ハイスクールD×D ~神魔兄弟の奮闘~   作:さすらいの旅人

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今回は少し長めです。


第五話

「ほっほっほ、というわけで訪日したぞい」

 

 兵藤家の最上階に設けたVIPルームでオーディン殿が、訪日した理由を話しながら楽しそうに笑っていた。

 

 日本に用事があるついでとして、この町へ来たんだと。まぁこの町は悪魔、天使、堕天使、三大勢力の協力体制が強いから安全だからな。

 

 家には俺やグレモリー眷族全員集合している。アザゼルもオーディンが来訪したのを聞いて、久しぶりに顔を出していた。

 

 言うまでもなく、イッセーと朱乃のデートは中断だ。あの後はリアス達と合流し、そのまま家にオーディン達を連れて帰って来た。その際に朱乃はバラキエルと会った事により、ずっと不機嫌のままだ。俺が間に入ってる事もあって、今は何とか落ち着いている。

 

 前にアザゼルから話は聞いたが、バラキエルと朱乃の確執は相当根深いようだ。朱乃はバラキエルと視線を交わさないどころか、完全に無視状態になっている。

 

 バラキエルとは久々に会ったけど、今も大して変わってないな。武人気質で堅物なところが。実力に関してもアザゼルと肩を並べるほどだ。一撃の攻撃力に関しては堕天使随一でもある。以前にイッセーが戦ったコカビエルは、自身が最強の堕天使と豪語していたが、バラキエルに比べれば程遠い。

 

「どうぞ、お茶です」

 

 リアスが笑顔でオーディンに応対していた。ついでと言っちゃなんだが、つい先程にイッセーの頬を思いっきり抓っていた。その後にはゆっくりとお話があるんだと。イッセー、生きろよ……。

 

 まぁ俺も俺で、それとは別の理由で逃げたいんだよな。さっきからフレイヤの奴が、座っている俺に抱き着いたままだから。北欧で名高い女神フレイヤが俺に抱き着いてるのを見たリアス達は、物凄く驚いていたよ。ゼノヴィアとイリナは相手が女神だからか、強く出れないでいる。

 

「構わんでいいぞい。しかし、相変わらずデカいのぅ。そっちもデカいのぅ」

 

 リアスと朱乃の胸を交互に見るオーディン。もう完全にエロジジイの顔だな。

 

 あとイッセー、文句言っても構わんが、家の中で暴れるのだけは勘弁してくれよ。

 

「もう! オーディンさまったら、いやらしい目線を送っちゃダメです! こちらは魔王ルシファーさまの妹君なのですよ! それとフレイヤさま、そろそろリューセーさんから離れたらどうですか!?」

 

 ヴァルキリーのロスヴァイセがオーディンの頭をハリセンで叩くと、次にフレイヤへ抗議する。

 

 オーディンは頭をさすりながら半眼になっていた。オーディンとロスヴァイセのやり取りは相変わらずだな。 

 

「まったく、相変わらず堅いのぉ。サーゼクスの妹と言えば別嬪さんでグラマーじゃからな、そりゃ、ワシだって乳ぐらいまた見たくもなるわい」

 

「ほ~んと、堅物なんだから、ロスヴァイセは。私はリューセーと久しぶりに会ったんだから、抱擁したくなるのはしょうがないでしょ」

 

 文句を言うオーディンとフレイヤ。こういう時の二人は息が合うんだよなぁ。

 

 すると、彼女についてオーディンがリアス達に紹介しようとする。

 

「こやつはワシのお付きヴァルキリーじゃ。名は――」

 

「ロスヴァイセと申します。日本にいる間、お世話になります。以後、お見知りおきを」

 

 オーディンからの紹介でロスヴァイセが挨拶をした。以前と違い鎧は着ていなく、パンツスーツを着込んでいる。流石に人間界、と言うより日本で鎧のまま着たら、コスプレと勘違いされるからな。

 

 今のロスヴァイセの見た目は、クールビューティーで仕事が出来る雰囲気だな。

 

 因みにフレイヤはリアスや朱乃と似たような服装だった。少し裾が短めの赤と白を合わせたワンピースで、如何にも俺と同い年だと思わせる可愛い女の子風の服だ。

 

「以前リューセーが彼氏じゃったが、今はフラれて新しい彼氏募集中の生娘ヴァルキリーじゃ」

 

