ソードアードオンライン〜ディケイド オーダー〜 作:マーリン・オルタナティブ
これは平成と令和が繋ぐ、夢、希望、可能性の物語
透き通るように淀みのない青空、自然に茂っていた芝生、豊かさを象徴するように暖かい日差しが世界を照らす
だが、照らすのは豊かな光景だけではなかった。
突然散りばめたように爆発が起こり土を散乱する、そして轟くような雄叫びが悲鳴と共に木霊した。
「おい!止めるんだお前らが争えば世界は滅ぶんだぞ!」
「邪魔するな!世界が滅べば、⬛︎◻️を自由に出来る!」
「させない!誰も上に行かせないし、この世界も滅ぼさせない!この世界で…彼女といる為に!」
仮面の銀の青騎士握りしめる醒剣を振り下ろす。止めようと立ちはだかる仮面の赤い騎士には既に目もくれず、対する仮面の金の黒騎士も握りしめる醒弓を振り上げる
互いの一撃は、その鎧に大きな火花を散らす。
「憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い‼︎お前が恵まれるほど……俺の孤独感が増すぅぅぅぅぅっぅっぅっぅっぅっぅっぅっぅっぅっ‼︎」
「なんでだよ!なんで……戦わなきゃいけないんだ?……争う意味なんて無いはずだ……だって俺たちは_」
「だだだぁ!だぁ!だぁ!だだママママまマれれれれれ!孤独だった俺の何がわかるぅぅっ‼︎‼︎‼︎‼︎」
黒の龍騎士はその身に溢れる猛気のまま一方的に剣を相手に叩きつける。
その狂気を一心に否定するのは黒の龍騎士とまるで鏡写したような似た姿した赤の龍騎士。
だがいくら否定しても黒の龍騎士の連撃を受け止めてた盾に亀裂が生まれ、猛気は止まらない。
振るわれる赤の龍騎士の盾が砕かれる。
同時に大きな爆風で煙が周囲を覆う、だが黒の龍騎士しっかりと赤の龍騎士に見定め剣を振り下ろした。
赤の龍騎士は目を閉じる。少年の表情は鉄仮面で見えない、だが目を閉じ死を悟ってるのが分かる、ここが終わりなのだと。
だがいつまで経っても変化がなかった。不思議に思って左上の_HPゲージを確認する。
表示されたバーが2割が残っていた。
何が有ったのか見ようとする直前、体に何がもたれかかるのを感じた、目を開くと_
「……良かった…まに……あっ……て___」
茶髪で左右を束ねた幼い少女の安堵でそれでいて少し哀しそうな顔が写る。
そして微笑み浮かべ、目に大粒の涙ためながら
硝子のようにが砕け、光の粒子になって散った。
赤の龍騎士は散って行った少女の光に手を伸ばすが消えて行くだけだった。
唯一残っていたのは消える瞬間に少女が落とした一滴の涙だけだった。
赤の龍騎士の少年は地面に膝を付け小さな子供みたいに呻く、そして手に残った涙を拳を抱きしめる。
黒の龍騎士に止めを刺される瞬間よりその心情が分かる。
赤の龍騎士、少年にとって掛け替えの無い人を失った悲しみが、痛みが伝わってくるほどに。
だが黒の龍騎士は
「どうだ、最悪だろ?」
赤の龍騎士を嘲笑うように話し掛ける。
まだ塞ぎ込んでいるが呻き声が途絶えた。
「どうだ、それが孤独だ?
失えば二度と取り戻せない辛さ、後悔、悲遂、お前は本当にわかってたのか?
わからなかっただろ!
