奥特曼†夢想 ‐光の三雄伝‐   作:焼き鮭

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電子怪獣をぶっ飛ばせ!!

 

 建業の街の中に出てきやがった怪獣、タイタスが言うコンビューゴンは頭の触手を振り回して、周りの建物を手当たり次第に吹き飛ばし始める!

 

〈女〉「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

〈男〉「うわあああぁぁぁッ! 助けてええぇぇぇぇぇぇッ!」

 

 平和に生活してた街の人たちは、いきなりの破壊に大パニック。一斉にコンビューゴンから逃げていく。

 くっそ、まだ前回の戦いの痕も残ってるってのに、何てことしやがる……!

 

〈雪蓮〉「建業が……っ!」

 

 雪蓮もギリッと奥歯を食いしばった。けど、人間じゃあのデカブツの相手は無理だ。改めて見ても、人間と怪獣じゃサイズ差が違いすぎるぜ。

 ここはやっぱり……。

 

〈タイタス〉『孝矢! 行くぞ!』

 

〈孝矢〉「おうよッ!」

 

 オレたちの出番だよな! 二回目の出動だぜ!

 

〈雪蓮〉「孝矢、タイタス! 建業をお願い!」

 

〈孝矢〉「まっかせとけって!」

 

 雪蓮に意気揚々と応じて、オレはタイガスパークのレバーを動かした。

 

[カモン!]

 

 手の甲のスフィアが光って、左手で首に提げたキーホルダーをガシッと掴み取る。

 

〈孝矢〉「いっくぜタイタス!」

 

 叫びながら右手に持ち替えると、タイタスのエネルギーをスパークが吸収してスフィアが黄色く光った。

 

『ウォォォォッ! ムンッ!』

 

 タイタスを掴んだ手を振り上げて、変身だ!

 

〈孝矢〉「バディー……ゴー!!」

 

[ウルトラマンタイタス!]

 

 オレの身体がたちまちタイタスのものに変わってって――巨大化したタイタスがコンビューゴンの正面に立ち上がる!

 

「ヌンッ!」

 

 タイタスのビッグボディを街の人たちが見上げて、みんな目を奪われた。

 

〈男〉「あ、あれはこの間の巨人! また!」

 

〈女〉「私たちを助けてくれるの!?」

 

〈男〉「そうか……やっぱりあの巨人が、孫堅様が呉に引き入れたという、噂の……!」

 

〈老人〉「天が遣わし大陸をお救いになる救世主、天の御遣いじゃあッ!!」

 

 興奮した街の人たちがウオオオオ―――――! と歓声を上げる。何かこそばゆいな……。

 

〈タイタス〉『孝矢、呆けている暇はないぞ! 怪獣を打ち倒すのだ!』

 

 そう言うタイタスは、何でモストマスキュラーのポーズ取ってんだ!

 

「ウオオォォッ!」

 

 雄叫びを上げてコンビューゴンに突進してくタイタス! この筋肉の塊が正面からぶつかりゃあ、ただじゃ済まねぇのは前回証明済みだ!

 だが、コンビューゴンは二本の触手をピンと伸ばしてこっちに向けると、先端からレーザーを撃ってきた!

 

「ウオッ!?」

 

〈雪蓮〉「タイタスっ!」

 

 足元を撃たれたタイタスが、流石に姿勢を崩して止められちまった!

 コンビューゴンは更にレーザーを撃ってきて、足が止まったタイタスの各部を狙い撃ちしてくる! タイタスが受けるダメージは、オレにフィードバックしてきやがる!

 

〈孝矢〉『「痛てててッ! 古代中国でレーザー撃つんじゃねーよッ!」』

 

 文句つけたとこで止まるはずもなく、タイタスが後ろに転がることでどうにかレーザーの雨から逃れた。

 

〈タイタス〉『ぬぅ、やはり……!』

 

〈孝矢〉『「何がやはりだ!?」』

 

〈タイタス〉『コンビューゴンは頭脳がコンピューターとつながっているので、計算速度が異常に速い! だから攻撃が迅速かつ正確なのだ!』

 

 あッ、そういう計算得意なタイプって漫画でよくあるよな! そんなのは大抵かませなもんだが、実際相手にすると厄介だなぁチクショウッ!

