緒戦が終了すると、オレたちは本陣の天幕で、炎蓮さんの前に並んだ。
〈炎蓮〉「皆の者、ご苦労であった。まずは我らの勝利だが、まだまだ気を引き締めて掛からねばならん。戦いはこれからぞっ!」
〈一同〉「「「はーっ!」」」
〈炎蓮〉「孝矢とタイタスも、ご苦労であったな」
〈孝矢〉「ああ。けど……あの怪獣、前の時みてぇに敵が操ってたみてぇだな……」
かなり露骨だった。何たって怪獣、逃げる白翼党には見向きもしなかったからな。明らかに、孫軍だけを狙ってた。
〈冥琳〉「それだけではない。我らが天の御遣いを囲っていることは、白翼党も把握しているはず。それなのに、最初にけしかける訳でも、温存する訳でもなく、前衛の逃走の援護に使ってきた。それはつまり……他に怪獣を手駒として持っているということだろう。それも、本命となる……」
冥琳の言葉が本当なら、白翼党はケムラーより強えぇ怪獣を残してるってことだ……。確かに、タイタスが言った通り、過酷な戦いになりそうだぜ……。
〈祭〉「ぬぅ……白翼党、ますます不気味な連中よ……」
〈粋怜〉「大賢良師張角……一体何者なのかしら」
〈炎蓮〉「まぁ、とりあえずは見えている敵の対処を考えるぞ。冥琳」
〈冥琳〉「はっ。討ち漏らした敵の数はおよそ二万です。つまり、敵の数は本隊と合わせてまだ十二万……」
〈雪蓮〉「先は長いわね」
〈祭〉「我らの損害は如何ほどであったのか?」
〈冥琳〉「何名かは毒に倒れて戦線復帰は叶いませんが、退却が迅速だったこともあり、ほとんど無傷です」
〈雪蓮〉「ふふっ、良かったわ♪」
倍以上の敵と正面からぶつかって、毒ガス怪獣にも襲われたってのに、被害がほとんどなかったのか。孫呉の兵は、下っ端に至るまで精鋭ぞろいだな。
〈冥琳〉「敵は占拠していた劉耀殿の城を捨て、現在は平野部に陣を敷いているようです」
〈祭〉「ほう、籠城はせぬつもりか」
〈冥琳〉「あの城は、十二万もの軍が収まる場所ではありませんしね。平野に陣を敷いたのは、いざとなれば大賢良師張角を逃がすべく、四方へ散って退却するためかと」
〈炎蓮〉「ならば、逃げる手伝いをしてやるか。巣をつついて、蜂どもを散らせるか?」
〈孝矢〉「え? 白翼党が散り散りになったら、丹陽郡を統治する時に困るんじゃねーの?」
〈冥琳〉「いや、白翼党も元は農民がほとんど。我らとの力の差を知らしめれば、彼らの熱も冷めるだろう。とはいえ、やはり十万を超える敵の数は脅威……。我ら二万のみでは、とても正攻法では白翼本隊を叩くことは出来ません」
〈雪蓮〉「正攻法ではね。つまり冥琳には必勝の策があるんでしょ? もったいぶらないで教えてよ♪」
〈冥琳〉「ふっ……まぁね。火計よ」
〈孝矢〉「カケイ……赤字の家計簿でも見せて、真っ青にさせんのか?」
〈タイタス〉『何を馬鹿なことを言っている……。火計とは、読んで字の通りに火を使った計略のことだ』
あー……そーいうことね。いや、分かってたよ? わざとボケたんだぜ? ホントだぜ?