無駄死にした小娘ででやっとわかっただろ_」
「うるさい…!」
猛気語る男だが振り上げた拳が顎に直撃する、不意を突かれ後ろに蹌踉めく
「無駄死にした?……ふざけんな‼︎‼︎彼女を……⬜️◼️◻️をバカにするなぁぁぁぁぁ‼︎」
ゆっくり立ち上がり眼前の敵を睨みつけ怒りがこみ上げる。
煙幕を吹き飛ばして出てきたのはのは赤の龍騎士の鎧とよく似た赤い龍が空中を泳ぐように現れた。
赤い龍は赤の龍騎士の隣に着いた。
赤い龍も唸り声漏らし黒の龍騎士に怒りを覚えていた。
至る所に煙が上がり、敵に切り抜かれた人間はチリになり、敵の攻撃を受けた怪人は爆発し跡形もなくなる。
戦場の最中、何か速いものが次々に爆発と光のチリを次々と起こす。
応戦する者や敵前逃亡するが無惨にも散っていく。
だが、突然高速で移動する残像に紅い残光が衝撃。
大量の火花を起こし、残像が転倒した。
そこにいたのは残像で僅かに見えた赤が装甲として露わとなった。
赤い兜煮に嵌め込んだ天色に輝く瞳とカブトムシの角が特徴的な仮面だった。
赤いスピードスターは平然と立ち上がり、追撃された先を顔を向けた。
スピードスターが見据えた先に立ってたのは、右腕が紅く輝く残光に隠され、銀の煌めきに移り変わり美しく感じる籠手、銀の腕が露わになる。
顔上にΦをイメージさせる黄色に赤のステンドグラスの仮面付け、全身に紅い線が薄くだが発光している。
赤い短剣をかざし構えるスピードスターと敵をじっと見つめるながら銀の籠手が紅く光り始める紅い閃光。
「クロックアップ」
「トランザム!」
そして二人の姿が消え、周りから火花が散り、紅い閃光とスピードスターがぶつかり合う、多くの者を巻き込みながら。
「っ……!」
「ゾグギダ?ゴンバロンバ!」
「黒の剣士とは言え所詮は子供、我には造作もない事だ」
這いつくばる黒コートの少年に人とは異なる言葉で話し掛け、もう一方は少年を見下し皮肉を言う、どちらも人とは異なる怪物だった。
最後に止め刺そうと二体共自分の腕に力を溜め立ち上がろうとする少年に張り下げようとする。
だが
《ブリザードクラッシュ》
エネルギーを纏った腕を振り下ろす一体の怪人が突如に吹雪に覆われ氷付き身動きが困難に。
もう一方は戸惑うと少年の向かいから二つの影が飛び出る、怪人は察したがもう遅かった。
「ハァァァァァア!」
「ハァァァァァア!」
突き出された足が気付くのに遅れた怪人を蹴り飛ばし、特殊な紋章と浮かび上がらせながら爆発する。
もう一方は凍りつけによって動けず挟み蹴り受け、氷と共に砕け散る。
間一髪だった少年が立ち上がろうとすると赤い鎧の男が駆け寄って話しかけた。
「大丈夫か⁉︎ほら、掴まれ」
伸ばした手を掴み引っ張られて立ち上がらせる。
懐から緑の結晶を少年に向けると砕け、体に光の粒子に包まれ傷を癒した。
「ありがとう、お陰で助かった。行こう、もうこれ以上犠牲が出る前に!」
「あぁ、早く終わらせないと!」
直ぐに他の紛争に駆けつけようとする_が
「二人とも‼︎」
緑に金の騎士が二人の背中を突き飛ばした。
そして背後から襲う衝撃波で投げ出され地面に叩きつけられる。
今日で一番攻撃だと思った、上体を起こし背後を見る。
そこには壊された武器、砕かれた鎧、残った手足が周囲に散乱され次々と光になって飛び散った
そして中心に立ち尽くす影、武器を持った鎧騎士、姿が異なる怪物が襲いかかる。
だがことごとくチリに変える。
影以外で立ってる者が居ないことに。
そうここにいる全ての戦士は倒されたんだ、影に潜むように写る。
バックルに嵌められたレンズ、レンズを中心に描かれた九つの紋章、そして__
「__いちゃん、部活行ってくるねー!」
細く開いた視界が霞みながら、女の子、妹の声が聞こえ、どうやら俺は寝てたようで体を起こしてようやく視界がクリアになった。
ベットから降り軽く背伸びして時計を見る、時刻が12:55を表示されてた。
ヤベッ、朝飯食べて終えてから昼寝したらもうこんな時間か!
