平和?な世界に転生したら兄弟になった彼らの話   作:五十鈴暮月

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エンカウント!

side 最原終一

 

 

目が覚めたら知らない部屋にいた。何を言っているのかわからなけど事実だから仕方がない。そして目の前には春川さん…にそっくりな10歳くらいの女の子が…

 

「…終一?怪我は無い?大丈夫?」

 

終一?最原じゃなく?怪我が無いってどういう事だ?

 

その直後の事だった。今までの記憶が…この世界で春川終一として生きていた記憶が頭に流れこんできたのは。

 

「え…終一!?終一!!熱が…早く病、院…に…」

 

歪んだ視界の先に姉さん(・・・)の姿が映る。前に何かの番組で見た事がある。たしかこういうのを転生、と言うらしい。

 

(そっか、転生したのか。)

 

そんな事を考え、僕は意識を手放した。

 

______________________________________________

 

 

時は流れ、僕は今高校に入学しようとしている。あの後熱を出して倒れた僕は一日寝込んだら直ぐに回復したらしい。まぁ、コロシアイの記憶を思い出した事で脳にかなりの負荷がかかったみたいだから、一日で回復できたのは奇跡といってもいいだろう。魔姫姉…春川さんも記憶持ちだった事もあり、僕は意外にすんなりと受け入れる事が出来た。まさか10歳下の弟が生まれた上にその子が王馬くんだとは思いもしなかったけど。でも家庭環境の影響か僕や兄弟達の教育の賜物かあの子はとても可愛く成長している。…ブラコンだという自覚はあるよ。でも可愛いから仕方ないじゃないか。

 

ニ年前、蘭太郎兄さんが兄弟全員を引き取ると言ってから僕達は一緒に暮らしている。留学している兄弟もいるけれど、長期休みには必ず帰って来るし…。ところで。

 

「ここが某死神探偵のいる世界っていうのはわかったけど、具体的な内容を覚えてたりする?」

 

「私は…主人公が探偵って事と米花町が一日一回は事件が起こるって事くらいしか…。」

 

「ウチはFBIやら公安やらが出てきてキャットファイトしていた事くらいかの。」

 

かくいう僕も主人公が幼児化して黒の組織?を潰そうとする事くらいしか…。あれ?

 

「主人公の名前、何だっけ…?」

 

「確か…工藤新一?」

 

……。ちょっと、まって下さい。

 

「同学年、なんだけど…。」

 

え、え!?主人公が幼児化したら小吉と同い年になるよね!??主人公の周りっていつも事件起きるよね!!?しかも殺人事件ばっか!!!

 

「どうしようどうしようどうしよう」

 

「落ち着け終一兄。」

 

「…主人公を殺せばいいの?」

 

「ハルマキ!?」

 

 

 

 

 

 

 

なんとか落ち着いた僕達は再び対策を考え始めた。

 

「でも、近づかないのが一番だよね?」

 

「小吉が近づかなくても向こうが来たら意味ないじゃん。」

 

「んあー、それなんじゃがの。学校の休み時間はともかく、放課後はウチとゴン太が一緒だから問題は無いと思うぞ?」

 

「「あ……。」」

 

「もしウチやゴン太が一緒に帰れない時は終一兄のバイト先で待たせていれば」

 

「わかった、バイトするよ。」

 

こうして僕は小吉を原作にあまり関わらせないようにする為、喫茶店でバイトを始めた。そのバイト先が原作に深く関係するだなんて、思いもしなかったんだ…。

 

____________________________________________

一年後(原作開始の少し前)

 

 

高校二年に進級し、クラス表を確認する。

 

 

 

 

2年B組

 

 

 

 

 

神座終一

 

工藤新一

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………は?

 

小、中、高と同じ帝丹で今まで一度も同じクラスになっ事が無かったから今回も違うと思ってたのに…よりにもよって今年同じクラスなのか!?

