今回はある程度書き溜めをしておいたのでいつもより早めに更新できました。
それでは本編をどうぞ。
「あ、あの・・・遅れてすいま、せん・・・。」
教室のドアから荒い息をしながら一人の少女が出てきた。
(姫路さん・・・。)
姫路瑞希。それが彼女の名前だ。
容姿端麗、才色兼備といった言葉が似合う程の頭脳と容姿を持っている。
その姿を見れば誰もが振り返るほどの美少女だ。
かつては僕も恋慕っていた少女でもある。
「姫路さん。丁度いいところに来ましたね。今クラス内で自己紹介をしているので姫路さんもお願いします。」
「は、はい。わかりました。」
教室に入って来た姫路さんに向かって福原先生が言った。
「あの姫路瑞樹です。よろしくお願いします。」
姫路さんが自己紹介した。
「あのひとついいですか?」
「はい。何ですか?」
「どうしてここにいるんですか?」
男子の一人が聞きようによってはとても酷い聞き方で姫路さんにそう聞いた。
(まあ、気持ちは分かるよ。)
僕は内心で男子達に同意する。
姫路さんの成績は学年でもトップクラスだからね。
普通に考えればFクラスに来るなんて絶対に有り得ない。
「そ、その、振り分け試験で熱が出て途中で退席して、それで・・・。」
「なるほど俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに・・・。」
「ああ化学だろ?あれは難しかった。」
「俺は弟が事故にあったと聞いてそれどころじゃなくて・・・。」
「「「「黙れ一人っ子!」」」」
「前の晩、彼女が寝かせてくれなくて・・・。」
「「「「今年一番の大嘘をありがとう!!」」」」
(やっぱりバカだね・・・・・。)
男子達の会話を聞いてそう思う。
クレアの方を見ると、クレアは呆れた様な視線を男子達に向けていた。
「で、ではこれから一年よろしくお願いします!」
「ありがとうございます姫路さん。席についてください。」
福原先生に言われ姫路さんは空いている席に座った。
「き、緊張しました~。」
姫路さんはそう言って僕の後ろに座った。
「ねえ姫路さ「姫路」ん。」
僕が姫路に話しかけるのに被せて雄二が姫路さんに声をかけた。
わざとなのは分かっているので、ここは突っ込まない。
「は、はい。なんですか?えっと・・・。」
「坂本雄二だ。もう体調は大丈夫なのか?」
「僕も気になるね。」
「よ、吉井くん!」
雄二が体調について聞いていたので、僕もそれについて聞いてみる。
僕に話しかけられると、姫路さんは驚いた顔をして頬を赤くした。
因みにその様子を見たクレアは不機嫌そうな顔をしていた。
「姫路、明久がブサイクですまん。」
「雄二・・・。」
雄二が僕ををブサイク呼ばわりした。
まあもちろん冗談なのは分かっているから別に怒ったりはしないけど。
クレアもそれは分かっているのだろうが、雄二を睨んでいる。
「そ、そんなことありません。目も細くて顔のラインも細くて綺麗だし・・その、むしろ・・・。」
「まあ、見てくれは悪くはないか・・・そういや興味がある奴がいた気がするな。」
「そ、それって誰ですか!?」
雄二の言葉に姫路さんは凄い反応しながらそう聞いた。
別にこのまま言わせても良いけど、ここは敢えて口を挟もう。
「その人って、久保君じゃないよね?」
「何で分かった明久!?・・・もしかしてお前そっちの気が「雄二、霧島さんに雄二が浮気してるって言っちゃうよ?」・・・悪かった明久。だからそれだけは止めてくれ。」
雄二が誤解を生みそうな事を言おうとしたので、取り敢えず黙らせる。
「そ、そうです。吉井君、これから一年間よろしくお願いします。」
「うん、よろしくね姫路さん。」
「はいはい、そこの人たち静かにー。」
ガラガラ。モア~。
福原先生が話をしている僕達を注意するため教卓を叩くと、教卓は崩れ埃が舞った。
最早呆れる事すら面倒臭くなってきたよ・・・。
「え~、代えを持ってくるので、しばらく自習していて下さい。」
「あはは、けほっけほっ。」
姫路さんが笑いながら咳き込んだ。
姫路さんは体が弱いから、この環境はきついだろうね。
「・・・雄二少しいい?」
「ああ、構わないぞ。」
僕と雄二は教室の外に出た。
「それで、話って何だ?」
廊下に出てすぐに雄二がそう聞いてきた。
「単刀直入に聞くよ・・・雄二は試召戦争をするつもりなの?」
