Fate/Animation   作:Mr.tosi

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第四話『心を燃やせ!炎の(ビート)!!』

私達が京都に着いて三日が経とうとしていた。その間は情報収集をしていたが、聖杯戦争に参加しているセイバーとバーサーカーの遭遇もなければ、遡行軍ともあれからの接触はない。皆んな交代で子供達と一緒にご飯を作ったり、食材を取りに行ったりしていた。そんな平和な日々が続いていた。けどその時アースではある異変が起きていた。

 

 

 

 

剣城

「おはようございます。」

 

 

 

 

剣城君がオペレーションルームに入ったら、そこにはドクターとゆめにクリスティーナさん。監視をしているニンジャスレイヤーと右衛門左衛門に剣城君の所のゴブリンスレイヤーがいたからである。だが何かソワソワしている様な感じだった。

 

 

 

 

剣城

「皆んな深刻そうにしてどうかしたの。」

 

 

ゆめ

「おはようマスター。実はニンジャスレイヤーさんと右衛門左衛門さんが気になる事があってドクターやクリスティーナさんに調べてもらってたの。」

 

 

剣城

「何かあったの?」

 

 

ゆめ

「京都から妙な違和感を感じるって言ってるんだけど何の問題もないし、私も特に何も感じないから同じアサシンのゴブリンスレイヤーさんにも協力してもらってるところ。」

 

 

剣城

「でも何も無いなら大丈夫じゃないの。」

 

 

ゴブリンスレイヤー

「そうとは言い切れない。」

 

 

ゆめ

「何か感じたの!」

 

 

ゴブリンスレイヤー

「ああ。アサシンとアーチャーの言う通り、京都全体から強力な殺気が放たれている。どうやらアサシンクラスの感知スキルでなければ気付くのは難しいだろう。」

 

 

剣城

「じゃあ現地にいるレベッカ達も!?」

 

 

ゴブリンスレイヤー

「恐らく気付いていないだろう。アーチャーがこれから出発するところだ。」

 

 

剣城

「アーチャーって右衛門左衛門さんだよね?何でアサシン並みのスキルを持ってるの?」

 

 

右衛門左衛門

「元忍ゆえの縁かアサシンクラスのスキルも高いようだ。」

 

 

 

 

まあ私達の知らぬ間にそんな事になってたらしい。

 

 

 

 

右衛門左衛門

「他所の陣営にこんな事を頼むのは妙だが、私の穴埋めを黒河殿にお申し付けたい。引き受けて貰えるか。」

 

 

剣城

「わかった。」

 

 

ゴブリンスレイヤー

「いや、アーチャーの方は俺で引き受けよう。マスターはルーラーと共に赤のマスターをサポートしてくれ。」

 

 

剣城

「いいの。」

 

 

ゴブリンスレイヤー

「構わん。その方が効率がいい。」

 

 

剣城

「じゃあお願いするね。」

 

 

右衛門左衛門

「黒の陣営のご好意に感謝する。」

 

 

 

 

本当に剣城君達の陣営には感謝しか無いよ。

 

 

 

 

リベット

「アーチャー転送します!」

 

 

 

 

そして右衛門左衛門も私達のいる京都に向かった。それを知らず、私と白玄、マリア姐さん、エルちゃん、キリエ、ひびき、七花で相変わらず京都を探索していた。だが私は白玄の姿が気になって集中できなかった。

 

 

 

 

レベッカ

「ねえ白玄。変態に変身するならまだしも女性は流石にドン引きなんだけど。」

 

 

マリア

「ホント。最低ね。」

 

 

 

 

何故か女性の姿に変身していたのだ。

 

 

 

 

とがめ

「何を言う!この方がお主らも気楽に話せるであろう!何を躊躇(ちゅうちょ)する理由があるか!」

 

 

 

 

 

あんたが漢だからだ。

 

 

 

 

マリア

「そんな便利な能力持ってるから、使い方次第じゃいやらしい事もしてたんでしょ!」

 

 

とがめ

「ああ、そうだった。マリア・カデンツァヴナ・イヴ。貴様に言わねばならぬ事があった。」

 

 

 

 

え?姐さんに?何?

 

 

 

 

小鞠

「実にいいお肉でしたぁ!!特に胸とお尻と太ももが!!」

 

 

 

 

なっ!?今度は男に戻ってしかも姐さんに爆弾発言かましやがった!!てか既に姐さんで実行済みか!?

 

 

 

 

マリア

「Seilien coffin airget-lamh tron。」

 

 

 

 

ちょっと姐さん!?気持ちはわかるけどいきなり戦闘態勢!?てかヤバいメチャクチャ怒ってるよ!?

 

 

 

 

マリア

「死に去らせ!このゲス野郎がぁぁぁぁぁ!!」

 

 

小鞠

「アパパパパ!!」

 

 

 

 

白玄は猛ダッシュで逃げて姐さんは獣の様に殺す気で追いかけて行った。そして私達はそれを唖然として見ていた。

 

 

 

 

エルザ

「本当に最低ね。」

 

 

七花

「平常運転で何よりだけどな。」

 

 

キリエ

「あれで!?あんた良くあんな変人と契約したよね!?どうかしてるよ!!」

 

 

七花

「あんなのまだ序の口だぞ?酷い時は容赦なく女の体に触るからな。」

 

 

エルザ

「愚かな男ね。」

 

 

御堂筋

「プププ・・・ホンマ我慢の出来ん男やな小鞠君。」

 

 

キリエ、ひびき

「って誰!?」

 

 

 

 

キリエとひびきの背後に長身の細身の男性が立っていた。まあ白玄だと思うけど。

 

 

 

 

エルザ

「白玄。正直、貴方からは何のオーラも感じないわ。平凡そのもの。そんな貴方がどうしてそんな曲芸を使えるのかしら。」

 

 

 

 

唐突にエルちゃんは白玄にそんな質問を投げ掛けた。どうしてそんな質問をしたのかわからないけど、白玄がいろんなアニメーションの力を使えるのはおかしいと思う。けど白玄が帰ってきた答えはエルちゃんの評価に対してかなり厳しいものだった。

 

 

 

 

御堂筋

「君はホンマに優しいなあ。ボクにそんな評価してくれるなんて。キモッ!!ボクはそれ以下の存在や。今は色んな能力持っとるから平凡に見えるだけやけど、それが無かったら何にも出来ひん男や。」

 

 

エルザ

「なんですって?」

 

 

御堂筋

「ボクは平凡以下。つまりダメ人間という事や。いや・・・・それ以下かもしれん。」

 

 

エルザ

「どう言う事かしら?」

 

 