 

「嘘だろ……。」

 

まぁ、なってしまったものは仕方がない。出来るだけ関わらないようにすればいい事だし。…例え前後の席でも。

 

 

と、思ったのに…

 

「俺、工藤新一。よろしくな。」

 

知ってる主人公でしょごめんよろしくしたくない。というか何で話しかけてきた!?僕が前の席だからか!?

 

「…神座、終一。」

 

どうか今すぐ記憶から抹消して下さい切実に。僕は探偵だけど、殺人事件に何回も出会すのは真っ平なんだ!!!子供の教育にも悪影響だし、死体に見慣れてほしくない。

 

「神座?春川じゃなく?」

 

君、デリカシーって知ってる?と聞きたくなった。言いたくない事の一つや二つ、誰にでもあるだろうに…。

 

「神座だ。春川は母の名字だよ。」

 

「ああ、なるほど…。」

 

こう言えば、大抵の人は勘違いする。母が再婚したから名字が違うのだと。実際は兄達に引き取られたからなんだけど、それを言う気は無いから。

 

工藤くんが別の人と話し始めたのを確認して、僕は読みかけの本を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。とある日を境に、工藤新一は学校に来なくなった。

 

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side 榎本梓

 

カランカランと来客を告げるベルが鳴る。

 

「いらっしゃい、小吉くんにコナンくん。」

 

「梓さん、終兄はまだお仕事?」

 

カウンターに腰掛けた小さなお客さん達の前にジュースを置き、手早く食器を洗っているとそんな声が聞こえた。

 

「終一くんなら買い物に行ってくれてるの。もう少ししたら帰ってくると思う。」

 

「そっか。」

 

小吉くんは納得した様に頷いてランドセルから宿題を出した。

 

「ねぇ梓さん、終一くんって?」

 

コナンくんの問いかけに、そういえば終一くんとコナンくんはまだ会った事が無かった事を思い出す。

 

「神座終一くんよ。ここで一年くらい前からアルバイトをしてるの。小吉くんのお兄さんで…確か蘭ちゃんと同い年だったと思うわ。」

 

彼がアルバイトをしようと思ったきっかけは小吉くんやゴン太くん、秘密子ちゃんの安全の為らしい。米花町は事件が多いし、小吉くん達…というより神座兄弟(終一くん含め)はかなり美形だ。過保護になるのも仕方がない事だろう。

 

「本当、兄弟想いのいい子よ。あんな弟が欲しかった…!!!」

 

前に挨拶に来た魔姫ちゃんもいい子だったし、神座家にはいい子しかいないのだろうか。そんな事を本気で考えていた時…。

 

「ごめんなさい、結構遅くなってしまって…。あれ、小吉だけ?秘密子とゴン太くんは?」

 

「秘密姉はアン姉がどっか連れてって、ゴン太は転姉に誘拐された。」

 

よくある事なのか、終一くんは苦笑している。あれ?そういえば終一くんって何人兄弟なんだろう。小吉くん、ゴン太くん、秘密子ちゃん、魔姫ちゃん、終一くん、それにあと二人。七人兄弟?

 

「ねぇ、終一くんって何人兄弟なの?」

 

「え?ええと…16人ですかね。一人ロボットがいるんですけど…。」

 

ロボット!?いやそれにも驚いたけど…16人!!?

 

「ね、ねぇ神座の兄ちゃん、それって…」

 

「全員血は繋がっているよ。まぁ、兄弟全員で暮らせるようになったのは三年前からだけど。」

 

…やっぱり複雑な事情持ちかぁ。血は繋がっているって事は、腹違いとか?でも兄弟仲はいいみたいだし…そういえば終一くんも秘密子ちゃんもゴン太くんも小吉くんにだけ過保護な様な…やめよう、人の家庭の事情に首を突っ込むのは良くない。

 

コナンくんは知りたそうにしてるけど、やめた方がいいと思う。昼ドラ展開はフィクションだけでいい。

 

「江戸川ちゃん、終兄は俺のお兄ちゃんだから。」

 

?…ああ、コナンくんが神座の兄ちゃんって言ったから取られると思ったのか。可愛いなぁ…。

 