俺は机に事前に用意していたナーブギアを急いで被る。
再びベットへ仰向けに寝っ転がり時間が経つのを待つ、疑問から忘れ好奇心に切り替え13:00なると同時に俺は呟いた。
「リンクスタート!」
待ち望んでいたソードアート・オンライン《異世界》へ
「帰ってきたんだな……………ここに!」
目を開けると懐かしい《始まりの街》の大広場に立っていた、周りには次々とログインして来てるプレイヤー達。
俺は、入り組んだ裏道にあるお徳な安売り武器屋へ駆け走る。
だが気付いていなかった、窓から覗く_窓硝子に写るように覗き込む異形の存在に。
「頼む!俺にレクチャーしてくれないか?」
裏道の武器屋に向かう俺に、赤髪にバンダナの男に大声で追いかけて来た。
どうやら俺の迷い無い行動で元βテスターだと見破ったらしい、感のいい奴だな。
人付き合いは苦手な俺だけど……まぁいいか。
「わかった、コツを教えてやるよ」
「ヨッシャァー!俺は《クライン》、よろしくな!」
「あ…あぁ……。《キリト》だ、よろしく」
自己紹介を終え、さっそく武器屋に向かう__とした時に聞こえた。
「すいません!」
後ろからクラインに負けない大声で、遠くから手を振る少年が立って居た。気づいてくれたのが判ると俺たちの方へ走って来た。
「なぁ、あんたもしかして経験者か!良かったら俺にも戦い方教えてくれないか?」
「なんで俺がβテスターってわかったんだ?」
「べーたてすたー?いや、ただ街を見物してたら話し声が聞こえてさ。おじさんが頼み混んでたから、もしかしたら技や進め方を教えてもらおうと思って」
「誰がおじさんだ、俺ぁまだ24だぞ!」
クラインが自分の歳勘違いにツッコミ、俺は少し驚きながら自分と同じくらいの少年の観察の良さに関心していた。
「わかった、君にも教えるよ」
「やった!ありがとう、よろしく頼むよ!」
「あぁ。それじゃ武器屋で装備を整えよ、クライン、と名前なんて言うんだ?」
「舞岡空我?」
「「ちっと待った⁉︎」」
自分の本名を言い出し、反射的に止める俺とクライン、当の本人は訳が訳がわからずの様子。
そっか、βテスターのことも知らないからネトゲのマナールールも知らないのか、純粋なビギナーなんだな…
直ぐにネットマナーを話すと少し恥ずかしそうに目を逸らして苦笑いする。
「あぁ…すまなかった、俺ゲーセンのゲーム以外やった事なくって、ありがとな。
じゃあ改めて_
『クウガ』だ、よろしく!」
クウガ、確かに俺と同じぐらいの少年はそう言った、先程誤って本名を喋ってしまった事もあり思わず笑うクラインに対し俺はそれとは別に何か引っかかった。
聞き覚えないはずなのに、何故か聞いたことがあるような矛盾を感じていた。
「おいキリト、どうした?」
考える最中心配したのか、クウガに声を掛けられ少し驚く、二人とも不思議に俺を見る。
直ぐに考えを切り替えて二人を案内することにした。
「グエッ!」
突進してきたイノシシの頭突きを躱すことが出来ずぐらい、カエルが引かれた様な声で投げ飛ばされる。
「難しい!的が動くからうまく当たんないなぁ…」
「でもVRって基本動くものじゃ無いの?」
「確かに動くけど、ここまでリアルなのは初めてだからよぉ」
「ハハハ、俺も最初は本物みたいでビックリしたからな」
話しながら小石をモンスターに目かけ投げつけた。大した効果は無くだか猪がこっちに向け突進して来る。
それに対し俺は剣を持ち直し先端を前にして弓の様に引く、次の瞬間突然剣が光を帯びて垂直に振り込んで斬りつけた、そして斬られた猪はプゥゥと光に散った。
「うぉぉ!おいキリト、なんだ今の技は⁈」
「『ソードスキル』、これが此処での一番の売りだ」
魔法のないこの世界で唯一技、使う武器で使える技も違って来るらしい。