御堂筋

「白玄と言う男は、他人が見たら吐き気がするくらい目障りな存在。「生きる価値が無い」と言う生優しい言葉ではない「生きる権利すら無い」存在。「存在してはいけない」では無く「存在すら許されない」男。完膚なきまで絶望を与え、徹底的に叩き潰し、心をクッキーの様に粉々に砕き、溶かしバターとよく混ぜ合わせて型に流してチーズケーキの土台にする。」

 

 

エルザ

「ごめんなさい。なんで途中からお菓子作りの話になってるの?」

 

 

御堂筋

「つまり白玄ちゅう男は君が思ってる程眼中に無いちゅう事や。気にするだけ時間の無駄やで。」

 

 

エルザ

「そう。なら、今の貴方は何者なの?」

 

 

御堂筋

「君がパーフェクトアイドルならボクはチーズケーキが食べたい男!じゃなかった()()()()()()()御堂筋(みどうすじ)(あきら)くんやぁ!!」

 

 

 

 

 

話をはぐらかされた様に聞こえたけどかなり自分に対してかなり卑下していた。

 

 

 

 

エルザ

「そう。ならおしおきタイム。」

 

 

キリエ、ひびき

「ラジャー!!」

 

 

御堂筋

「え?」

 

 

 

 

エルちゃんの合図でキリエとひびきが白玄を拘束しその場でうつ伏せにした。

 

 

 

 

マリア

「白玄!!よくも分身使って私を騙したわね!!お陰で無駄に全力疾走したじゃ無いの!!」

 

 

 

 

姐さんが戻ってきた頃に悲惨な光景になっていた。

 

 

 

 

御堂筋

「キモぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

キリエはキャメルクラッチ、ひびきは四の字固で白玄を締め上げていたからだ。

 

 

 

 

マリア

「何なのこれ?」

 

 

エルザ

「今おしおきタイム中よ。何なら貴女も如何かしら。」

 

 

マリア

「喜んで!」

 

 

 

姐さんは笑顔で、キリエとひびきの二人と交代して白玄に四の字固めをかましていた。

 

 

 

銀さん

「イタタタタタ!!」

 

 

 

って今度は銀髪の死んだ魚の目をしたオッサン!?

 

 

 

 

銀さん

「例え足を折られようが、心を折られようが構いはしねえ。だが・・・・俺のお股に付いているバベルの塔だけはへし折らないで下さい!!」

 

 

 

 

何ちゅう爆弾発言してんだぁ!!女性がいる事も考えろぉ!!

 

 

 

 

マリア

「安心しなさい。その股に付いているバベルの塔は私が引き千切る!!」

 

 

銀さん

「女がそんな下ネタ発言していいのか!?テメーに恥じらいってもんはねえのかぁ!!」

 

 

マリア

「貴方の童貞卒業に私の全てを奪われたわよ!!失うものなんて何も無いわ!!さぞかし気持ちよかったんでしょうね!!特に何処が良かった!!」

 

 

銀さん

「えーっと舌で舐め回してだんだけど・・・・チ。」

 

 

マリア

「今ここで死ねぇぇぇぇぇ!!外道がぁぁぁぁ!!」

 

 

銀さん

「アぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

姐さんと白玄の一方的なバトルは続き、私達はそれを白い眼で見ているしかなかった。

話は変わるがここに一騎サーヴァントがいないのはお気づきだろうか。そう、セイラが同行していないのである。彼女は残って鏡歌ちゃんと雀ちゃんと一緒にいるのだ。

 

 

 

 

鏡歌

「セイラさん、髪を整えるの上手ですね。」

 

 

セイラ

「女の子は身だしなみが大事だからな。これくらい朝飯前だよ。」

 

 

 

 

何処かへ出かけるのか、セイラは雀の髪を櫛ですいていた。

 

 

 

 

セイラ

「これでよしっと!」

 

 

「ありがとう!お姉ちゃん!」

 

 

 

 

おめかしを終えた雀は駆け足で外に出て行った。

 

 

 

 

鏡歌

「私達も行きましょう。」

 

 

セイラ

「ああ。」

 

 

 

 

セイラと鏡歌が立ち上がろうとした時、雀が大慌てでこっちに来たのだ。

 

 

 

 

「タイヘンタイヘンタイヘン!!」

 

 

鏡歌

「そんなに慌ててどうしたの!」

 

 

「お家の前にわかめのお化けが倒れてるの!!」

 

 

セイラ

「わかめのお化け?」

 

 

「早く早く!」

 

 

 

 

二人が外に出てみると、確かに外にわかめか何か倒れてた。ただそれはお化けでは無く男の人だった。雀がわかめのお化けって言っていたのは、天パだからかかなり髪の毛に(くせ)があるためかワカメに見えなくも無い。濃い緑色の着物に芥子色(やわらかい黄色)の袴を着ていた。荷物は風呂敷と細長い布の様な物だった。中身は想像出来ない。見る限り貴族では無い様だ。

 

 

 

 

「わかめのお化け!!」

 

 

鏡歌

「雀!!それお化けじゃなくて人だから!!」

 

 

セイラ

「あの!大丈夫ですか!!」

 

 

 

 

セイラが男性の体を揺すって呼び掛けてみた。すると彼はまだ息があったのか返事をした。

 

 

 

 

手嶋

「腹・・・・減った。」

 

 

 

 

どうやら空腹で倒れていた様だ。それがわかった二人は直ぐに倒れている彼を担いで家の中に入れた。鏡歌は台所で雑炊を作り、男に差し出した。

 

 

 

 

鏡歌

「こんなのしかありませんがどうぞ。」

 

 

 

 

彼は黙って受け取り、スプーンで雑炊を一口食べた。すると男は勢いのまま雑炊をガツガツ食べ始めた。まるで水を得た魚の様な?そんな感じだった。

 

 

 

 

手嶋

「ぷっはー!生き返った!」

 

 

 

 

一息ついて器を置いた彼は満足そうにしていた。

 

 

 

 

手嶋

「いや、助かったよ。嬢ちゃん達は命の恩人だ。ありがとう。」

 

 

 

 

彼は深々と頭を下げてお礼を言った。余程空腹が限界に来ていたのだろう。

 

 

 

 

鏡歌

「頭を上げてください!」

 

 

セイラ

「でもどうして空腹で倒れたんですか?」

 

 

手嶋

「京都に着く前に路銀が尽きちまってな、三日間飲まず食わずで京都に着いて、嬢ちゃん達の家の前で力尽きたってわけだ。」

 

 

鏡歌

「何方からいらしたんですか。」

 

 

手嶋

「帝都からだ。」

 

 

 

 

どこ?それ?

