ViVid Strike!ーアナザーストライクー 作:NOマル
そこは、焼け野原と化していた。
「なんじゃこりゃぁ……」
思わず、そう呟いてしまうイリス。それもその筈、自分が寝泊まりしていた小屋が無くなった所か、辺りの木々が焼け焦げていたのだから。まるで、火事が起きた跡の様な光景。
「なななななななにが、どどどどどどどどどどうなってるのぉ!?」
動揺を隠しきれず、イリスは慌て出す。周りを見渡し、アキラを探す。
この光景には、同行者であるゼラムも驚きを隠せずにいた。
「これは、まさか……」
徐に足を踏み入れ、状況を確認。屈んで、焼け跡に触れる。この惨状には“見に覚え”があった。
険しい表情を浮かべていると、不意にロアが声を上げた。
「あっ、アキラ!!」
やや疲労感溢れる表情を浮かべながら、こちらへ歩み寄る一人の少年。その姿を見つけ、イリスは駆け寄る。
「良かったぁ!何処にもいないから、心配したよ~」
「イリス……悪ぃ、ちょっと出掛けてた」
イリスの肩に、ポン、と手を乗せ、やや気怠そうに返事をしながら、アキラは前を向いた。
「っ!!」
驚きを露にし、目を見開いた。それは、向かい側にいる青年も同様に、驚愕している。
「アキラ……本当に、アキラなのか……?」
「…………」
口を微かに動かしながら、少年の名を呼ぶゼラム。文字通り、開いた口が塞がらない状態のまま、硬直する。
信じられない……。そう言いたげな表情を浮かべていた。
その様子を目にし、二人を交互に見るイリス。
「あれ?もしかして、アキラ。このお兄さんと知り合い?」
ふと、イリスはアキラに問いかける。
「――――いや、知らない。“赤の他人”だ」
冷たい声音で、そう言い切った。同時に見せた、無機質な表情。初めて目にした冷淡な表情に、イリスは目を見開く。
対し、ゼラムはどこか哀しげな表情を見せ、少し俯く。
「取り敢えず、今は寝床を探そう。小屋が無くなっちまったしな」
「あっ、うん……」
視線を一切向けずに、ゼラムの横を通り過ぎるアキラ。乱雑している荷物を早々に集め、イリスの元へ戻る。
「アキラッ!」
「…………」
不意に、ゼラムが名前を呼ぶ。徐に、足を止めるアキラ。
「生きて、いたのか……?」
「見て分からないか?ご覧の通りだよ。もっとも、あんたからすれば、どうでもいい事だろうけどな」
「そんな事はない……生きていたのなら、どうして――――」
「言わなかったんだ、か?何であんたに言わなきゃいけねぇんだよ。“赤の他人”であるあんたなんかに」
敵意をむき出しで、毒を吐き捨てるアキラ。踵を返し、ここから早々に立ち去ろうとする。
「アキラ……すまなかった」
痛みに耐えるかの様に、申し訳なさそうに、ゼラムは頭を下げ、謝罪の言葉を述べる。
「それは、何に対してだ?騙して閉じ込めた事?
不意に立ち止まり、横目でゼラムを睨み付ける。その瞳は黒く濁っており、憎悪に満ち溢れていた。それを目の当たりにし、ゼラムは罪悪感に押し潰されそうになる。
「違うんだアキラっ!お前をそんな風に思った事は一度もない!俺達は――――」
「何も違わないだろ?都合のいい道具にする為に世話してくれたんだろ?」
「断じて違う!俺も、ネクサスも、キバーラも皆、お前の事を――――」
「もういいって。見苦しいからさ」
話す事はもう何もない。そう言いたげに、アキラはロアの手を引いて、その場から去ろうとする。戸惑いながらも、連れられていくロア。
「それに、今更“お前達”の言葉を信じる気はない。俺を見捨てた奴らの言葉なんて――――」
「“イデア”に、何かされたんだろう?」
イデア――――その言葉を皮切りに、足を止めた。否、止まった。同時に、脳裏を過る忌々しい悪夢。忘れたいのに、忘れられない記憶。呪いの様に、心の奥底にへばりついている。心臓が高鳴り、呼吸も荒い。微かに、体も小刻みに震えていた。
その様子を見て、イリスは心配そうに見つめていた。ゼラムも目にし、“容易に想像”できた。
「すまない……本当にすまない、アキラ」
「黙れ!!」
大声を張り上げ、息を荒くして、肩を上下させながら、アキラは更に睨み付ける。
「二度と!もう二度と!二度と“アイツ”の名前を!“アイツ”に関わる言葉を口にするな!二度と言うんじゃねぇ!分かったかっ!!」
唐突に叫ぶその表情は、怒りに染められてはいるものの、どこか“恐怖”に怯えている様にも見える。
イリスは茫然としており、ゼラムは失言だったと後悔する。彼にとってのトラウマを触発してしまった、と。
あの悪魔に、何をされたのか。彼の様子が、それを物語っていた。