さっき見せたのは片手剣スキル『バーチカル』と言う基本垂直斬り、使っていく程に熟練度、威力も上がったり使える技《スキル》が増える事を教える。
俺の説明を聞き終えると二人とも俺と同じ構えで練習する、が
「うりゃぁぁ!って、あれ?」
「ふんっ!あれ、キリトみたいに技が出ない?」
「ただ構えてすぐじゃソードスキルは出せないさ。
先ず剣に合った構えを探して、そのあと力を溜めてからこうバンッ!と剣を振る感じだ。
後はシステムが命中させてくれるよ」
「剣に合う構え言ってもどの構えが正解なのか判ん『ブヒィィィ!』「出来た‼︎」えぇぇ⁉︎」
クラインが悩みこんでる中、いつの間にか俺が二人に見せてないソードスキルの一つ『レイジスパイク』で猪を倒していた。おいおい、俺がそれ覚えるのに丸一日掛かったのにヒントだけで一発で成功させるなんて、これ飲み込みの速さ云々の話じゃ……
「うぉぉぉぉ、スゲーなクウガ!今のどうやって出来たんだ⁈」
「え〜と、なんとなくなんだけどこの構えなら成功しそうだなぁてっ思って」
「凄い直感力だな…」
それからクラインも負けじと練習して行ってようやくクラインもソードスキルが使えるようになった。それから適当にmobを倒して行ってるうちに日没になっていた。
全員剣を鞘に戻しながら集まった。
「しっかしよ……こうして何度見回しても信じられねぇな。ここがゲームの中だなんてよう」
「中ってゆうけど、別に魂がゲーム世界に吸い込まれたわけじゃないぜ。俺達の脳が、目や耳の代わりに直接見たり聞いたりしてるだけだ」
「そりゃ、おめぇはもう慣れてるんだろうけどよぉ。おりゃこれが初のフルダイブ体験なんだぜ!すっげぇよなあ、まったく……マジ、この時代に生きててよかったぜ!!」
「大げさなやつだなあ」
笑いながらも、俺も多分クウガもまったく同感してる。
「なぁキリト、この世界って拳とかで闘うことって出来ないか?」
「あぁ、第二層のステージに体術スキルって言うのが習得できるが、どうしてなんだ?」
「確かに剣メインでも悪くないんだけど、拳やキックとか使えたらヒーローみたいでカッコ良さそうだからさ」
「そりゃぁいいじゃねぇか!じゃあ俺は…ん?」
各々考えてるバトルスタイルに心躍りながら話してるとクラインが何か気付いた顔で口が止まる。そして少し焦った表情で話しかけてきた。
「おいキリト、今何時何分だ!」
「え、今5時50分だ」
「やべぇ、俺その時間にピザ予約してんだよ!」
「ゲームの後にピザって、準備万端じゃないか」
クラインは食事を取るために一度ログアウトするらしい。少し残念だけど仕方ないか。
「クウガ、お前はどうするんだ?」
「俺か?そうだな、もう少し此処のに残ろうかなぁ、本当なら夕飯の支度しなきゃ行けないけど、今日家にいるの俺しか居ないし。
だからもう少しこの世界ついて聞いてもいいか?」
「あぁ、俺で良いなら教えるよ!」
心成し嬉しく思う。そしてクラインがメニュー開き操作する。
「じゃあ、また会おうぜ!」
「おう、またな」
「ピザ間に合うといいな!」
別れを済ませたクラインがログアウトする、がしかし
「あれ、ログアウトボタンがねぇ?」
「え、そんな訳無いだろ」
冗談だと思いクラインのメニューウィンドウを覗く、だが確かに無い、消えていた。もしかしたらと俺もウィンドウを開いて確認する。
半信半疑だったが本当に消えていた。
「俺のも無くなってる…
クウガ、お前のメニューはどうなんだ?」
「えっ、えぇと、これかな?
俺も無い…」
「おいおい、初日からエラーなんて!
俺のピザどうなるんだ⁉︎」
「問題そこ⁈
まぁそのうちログアウト出来るじゃないか、なぁキリト。
キリト?」
利き手を顎に当て、視線を下に沈黙する俺に呼びかける。
今考えられる事をある程度まとめて話す。
「いや、正式サービス初日とはいえこんなバクが起こるか?