 

 

 

 

鏡歌

「帝都の人だったんですか!?」

 

 

手嶋

「なんだ。帝都に興味あるのか?」

 

 

鏡歌

「はい!浅草、渋谷、銀座!一度は行ってみたい所なんです!」

 

 

 

 

ああ、東京の事か。それにしても鏡歌ちゃん目がキラキラだ。そんなに行きたいんだ。

 

 

 

 

セイラ

「でも生活が豊かな帝都じゃなくてどうして京都に来たんだ。」

 

 

手嶋

「まあ・・・・いろいろあってな。それに帝都は観光するにはいいが、住むとなると人が多すぎて窮屈だし落ち着かない。だから京都に移住しに来たんだ。」

 

 

 

 

なるほど、都会はやっぱり住みづらいのか。だから田舎の京都に来たんだね。

 

 

 

 

鏡歌

「そう言えば挨拶がまだでした!私鏡歌って言います。」

 

 

「雀だよ!」

 

 

セイラ

「音城セイラです。」

 

 

手嶋

手嶋(てしま)純一郎(じゅんいちろう)だ。この京都で学舎の講師を勤める事になる。わからない事があったら俺の元に尋ねるといい。」

 

 

 

 

手嶋さんはどうやら学舎で先生をするそうだ。歳も20〜30くらいに見えるし、そんなものか。

 

 

 

 

セイラ

「そうだ!鏡歌そろそろ出ないと。」

 

 

鏡歌

「そうですね!」

 

 

手嶋

「こいつはすまないな。足止めしたみたいだ。」

 

 

鏡歌

「気にしないで下さい。野草を売りに行くだけですから。」

 

 

 

 

鏡歌達は生活費を稼ぐ為に、狩りをしたり野草を取りに行って売ったりしていた。特に鏡歌は薬学には詳しい為、薬草を薬屋に売って生計を立てている。当然、私達は居候してる身なのでその手伝いをしているのだ。

 

 

 

 

手嶋

「貧民層の集落があるとは聞いていたがここまでとはな。」

 

 

 

 

手嶋さんは何を思ったのか考え込んでしまった。何かを思いついた顔をしていた。

 

 

 

 

鏡歌

「そうだ手嶋さん!京の街を案内しますよ!」

 

 

手嶋

「そうかい!助かるよ!」

 

 

 

 

セイラ達は手嶋さんを連れて外を出て東の大通りの方に向かった。

 

 

 

 

手嶋

「こりゃすげえ賑わいだな。こっちの方が落ち着く。」

 

 

鏡歌

「都会はこっちより凄い賑わいじゃ無いんですか。」

 

 

手嶋

「あっちはただうるさいだけだからな。こっちの方が生き生きしてていい。」

 

 

 

 

そんなに違うのかな。帝都ってあまりいい印象がないのかな?

 

 

 

 

「お姉ちゃんあっち!あっち!」

 

 

鏡歌

「雀!待ちなさい!」

 

 

 

 

雀と鏡歌が薬屋で薬草をお金に換金して貰ってる間、セイラと手嶋さんは外で待っていた。そしたら手嶋さんがセイラに驚きの場所を聞き出そうとしていた。

 

 

 

 

手嶋

「セイラ、皇居の場所を知らないか。」

 

 

セイラ

「皇居ですか。私も来たばかりだから場所がわかりません。」

 

 

手嶋

「なんだ。お前さんも京は初めてなのか。見たところ顔立ちは日本人だが格好は南蛮人。何処か異国に住んでたのか。」

 

 

セイラ

「エッ!まあそんなとこッ!」

 

 

 

 

手嶋さんの質問にセイラはかなり困っていた様だった。誤魔化すのにも限界があったが、セイラは話をすり替えようと別の話題を出した。

 

 

 

 

 

セイラ

「ところで手嶋さんはどうして皇居なんかに?まさか天皇様と知り合いじゃ?」

 

 

手嶋

「ハハハッ!面白い嬢ちゃんだな!もしそうならあんな所で行き倒れてねえよ!昔の知り合いに会いに行くんだ。」

 

 

セイラ

「友達ですか?」

 

 

手嶋

「まあな。会うのは10年ぶりだが果たして覚えてるかどうか。」

 

 

 

 

どうやら皇居に昔の知り合いが働いているらしい。手嶋さんが京都選んだのもそれが理由のようだ。

 

 

 

 

鏡歌

「お待たせしました。」

 

 

「いっぱいお金貰ったよ!」

 

 

 

 

鏡歌と雀が薬屋から出て来て、セイラ達と合流して、そのまま京の街を歩いていた。手嶋さんはさっきセイラに質問した皇居の場所を鏡歌にも聞いていた。

 

 

 

 

鏡歌

「やはり私達の様な身分の低い者は皇居に入る事は出来ません。ですが、この近くには守護柱の屋敷があります。そこにいる"青龍"様をお尋ねになってみてはどうでしょう。」

 

 

セイラ

「守護柱?」

 

 

手嶋

「聞いた事があるな。天皇直属の配下で、東西南北を守護する四人の四聖獣の異名を持つ連中『守護柱』だったか。」

 

 

 

 

京都のお偉いさんにそんな凄い階級の人達がいるんだ。てかそいつらに聖杯戦争の存在がバレたら大変な事になるじゃん!!しかも青龍って言うくらいだから絶対感の鋭い奴じゃん!!

 

 

 

 

手嶋

「青龍か・・・・。いやまさかな。」

 

 

 

 

手嶋さんがなんかボソッと言ったけど、まさか青龍が手嶋さんの知り合いの人!?てか皇居で働いている知り合いがいる手嶋さんって何者なの!?

 

 

 

 

女性

「きゃぁぁぁ!!鬼よ!!」

 

 

男性

「こんな所にまで出やがった!!」

 

 

 

 

すると、正面から大勢の人達の悲鳴が聞こえて来たと思ったら、その人達が雪崩れ込むようにセイラ達の方に逃げて通り過ぎた。その最後尾を追いかけていたのは紛れもない、遡行軍の魔獣達だった。

 

 

 

 

セイラ

「手嶋さん。鏡歌と雀を連れて逃げて下さい。」

 

 

手嶋

「お前はどうするつもりだ。」

 

 

セイラ

「アイツ等を倒せるのは私しかいません。ここに残って戦います。」

 

 

 

 

今この場で遡行軍戦えるのはセイラだけ。だが彼女は向こうの世界では戦闘員ではない。それどころか、京都に来てからセイラには姐さんのサポートしかやらせてなかったから、一人で戦闘するのはこれが初めてである。それは彼女自身が一番わかっていた。内心恐怖で怯えていた。

 

 

 

 

「お姉ちゃん。」

 

 

 

 

雀の悲しそうな顔を見てセイラは少し動揺したが、同時に決心もした。

 

 

 

 

セイラ

「大丈夫!お姉ちゃんこう見えて強いから!」

 

 

 

 

雀に強がって見せたものの体は正直だった。セイラの手が僅かながら恐怖で震えていたからだ。手嶋さんはそんな僅かな動きさえ見逃さなかった。

 

 

 

 

手嶋

「セイラ!無理だと思ったら直ぐに逃げろ!戦は生き残った物が勝者だ!!」

 

 

 

 

手嶋さんは二人を両手で抱えて走り去ったけど、そのスピードは並大抵の人間が出せる足の速さじゃなかった。車くらいのスピードは出てたと思う。やっぱ何者!?

