今回はフライング投稿にしますので。
次の日、俺を含めたイッセーたちグレモリー眷族はグレモリー家主催で冥界のイベントに参加していた。因みにフレイヤも付いて行こうとしてたが、そこはロスヴァイセに頼んで引き留めて貰っている。
今回のイベントに俺は参加してない。何故なら『ファイタードラゴン』の出演者――イッセー達の握手とサイン会がメインだから。今は少し離れた場所で見守っているだけだ。
参加している『ファイタードラゴン』役のイッセーは勿論のこと、『アリス姫』のリアスの他にもいる。
祐斗は番組内で敵役の『ダークナイト・プリンス』となっていた。格好は凛々しい鎧姿とマントを羽織っている。とある国の王子で、宿敵ファイタードラゴンのライバルと言う設定だ。
王子に相応しい容姿端麗な事もあって、殆どの女性ファンが祐斗のところに並んでいる。ほんの一瞬だったが、イッセーが羨ましそうに見ていたし。因みにイッセーは殆ど男の子ばかりの子供たちだ。
更に小猫も『デビルンキャットちゃん』としてファイタードラゴンの味方役になっていた。嫌がらず丁寧に応対している小猫は流石だよ。
今のところイッセーは子供人気ナンバーワン、祐斗は女性人気ナンバーワン、リアスと小猫は中間、と言ったところか。
ファン層を確認した俺は一旦楽屋テントに戻る事にした。
すると、スタッフの一人が近づいてくる。
「どうでしたか、リューセーさま?」
確認してきたのはライザーの妹――レイヴェル・フェニックスだった。
「もう少しで終わると思うから、そろそろ片付けの準備をしておくようにスタッフ達に言っといてくれ」
「わかりましたわ」
彼女はグレモリー眷族達が冥界でイベントをすると聞き、アシスタントとして協力してくれていた。
「それにしても、まさかお嬢様の君が自分からアシスタントを志願するとはねぇ。まぁこうでもしないと、イッセーに会える口実が作れないからな」
「な、何を言ってるんですの! これはあくまで修行の一環ですわ! べ、別にイッセーさまに会いたい為って訳じゃありませんわ!」
「はいはい、そうでしたね」
ちょっと苦しい言い訳をするレイヴェルに、俺は一先ずそう言う事にしておこうと聞き流す。
だってコイツ、イベント開始前にイッセーを見た途端、凄く嬉しそうな表情をしてたんだよな。さっきの言い訳をされても、全然説得力が感じられない。
そう思いながらレイヴェルと話していると、懐に入れてるケータイが振動する。気付いた俺は取り出して見ると、グレモリー夫妻と会う予定の時間前のアラームだと思い出す。
「レイヴェル。グレモリー夫妻に会う予定の時間になったから、俺はこのまま抜けさせてもらう。すまないが後の事は頼むよ。それとイッセーが戻ってきたら、人間界に帰還する準備をしておくよう伝えておいてくれ」
「あ、はい。わかりましたわ」
グレモリー夫妻に今回の件について話し終えて人間界に戻った後、オーディンとフレイヤの護衛をしなければならなかった。
あのエロ爺ときたら、来日してからどうしようもない注文ばかりしてるんだよな。風俗店に行くわ、道端歩いてる女性をナンパしたりでやりたい放題だ。
それにフレイヤもフレイヤで、俺とデートしようと言って町へ無理矢理行かせようとしたり、一緒にお風呂に入ろうとしたり、更には俺の部屋に忍び込んで一緒に寝ようとしたりで。思わずヴァルハラに滞在した頃を思い出したよ。
フレイヤを止めるのはオーディンの役目なんだが、今回はそれを全くやらないエロ爺と化している。どっちもやりたい放題してる所為で、ロスヴァイセの心労が絶えない状態だ。
「おっ、そうだレイヴェル。もし人間界へ来る予定があったら家に遊びに来な。その時に君の事を両親に紹介するからさ」
「わかりまし………へ?」
言うべき事を言った俺は楽屋テントから出た直後、レイヴェルが顔を真っ赤にして物凄く慌てふためいていたのは言うまでもなかった。
☆
冥界でのイベントやグレモリー夫妻との話を終え、オーディンとフレイヤの日本観光に付き合わされた後、俺はグレモリー眷族の男性陣を連れて修行の相手をしていた。
ギィィィィンッ! ギィンッ! ギィンッ!