強制ログアウトどころか運営からのアナウンスも無いのはおかしい…」
「確かに…」
「それにこれにこんな事が起こったら運営としても今後大きな問題なってくる、なのになんで……」
自分が今考えられる、疑問を話しているとリーン、リーンと鐘の音が鳴り始めた。
突然の事で飛び上がる
「なんだ⁉︎」
「っ!…」
そして俺たち三人とも光に包まれる。
目を開くと始まりの街の中央広場に立っていた。周りを見回すと俺と一緒だったクラインやクウガだけじゃなく次々とプレイヤーが強制転移していく。何が起こっているんだ⁈
「二人とも大丈夫か⁉︎」
「あぁ、俺は大丈夫だ」
「俺もだ!しかし何が起こってるだこりゃ?」
二人と話していると俺は異変に気付く。
夕陽で黄色と橙色の空が、赤い六角のステンドグラス見えるそれは次々と増えて行き、空を埋め尽くしていく。そして【Warning】や【System Announcement】が表示されたパネルの隙間から血のような、ドロドロとした物が溢れ出て、俺たちの少し上に集まって巨大なローブが形成した。
「何だあれ?」
「気持ち悪、なに?」
「なんだよ、どうなってるのか説明しろよ!」
あちこちで不安や苦情が相次ぐ中、ローブから声がした。
『プレイヤー諸君、私の世界へようこそ』
その声は落ち着いた男の声に聞こえるが逆に不気味さを感じる、さらに話してを続けた。
『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』
この場にいる人ならば、名前を知らない者はいないだろう。
彼こそナーヴギアとSAOを開発し、それを外部の技術だけで作り上げた若き天才。
しかしその多くは謎に包まれた人物。
その彼本人だとローブ、巨人は言ったのだ。
『プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。 しかしゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく“ソードアート・オンライン”本来の仕様である』
「本来の…仕様……?」
隣に居たクウガが少し不安な声で呟く。
『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない』
城、一体なにを言っている?
この街が城なのか、この意味にすぐには理解できなかった。
『……また、外部の人間の手による、停止あるいは解除もあり得ない。もしもそれが試みられた場合_』
わずかな間。
『ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』
脳を破壊する?
つまり殺されるのか?
周りがざわめくが続ける。
『より具体的には、十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク回線切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊を試み―――以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件は、すでに外部世界では当局およびマスコミを通して告知されている。ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴギアの強制排除を試みた例が少なからずあり、その結果』
無感情な声は辺りに響き渡り、そこで一呼吸入れ、
『残念ながら、すでに192名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している』
どこからか悲鳴が上がった。
周りのプレイヤーは威勢は無くなったが所々ひ否定する声、中には受け入れられずぽかんとした顔で放心状態の奴や嘘なんじゃないかと薄ら笑いする奴も居る。
俺も、脳では受け入れようとはしていたが、不意に脚が震え始めた。
それでもなお、茅場明彦のチュートリアルは続く。
『それでは最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からプレゼントが用意してある。確認してくれたまえ』
言われるがままに右手の指を2本揃えて真下に引き、アイテム欄を開いた。
他のプレイヤーも同じように開いてゆく。
確かに『手鏡』とアイテム名があった。
恐る恐る『手鏡』を実体化させ手に取る。
隣に居るクラインやクウガも同じように取り出す、二人とも何も変化は起きずキョトンとしている
すると
「わっ⁉︎」
急に光が体を覆う。
光が消え、改めて手鏡を見る。
そこに写っていたのは《キリト》ではなく《桐ヶ谷和人》の姿になっていた。