 

 

 

 

セイラ

(ありがとう。手嶋さん。)

 

 

 

 

鏡歌達を見送った後、セイラは振り返り遡行軍と対峙した。

 

 

 

 

セイラ

「さあ!鳴らすよ!私のロックで!!」

 

 

 

 

そんな事になってるとは知らず私達は京の街を彷徨っていた。

 

 

 

 

とがめ

「イテテ・・・・。本気で人の足をへし折りおって。もう治ったからいいけど。」

 

 

マリア

「そう、こっちはサーヴァントだから疲れを感じ無いはずなのにどっと疲れた感じするんだけど。」

 

 

エルザ

「お疲れ。」

 

 

マリア

「ありがとう。」

 

 

キリエ

「ねえ、マリアって・・・・痴女?」

 

 

マリア

「そんなわけ無いでしょ!!貴女まで何言い出すの!!」

 

 

七花

「悪いがお喋りはそこまでだ。あの先に遡行軍の気配を感じる。」

 

 

 

七花が感じ取った遡行軍の気配は、今セイラが戦っている遡行軍だった。だがその先から誰か猛スピードで走ってくるのが見えた。鏡歌と雀を抱えて走る手嶋さんだった。

 

 

 

 

鏡歌

「手嶋さん!止まって下さい!!」

 

 

手嶋

「よっと!」

 

 

 

 

彼は私達の前で止まって、直ぐに鏡歌と雀を下ろした。

 

 

 

 

レベッカ

「鏡歌ちゃん!?雀ちゃんも!?まさか遡行軍に襲われたの!?」

 

 

鏡歌

「私と雀は大丈夫です!それより早くセイラさんの所に行ってください!!一人で戦っています!!」

 

 

レベッカ

「一人で!?」

 

 

マリア

「レベッカ!セイラ一人じゃどこまで保つかわからないわ!直ぐに行きましょう!!」

 

 

レベッカ

「うん!」

 

 

手嶋

「俺は一足先にセイラの所に加勢しに行く!」

 

 

 

 

そういや手嶋さんに初めて会ったのもこの時からだっけ?

 

 

 

 

レベッカ

「あの!貴方は!?」

 

 

手嶋

「俺は手嶋純一郎!通りすがりの()()だ!」

 

 

 

 

そう言って手嶋さんは猛スピードでセイラの所に向かった。てか私達も行かないと!!

 

 

 

 

レベッカ

「エルちゃん達は鏡歌達をお願い!!」

 

 

エルザ

「わかったわ!」

 

 

ひびき

「任せてくれ!」

 

 

レベッカ

「姐さんは私と一緒に!」

 

 

マリア

「セイラの救出ね!」

 

 

レベッカ

「うん!白玄!私達も・・・・?」

 

 

 

 

そのままの勢いで白玄にも声を掛けたが、彼は鳩に豆鉄砲を食らった様な顔をして反応しなかった。

 

 

 

 

七花

「おい!白玄!」

 

 

とがめ

(今の男・・・・『弱虫ペダル』の手嶋(てしま)純太(じゅんた)か!?いや!本人より老けてはいるがさほど変わらぬ。何故彼奴がここに!?)

 

 

七花

「白玄!!」

 

 

とがめ

「え?ああ!!すまない。直ぐにセイラの所に行くぞ!!」

 

 

 

 

七花が声をかけて正気に戻ったけど何を考えていたんだろ。それを気にしながら私はセイラの所に向かった。

その頃セイラは遡行軍と激しい戦いを繰り広げていた。

 

 

 

 

セイラ

「ラララ♪」

 

 

打刀

「グオッ!?」

 

 

脇差

「キシャッ!?」

 

 

 

 

セイラの戦い方は、ギターを引く事で音の波の様な渦を出して敵を倒していた。なんだセイラもまともに戦えるじゃん!

 

 

 

 

セイラ

「これで終わり!」

 

 

小刀

「クギャッ!?」

 

 

 

 

セイラ一人で遡行軍を全滅させた。なんか心配いらなかったようだ。

 

 

 

 

セイラ

「やった。私にも出来た。そうだ!サーヴァントはマリアさんだけじゃないんだ!!」

 

 

 

 

セイラが喜んでるのも束の間だった。彼女の目の前に巨大な物体が落下して来たのだ。

 

 

 

 

セイラ

「なんだ。」

 

 

 

 

見上げるとそこにはさっきの奴等とは違いかなり大きな巨体と大きくて長い刀を持っていた。

 

 

 

 

セイラ

「新手か!?今までの奴と違う!!」

 

 

大太刀

「ウオぉぉぉぉ!!」

 

 

セイラ

「でも負けないよ!!ラララ♪」

 

 

 

 

でもセイラの攻撃は全く効いてなかった。今までの奴等よりかなり強い。

 

 

 

 

セイラ

「効いてない!?」

 

 

大太刀

「グォォォォ!!」

 

 

セイラ

「きゃあッ!!」

 

 

 

 

巨大な魔獣は大きな刀を振り回してセイラを吹き飛ばした。幸いセイラは自分のオーラで何とか防ぎ切ったが倒れてしまった。

 

 

 

 

セイラ

「なんてパワーなんだ。」

 

 

 

 

セイラが起きあがろうとした時だった。魔獣がセイラの前に迫って刀を振りかざそうとしていた。てかその巨体でそのスピード反則だろ!!