〈祭〉「やはりの」
〈粋怜〉「冥琳は火遊びが好きだからね♪」
〈冥琳〉「粋怜殿、おやめ下され。左様なおっしゃりようは誤解を招きます」
〈粋怜〉「あら失礼」
〈孝矢〉「火ってんな使える武器になんのか?」
火を使うのは、怪獣ってイメージが強えぇけどな。まぁ、火を吐く大怪獣とは戦ってねーけど。
〈冥琳〉「ああ、甚だ難しい計だがな。天候にも左右されるし、風向きを見誤れば諸刃の剣となる。苦労して火計に成功しても、火や煙に巻かれて死ぬ者は、思ったほどは多くない」
〈孝矢〉「じゃあ、やる意味ねぇんじゃ……」
〈冥琳〉「いや、火というものは人間の潜在的な恐怖心を煽るのだ。特に此度のように、陣を固めた大軍勢を相手には持ってこいの戦法だ。混乱が広がれば、最早収拾はつかなくなる」
〈孝矢〉「あー、なるほど……」
火で直接倒すのを狙うんじゃなくて、パニック起こしてまともに戦えねぇようにしちまうって訳か。そーいう戦い方もあんのね。勉強になるなー。
〈炎蓮〉「悪くないな。して、如何に火を掛ける?」
〈冥琳〉「はっ、日没を待って攻めかかり、出来るだけ敵陣の奥深くに火を放ちます。この季節、今日のような快晴の日は夕刻より西から強風が吹きますので」
〈粋怜〉「こっちが風上ね。良い日和じゃないの」
〈祭〉「なれば……火を放った後は、遠巻きに陣を敷いて……炎に追われて逃げ出す者や、逆に襲い掛かってくる敵を討ち取るという訳じゃな?」
〈冥琳〉「はっ」
〈粋怜〉「上策ね。まぁ、それでも決して、楽な戦いにはならないでしょうけど……」
〈雪蓮〉「何せ十二万だものね。破れかぶれで突っ込んでくるのも、何万って数でしょうし……」
〈孝矢〉「あー……ちょっといいか?」
気になったことがあるんで、質問してみる。
〈炎蓮〉「応。意見があるなら、何でも申せ」
〈孝矢〉「敵の十二万に対して、こっち二万だけだろ? それじゃ包囲は出来ねーよな?」
〈冥琳〉「ああ、包囲はせん。我らの兵は敵陣の西側に集中し、分散させないつもりだ」
〈孝矢〉「大将の張角が別の方角に逃げたら、どーすんだ?」
〈冥琳〉「元より張角を討ち取る気はない」
〈孝矢〉「えッ、マジで?」
張角を倒さねぇことにゃ、白翼の乱は終わらねーんじゃねぇの?
〈雪蓮〉「袁術が働けば、包囲も出来たんだけどね。あいつ、まだ後ろでじっとしてるんだから」
〈炎蓮〉「ふっ、逃げる賊など放っておけ。最悪、オレの土地から追い出せればそれで良いのだ」
〈冥琳〉「はい。後のことは、官軍や他の諸侯に任せましょう。元は漢王朝が撒いた種です。私たちが躍起になる義理はありませんね」
〈祭〉「うむ。白翼を追い払えば、炎蓮様の名声も十分に高まろう」
〈冥琳〉「反撃の力を奪った後は、守りを固めて我が軍の損耗を抑えることに徹しましょう」
〈雪蓮〉「私たちが戦うのは、その辺りまででいいわよ。張角の首を取れたら、それはそれで儲けもんだけど♪」
〈炎蓮〉「……ということだ。孝矢、分かったな?」
〈孝矢〉「ああ……」
うーん……敵をみんなやっつけた方が、いいにはいいんだろうが……死んじまったら、元も子もねぇからな。出来ることと出来ねぇことを見極めて、無理はしねぇのも戦いに必要なことなのか……。
それから数時間後、将軍たちは火計の準備を急ピッチで進めてた。
〈祭〉「急がねば。もう日が暮れてきたの」
