ですよ」
「あらまぁ、リューセーちゃんも大変ねぇ」
オカマのローズさんが経営してるオカマバーだった。ここ最近彼の店に来てなかったので、久しぶりに来店してる。
平日は営業時間外だが、土休日だと今の午前中には喫茶店扱いとして営業している。なので今のローズさんの格好は普通の格好だ。
「それにしても、イッセーちゃんはここ最近モテモテねぇ。今までは全然そうじゃなかったのに」
イッセーとのデートの事を話してると、ローズさんは面白そうに聞きながらそう言った。
「ですねぇ。俺達がリアス達がいるオカ研に入部して以降からでしょうか。アイツがそうなったのは」
今までのイッセーは、学校の女子から嫌われている変態だった。なのに今は駒王学園トップアイドルのリアスや朱乃、更にはアーシアや小猫にゼノヴィアにまで好かれている。他には冥界にいるレイヴェルとか。勿論全員、イッセーを一人の異性として愛している。と言っても、彼女達は全員悪魔だけどな。
「ああ、そうそう。言い忘れてましたけど、イッセーは転生悪魔になって、漸くリアスの正式な眷族になりましたよ」
「ふ~ん。これでリアスちゃんも、堂々とイッセーちゃんを自分の眷族と言えるようになったのね」
「ええ。尤も、アイツにはもっと強くなってもらわないと困りますが」
いくら念願だったイッセーの眷族化にしたからって、それを満足されては困る。リアスには今後、イッセーの主として更に精進しないとな。
「ところでリューセーちゃん。貴方、そろそろワタシに何か話す事があるんじゃないかしら? それとも、まだ待った方が良いの?」
すると、ローズさんは急に真剣な顔になって俺に問う。彼の雰囲気を察した俺は、意を決して話そうとする。
ローズさんと出会って数年経ち、これまで数々の恩がある。彼の素性は知っていると言うのに、未だに自分の正体を話さないのは正直言ってフェアじゃない。
本当なら教えてはいけないが、幸い彼は三大勢力の裏事情を知っている人間だ。どの道、遅かれ早かれ知ってしまう事になるから、俺の口から直接話しておいた方が良い。
「そうですね。既に三大勢力が和平を結び、そして……
席を立った俺は少し離れると、ローズさんの目の前で真の姿――
「御覧の通り、これが私の正体だ。我が名は聖書の神。嘗て天界を治めていた神だ……な~んてね。実は俺、人間に転生した元神なんですよ」
「あらあら、それがリューセーちゃんの本当の姿なの。まさかとは思っていたけど、本物の神さまだったのねぇ。可愛い人間のリューセーちゃんから超イケメンに大変身なんて……ワタシ、思わず惚れちゃいそうだわぁ♪」
「ハハハ。残念ですが、生憎と俺に男色趣味はありませんので」
初めて
にしてもローズさん、俺が正体をバラしたのに随分と冷静だな。普通、こういう時は簡単に受け入れるとは思えないんだが。と言うか、薄々感付いていた様子だ。
「当然よぉ。今まで
「さり気無く心を読まないで下さいよ」
どうやら彼は俺が今まで見せた力を見て色々と疑問を抱いていたようだ。まぁ、言われてみればそれは当然か。
この後、
久々にオカマのローズ登場です。
恩人であるローズに本当の事を話す隆誠でした。