現在は久しぶりに祐斗の相手をしている最中だ。
神速で動きながら聖魔剣を振るっている祐斗に、俺は一歩も動かずにオーラを纏った木刀で全て防御している。
自身の身体能力を向上している祐斗は、『
未だ攻撃が当たらない事に祐斗は一旦距離を取った。その直後には僅かに息が上がっている様子が見える。
俺が一歩も動かずに防御態勢を取り続けて、もうかなりの時間が経っていた。その間に祐斗は数え切れないほどの攻撃を仕掛けるも、俺に当てる事が出来ないどころか、一歩も動かせる事が出来ていない。
端から見て、余りにも差が歴然としてる光景と思われるだろう。けれど、俺は俺で防御に集中しなければ不味いと思う程の状態になっていた。
初めて会った頃の祐斗は、駒の特性と自身の能力に頼り過ぎている『宝の持ち腐れ』状態だった。その為に大して本気を出す必要もなく、ある程度は気を抜いても問題無かった。
しかし、今は違う。あの頃と比較したら、もう明らかに別人じゃないかと思う程に急成長している。俺やアザゼルが課した修行によって、今の祐斗はイッセーと同様に並みの上級悪魔を圧倒出来る実力者となっている。
たった数ヵ月の間にここまで強くなるのは本当に驚きだ。人間だった頃のイッセーを強くさせるのには相応の時間を要したんだが……。悪魔だから、もしくは祐斗が持っている才能、と言うべきかもしれない。
因みに祐斗だけでなく、リアスたちグレモリー眷族も当然大きく成長している。攻撃力だけで言うなら、新人悪魔達の中でもトップクラスだ。
さて、それはそうとしてだ。そろそろ俺も仕掛けさせてもらうとするか。
格段に上がった祐斗の攻撃力と技量、そしてスピードは充分に見させてもらった。今度は攻撃に対する防御と回避、もしくはカウンターを見せてもらうか。
そう考えた俺が攻撃の構えに移った直後、それを見た祐斗は即座に防御の姿勢に移る。
ガギィィィィンッ!
「ぐっ!」
「ほう」
少し力を込めた俺の斬撃を、祐斗は聖魔剣で防いだ。
だがそれは束の間で、俺は更に仕掛ける。一撃、二撃、三撃と、速さと重さを兼ねた斬撃を振るう。
対して祐斗も負けじと俺の斬撃を防ぎ、躱し、更にはカウンターを打ってこようとする。剣の柄頭をボーリングの球のように膨れ上がらせ、俺の頭を横殴りしようと。
ふむふむ。手加減してるとは言え、俺相手でもカウンターを仕掛ける程の腕前になったようだな。と言っても、俺やアザゼルから見たらほんの牽制程度に過ぎないが。
だが、祐斗のカウンターは近距離戦メインの相手には有効だ。イッセーとゼノヴィアがそれに該当する。
膨らんだ柄頭を空いてる片手で受け止めながら軌道をずらした俺は、無防備状態となった祐斗に回し蹴りを喰らわす。
「がっ!」
腹部に直撃した祐斗は吹っ飛ぶも、即座に体勢を立て直す。
「剣だけに意識を向けるな。俺の攻撃は剣以外の攻撃もする事を分かっている筈だ」
「……は、はいっ! もう一度、お願いします!」
俺の指摘に祐斗は力強く返事をした後、もう一度戦おうと構えようとする。
どうやら身体も結構タフになっているようだ。さっきの回し蹴りは加減しても、並みの上級悪魔が受けたら確実に悶絶している。なのに祐斗は、そうならないどころか力強く立っていた。打たれ強くなって何よりだ。
「せ、先輩たちぃ! そこまでですぅ! と言うかもうとっくに制限時間が過ぎてますよぉ!」
「おい祐斗、早く俺に代われ! どんだけ待たせりゃ気が済むんだよ!?」
ぴょんぴょん跳ねてベルを持って叫ぶギャスパーと、変われと祐斗に催促してくるイッセー。
それを聞いた俺と祐斗はすぐに構えを解いた。
今回の修行は模擬戦として制限時間を設けている。どうやら予定していた時間をかなり過ぎていたようだ。
祐斗はまだ続けたかったのか、少し不満そうな顔をしながらもイッセーと交代しようとする。
さて、お次の相手はイッセーか。おっと、その前に結界の強度を上げておかないとな。