「そして私フレイヤがリューセーの恋人で~す」

 

『ええ!?』

 

 オーディンとフレイヤが余計な追加情報をくれた所為で、狼狽しだしてるロスヴァイセだけじゃなく、(イッセーを除く)悪魔のリアス達+イリナが酷く驚いていた。

 

「そ、そ、そんな事を言わなくていいじゃないですかぁぁぁっ! わ、私だって、ずっとリューセーさんの彼女でいたかったんですよっ! リューセーさんが嫌いだからフッたんじゃないんですからねぇぇぇぇ! あのままリューセーさんがヴァルハラにいてくれたらぁぁぁ!」

 

 その場にくずおれて、床を叩き出したロスヴァイセ。

 

 別れ際の時は俺に新しい勇者(かれし)を作るって意気込んでいたのに……。結局はまだ引き摺ってたんじゃないか。って事は、未だ新しい勇者(かれし)に目星がついてないのね。

 

 ったく。さっきまでのクールビューティーだったイメージが一気に崩れたよ。

 

 リアス達は俺に訊きたそうな顔をしてるが、流石にオーディン達の前ではやらないようだ。でも、後で問い質す雰囲気を感じるが。

 

「まあ、戦乙女の業界も厳しいんじゃよ。器量良しでも中々芽吹かない者も多いからのぉ。それに最近では英雄や勇者の数も減ったもんでな、経費削減でヴァルキリー部署が縮小傾向での、リューセーからの提案で独り身となったこやつをワシのお付きにさせて職場の隅にいたのじゃよ」

 

「それにウチのヴァルキリー達って、奥手で夢見がちなのよね。理想の相手ばっかり追いかけてるから、あんなんじゃ勇者(かれし)なんて絶対出来ないわ。ま、私の理想の彼氏はリューセーだけどね」

 

 オーディンとフレイヤはうんうんと頷きながらそう言う。以前俺とイッセーがヴァルハラへ訪れた時、オーディンからヴァルキリー事情を聞いて、世知辛い時代になったと気の毒に思ったよ。思わず人間界の現代社会と大して変わんないじゃないかと。フレイヤの発言は敢えて無視させてもらうが。

 

 アザゼルがやり取りに苦笑しながらも口を開く。

 

「爺さん達が日本にいる間、俺達で護衛する事になる。バラキエルは堕天使側のバックアップ要因だ。俺も最近忙しくて、此処にいられるのも限られているからな。その間、俺の代わりとしてバラキエルが見てくれる」

 

「よろしく頼む。それと聖書の神(ちちうえ)、御挨拶が遅れてしまいましたが、お久しぶりです」

 

 言葉少なにバラキエルが挨拶をして、俺にも息子としての挨拶もする。

 

「あ~、バラキエル。出来れば俺の事はアザゼルみたく、名前で呼んで構わない。堅苦しい喋り方もしなくていいから」

 

「そう言われても……。むぅ、では隆誠殿……と、お呼びしても宜しいですか?」

 

「ああ、今はそれで良いよ」

 

 見た目中年男性のバラキエルから、父上と呼ばれるのは正直言って抵抗があった。聖書の神(わたし)の時は問題無いが、兵藤隆誠(おれ)に向かって父呼ばわりされると、周囲から見れば色々と突っ込みどころ満載だからな。

 

 それはそうと、俺達がオーディン達の護衛か。特にフレイヤが面倒だ。

 

「ところで爺さん、来日するにはちょっと早過ぎたんじゃないか? 俺やリューセーが聞いていた日程はもう少し先だった筈だが」

 

「全くですよ、オーディン殿。事前に来ると連絡してくれれば、こんなバタバタせずに済んだんですから。それに来日目的は日本の神々と話をつけたいからでしょう? ミカエルとサーゼクスが仲介で、アザゼルが会談に同席する予定だと」

 

「言っておくが聖書の神(おやじ)も俺と同席だぞ。三大勢力(おれたち)の助っ人なんだからよ」

 

 クソっ。アザゼルの奴め、俺だけ楽させないと釘を刺しやがって! 助っ人だからって、何でもかんでも頼ろうとするなよ!