 

 

 

 

セイラ

「え・・・・。」

 

 

 

 

セイラが見上げた瞬間、魔獣の恐怖と実力の差を感じて戦意を損失してしまった。魔獣が刀を振り下ろし、彼女が諦めかけたその時だった。

 

 

 

 

煉獄

「ふんッ!!」

 

 

 

 

セイラの瞳に映ったのは、白に炎の模様が描かれたマントにまるで炎の様な髪をした男が、魔獣の刀を往なして防いでくれた。

 

 

 

 

煉獄

「もう大丈夫、柱である俺が来た!!」

 

 

 

 

さつき屋で出会った炎柱、煉獄が来てくれたのだ。セイラも驚いていた。まさかこんな所で彼と再会するとは思わなかったからだ。

 

 

 

 

セイラ

「炎柱!?」

 

 

煉獄

「君はあのうどん屋にいたサーヴァントか!!」

 

 

セイラ

「どうしてここに!」

 

 

煉獄

「たまたまこの近くにいた所、鬼が暴れていると情報が入ってな。駆けつけてみれば君が戦っていたと言うわけだ。それより立てるか!」

 

 

セイラ

「それは・・・・。」

 

 

 

 

セイラはすっかり戦意をなくしていた為、戦える自信がなかった。煉獄もそれを見てセイラがまともに戦える状態じゃないとわかったのか、彼はセイラに気遣い戦う事を勧めなかった。

 

 

 

 

煉獄

「無理ならそれでいい。だが忘れるな。何故自分がサーヴァントとして召喚されたのかを。そして見つけ出せ!自分の役目を!」

 

 

セイラ

「貴方は。」

 

 

煉獄

「俺は!俺の責務を全うする!!」

 

 

 

 

彼は勢いよく魔獣に斬りかかった。多分セイラから魔獣を遠ざける為だと思うけど、相手に反撃する隙を与えない様攻撃し続けてる様にも見えた。

 

 

 

 

セイラ

「私の役目。」

 

 

 

 

セイラが考えてる隙に、煉獄が魔獣の攻撃を受け、ふらついてしまった。

 

 

 

 

煉獄

「しまっ!?」

 

 

セイラ

「炎柱!!」

 

 

 

 

でもその時だった。

 

 

 

 

手嶋

「うおぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

手嶋さんも駆けつけて魔獣の右足を斬りつけてバランスを崩させて攻撃を反らせた。

 

 

 

 

手嶋

「無事かセイラ!!」

 

 

セイラ

「手嶋さん!?鏡歌と雀は!?」

 

 

手嶋

「お前さんの知り合いと合流してな!そいつらに預けて来た!」

 

 

セイラ

「レベッカ達が。」

 

 

 

二人が無事な事に安堵してもう一度自分を見つめ直した。彼女が自分の世界で何をしていたのか、それを思い返していた。

 

 

 

 

煉獄

「助太刀感謝する!!」

 

 

手嶋

「礼はいらねえよ!正直俺もいっぱいいっぱいだ。」

 

 

煉獄

「見たところ貴方も呼吸が使える様だが!?」

 

 

手嶋

「全集中常中が使えるぐらいだけだけどな!無駄口叩いてねえで集中しろ!!」

 

 

煉獄

「承知!!」

 

 

 

二人は果敢に魔獣に立ち向かっていった。二人の姿を見てセイラは自分の答えに辿り着いていた。

 

 

 

 

セイラ

「やっぱり私にはこれしか無いよな。こんな非常時にどうかと思うけど、私には歌とアイカツ!しかない!!」

 

 

 

 

セイラが立ち上がった時に、煉獄と手嶋さんは敵に吹っ飛ばされていた。

 

 

 

 

煉獄

「くっ!厄介な相手だ。」

 

 

手嶋

「あの長物を何とかしないとな!」

 

 

セイラ

「炎柱!!」

 

 

煉獄

「君か!!」

 

 

セイラ

「こんな時にこんな事言うのも何だけど聞いてくれ!!」

 

 

煉獄

「何でもいい!!話してくれ!!」

 

 

セイラ

「私の歌を聞けぇぇぇぇ!!」

 

 

 

 

セイラが大声で言うと、あたりは静まり返った。煉獄も手嶋さんもキョトンとした顔をしていた。

 

 

 

 

煉獄

「こ・・・・この非常時に何を言い出すんだ君はぁぁぁぁ!!」

 

 

セイラ

「いやアンタが何でもいいって言ったからだろ!?」

 

 

煉獄

「だとしても限度って物がある!!」

 

 

 

 

この非常時に何でグダグダなの!?

 

 

 

 

手嶋

「お前さんが言ったんだぞ?「何でもいいから話せ。」ってな。」

 

 

煉獄

「む!?」

 

 

手嶋

「何でもいいって事はそう言う事だ。」

 

 

煉獄

「むむ!?」

 

 

 

 

興行収入300億の男が押されている。何だこれ?

 

 

 

 

煉獄

「わかった。歌でも何でも歌ってくれ!!」

 

 

手嶋

「開き直りやがった。」

 

 

セイラ

「いいんだな!」

 

 

煉獄

「構わん!!なる様になれだ!!」

 

 

 

 

ヤケ糞だなこの人。そんな彼にお構い無しにセイラはギターを響かせて歌い始めた。

 

 

 

 

セイラ

「さあ♪行こう光♪未来へほら♪夢を連れてえ♪」

 

 

煉獄

(なんだ!?魂が湧き上がってる!?)

 

 

 

セイラが最初のフレーズを歌い始めた時に、彼は何かを感じていた。そしてそのまま敵に突っ込んで行った。

 

 

 

セイラ

「ポケットに一つ勇気握りしめ走り始めたあの道♪白いシャツ♪風なびき♪飛べるよどこまでも♪」

 

 

煉獄

「炎の呼吸!肆ノ型!盛炎(せいえん)のうねり!!」

 

 

 

 

すると煉獄杏寿郎はセイラのリズムに合わせて魔獣に連続で攻撃を仕掛けた。

 

 

 

 

セイラ

「たまには泣き虫の雲♪太陽が笑い飛ばす♪仲間だって時には♪ライバル!真剣勝負よ♪」

 

 

煉獄

「壱ノ型!不知火!」

 

 

セイラ

「アイドル♪カツドウ♪GoGo let's go♪ゴールに向かって♪」

 

 

煉獄

(呼吸が。魂が。彼女の歌声に合わせて弾む!そして何より熱い!ならばこのまま心を燃やせ!!)