 

「ムンッ!」

 

 ガードを固めて、無理矢理にでもコンビューゴンに接近しようとするタイタスだが、その足を触手が払って転倒させられた。

 

「グワッ!」

 

 もう一本の触手が首に巻きついて、締めつけてくる! く、苦しい……!

 

「グゥゥ……ヌオッ!」

 

 触手を力ずくで振りほどいたタイタスは、接近できないならと光線技の構えを取る。

 

〈タイタス〉『プラニウム……!』

 

 だがすぐに胸部辺りにレーザーを連射されて、発射を阻止されちまった!

 

「ヌゥゥゥッ!」

 

 駄目だ、これじゃ……! タイタスはパワーはすげぇが、身体が重すぎて動作が鈍い。どうしても遅れを取っちまうぜ……!

 

〈孝矢〉『「何か弱点とかねぇのかよアイツ!」』

 

〈タイタス〉『コンビューゴンは背後が無防備のはずだ……どうにかして回り込むことが出来れば……!』

 

 そうは言っても、それも許しちゃくれそうにねぇぜ!

 

〈タイタス〉『くッ……ここにフーマがいれば、何とかしてくれたのだが……!』

 

 コンビューゴンのガードの固さにてこずってる内に、胸の星型のランプが赤く光って点滅し出した。

 ウルトラマンって三分間しか戦えねぇんだよな。じゃあもうやべぇじゃん!

 

〈孝矢〉『「どうしたらいいんだよこれッ!」』

 

〈タイタス〉『ぐッ……ほんの一瞬でも、隙があれば……』

 

 その隙が全然ねぇから困ってんだろ! マジやべぇ……!

 

〈雪蓮〉「タイタス! 私に任せて!」

 

 焦ってると、雪蓮がこっちに向かって叫んだ。剣を抜いて、コンビューゴンの背後に回り込んでく!

 ってか、こっちの会話聞こえてたのか!?

 

〈孝矢〉『「雪蓮!? 危ねぇぞッ!!」』

 

〈タイタス〉『私たちで奴の気を引きつけるのだッ!』

 

 雪蓮に攻撃が行かないようにタイタスが突っ込んでって、伸びてきたコンビューゴンの触手を二本とも掴み取った!

 

〈タイタス〉『うおおぉぉッ! 決して離さんぞ!!』

 

 タイタスが抑えてる間に、雪蓮がコンビューゴンの背後を取った!

 

〈雪蓮〉「ここは私たち孫呉の街よ! 他人に頼り切りじゃあ……いられないわっ!!」

 

 そして高々と跳んで、宙返りしながらの斬撃を背中に浴びせる! すっげぇ跳躍力!

 雪蓮の攻撃を食らったコンビューゴンは、斬られこそはしなかったが動きが確かに鈍った! コンピューターは精密機械だから、衝撃に弱えぇのか!

 

〈タイタス〉『今だッ! むぅんッ!』

 

 その絶好のチャンスを逃す手はねぇ。タイタスがコンビューゴンの眉間に、強烈なパンチをお見舞い! クリーンヒットだ!

 こいつを食らって無事な訳ねぇ。コンビューゴンはガクガク痙攣する。今が勝機だ!

 

〈タイタス〉『奴のコンピューターを吐き出させるぞ! 電子機器には電撃だッ!』

 

〈孝矢〉『「おっしゃ!」』

 

[カモン!]

 

 指示されて、オレの手首にX字型のブレスレットを召喚。

 

[エックスレット、コネクトオン!]