 

「まあの。それと我が国の内情で少々厄介事……というよりも厄介なもんにワシのやり方を批難されておってな。以前ヴァルハラへ来たリューセーには話したじゃろう? 頭の固い奴等や、あの阿呆も含めて」

 

 ………ああ、言われてみれば確かに。特に俺とイッセーがヴァルハラへ訪れた時、一番嫌悪感を抱いていたのは北欧の悪神――ロキだった。アイツは俺達と会った瞬間、殺す勢いで追い出そうとしたんだよな。『ここは貴様等のような人間が踏み入る場所ではない!』と。まぁオーディンがいた事によって事無きは得たがな。

 

「成程。オーディン殿は奴等に妨害されないよう、先手を打とうと早めに行動したという訳ですか」

 

「その通りじゃ。なので日本の神々といくつか話をしておきたいんじゃよ。今まで閉鎖的にやっとって交流すらなかったからのぉ」

 

 オーディンは長い白髭を擦りながら嘆息していた。知ってはいたけど、どこの勢力も厄介事があるのは当たり前か。

 

「厄介事って、ヴァン神族に狙われたクチか? まさか聖書の神(おやじ)とイッセーがヴァルハラへ来たのが原因じゃねぇだろうな? 頼むから『神々の黄昏(ラグナロク)』を勝手に起こさないでくれよ、爺さん」

 

 アザゼルは皮肉気に笑う。

 

 失礼な。俺とイッセーはヴァン神族と事を起こしてなければ、接触もしてないっての。

 

「ヴァン神族はどうでもいいし、リューセー達とも一切関係無いわい」

 

「ならいいがな。そういや聖書の神(おやじ)、何でイッセーと一緒にヴァルハラへ行ったんだ?」

 

「ああ、以前にイッセーを連れて修行の旅で北欧を訪れた際、ヴァルハラへ行く機会があってな。その時に当時まだ見習いヴァルキリーだったロスヴァイセが――」

 

「りゅ、リューセーさん! そこは細かく説明しなくていいですから!」

 

 俺が説明しようとする所を、ロスヴァイセが顔を赤くしながら待ったを掛けた。

 

 どうやら彼女にとっては話して欲しくない内容みたいなので、俺は一部分を省略しながら、彼女を通してヴァルハラへ訪れた事を話す事にする。ロスヴァイセが自分の事を話さないかハラハラしながら聞いてる中、イッセーは苦笑しながら見ていたけど。

 

「あれ? なぁ兄貴、トップ会談やる前までは自分の正体隠してたのに、何で爺さん達には話したんだ?」

 

「ああ、それね。俺がヴァルハラで能力(ちから)を使ったのを見たオーディン殿が疑問を抱いて、その後に問い詰められたんだ。身内のお前や三大勢力に口外しない条件として、教えざるを得なかったんだよ」

 

「ほっほっほ。ワシに見られたのが運の尽きじゃったな、リューセーよ」

 

 してやったりと得意気に言い放つオーディン。

 

「まさかリューセーがそんなドジを踏んだとはな。嘗て完璧主義者だった聖書の神(おやじ)とは思えねぇ致命的なミスじゃねぇか」

 

 アザゼルも合点がいったと納得した顔をしている。

 

「仕方なかったんだよ。あの時は運悪く、聖書の神(わたし)が抑えてた能力(ちから)が暴走しかけたんだから。それにオーディン殿が俺の能力(ちから)の暴走を抑える為の術を使ってくれなかったら危ういところだったし」

 

「まぁそう言う事じゃ。ワシは言わば恩人と言ったところかのぉ」

 

 場合によっては死んでたかもな、と此処で言うのは止めておこう。イッセー達を無駄に心配させるだけだ。

 

 オーディンにも余計な事を言わないよう目を配らせると、察したように小さく頷いている。

 

「そうだったのか。じゃあそこのフレイヤさんが、兄貴を好きになってるのは前に言ってた一目惚れじゃなく、元は神さまだからか?」

 

「違うわよ、イッセーくん。私はヴァルハラで初めて会ったリューセーに一目惚れしたの。神とか人間とか関係無くね♪」

 

「その所為で俺はお前の兄――フレイから敵視される破目になったがな」

 

 イッセーに嘘を言ってないと答えるフレイヤに、俺は物凄く嫌そうに言う。

 

 あの時は本当に戸惑ったよ。ヴァルハラから少し離れた草原でイッセーと軽い組手をしてる最中、いきなり北欧の美女神フレイヤが俺の目の前に現れた直後――

 