僕は単刀直入にそう聞いた。
すると雄二は野性味溢れる笑みを浮かべた。
「勿論するに決まってるだろ。その為にFクラス代表になったんだからな。」
雄二はそう答えた。
「そっか、それじゃあ最終目標はAクラス?」
「ああ、その通りだ。」
僕の質問に自信有り気に笑みを浮かべながらそう答える雄二。
「なら、雄二。僕から提案・・・というよりお願いが有るんだけど。」
「ん?何だ、言ってみろ。」
僕の言葉にそう言う雄二。
「もしAクラスとの戦争に勝ったら、設備を入れ替えないでほしい。」
僕のその言葉に雄二は驚きの表情を浮かべていた。
「それは何故だ?お前は設備が欲しくないのか?何より姫路を見捨てられるのか?」
雄二がそう聞いてくる。
「勿論、欲しいとは思うし、姫路さんはAクラスに行くべきだと思う。」
姫路さんにあの設備は酷だろうし、出来ればクレアもAクラスに行かせたい。
本当ならクレアもAクラスに行けるし、やっぱりあんな場所に居させる訳にはいかない。
「だったら「でもね。」・・・。」
雄二の言葉を途中で遮る。
「Aクラスの人達は必死の思いであの設備を手に入れたんだよ?それを僕等みたいな最底辺の人間が奪っていいと思う?何よりAクラスにも少なからず体の弱い人はいる筈だよ。そんな人達に雄二はFクラスのこんな設備で過ごせって言うの?」
僕はそこで言葉を切る。
「・・・言いたい事は分かった。つまり、Aクラスの連中に迷惑がかからないように姫路がAクラスに入れる方法があればいいんだろう?」
雄二は僕にそう問いかけてくる。
「うん、そうだよ。」
「だったら問題は解決だ。」
雄二がそう言った。
「どういう事?」
「簡単なことだ。勝った時の報酬を変えればいい。」
「報酬を変える?」
「ああ。報酬を設備の交換から再振り分け試験に変えるんだ。」
僕は答えが分からず、考え込んでいると。
「お前が挙げた問題はAクラスの連中に迷惑がかかるってことだ。だったらAクラスの連中に迷惑をかけなければいい。再試験を受けたところでFクラス連中が努力せずにAクラスに入るのは無理だ。だが姫路は違う。姫路は学年でも上位の実力者だから再試験を受ければ確実にAクラスだ。」
雄二が自信たっぷりな笑みでそう言った。
「成程、そう言う事か!」
考えたね雄二、さっすが元神童。
「それなら文句はないだろう?」
「うん、これなら僕も文句は無いよ。」
僕はそう返した。
「しかし、お前からそんな言葉が出てくるとはな。正直予想できなかった。」
雄二がそう言ってきた。
表面上はいつもの様子だったが、目は本気で驚いているようだった。
「茶化さないでよ。それよりも、先生が戻ってきそうだから僕達も教室に戻ろう。」
僕がそう言い、僕と雄二は教室に戻った。
福原先生が戻ってきてからしばらく自己紹介が続き、ようやく雄二の番が来た。
「坂本君。君が最後ですよ。クラス代表でしたね?前に出てきてください。」
「うぃーす。」
雄二はそう返事をして教卓の前に立った。
「Fクラス代表の坂本雄二だ。代表でも坂本でも好きに呼べ。」
「じゃあ、ゴリラで♪」
クレアが雄二の言葉に便乗し、そう言った。
(クレア、流石にそれはダメだよ・・・。)
(冗談だよ、冗談♪)
まあ、冗談なのは分かってるけどさ・・・。
因みに雄二は何とも言えない表情をしていたが、すぐにさっきの表情に戻った。
「・・・さてみんなに一つ聞きたい。Aクラスは冷暖房完備の上座席はリクライニングシートらしいが・・・不満はないか?」
「「「「大アリじゃあ!!!」」」」
さすが雄二だね。乗せ方も上手い。
「そうだろう。俺だってこの現状には大いに不満だ。」
「いくら学費が安いからってこの設備はあんまりだ!」
「Aクラスだって同じ学費だろ!?改善を要求する!!」
設備が酷い事だけは同意するよ。
まあ、今の君達にAクラスの設備を使う権利も機会も無いけどね。
「そこで代表として提案だが・・・
FクラスはAクラスに対して『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う!」
一拍子空けて高らかにそう宣言し、雄二は戦争の引き金を引いた。
はい、今回はここまでです。
ようやく引き金を引かせられました。
次回は戦力確認などを書きたいと思います。
次回もよろしくお願いします。