if日本国の独り立ち   作:第2戦闘団

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予算潤沢じゃないと近代国家相手に泥仕合になりソーナノ



1:脱皮の頃合いですね

「つまり、朝田は当分外交官から外すと?」

 

「そうだ。朝田の代わりに、来年行われる先進11ヵ国会議に出席してもらうことになる」

 

 

 西暦2017年、現世界では1641年

 

 日本は不幸にも起こったパーパルディア皇国との紛争に勝利した。

 しかし戦後のパーパルディア属領の一斉独立の際に起こった民族対立による新たな戦争と、リームなどの周辺国の旧パーパルディア領占領などをきっかけに、日本外務省は今後の外交戦略を大きく見直すことになった

 

 パーパルディアとは言え、その支配下では地域紛争は大幅に減っていたのだ

 これは地球で言うユーゴスラビアや崩壊した旧共産圏に当てはまる

 多数の民族が1つの思想のもと団結していた所に、割って入ってきた民主主義からの武力で崩壊し、内戦や虐殺が頻発すると言うのは皮肉通り越してブラックジョークだが

 ともかく、パーパルディアはやり方は間違っていたが、効果的だった系の国に分類される

 

 ロウリア=クワ・トイネ戦争でもそうだったが、もともと外交に弱い日本は、小国のロウリアの背後にいるパーパルディアや、そのパーパルディアやロウリアに潜伏していたグラ・バルカスの諜報員の存在すらまるで知らなかった

 パーパルディアはフェン王国で、グラ・バルカスに関してはムーから間接的に伝えられてやっと知ったと言う具合である

 

 それも仕方なし。転移した事で優秀な外交官がいなくなり、若手の知識不足と経験不足も相まって、しばしば見下される事もある

 

 そこで外務省はソ連軍人の中尉亡命事件や最近まで起こっていた諸島問題を担当した(させられた)定年退職間近の新高 正弘(にいつか まさひろ)を新たに呼びつけたのだ

 

 

「当分朝田は君の助手でもやらせて経験を積ませたいと思う」

 

「まぁ……妥当じゃないでしょうか」

 

 そう言うが、内心新高は今更かよと思っている

 国が転移してはや3年。まともな外交をやった事は両手の指に収まってしまうくらい少ない。我々には余裕がない、人口も資源も経済も自給率もアメリカではないのだ。食糧供給先と資源があるロデニウスはともかく、一々辺境の小国の雑多な外交に時間を食われている場合ではないのだ。と言うのが新高の持論である

 

 

「知っての通り、君以外は殆ど大国が集まる外交場など経験した事が無くてね。1番経験があって朝田だ」

 

「それは解るのですが……何故今更?」

 

「グラ・バルカスについては知ってるな?」

 

 

 その言葉に、あぁ、と呼ばれた理由に納得する新高

 

 第八帝国改めてグラ・バルカスは列強国レイフォルと、パカンダと言うおまけを滅ぼしたあたりから急速に軍拡を続けている。最近打ち上げた衛星からも、レイフォル沖と改装された軍港に多数の大型艦や小型艦が停泊し、演習に明け暮れている

 ムー沿岸にも度々偵察機が飛来し、スクランブルしたムー統括軍の複葉機がその偵察機に撃墜されるなんてのも珍しく無くなってきた

 

 現状、なぜ突然軍拡に走ったのか真相解明が行われている。が、この数ヶ月後にわかる事だが、皇族、日本で言う天皇家、それも天皇皇后両陛下相当の人物が「渡航したパカンダで公開処刑され、その事実に軍需産業と癒着し公金横領、脱税、特別背任などの汚職を働いてきた軍部や政府幹部が発破をかけ、国民感情を右翼化させた」と報告される

 

 結局、新高が呼ばれた理由は「朝田が使い物にならない事がハッキリしたので奴の下で経験積ませて当分面倒ごとは押しつければええやろ」である

 

 新高が思っていた以上にひどい理由だった模様

 

 

「で、だ。先進国会議だ、我々は新しい列強とは言え新参者。主催国をミリシアルを含めた各国は常連さんだ」

 

「反応を見つつ、影響力を残せと?」

 

「そうだ。そして我々は少なからずだがミリシアルとは良好な関係にある、中立政策を辞めるか辞めないか瀬戸際にあるムーともだ。そしてグラ・バルカスとは遠方であるからして何の接点もない、そして……」

 

「グラ・バルカスは戦争準備をしている。と?」

 