 

 そのエネルギーをスパークで吸収して、タイタスの身体にカラータイマーがX型になったウルトラマンのビジョンが被さった。

 

〈孝矢・タイタス〉「『エレクトロ! バスターッ!!」』

 

 電撃を纏った緑色の光弾を、クロスチョップで押し出す!

 直撃をもらったコンビューゴンが口から、金属製の物体をいくつも吐き出した。そして本体がヘナヘナと、空気が抜けたみてぇにしぼんでく。

 

〈タイタス〉『これでもう大丈夫だ』

 

〈孝矢〉『「よっしゃあ! 逆転サヨナラホームランだな!」』

 

 怪獣が無力化すると、タイタスが勝ったと見た人たちがワッと歓声を上げた。

 雪蓮もこっちを見上げて、嬉しそうに微笑んでる。

 

〈雪蓮〉「タイタス……孝矢……! ありがとうっ!!」

 

 と、礼の言葉を言った雪蓮の胸元から――光る何かが飛んできた。

 

〈孝矢〉『「ん? 何だありゃ」』

 

 タイタスがキャッチしたそれが、オレの手の中にやってくる。

 

〈孝矢〉『「……指輪?」』

 

 首を傾げるオレ。手の平にあるそれは、指輪としか思えねぇ形をしたもんだ。しかも、雪蓮の髪型と花びら型の髪飾りをデフォルメしたみてぇな飾りつき。

 如何にも雪蓮を象りましたーって感じの指輪だが……何じゃこりゃ?

 

〈タイタス〉『何やら怪獣リングに似ているな。不可解な……』

 

〈孝矢〉『「怪獣リング? 何だそれ?」』

 

〈タイタス〉『話は後だ。変身が解ける前に、怪獣を宇宙へ送り返そう』

 

 タイタスは抜け殻になった怪獣を担ぎ上げて、空に向かって飛び上がる。

 

「ムンッ!」

 

 そのまま宇宙に向かってって、怪獣を宇宙の果てまで運び去った。

 

〈孝矢〉『「っつーか、背後が弱点って知ってたんなら、怪獣の後ろで変身すりゃ良かったんじゃね?」』

 

〈タイタス〉『今更だ……。それに、流石にずるくないか?』

 

〈孝矢〉『「ルール無用の勝負に、ずるいとか気にしてんじゃねーよぉ」』

 

 

 

〈孝矢〉「はー……こりゃまた散らかしたもんだね」

 

 建業に帰ってきたオレは、コンビューゴンが吐き散らかしたもんが転がってるとこに降り立った。

 周りに転がってんのは、バラバラになったコンピューターの破片だけじゃねぇ……何か、テレビとか電子レンジとかそんなのがいっぱい散乱してやがる。

 

〈タイタス〉『随分と体内に取り込んでいたのだな』

 

〈孝矢〉「ってゆーか、何でテレビとかがあんだよ。オーパーツじゃね?」

 

〈タイタス〉『オーパーツは意味が違うが……恐らくは、私たちと同じように別の世界からこの大陸に迷い込んできたのだろうな』

 

 怪獣が、オレたちと同じようにねぇ……。まぁどっからともなくいきなり出てくるようになったって話だし、元からこの世界にいたもんじゃねぇ、ってのは当然のことかもな。

 

〈孝矢〉「しっかし、この家電の山、ここに置いといていいのかよ。歴史変えちまうんじゃねーの?」

 

〈タイタス〉『いや、電源のないこの世界では何の役にも立たんだろう。解析することも出来まい。時代が違いすぎる』

 

 ってことはこれ全部、ゴミとして処分されるってことか。それもそれでもったいねぇ気もするけどな……。

 なんて思いながら、一応転がってるもんを確認してたが……ある物に目を留めて拾い上げた。

 

〈孝矢〉「おッ!? チェキあんじゃねーか! しかもまだ使えそうだぜこれ!」

 

〈タイタス〉『チェキ?』

 

〈孝矢〉「何だ知らねーのかよ。カメラだよカメラ。撮ってすぐ写真出てくる奴」

 

