~星野識の日記~
思えば、これがこの世界に来て初めて、信頼できる人たちだと感じた瞬間だった。だから、というのもおかしいかもしれないが、僕は、この家の人たちを全力で守っていこうと思う。
~三ノ輪宅 客間~
僕が話し終えたところで銀のほうを向くと、若干涙目になりながらこちらを見ている彼女の姿が目に入った。
「うぇ!?え、っちょ、だ、大丈夫?」
思わずそう尋ねるが、彼女は何か決心したかのように唐突に立ち上がると、ちょっと待ってて!とだけ言い残して部屋を去っていった。割と勢いよく出て行ったが、あまり足音がしないのは癖なのだろうか?
それから数分ほどたち、勢いよく戻ってきた彼女は、僕に唐突に告げてきた。
「識!今日からお前はうちで暮らすことになったからな!」
とりあえず衝撃的過ぎて少し固まった僕は悪くないと思う。話を聞いたところ、あの数分の間に親に連絡を取り、事情を説明、この家に住んでも大丈夫か確認などをとったらしい。さすがに活動力ありすぎでは?と思ったが、口には出さないことにした。
~三ノ輪宅 居間~
そんなことがあった前日から時間がたち、翌朝、銀の弟の鉄男にいろいろと説明をし、朝食を作る。色々な記憶を持っているせいか、料理に関してはそれなりに自信があるので、銀に話してやらせてもらうことにしたのだ。
「とりあえず使っていいって言われた範囲で作ったけど、口に合わなかったらごめんね?」
そういいながら出すのは、ごくごく普通の和食。白米、みそ汁、焼き魚、漬物、ほうれん草の煮びたしである。「いただきます」
そんな一言すら、どこか懐かしく感じる。というより、この世界に来てから初めて、こんな複数人で食事をした。どこか暖かく感じられるこの空間。この空間にいられること、この状況を作ってくれた銀に感謝しつつ、僕は自分の料理を食べ進めるのだった。
~三ノ輪宅 玄関~
「それじゃあ、行ってきます」
銀がそう言って出て行ったのは7時半。弟の鉄男をつれ、幼稚園に送った後、そのまま小学校に登校するらしい。
「行ってらっしゃい。金太郎の世話は任せて」
そういって送り出す。二人の姿が見えなくなるまで手を振ったら、家に戻り食器を洗う。掃除機をかけ、金太郎の様子をこまめに見る。ちょうどいい具合に太陽が当たり始めたので布団を干す。洗濯機を動かし、終わったら外に干していく。そうこうしているうちに、昼になってたので、適当に作って食事を済ます。洗濯物を取り込み、一つづつ畳んでいく。布団を取り込み、押し入れの中に入れたあたりで、玄関のほうから銀の声が聞こえた。どうやら帰ってきたようだ。
「お帰り。あと風呂の掃除だけだから、休んでていいよ。学校お疲れ様」
そこまで行って、風呂掃除に向かう。とはいえ、そこまで時間がかかるものでもないので、早々に終わらせて夕飯の支度に入る。
「なにか夕飯のリクエストあったりする?」
僕がそう聞くと、二人からうどんが食べたいとのリクエストが。ということで、夕飯はうどんに決まった。とはいえうどんだけではあれなので、肉うどんにすることにした。ちゃちゃっと作り、席に着く。
「いただきます」
こうして、僕のその日の一日は終わったのだった。
金太郎君、銀が学校の間はどうしてるんだろうか・・・保育園?それともベビーシッター雇っているのだろうか?それとも母親が普通に世話しているのか・・・