「もしかして…キリトか?」
隣から声を掛けられた、視線を隣に移すと俺と同じぐらいの少年だ。だがさっきまで俺の隣にはクウガが立っていた。つまり…
「クウガか?」
「そうだよ、やっぱりキリトなんだ!」
「えぇぇ!じゃあお前らキリトとクウガなのか?」
「その声って…クラインか!」
お互い姿が変わったことに驚き、周囲のプレイヤーも驚き声を上がる、中には絶望する声もした。
『諸君は今、なぜ、と思っているだろう。なぜSAO及びナーヴギアの開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?これは大規模なテロなのか?身代金目的の誘拐事件なのか?と』
『私の目的は、そのどちらでもない。それどころか、今の私は、すでに一切の目的も、理由も持たない。なぜなら……この状況こそが、私にとっての最終的な目的だからだ。この世界を創り出し、観賞するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた』
『……以上で〈ソードアート・オンライン〉正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤーの諸君の健闘を祈る』
最後の一言がこの空間にわずかな残響を引いた。
真紅の巨人は溶けるように光となって散り、空は真っ赤な市松模様の風景から元の風景へと戻った。
この世界のルールが大きく変わったことに以外は。
そして数秒の沈黙から広場は怒号と悲鳴、罵声と懇願に埋め尽くされた。
俺はそんな無数の叫び声を聞いてるうちに少しずつ冷静さを取り戻していった。
この世界で死ねば現実の自分も死ぬ。
これは現実である。
俺はゆっくりと深呼吸をし
「クウガ、クラインこっちに来い!」
二人を呼びかけ誰も居ない路地裏へ連れて行く。
理解が追いつけてないようで茫然とした表情のクラインと動揺を隠せないクウガ。
「いいか、俺は今から次の街に向かう。
この周辺はすぐに経験狩りで場所の取り合いになる。
俺ならβテスターの経験がある、効率良くアイテムと経験値が獲得出る所や危険な所もわかる。
だから一緒に来れば生き残れる可能性が高くなる」
「…このゲームを一緒に買ったダチが居るんだ、多分あの中に、あいつらを放って行けね…」
「……」
本当は連れて行けるのは一人が限界だ。
でも飲み込みが早かったクウガなら可能性はある、だが今以上増えたらカバーできない。
悩んでる俺に気付いてからか
「わりぃ、オメェにこれ以上世話になる訳にぁいかねえよな。
だから気にせず次の村に行ってくれ。
俺だって前のゲームじゃギルドの頭張ってたからな、おめぇに教えてもらった
テクで何とかして見せらぁ」
笑いながらクラインはキリトの誘いを断った。
「クウガはどうする?」
直ぐには答えられず目を逸らす、そして考え抜いた答えのは。
「俺もここに残ろうと思う、何が出来るかわからない。
でも困ってる誰かを置いて行くことはできない、だから……」
先の言葉が言いづらいのか、再び黙ってしまう。
「そか...ならここで別かれよう...なにかあったら二人とも、メッセージ飛ばしてくれ」
「おう…」
「……」
「じゃあ、またな……」
次の街へ向かう為、二人に背を向けるように走り出そうとする
「「キリト!」」
が、二人の声が重なりながら俺の背中にぶつけた。
どうやら二人偶然だったらしく、どっちが先にか一瞬戸惑うがクウガに譲られ改めて声を掛ける。
「おめぇ、本物は案外カワイイ顔してやがんな!けっこう好みだぜオレ!!」
苦笑いする俺に対してクウガは思わず吹いてしまう
「お前もその野武士ヅラのほうが十倍にあってるよ!」
「確かに……キリト!お前に追いつくまで俺たちの分まで頼んだ!」
「あぁ!」
そして俺は、この世界で初めてできた友達に背を向けて走り出した。
一度振り向くとその場から立ち去り建物で姿が見切れるクウガが見えた、一瞬俺に向けてニカッと微笑み見せて姿を消した。
『頑張れ』そんな言葉が伝わった気がした、決意を新たに再び駆け出す。
この果てなきサバイバルゲームをクリアするため、俺は必死に走り続けた。
だが
路地に潜んでいた影が駆け出す姿をブラックバードフライに焼き付けた事に。
「なるほど…大体わかった」
何かを見透かした表情で走り去る
年明けに何とか仕上げる事が出来ました。
なんとかギリギリの所で執筆できました。よかったです。
ここでスタートダッシュしないと自分にとっては赤っ恥ですから、半年前に10周年だと気付き、色んな事そっちのけでなんとかプロローグかけました。
しばらく休みを置いて、また更新して行こうと思います。
応援これから宜しくお願いします!