『私、貴方の戦う姿を見て一目惚れしたわ! だから私の恋人になって!』

 

 ――と言う告白をされたぞ。余りの展開に俺だけじゃなく、組手をしていたイッセーですら目が点になってたからな。

 

 それからというものの、兄フレイの目を掻い潜っては俺に会って抱き着いてくるのがお決まりとなった。その所為でオーディンに茶化されるわ、フレイの他にフレイヤを慕ってる男神共に嫉妬されまくって散々な目に遭った。

 

 今の俺はロスヴァイセの勇者(エインヘリヤル)だと言っても、フレイヤは全然諦めようとしない。勇者(エインヘリヤル)の期間が終わった後も、こうして今に至るって訳だ。

 

 俺がフレイヤに惚れられてる理由を聞いていたリアス達は、少し気の毒そうな目で俺を見ていた。恐らく、俺に今も熱烈な恋愛感情を抱いてるエリーの事を思い出してるんだろう。

 

「ま、それよりアザゼル坊。どうも『禍の団(カオス・ブリゲード)』は禁手化(バランス・ブレイク)出来る使い手を増やしているようじゃな。怖いのぉ。あれは稀有な現象と嘗てリューセーから聞いたんじゃが?」

 

 突然、重要な話になった事でリアスたち眷族は驚いて顔を見合わせていた。

 

 どうやらアザゼルも俺と同じ考えだったようだな。英雄派の連中が度重なる襲撃を仕掛けた目的を。

 

「ああ、レアだぜ。だが、どっかのバカが手っ取り早く、それでいて怖ろしく分かり易い強引な方法でレアな現象を乱発させようとしているのさ。神器(セイクリッド・ギア)に詳しい者なら誰でも一度は思いつくが、それを実行するとなると各方面から批判される為にやれなかった事だ。成功しようが失敗しようが大批判は確定だからな」

 

「なんですか、その方法って」

 

 イッセーの問いかけに、アザゼルは答えようとする。

 

聖書の神(おやじ)からの報告で概ね合っている。下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦だよ。先ず、世界中から神器を持つ人間を無理矢理かき集める。そして、洗脳。その途中で恐らく、神器(セイクリッド・ギア)を生み出した存在――聖書の神(おやじ)に対する憎しみを募らせたんだろう。次に強者が集う場所として、超常の存在が住まう重要拠点に神器(セイクリッド・ギア)所有者を送る。それを禁手(バランス・ブレイカー)に至る者が出るまで続ける事さ。もし至れば、強制的に魔法陣で帰還させる。リアス達の対峙した影使いが逃げたのも禁手(バランス・ブレイカー)に至ったか、至りかけたからだろうな。尤も、聖書の神(おやじ)が戦った連中は全員神器(セイクリッド・ギア)を使わせる前に倒したが」

 

 やはりな。洗脳で聖書の神(わたし)を諸悪の根源扱いさせてたのか。道理で襲撃者の中に、同じ罵倒内容しか叫ばない訳だ。『お前の所為で不幸になった』、『許さない、殺してやる』、『人生を返せ』、『全部お前が悪い』と。まるでそう言う風に言えみたいな感じで、さっきの台詞を何回も何回も同じ事を言ってたんだよな。最初は奴等の罵倒で精神的に参ってたが、イッセーのお陰で心が晴れた後には考える余裕が出来た。アイツ等の言動は何かおかしいと。

 

 そう考えてるとアザゼルは続ける。

 

「これらの事はどこの勢力も、思い付いたところで実際にやろうとはしない。仮に協定を結ぶ前の俺が悪魔と天使の拠点に向かって同じ事をすれば、批判を受けると共に戦争開始の秒読み段階に発展する。俺は元からそんな事を望んじゃいない。だが、奴等はテロリストだからこそ、それをやりやがったのさ。人間に転生した聖書の神(おやじ)を憎しみの標的にすれば猶更に好都合だとな」

 

 『禍の団(カオス・ブリゲード)』は各勢力を恨んでいる連中なので、憎しみの対象である聖書の神(わたし)もいるから問題無いと言ったところか。その憎しみを利用するなんて、あの腐れ外道共は本当にいい度胸してるよ。

 

 すると、アザゼルの説明を聞いていたイッセーが急に疑問を抱いた顔になって俺を見る。

 