〈冥琳〉「はい……ふむ……」
冥琳たちは、白翼本隊の陣の配置図を描いた紙を真剣ににらんでる。一番成功率が高けぇ作戦とはいえ、やっぱ敵陣に忍び込んで火ぃつけるってのは困難みてーだ。
〈冥琳〉「強い西風とはいえ、陣の端に火を放ってもたちまち消されてしまいます。やはり出来るだけ、敵陣の奥まで切り込みたいところですが……」
〈粋怜〉「でも、西側の守りは堅そうね。火を掛ける時に思わぬ損害を被るかもしれない」
〈雪蓮〉「ええ。そこで兵を失えば、敵の反撃を止められなくなってしまうわ」
〈粋怜〉「……いいわ。その役目、私が引き受ける」
〈雪蓮〉「えっ、粋怜が?」
〈粋怜〉「私の手勢には、そういう戦を得手とする者が何人かいるからね。日が落ちたら、すぐに出る」
〈祭〉「お主が率いる気か? 生きて戻れんかもしれんぞ?」
〈粋怜〉「まっ、いつかは死ぬんだし」
粋怜が名乗り出たのを、炎蓮さんが制する。
〈炎蓮〉「はっ、やめとけやめとけ、このひよっこめ」
〈粋怜〉「ひよっこ……」
〈炎蓮〉「大体、賊の寝床に忍び込んで、コソコソ火をつけるだぁ? 貴様ら、この孫文台に恥をかかせるつもりかっ!」
〈冥琳〉「えぇ? しかし、炎蓮様も火計はお認めに……」
〈炎蓮〉「やり方が気に入らねぇっ! ぐだぐだ抜かしてる間にオレが乗り込んで、パパっと火をつけてきてやるっ!」
〈雪蓮〉「はああああ!?」
で、出た、炎蓮節……! こーいうとこ、炎蓮さんとタイタスって似てるよな。
〈雪蓮〉「馬鹿も休み休み言ってよね! 母様にそんなことをさせられる訳がないでしょう!」
〈炎蓮〉「何故だ?」
〈雪蓮〉「何故って……そ、そんなの当たり前でしょ!?」
〈冥琳〉「ええ、私も反対です」
〈祭〉「ならば儂が参る!」
〈粋怜〉「駄目よ、祭。ここは私が行きます! 孫呉の名に恥じぬ、戦ぶりをご覧に入れますから……!」
今回ばかりはみんなで止めに掛かる。そりゃそうだ。敵陣の真ん中に、総大将自ら乗り込もうなんて……無茶が過ぎるぜ。
けど、炎蓮さんはみんなを逆に説き伏せに掛かる。
〈炎蓮〉「……ったく、どいつもこいつも分かっておらんな。オレは孫呉の当主として、この戦、勝つためにオレが出ると申しているのだ。粋怜、貴様が行けば、火計には成功しよう。だが、貴様は生きて戻れん……祭とて同じよ」
〈粋怜〉「死など恐れてはおりません!」
〈炎蓮〉「だから、ひよっこなのだ。賊との下らん戦で、孫呉の両翼たる貴様がくたばってどうする? それでは戦に勝っても、勝負に負けたというものだ」
〈粋怜〉「っ……」
〈炎蓮〉「で、でも! だったら余計に……母様が討たれたら、それこそ負けじゃないの!」
〈炎蓮〉「負けはせん。オレは討たれんからな」
〈雪蓮〉「何でよ!?」
〈炎蓮〉「簡単なことよ。オレなら生きて戻れる」
当然のことのように、炎蓮さんが言い切った。
〈炎蓮〉「十万の敵に突っ込み、火を放って戻れる将が、オレ以外に誰かいるのか? いるならそいつに役目を譲るが」
誰も、炎蓮さんに言い返せなかった。そんだけ、炎蓮さんの笑顔には説得力が溢れてた。
〈雪蓮〉「もう……」
ただ、娘の雪蓮だけは心配そうだ。当たり前だよな。
炎蓮さんはそんな雪蓮を説得する。
〈炎蓮〉「雪蓮、いつも言っているだろう? 生死の境は見極めておる。生きて帰れんと思えば、オレとてかようなことは言わん」