 

 

セイラ

「走り続ける♪」

 

 

煉獄

「真名解放!!炎の呼吸!玖ノ型!奥義!!」

 

 

セイラ

「君が見える♪ファイトくれる♪」

 

 

煉獄

煉獄(れんごく)!!」

 

 

大太刀

「ウガァァァァ!!」

 

 

 

 

彼の炎の一撃が魔獣に直撃し、そのまま炎のに包まれて倒れた。

 

 

 

 

セイラ

「やった・・・倒したぁ!!」

 

 

煉獄

「見事だったぞ君!!」

 

 

セイラ

「うわぁ!!」

 

 

 

 

煉獄が勢い良くセイラに迫って来た。なんか余程興奮していた。

 

 

 

 

煉獄

「まさか歌を聴いただけでいつもの倍の動きが良くなった!!魂が弾み、心が燃え上がった!!君は素晴らしいサーヴァントだ!!」

 

 

セイラ

「貴方のおかげだよ。やっぱり私には歌しかなかったけど、それが役に立つってわかったから!だからありがとう!!」

 

 

煉獄

「そうか!」

 

 

 

 

セイラと煉獄、そして手嶋さんの三人でようやく倒せたけどね。

 

 

 

 

セイラ

「そう言えば自己紹介がまだだった。私はキャスター、音城セイラです。」

 

 

煉獄

「何!?俺に真名を明かしてくれるのか!?」

 

 

セイラ

「うん!貴方は信頼できる人だってわかったから、名前を明かしても大丈夫だと思った。」

 

 

煉獄

「そうか。だがこちらとしてはまだ真名を明かす事は出来ず、引き続きの無礼をお詫びしたい。」

 

 

セイラ

「気にしなくていいよ。何か事情がある事はわかってるから。話したい時に話して。」

 

 

煉獄

「うむ!では近い内に真名を明かそう!約束だ!!」

 

 

セイラ

「ああ!」

 

 

 

だが勝利の余韻に浸るのはまだ早すぎた。

 

 

 

 

大太刀

「ウオぉぉぉぉ!!」

 

 

 

全身に炎を纏わせ、光になって消え掛かっても、魔獣は最後の力を振り絞り三人に襲いかかって来た。

 

 

 

 

セイラ

「嘘だろ!?」

 

 

手嶋

「まだ立ち上がるか!!」

 

 

煉獄

(いかん!俺もセイラも魔力を使い切った!癖毛の彼は体力の限界!!よもやよもやだ!!奥義を放ってもまだ立ち上がるかこの怪物は!?)

 

 

 

 

絶体絶命の事態に、塀の上を伝って走ってくる音が聞こえた。するとセイラ達の後ろから人影が飛び出し、魔獣に向かっていった。

 

 

 

 

今泉

「雨の呼吸、壱ノ型。車軸の雨。」

 

 

 

鋭い突きが魔獣の喉を貫いた。魔獣はそのまま倒れて光の粒子になって消えていった。その魔獣を斬ったのは貴族の人だった。黒い烏帽子に竜の模様が施された青い羽織を着ていて、右手に刀を持っていた長身の男性だった。何事もなかったようにセイラ達を振り向いたが、その目は鋭く真っ直ぐ前を見る様な感じだった。

 

 

 

 

煉獄

「青龍殿!!」

 

 

 

煉獄はどうやら彼を知っているみたいだった。

 

 

 

今泉

「炎柱か。」

 

 

煉獄

「助太刀感謝する!!」

 

 

今泉

「俺は俺の仕事をしたまでだ。だが剣士が油断をするのは愚の骨頂。士道不覚悟でこの場で死罪になっていたぞ。」

 

 

煉獄

「そ・・・それは失礼したぁ!!」

 

 

手嶋

「ハハハッ!!ならその場にいた俺も士道不覚悟で切腹か!久しぶりに聞いたなそのセリフ。」

 

 

今泉

「!?」

 

 

手嶋

「よう!元気にやってるようだな。今泉。」

 

 

今泉

「手嶋さん!?」

 

 

 

 

手嶋さんの知り合い?てかこの青龍って人何者なの?手嶋さんは今泉って呼んでたけど?

 

 

 

 

レベッカ

「セイラ!!無事!!」

 

 

セイラ

「レベッカ!マリアさん!それに白玄に七花も!!」

 

 

 

 

そのタイミングで私達も合流したのだ。もちろん、その時は何が何だかわからなかった。

 

 

 

 

マリア

「大丈夫だったの?」

 

 

セイラ

「うん!炎柱や手嶋さんが助けてくれたから!」

 

 

レベッカ

「ああぁぁぁぁ!!うどん屋の時の!!」

 

 

煉獄

「うむ!あのうどん屋にいた西洋人の娘か!!」

 

 

 

 

煉獄ともこの時再会した。

 

 

 

 

レベッカ

「貴方が家のキャスターを助けてくれたの!」

 

 

煉獄

「うむ!だが来た時には既に彼女が大半の敵を倒していたし、加勢した俺も危なかったが、彼女の歌のおかげで助けられた。」

 

 

マリア

「セイラが遡行軍を!?」

 

 

 

 

大手柄じゃん!

 

 

 

 

煉獄

「セイラは素晴らしいサーヴァントだ!この俺の魂を熱く燃え上がらせる歌は最高だったぞ!」

 

 

レベッカ

「そうかそうか・・・・・ん?何で家のキャスターの真名をアンタが知ってるの!?」

 

 

セイラ

「私が教えたんだ。信用できる人だと思ったから!」

 

 

 

 

いやだからって不用心過ぎでしょ。そんな時、手嶋さんはさっきの男性と話していた。

 

 

 

 

手嶋

「まさかお前が天皇直轄の東方の守護柱の青龍とはな。元()()()副長の地位なら天皇の護衛役も務まるか。」

 

 

今泉

「いつから京に。」

 

 

手嶋

「今朝着いたばかりだ。目処が立ってからお前に会うつもりだったが、こうも早いとは思わなかったよ。」

 

 

今泉

「そうでしたか。それで住む所は決まってますか。」

 

 

手嶋

「今は一文無しだ。住む場所を借りる金もない。」

 

 

今泉

「でしたら今日は俺の屋敷に泊まってください。積もる話もあるようなので。」

 

 

手嶋

「ならお言葉に甘えさせて貰おう。」

 

 

今泉

「それはそうとあの白髪の娘は知り合いですか。」

 

 

手嶋

「いや、セイラの知り合いだが・・・・何か凄え顔でこっち見てるな。」

 

 

 

 

白玄は二人を見るなり、顔を引き攣らせて驚いている様だった。てか彼の顔を見た私達の方が驚いている。

 

 

 

 

七花

「またか白玄。」

 

 

マリア

「ちょっとさっきから様子がおかしいわよ?」

 

 

レベッカ

「なんかあの癖毛の強い人見てからずっとこの調子なんだけど?」

 

 

セイラ

「手嶋さん達と知り合いか?」

 

 

とがめ

(今度は今泉(いまいずみ)俊輔(しゅんすけ)か!?何か今日は弱虫ペダルの人物を見るが気のせいか?)