〈タイタス〉『ああ、ポラロイドみたいなものか』

 

〈孝矢〉「ぽらろいど? それこそ何だ?」

 

〈タイタス〉『……これがジェネレーションギャップか……』

 

 何か落ち込んでるが、気にせず使えるかどうかの確認のために自撮り。シャッターを切って、写真がカメラから出てくる。

 

〈孝矢〉「……よっし、ちゃんと撮れてるな」

 

〈タイタス〉『うむ。……これは、先ほどの老夫婦の頼みに使えるのではないか?』

 

〈孝矢〉「オレもそう思ったとこだ。何つぅか、都合いいな!」

 

〈雪蓮〉「孝矢ー!」

 

 盛り上がってると、この場に雪蓮が駆けつけてきた。

 

〈雪蓮〉「こんなところにいた。もう、捜したのよ」

 

〈孝矢〉「悪りぃ悪りぃ。……あと、助けてくれてありがとな。あんだけ大見得切って出てったのに、ちょっと恥ずかしいぜ」

 

〈雪蓮〉「気にしないで。本来は、街を守るのは私たちがやらなくちゃいけないことなんだし。……何持ってるの? それ」

 

 雪蓮がオレの持ってるチェキに目を留めた。

 

〈孝矢〉「カメラだ。あの写真が出てくる奴」

 

〈タイタス〉『怪獣が吐き出したのだ』

 

〈雪蓮〉「シャシンって……あの絵がまた描けるって訳!? まさしく不幸中の幸いね! おじいちゃんたち、喜ぶわ!」

 

〈タイタス〉『だが孝矢、フィルムは残っているのか?』

 

〈孝矢〉「あと二枚だけだな。もっとありゃ良かったんだが」

 

 フィルムの残りを確認したオレの言葉に、雪蓮は少し考えてから、

 

〈雪蓮〉「つまり、あと二回使えるってこと?」

 

〈孝矢〉「まぁそーいうことだが……」

 

〈雪蓮〉「だったら……」

 

 いきなり、雪蓮がピトッとオレに肩と肩を合わせてきた!

 

〈孝矢〉「わッ!? な、何すんだ!?」

 

〈雪蓮〉「一枚は、私たちの分に使いましょう? 今回の勝利の記念と、私と孝矢の姿を形として残すのに!」

 

〈孝矢〉「お、オレと雪蓮で……!?」

 

〈タイタス〉『私も忘れないでくれ』

 

〈雪蓮〉「もーう、言わなくても分かってるってば。ほら孝矢、ぼーっとしてないで、やって!」

 

〈孝矢〉「お、おお……」

 

 ドギマギしながらも、さっきみてぇに自撮り。今度は雪蓮も写真の中に収まってる。

 

〈雪蓮〉「うん! 綺麗に描けてる! この絵は孝矢が持ってて。代わりに、その絵は私にちょうだい?」

 

 最初に撮った、オレの自撮り写真を指差す雪蓮。

 

〈孝矢〉「お、オレの写真をか?」

 

〈雪蓮〉「ええ。孝矢たちはいつか、自分たちの世界に帰っちゃうんでしょう? だから、互いの姿をいつまでも残しておくように……いい考えでしょ?」

 

〈孝矢〉「そ、そーいうことなら……」

 

〈雪蓮〉「ありがとう!」

 

 写真を交換すると、雪蓮が悪戯っぽくオレに微笑みかけた。

 

〈雪蓮〉「私と一緒の絵を、大事にしてちょうだいよね? じゃないと勘弁しないんだからっ!」

 

〈孝矢〉「あ、ああ……」

 

 ま、全く……雪蓮は悪戯っぽいことするの好きだな……。こんなことされたら、心臓ドッキドキになっちまうじゃねぇか……。

 肩を寄せてきた雪蓮はすげぇいい匂いだったし……今日のことは、忘れられそうにねぇぜ……。

 

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