「素晴らしいね。まぁ、衛星で経過観察してたから解って当然か」

 

「……? 、ジュネーブの様な戦時国際法でも制定してこいと?」

 

「いやぁ流石だね、その通りだ」

 

 

 新高は脳内で激怒した

 必ずやこの無責任で、机上の空論者で、あと1年もしない間に戦時国際法を作って制定してこいと言う外務省高官を自分が在職中に降格なりリストラさせると

 そう思いつつ、既に国際法のことについてアレコレ考えているのが新高である。「仕事と私情は別」がモットーだが、むしろ「仕事と私情は別。これは私情であって仕事ではないし、仕事のうちだとも思っていない」と言う強行的な意見も考えられる便利な言葉である、と新高は考えている

 

 

「まぁ、ジュネーブやらハーグやらを踏襲なりそのまま出すなりしても構わないから、要はグラ・バルカスに釘を打てればいいのさ。我々が新たに睨んでいるのはアニュンニールだ」

 

「それはまた何故?」

 

「おかしいと思わないかね? 辺境の小国の癖に国際会議に出席できるんだぞ? 彼らに見えなくても我々には丸見えだ」

 

 

 そういいながらデスクの上に衛星写真を出す。そこにはミリシアル以上のビル群と、凄まじい数の軍艦と船舶、自動車や高速道路、湾全体が巨大な軍港の都市、謎の施設群などなど、アニュンニールが偽っている国力をあらわにしていた

 

 

「これはこれは……」

 

「彼の国は余りにも怪しすぎる。何故国力を秘匿せにゃならんのか……それに有翼人と言う単一民族であることも怪しすぎる」

 

 

 この惑星では古の魔法帝国が何処かに転移して1万年以上もの歳月が経つ

 なのに混血がいないというのは珍しい所か、かえって怪しすぎる。島国であるフェンでさえ、大昔にはロデニウスやフィルアデスから流れ着いり、移民した民族の混血が多数存在する。にも関わらず、単一民族であり他の人種が全くいないというのは全く持っておかしな話である

 

 地球でも混血が存在しない単一民族が存在するが、それは集落や部族並みの話であり、集落を経て国へとなった頃には多数の混血が存在するのだから

 

 

「では、グラのバルカス改め第八帝国に釘を打つと共に、アニュンニールに公の場でボロを出させる……という感じで」

 

「進めてもらって構わない。それにそろそろ、この国も変わるからだからな。君も含めて忙しくない人間は小学生かご老人くらいになるからね」

 

 

 

 

 _________________________

 

 

 

 

 

 1641年、7月26日

 

 前政権から続いていた憲法改正案が可決された

 

 防諜、治安、教育、経済、etc……と小さいものも含めると多数が改正されたが、主に目立った改正が憲法9条の破棄である

 

 憲法9条は元々第二次大戦時の交戦国(主にアメリカ)に向けた様なものであり、その交戦国はこの世界に存在しない。その上、向こうは階級主義の如くこちらを見下し、民間人だからと言って殺さないという常識はフェンで行ったパーパルディアの蛮行の元、国民の脳裏から消え去った

 

 しかし、それでも異を唱える人間は存在する。真に日本のことを考えて意を唱えている人間は数える程だが

 しかし民主主義では発言の自由は保証されても、発言後の自由と安全は保証はしてくれない。特に前々から何がしたいかわからない、ボロを出したらそれを追求する事しかしてこなかった野党第一党には「現実が見えていない」「共産党の方がマシに見えて来る」と連日の様にネット上で言われ、しまいには「国民差別主義者の集まり」などと選挙板に書かれる始末である

 

 そして今年行われる総選挙では野党第一党には面白いほど票が入らず、そのかわり教育機関の改革やら税金下げやらを唱えていた共産党と、経済改革とパーパルディア戦後、憲法改正を訴え実現した与党第一党に入る事になった

 日本は新たに、グラ・バルカスとアニュンニールという国家と衝突するその時に備え、装備や兵器の国産化を進めつつ、戦後初の、アメリカからの介入が存在しない本格的な兵器開発を進める事になる

 

 そして自衛隊は攻撃権を付与され、かつスクランブルの際状況によっては敵機又は不審船は指示に従わない場合、威嚇射撃の後撃墜・撃沈するという「現代国家として当たり前」の権利を、日本はここにきてようやく手に入れた

 

 

 

 

 




だってそうでしょう?アメリカは国家に不利益な発言した人に対して……ん?こんな夜更けに誰だ?

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