「ちょっと待て、俺はアザゼル先生が言った内容で禁手(バランス・ブレイカー)に至ったんだけど?」

 

「今更な質問だな。お前が強くなりたいって言ったから、俺はそれに応えたんだぞ。才能が無かったお前を強くさせようと考えに考え抜いた結果、強い相手と実戦形式でやらせるしかないってな。まぁ主に俺との実戦形式で何度も死に掛けたが」

 

「…………覚えてろよ、バカ兄貴。いつか必ずぶっ飛ばしてやる」

 

「ははは。楽しみに待ってるよ」

 

 恨み言を吐くイッセーに、俺は軽く流した。

 

「まぁどちらにしろ、人間をそんな方法で拉致、洗脳して禁手(バランス・ブレイカー)にさせるってのはテロリスト集団『禍の団(カオス・ブリゲード)』ならではの行動って訳だ」

 

「確かそれをやっている連中は兄貴も知ってるよな?」

 

 イッセーの問いに俺は答える。

 

「ああ。英雄派の主なメンバーは伝説の勇者や英雄の子孫が集まってるよ。身体能力に関しては天使や悪魔にも引けは取らない。神器(セイクリッド・ギア)や伝説の武具を所有してる。更には神器(セイクリッド・ギア)禁手(バランス・ブレイカー)に至っている上に、神滅具(ロンギヌス)持ちもいるときた。とまぁこんなところだ」

 

「何だそりゃ? そんな奴等が非人道的な事をしてるのかよ。つーか、本当に英雄や勇者の集まりなのか?」

 

 お、イッセーが良い所に気付いた。

 

「その内会って戦った際に分かる、とだけ言っておく」

 

 実は英雄の本質を全く理解してない、英雄気取りの悪ガキ共だって事をな。

 

「それよりも連中が禁手(バランス・ブレイカー)使いを増やして何を仕出かすか、問題じゃの」

 

 オーディンは深刻な顔をする事もなく、普通に茶を飲んでいた。相変わらずマイペースだな、この老神は。

 

「まあ、今はまだ調査中の事柄だ。ここでどうこう言っても始まらん。それで爺さん、どこか行きたいとこはあるか?」

 

 アザゼルがオーディンに訊くと、彼はいやらしい顔つきとなって両手の五指をわしゃわしゃさせた。

 

「おっぱいパブに行きたいのぉ! 前にイッセーから貰った本の広告に載ってたのを見て、是非とも行きたいと思ってたんじゃ!」

 

「ハッハッ、やはり見るところが違いますな、主神どのは! よっしゃ、いっちょそこまで行きますか! 俺ん所の若い娘っ子共がこの町でVIP用の店を最近開いたんだよ。そこに招待しちゃうぜ!」

 

 急に卑猥な話になった事で、俺は途中で聞く気にならなかった。

 

 盛り上がっている二人は、部屋を早々と退室した。アレが世界を守ろうとする首脳陣とは、世も末だな。

 

 さっきまで話を真剣に聞いていたリアスなんか、額に手をやって眉を顰めてるし。

 

「オーディンさま! わ、私もついていきます」

 

 あ、ロスヴァイセが律儀に追っていった。

 

「お前は残っとれ。アザゼルがいれば問題あるまい。この家で待機しておれ。どうせなら久しぶりに会ったリューセーとゆっくり話し合ったらどうじゃ? 寄りを戻す為の」

 

「そ、そんなのオーディンさまには関係ありませんから!」

 

「ちょっとオーディン! リューセーはもう私のよ! ロスヴァイセには渡さないんだから!」

 

「フレイヤさまはちょっと黙ってて下さい!」

 

 おお、フレイヤに口答えするとは。ロスヴァイセは成長したんだな。

 

 と言うやり取りをしつつも、彼女はそのまま付いていったようだ。本当に仕事熱心な事で。

 

 部屋に残された俺とグレモリー眷族、そしてバラキエルは同時に溜息を吐いていた。

 

 そして――

 

「ねぇリューセー、今夜は一緒に寝ない? あと出来たらリューセーの部屋で過ごしたいんだけど」

 

「却下だ。そんな事をあの超シスコンバカなフレイに知られたら後で殺される」

 

 フレイヤもマイペースなので、俺は更に溜息を吐いた。

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