ViVid Strike!ーアナザーストライクー   作:NOマル

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アキラとイリス

とある研究施設が、火の海と化していた。

 

「くそっ!なんということだ!」

「まだ“適合者”も見つけられていないのに!」

 

施設内は騒然とし、研究者達は避難を行っている。道具や書類等が地面に散乱、室内を赤いレッドランプの色に染まり、警報が鳴り止まない。

 

「…………」

 

周りが慌ただしく動く中、“ソレ”だけは一人、廊下をゆったりと歩いていた。

 

「ひっ!」

「た、助け――――」

 

“ソレ”と遭遇した研究者達。視界に入った瞬間、その命を奪われる。首を切断、四肢をもがれる等、そのやり方は凄惨かつ残虐だ。“ソレ”は尚も、殺戮を続けていく。

 

悲鳴が鳴り響く施設内。明かりが灯されていない、暗い一室に、黒いケースがあった。

黒一色の無機質な箱。蓋、取っ手すらも見当たらない。もう開ける事がない、或いは開ける事が出来ない様に作られている様にも見える。

 

その中身は、まだ分からない。様々な検査を用いても、内部を調べる事が出来なかった。

 

その研究室にも“ソレ”による破壊の影響が起きた。所々にヒビが入り、やがて部屋全体を覆う。建物が激しく揺れだし、それを合図に、爆発が起きた。

 

『――――緊急事態発生、自動転送(オートテレポート)作動』

 

緊急時に脱出する為のシステムが作動した。しかし、この場から脱する人員は、一人もいない。もう“手遅れ”になったからだ。

 

それに加え、設置されている台から、黒い箱が地面に投げ出される。そのまま転がり、自動転送装置の門――丸い輪の形をした――をくぐる。

 

次の瞬間、研究所は爆発した。

 

 

 

 

壊滅した研究所から一キロメートル離れた場所で、“ソレ”は眺めていた。暫し見つめた後、夜空を見上げる。

 

今宵は半月、それが雲に覆われた。

 

「――――ドコ?」

 

ボソッと呟き、届きもしない月に、ゆっくりと手を伸ばす。徐に、掌を閉じた。

 

「“僕”ハ……ドコ……?」

 

親を探す雛鳥の様に、寂しげな、哀愁漂う存在。

 

次の瞬間、その姿を消した。

 

 

数秒後、一本の“黒い羽”が、地面へと落ちていった。ゆっくり、ゆっくりと……。

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

眩い太陽に照らされ、涼しい風で揺れる、大草原。その中心部に、やや大きめのテントが設置されている。その出入口にあるジッパーが開き、中の住人が顔を出した。

 

「ん~~!良い天気♪」

 

淡い赤系統の色をした髪をサイドテールにまとめている少女。笑顔がよく似合う、愛らしい顔立ちで、少女は起きると、外に出て体を伸ばす。

そして、“もう一人の住人”を起こしに行く。

 

中を見ると、住人は寝袋に身を包み、今も眠りについている。

 

「【アキラ】~朝だよ~!」

「…………」

「起~き~な~さ~い~!」

「ぅぅ……」

 

体を揺すっても起きる気配がない。少女は頬を膨らませ、眉に皺を寄せる。 

 

「起きろ~~!!」

「ぶおっ!?」

 

その場からジャンプし、寝袋めがけてダイブ。悶絶しているにも関わらず、少女は体の上に乗り、大きく揺さぶる。

 

「起きろ起きろ~~」

「ってぇ……!」

「あっ、起きた?」

「おい、【イリス】……お前、ちょっとは……優しく、起こせって……!」

「だって、全然起きないんだもん」

 

馬乗りになりながら、寝ている少年――――アキラに対してそう反論する少女――――イリス。

 

眠そうな瞼を擦り、イリスをどかして上半身を起き上がらせる。

 

「服着替えてから、朝ごはん作っちゃうから、ほら外出て」

「分かった分かった……」

「言っとくけど、覗かないでよ?」

「はいはい……」

 

念を押す様に言われ、アキラは返事をし、寝袋から出る。

 

首をコキコキと鳴らし、体をほぐしながら、テントからも出た。

 

 

 

そして、アキラとイリスは朝食をとる。

 

二人の朝は、こうして始まった。

 

 

 

 

テントをしまい終え、荷物をまとめた後、出発する二人。鞄を背負い、楽しげに歩くイリスの後方を、荷物を肩に担ぎながら歩いているアキラ。

 

黒のアンダーシャツを着込み、上に赤いラインの入ったジャケットを羽織っている。暗い色のズボンとブーツも着用しているせいか、着崩した軍服の様にも見える。

そして、バンダナ――市松模様の――を頭に巻いている。

 

イリスはというと、動きやすい桃色のジャケットを羽織り、トレッキングスカートを履いている。

山登りに適した服装をしており、見た目も中々に可愛らしいコーデとなっていた。

 

「丘~を越~え~行こ~うよ~、口~笛~吹きつ~つ~♪」

「朝から楽しそうだな」

「アキラは相変わらず暗いねぇ~」

「うるせぇ」

 

顔を反らし、ブツブツと呟くアキラ。テンションが低い彼とは正反対に、イリスは元気よく歌を歌いながら歩いていた。

 

 

その後も色々ありながらも――イリスが足を滑らせて傾斜面を転げ落ちたり、イリスが大きな鳥に連れ去られそうになったり――無事に丘を越えた二人。

 

「アキラ、大丈夫?息切れしてるけど」

「どっかの誰かさんのせいでなぁ……!?」

「あはは……面目ない」

「……もういい」

 

恨めしそうに見られ、苦笑して反省するイリス。

 

「そんな事より、見て見て!町が見えるよ」

「そんな事て……」

 

はしゃぐイリスを見て、再度ため息をつくアキラ。やれやれ、とイリスの隣まで行き、町を見下ろす。

 

「…………」

 

見に覚えのある、風景だ。それもその筈、自分が育った場所なのだから。一人で旅立つ際、この目に焼き付けておいたから、間違いない。

 

「戻っちまったか……」

 

故郷に帰って来たというのに、嬉しそうではない。アキラの表情が、段々と曇り始める。

 

正直、行くのはあまり気乗りしない。しかし、今更ルートを変更したら、どの町に着くか分からない。着かなければ、また野宿する羽目になる。 

 

「まっ、元々当てもなく旅してる訳だしな」

「アキラ?」

「いや、何でもない。とりあえず、町の方に行ってみようぜ」

「うん!」

 

元気よく返事をするイリス。

 

一泊くらいなら、別に問題ないだろう。一つあるとしたら、“あの二人”と顔を合わせづらい事。だが、そう簡単には出くわさないだろう。

 

そう思い、アキラは歩き始める。

 

「あ~~れ~~!?」

「お前もいちいち面倒かけんじゃねぇええええええええええ!!!」

 

またも坂道で足を滑らし、ローラーの様に転げ落ちるイリス。

 

それを慌てて追いかけるアキラ。全力疾走で、その後を砂埃が巻き起こる。

 

 

 

 

 

こうして、二人は足を踏み入れた。

 

 

 

“獣”が笑い、蔓延る、この町に……。

 

 




主人公の登場です。
アマゾンズの主人公達と比べたら違和感があるかもしれませんが。
変身はもうちょっと先です


4/12 キャラを変更致しました。
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