〈雪蓮〉「母様の見極めは絶対に甘いもの……」
半分涙目の雪蓮だが、やがてあきらめたようにため息を吐いた。
〈雪蓮〉「はぁ……どうしても、行く気ね?」
〈炎蓮〉「ああ、これも勝つためぞ」
〈雪蓮〉「ん……分かったわ!」
最後には、雪蓮もうなずいた。やっぱ、誰よりも炎蓮さんを信頼してるのが雪蓮なんだな。
〈炎蓮〉「だが、ケツは守ってもらわねぇとな。祭、粋怜、貴様ら二人はオレの退路を確保しろ!」
〈粋怜〉「はっ!」
〈祭〉「お任せ下されっ!」
〈炎蓮〉「冥琳、急ぎ火を支度せよ。混乱した敵兵を、どこへ向かわせるか……それは貴様に任せたぞ?」
〈冥琳〉「はっ、承知しました!」
〈炎蓮〉「雪蓮。お前の役目は分かっているな?」
〈雪蓮〉「はい、母様! 本陣のことは私にお任せを!」
〈炎蓮〉「よし! ……孝矢。貴様は雪蓮の後ろで、このオレの戦いぶりをしかと見ていろ! だが、怪獣が出てきた時は頼んだぞ」
〈孝矢〉「ああ、分かってるぜ……!」
力強くうなずくが……頼りにされてんのはタイタスの力で、オレ個人としちゃあ、最後まで見てるだけなんだよな……。けど、それも仕方ねぇか。ここにいる武将たちと、オレが並び立とうだなんて背伸びもいいとこだ。
一人の男として頼りにしてもらうのは、もっと戦いを知ってからだ。それまでは大人しく、見習いでいよう。
――白翼党本陣では、兵士が三名、陣地内を見回っていた。
〈白翼党〉「ふわぁぁ……何も異常なしっと」
〈白翼党〉「おい、あくびをし過ぎだぞ? もっと気合いを入れろよ」
〈白翼党〉「へッ、夜討ちなんてねーだろ? こっちは十二万、向こうはたった二万だぜ? おまけに、大賢良師さまの奇跡のお力があるんだ」
〈白翼党〉「けど、その二万に昼間はボロ負けしたんだぞ。大賢良師さまのご加護がなければどうなってたか……。あの孫堅ってのは本当に化け物だからな……」
〈白翼党〉「オレはその戦に参加してたけどよ……ありゃあ、まさしく悪鬼だぜ? 人間じゃねぇよ」
〈白翼党〉「ははッ、悪鬼ねぇ。どんなツラをしてんのか、一度、俺が拝んでみてぇか……」
〈炎蓮〉「くっくっ、かようなツラをしておるわ。揚州一の美女を化け物呼ばわりか?」
のんきに身体を反らした兵士の背後に、音もなく炎蓮が忍び寄った。
〈白翼党〉「へ……?」
〈炎蓮〉「うらぁああああっっ!!」
そして一瞬で背後から斬り捨てる。
〈白翼党〉「ギャアアッ!?」
〈炎蓮〉「まぁ、確かに悪鬼ではあるがな」
〈白翼党〉「ひいいッ……!?」
〈白翼党〉「で、出たぁッ!? 孫堅だぁああああッ!!」
叫んだ時にはもう遅く、炎蓮率いる部隊が既に陣地の奥深くに侵入していたのだ。
〈炎蓮〉「進めぇえええっっ!!」
〈孫堅隊〉「「「うおおおおおッッ!!!」」」
孫堅隊は篝火を手にして、一斉に辺りの天幕に火を放ちながら白翼党に奇襲を掛けた。
雪蓮は陣を白翼本隊の真西に当たる丘に移して、そこから敵陣の様子を観察してた。白翼本陣から火の手が上がると、ぐっと手を握って喜ぶ。
〈雪蓮〉「やったわ!」
〈孝矢〉「風も西に吹いてるぜ!」
ペロッと舐めた指で、風向きを確かめた。これなら作戦通りに火が広がるはずだ。
〈雪蓮〉「冥琳、例の手筈は整ってるのね?」
〈冥琳〉「ああ、問題ない」