 

 

 

 

するとさっき二人で話していた手嶋さんと青龍が私達の所に来た。どうやら白玄のリアクションが気になっていたようだ。

 

 

 

 

手嶋

「よう嬢ちゃん。俺達に何か用か。」

 

 

とがめ

「うむ。お主等が私の知る人物達に似ておったが他人の空似だったようだ。」

 

 

 

 

白玄の知ってる人のそっくりさん?まあよくわからないけど、家のセイラがお世話になったみたいだしお礼は言っとかないとね。

 

 

 

 

レベッカ

「あの!家のセイラがお世話になりました!」

 

 

手嶋

「何、大した事はしていない。」

 

 

 

 

手嶋さんはそう言ってくれたが、青龍の方は私の事を何も言わずに見ていた。

 

 

 

 

レベッカ

「えーっと・・・私の顔に何か?」

 

 

今泉

「西洋の娘よ。この京に何をもたらす。」

 

 

レベッカ

「はい?」

 

 

今泉

「災いをもたらす者か、災いを祓う者か。何にせよ我等で見極めさせてもらう。この京の都で平和に勤めを果たしたければ、不穏な行動は慎め。虎に咬み殺されたくなければな。」

 

 

 

 

何を言ってるのかさっぱりわからなかった。ただ忠告みたいにも聞こえた。要は敵になりたくなかったら怪しい行動はするなと言う事だ。何で京都が西洋人をそこまで目の敵にしているのか理由はわからないけど何かあったに違いない。

 

 

 

 

手嶋

「じゃあ俺はここで。鏡歌と雀にもよろしく伝えといてくれ。」

 

 

セイラ

「よかったですね。お知り合いと再会出来て。」

 

 

手嶋

「まあな。こっちも世話になった。生活が落ち着いたらそっちにも顔を出す。」

 

 

セイラ

「わかった。」

 

 

 

手嶋さん達とはここで別れた。あの青龍って人と関わらない方がいいと予見していたが、まさか西洋人との拗れが、私の波瀾万丈の前触れとは誰もその時は思わなかっただろう。

 

 

 

 

煉獄

「では俺も皇居に戻るとしよう。」

 

 

レベッカ

「もう行くの。」

 

 

煉獄

「高倉殿を待たせている。そろそろ戻ろないと、俺が怒られてしまうのでな。」

 

 

レベッカ

「わかった。いろいろありがとう。」

 

 

セイラ

「またね!炎柱!」

 

 

煉獄

「うむ!ではまた会おう!!」

 

 

 

 

そして煉獄も行ってしまった。セイラを助けてくれた事は本当に感謝している。「ありがとう」と心の中でお礼を言っていた。彼の背中を見送った後、白玄がそのあたりをしゃがんでいた。ちょうどさっきの魔獣が倒れたあたりだった。彼はさっきのふざけた感じと違って真剣に何かを見ていた。

 

 

 

 

レベッカ

「白玄?」

 

 

 

思わず白玄に声を掛けてしまった。だけど彼はそれに応える様に振り向いたが、何故かセイラに質問を問いかけたのだ。

 

 

 

 

とがめ

「セイラよ。この魔獣と戦った時の事を詳細に述べよ。」

 

 

 

 

何故白玄がそんな事を聞くのかわからなかったけど、セイラは彼に魔獣と戦った時の事を詳しく教えた。それを聞いた白玄から出た答えは予想外と言っていいものだった。

 

 

 

 

とがめ

「やはりセイラも煉獄も宝具を発動していたか。」

 

 

セイラ

「それがどうかしたの?」

 

 

とがめ

「この魔獣、大太刀は攻撃範囲が広く、その威力も高い。言わばパワータイプの魔獣だ。厄介と言えば厄介だが、二人共宝具を使う必要は無かった。それどころかセイラ一人でも倒せる相手だったんだ。」

 

 

 

 

そうなの!?なら何で二人は苦戦したの!?意味わからない!!

 

 

 

セイラ

「でも魔獣は私の攻撃なんか効いてもいなかったぞ!」

 

 

とがめ

「だからおかしいと言っておるのだ。本来ならセイラ一人で倒せた大太刀は、あろう事かセイラが宝具を発動して煉獄を強化し、その煉獄ですら宝具を発動させ大太刀を斬ったが倒れなかった。つまり大太刀も何者かによって強化されていたと言う事になる。」

 

 

 

 

誰かがサポートにいたって事!?でも誰が何の為にそんな事を!?私は訳がわからなくなっていた。

 

 

 

 

とがめ

「大太刀の倒れた痕跡を調べたが、私の読みは当たっていたようだ。何者かによって強化された形跡があった。それがサーヴァントなのかはまだわからぬがな。」

 

 

 

 

もしサーヴァントだとしたら、聖杯戦争に参加しているサーヴァントの可能性もあるか。何にしても魔獣を使役してるなら厄介かも。

 

 

 

 

とがめ

「それとレベッカ。お主見たところ戦闘に関しては日が浅い様だが。」

 

 

レベッカ

「実は今回の京都が初任務で、サーヴァントを使用した戦いも今回が初めてなんだけど。」

 

 

とがめ

「通りでな。いい機会だから覚えておくが良い。戦いが終わってそれで終了とは限らぬ。実際に戦闘をしたサーヴァントからの報告から情報を聞き取り、その現場を良く調べる事だ。」

 

 

レベッカ

「魔獣相手にそこまでする必要あるの。」

 

 

とがめ

「出来なければ三流以下だ。それとお主はサーヴァントに頼り過ぎている。彼女等は道具では無いぞ。」

 

 

 

 

白玄の言葉に私は少し頭に来た。それに何でお説教されてるのかわからなかったからだ。

 

 

 

 

レベッカ

「そんな事無いよ!皆んな仲間だと思ってるし、ちゃんと指示だって出してる!!」

 

 

とがめ

「では問おう。お主この京都に来てから何をした。」

 

 

 

 

突然にそんな事を聞かれた。確か最初の遡行軍の戦いの後資金稼ぎをして・・・・。

 

 

 

 

とがめ

「聞けばお主、戦闘終了後に都民から資金を調達したそうだな。安否の確認もせずにか。」

 

 

 

 

ギクッ!それは姐さん達に叱られました。

 

 

 

 

とがめ

「まあそれは私も大目に見るとしよう。だが気になったのはその後のお主の行動だ。」

 

 

レベッカ

「私の?」

 

 

とがめ

「この三日間、皆情報収集に専念しておった。だがお主はなんだ?所々土産屋に立ち寄ったり、芸者の武芸を見たり、腹が減ったら茶屋に立ち寄ったりとその繰り返し。それであろう事か何の情報も得られませんでした?お主は観光にでも来ておるのか。」

 

 

レベッカ

「そんな事無い!!私は私なりに頑張ってる!!」

 

 

とがめ

「口では何とでも言える。先ずは行動で示せ。出なければ話にもならん。」

 

 

 

 

わからない・・・・・わからないよ!!お店や芸者に立ち寄ってたのはバーサーカーやセイバーに関する情報を聞いて回ってたから。それがダメってなに!?意味わかんないよ!!