「僕の事は終一でいいよ。君が噂の江戸川くん?はじめまして、小吉達がお世話になっています。」

 

そう言って終一くんは微笑んだ。でも気のせいかな、笑顔が冷たいような気がしたのは。

 

「江戸川コナンです。こちらこそ、三人にお世話になっています。」

 

…うん、やっぱりコナンくんを見る終一くんの目はどこか厳しい。あれかな、弟の友達に相応しいかどうか見極めようとしてるとか?でもいくら小吉くんに過保護だからってそれは…。

 

「そういえば、終兄は江戸川ちゃんのお姉さんと同い年なんだよね?もしかして知り合いだったりする?」

 

「…クラスメートだよ。あまり話した事はないな。」

 

へぇ…。たしか蘭ちゃん達がクラスに凄く美人な男の子がいるって話したけど、…まさか、ね。

 

「え!?終一さんって蘭姉ちゃんのクラスメートなの!?」

 

「ふぅん……?」

 

あ、小吉くんが何か企んでる。

 

「まあ、いいや。あと終兄、それ早く冷蔵庫に入れたら?」

 

小吉くんが買い物袋を指指して言った。そういえば終一くん、買い物帰りだったな…。

 

「途中で事件とか起こらなかった?」

 

「あー…その、通り道のコンビニで強盗が起きちゃって…それで回り道するはめに…。」

 

ああ…と私達が納得する中、終一くんは小吉くんを見て安心したようにため息を吐いた。

 

「最近誘拐も多いみたいだから、コナンくん達も気をつけてね?怪しい人について行ったりしたら駄目よ?」

 

「誘拐か…。小吉、家に帰ったら兄さん達と話し合うから、今日はゴン太くん達と先に寝ててくれる?」

 

ああ、小吉くんと終一くんは一緒に寝てるのか。確か小吉くんが悪夢を見るって言っていたっけ?それで一時期不眠症になったって…大丈夫かな…。

 

「終兄がいないのは嫌だけど…嘘だよ!俺、もう一人でも大丈夫だもん!!」

 

にしし、と笑う小吉くんの顔がいつもより白く見えたのは、きっと気のせいではないと思う。終一くんも心配そうにしてるいし…。

 

「小吉くん、よく眠れるお守りの作り方を教えてあげる。ドリームキャッチャーって言うんだけどね、悪夢を捕まえていい夢をみせてくれるの。」

 

 

 

用意するのは、リングと糸、それにビーズや羽飾り。

 

まず、リングに糸を巻きつけて中央に向かって蜘蛛の巣みたいに編み込む。網目は自分の好きな等分で大丈夫よ。

 

網目が完成したら、先にリングに巻きつけておいた糸にビーズや羽飾りを飾り付けて完成。簡単でしょ?好みで網目の中央の方にビーズを付けてもかわいいわね。

 

「これが、悪夢を捕まえてくれるの?」

 

「そう。それを枕元に置いて寝るとすっごくよく眠れるのよ。」

 

私も小学生の頃に作ったっけ、と懐かしい記憶を思い出す。

 

「斬美姉さんなら材料を持っていると思うし、帰ったら一緒に作ろうか。」

 

「うん!」

 

「僕も蘭姉ちゃんにあげたいな…。」

 

どんなデザインにするか話し合う小学生二人の様子はとても微笑ましい。終一くんも心なしか周りに花が舞っているように見える。

 

結局二人は終一くんのバイトが終わるまでずっとドリームキャッチャーのデザインを考えていた。小吉くんは兄弟全員分を、コナンくんは蘭ちゃんと毛利さんの分を。

 

お互いの絵を見せ合う二人は、やはり可愛かった。終一くんは小吉くんの書いた自分用のデザインに感動していた。

 

 

 

 

 

 

___それは喫茶ポアロのとある平和な一日の話。

 




最原くんはコロシアイと今世の家庭環境の影響で無意識に信用、信頼できる人とそうでない人を判別する癖がついています。新一くんに対してはいい人なんだろうけど主人公だし親しくなったら事件に遭遇する可能性が高い=危険と認識しています。
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