〈孝矢〉「ん? 例の手筈って?」
〈冥琳〉「ふふっ、まぁ見ていろ」
んな段取りあったか? と聞き返したが、答えてはもらえなかった。
〈張宝〉「何か外が騒がしいわね……」
――天幕の外から、大勢の人間の騒ぐ声が漏れ聞こえてきて、張宝が何事かと入り口の幕をめくった。
〈張宝〉「あ―――――――――――――っ!?」
すぐに大声を上げた張宝に、張梁と張角は仰天。
〈張梁〉「どうしたの?」
〈張宝〉「大変! 外が燃えてる、火事だよっ!」
〈張角〉「ええええええっ!?」
〈張梁〉「孫堅の軍勢が夜討ちを掛けてきたのね……姉さん、好機だわ! ここを出るなら今しかない……!」
張梁が素早く判断して、天幕から抜け出そうとしたのだが、
〈伝道師〉「どちらへ行かれるのですか?」
〈張梁〉「きゃっ!?」
天幕のすぐ外には、いつの間にか伝道師が立っていた。
〈張宝〉「どこへって……避難するに決まってるでしょ! 火事よ火事!?」
〈伝道師〉「まぁ、落ち着いて下さい。いよいよ危なくなった時には、私が誘導しますので、どうぞごゆるりとお構えを」
〈張梁〉「何を言っているの、こんな時に……! もしものことがあったらどうするの!?」
〈張角〉「火に巻かれて死んじゃうなんてヤだー」
どうにか言い繕って逃げようとする三姉妹だったが……伝道師は、いやに自信を湛えて断言した。
〈伝道師〉「ご安心を。『炎』で死ぬことは、絶対にありませんから……」
炎蓮さんの部隊は大活躍してるようで、敵陣は瞬く間に火が広がって、陣地全体を呑み込みそうな勢いですらあった。あそこはまさしく火災現場のありさまだろう。戦場って恐ろしいが……炎蓮さんの活躍には、嬉しさが湧いてくる。
〈雪蓮〉「祭と粋怜も、母様の退路をしっかり固めているようね!」
〈孝矢〉「けど、敵の動きが鈍いな」
ザッと見た限り、敵は反撃も逃走もしてなかった。ただ点みてぇな人の影が、狼狽えるばっかりだ。
〈冥琳〉「煙に巻かれ、右往左往しているのだろう。こちらが考えた以上に、敵の混乱は大きいようだ」
〈孝矢〉「……なぁ、今って攻め時じゃねぇか!?」
差し出がましいようだが、雪蓮に意見した。
〈雪蓮〉「え?」
〈孝矢〉「向こうが来ねぇなら、こっちから行ったらどうだ。その方が炎蓮さんたちだって安全だと思うんだが……」
〈冥琳〉「ほう、良い判断だ。将たる者、常に戦況を見て、臨機応変に動かねばならんからな」
〈孝矢〉「あ、ありがと……」
咄嗟の思いつきだったが、今回は良かったみてぇだ。まぁこんぐらいのことは、二人なら言うまでもなかったかもしんねーが……。
〈雪蓮〉「ふふっ、孝矢、その調子よ。どんどん意見してね? 駄目ならすぐ却下だし、たまにはこうやって採用してあげるから♪」
〈孝矢〉「ああ……」
そ、そこまで言われるとくすぐってぇな……。
〈冥琳〉「雪蓮、進みましょう。勝機は今だわ」
〈雪蓮〉「ええ! 母様を救う……じゃなくて。この機に敵を徹底的に叩くわ。反撃の意志を奪い、母様、黄蓋、程普各隊と合流した後に撤退する!」
〈冥琳〉「うむ!」
〈雪蓮〉「本陣を前へ! 全軍、進め―――――っ!!」
雪蓮の号令で、孫軍が丘を駆け下りて白翼本陣へ突撃してく!
〈雪蓮〉「母様が作ったこの好機、逃しはしない……そして母様にも、傷一つつけさせない!」