「それに……あんたなんかに分かる訳がない……分かってたまるか!」
バンダナ、“額部分”を手で握りしめ、忌々しげに顔を歪める。睨み付けた後、やや強引にイリスの手を引き、アキラは去っていった。
遠ざかっていく後ろ姿を、ゼラムはただ見つめる事しか出来なかった。
◇◆◇◆
ゼラムと別れ、宛てなく歩くアキラ。その足取りは早く、そして重い。
「ア、アキラ……痛い……」
ぎゅっと手を握られ、強引に連行され、歩いているイリス。やや痛みを感じ、顔を歪ませる。
「あっ、悪ぃ……」
我に帰り、思わず手を離すアキラ。痛そうに手を擦るイリス。
「ねぇ、大丈夫……?」
「…………ああ」
心配して声をかけるも、返ってきたのは力ない返事。先程の男性と、何か関わりがあるのではないか?赤の他人、と彼は言うが、どう見ても無関係には見えない。
問い掛けようと思うも、その弱々しい様を見て、イリスは閉口する。
「あれ、ここは……」
「どうしたの?」
ふと、アキラは横を見る。つられて、イリスも視線を向けた。
そこは、アキラにとって見慣れた場所。町からやや離れた場所に位置する、幼馴染と過ごした孤児院。
「もう、ここに来てたのか」
懐かしい。“二人”と、院長や子供達と過ごした日々を思い浮かべるアキラ。物思いに耽っていると、扉が開いた。
「あっ!」
「アキラお兄ちゃん!」
「本当だ!」
扉を開けたのは、三人の子供。その子供達は、アキラを見るや否や、いきなり抱き付いてきた。
勢い良く飛び付かれ、仰向けに倒れるアキラ。横にいたイリスは、目を丸くする。
「お、お前ら、久し振りだな……」
やや苦しそうにしながらも、微笑みをこぼすアキラ。あの頃より、少し大きくなっているが、自分の弟分、妹分でもある子供達。数年振りに再会し、喜びを露にしている。
「あらあら、一体どうしたの?」
すると、奥の方から一人の女性がやってくる。その女性は、アキラの姿を見つけると、驚愕の表情を浮かべた。アキラも、同様だった。
「あなた……アキラ君?」
「……お久し振りです。院長先生」
徐に立ち上がりながら、頭を下げるアキラ。
茫然としていたが、我に帰り、側に歩み寄る孤児院の院長。懐かしむ様に、微笑みを浮かべる。
「本当に、久し振り……大きくなったわね」
「すみません。何も言わず、一年以上も会わずにいて……」
「何か、事情があったのでしょう?こうして顔を見せに来てくれただけでも嬉しいわ」
本心からの喜びを露にし、院長はアキラの頭を撫でる。照れ臭そうにしながらも、受け入れるアキラ。温もりを感じながら、思わず綻んでしまう。
「ねぇねぇアキラ、この人は?」
「ああ、そうだった。イリス、この人はここの院長先生。俺がお世話になった人だ。院長先生、こいつはイリスって言って、一緒に旅してる仲間です」
「初めまして!イリスと申します」
「あらあら、初めまして。可愛らしいお嬢さんね」
「いえいえ~」
元気よく挨拶をするイリスの姿を見て、またも微笑む院長。照れ臭そうに、イリスは頭をかく。
「立ち話もなんだし、上がって上がって」
「行こうよ、アキラ兄ちゃん」
「早く早く~」
「分かった分かった」
子供達に急かされ、中に入るアキラ。
「じゃあ、お邪魔します」
「お邪魔しますなんていいのよ。ここはあなたの家でもあるのだから」
「……はい」
「ただいま帰りました~!」
「お前は違うだろ」
アキラとイリスのやり取りを見て、更に笑みを深める院長。
こうして、“家”に帰る事が出来たのであった。
◇◆◇◆
秘密の基地内にて、“彼女達”は集まっていた。全員、バイザーを着用しているのだが、その上からでも、顔が瓜二つだというのが分かる。二人、三人 だけでなく、十、二十人以上もの人数だ。
『――――実験
アナウンスが鳴り、それを耳にした女性が三人、前に出る。そして、準備されていた機材を、それぞれ手に持ち、命令を実行に移す。
基地から出発し、目的地へと急行。そこは、大勢の人々が行き交う場所。実験にはうってつけだ。
手にしている機材は、組み合わせる事で、大きな効果を発揮する。今回の作戦、或いは実験に必要な物なのだ。
彼女達三人は、無表情で、何の感情も抱かず、任務に取りかかる。
後書きなどで書いていた通り、キャラを変更する事にしました。二作品とも、前に映画館で見まして、凄い迫力の戦闘シーンだったのと、話の内容やキャラクターに魅力を感じ、以前から出してみたいな、と思ってたんです。
当初は、上手く出来ないと判断したのですが、何度も考え、練りに練った結果、この結果になりました。
ロア、ごめんよ……。
遅い投稿になりますが、これからもよろしくお願い致します。