 

 

 

とがめ

「次ふざけたマネをしたら容赦はしない。肝に銘じておけ。」

 

 

 

 

そこから私と白玄に蟠りが出来てしまった。彼から見たら、私の頑張りなんてただふざけている様にしか見えないようだ。でも私は、私なりに頑張ろうと心に誓った。口では言わなかったが、姐さんやセイラも私に「がんばれ!」って応援してくれるように二人は微笑んでくれた。だから私は明日も頑張る!!

 

 

その頃、京都である者たちが動きを見せていた。皇居の天皇を守る東西南北の守護柱が天皇の間に集まっていたのだ。そこに最後の一人、さっきセイラ達の危機に助けてくれた青龍が部屋に入室した。

 

 

 

 

不死川

「遅えぞ。何してやがった。」

 

 

今泉

「白虎か。お前が早く着いているとは珍しいな。」

 

 

不死川

「悪いか。こっちはテメーのツラを見るだけでも気分が悪い。」

 

 

今泉

「お前の悪質な人相ヅラよりかはマシだ。」

 

 

不死川

「何だとテメー!!」

 

 

 

白髪で顔に無数の傷がある男は何故か青龍に突っかかって来た。よっぽど仲が悪いのか、二人は睨み合いどころか火花が散っている様に見えた。

 

 

 

「ほらほら二人共!もう直ぐ帝がお見えになるわよ。戯れ合いはそこまでにして。」

 

 

不死川、今泉

「誰がこんな奴と!!」

 

 

「息ピッタリじゃない。」

 

 

 

紅髪で炎のような柄をした着物を着た女性が二人のケンカを止めた。

 

 

 

鏡夜

「ハハハ。相変わらず賑やかだね。」

 

 

 

金髪で紫色の着物を着た男性は笑いながら二人のやり取りを見ていた。そんな和む空気に一気に緊張感が走った。

 

 

 

 

御付き役

「帝のおなーりー。」

 

 

 

天皇のご登場に、さっきまで騒いでいた守護柱達が一斉に頭を下げて平伏した。姿を表した天皇は色白の肌に黒の衣装を見に纏い、まるで神様のような神々しさを持っていた。入って来た天皇は皆んなの前に座ったが、四人は頭を上げなかった。

 

 

 

耀輝

「青龍、今泉(いまいずみ)竜星(りゅうせい)。朱雀、櫻田(さくらだ)(あかり)。白虎、不死川(しなずがわ)虎之助(とらのすけ)。玄武、九条(くじょう)鏡夜(きょうや)。皆、面を上げて楽にしなさい。」

 

 

今泉、灯、不死川、鏡夜

「無礼をお詫びします。」

 

 

 

 

そう言われると四人は一斉に頭を上げた。その光景を見た天皇の顔は微笑ましかった。

 

 

 

 

 

耀輝

「皆、息災で何よりだ。」

 

 

不死川

「陛下も変わらぬ無病息災、喜ばしい限りでございます。」

 

 

耀輝

「うむ。では報告を聞かせてもらおうか。これまでの京はどんな様子だったかな。」

 

 

 

 

彼等は京の出来事を話ていたが、やはり話題に上がったのが彼等が鬼と呼ぶ時間遡行軍の事だった。もちろんその中には私達の事も含まれていた。

 

 

 

耀輝

「鬼を狩る西洋人達か。実に面白い。」

 

 

鏡夜

「都では『ティファニー一座』と呼ばれる者達が舞を披露しながら鬼を退治したとかと言う噂があります。少なくとも敵対関係にはあると考えても宜しいでしょう。」

 

 

耀輝

「なるほど。舞を披露しながら鬼を倒すか。中々面白い。だがこちらの味方とは限らないとも言い切れないか。」

 

 

 

 

その時、青龍が今日は私達に会ったことを話し始めた。

 

 

 

 

今泉

「その件で思い当たる節がございます。今日その娘らしき西洋人に会いました。」

 

 

耀輝

「ほう?それはまた吉報な。してその娘はどのような者であった。」

 

 

今泉

「西洋人でありながら日本語は巧みであれど、経験や知識の不足か策士を企てる頭は持ち合わせていない様子。なので忠告のみで幕を引きました。」

 

 

耀輝

「つまり害はないと見るべきだな。青龍。」

 

 

今泉

「ハッ。」

 

 

 

まあいろいろ言い分はあるようだが、青龍は私の事をちゃんと見てくれていたようだ。そして、先程の派手な着物の女性、朱雀がお淑やかに手を上げていた。

 

 

 

 

「失礼ながらその娘は活気があふれてなかったかしら。」

 

 

今泉

「確かにその様な感じでもあったが、お前も会ったのか。」

 

 

「ええ。私の舞を見に来てくれたわ。ただ終わった後に人を探していると尋ねられました。」

 

 

耀輝

「人を?」

 

 

「はい。何でも仮面を付けた西洋の女性を探していると。とても元気でかわいい娘でしたよ。」

 

 

耀輝

「なるほど。害はなかれど奇妙な娘であるな。」

 

 

 

 

そう。私は今日、朱雀さんに会っていたのだ。さっき白玄に舞を見て楽しんでたとは言われたけど、少しでもセイバーの情報を得る為に動いていたのだ。朱雀さんは優しくて親切で私は好きだったな。

 

 

 

 

不死川

「つまりお前等は鬼畜米兵を見逃したと言う事か。」

 

 

耀輝

「不死川。」

 

 

不死川

「御言葉ですが陛下!鬼畜米兵は生きて帰してはなりませぬ!今直ぐにでも討伐のご許可を!!」

 

 

耀輝

「落ち着きなさい。」

 

 

不死川

「お忘れですか!!奴等が日本にどれだけの仕打ちをしたか!我等がどれだけの屈辱を受けたか!それをお認めになると言うのですか!!」

 

 

 

 

この白虎はやたらとアメリカ人を嫌っていた。虎次郎の言ってた太平洋戦争の話と何か関係があるのかな。

 

 

 

 

耀輝

「玄武。其方はどう思う。」

 

 

鏡夜

「白虎と同意見ですが理由が異なります。その娘がこの都で何を企んでるか検討も尽きません。ここは青龍、朱雀と白虎の両者の意見も取り入れ、監視と言う形で動きを探っては如何でしょうか。」

 

 

不死川

「いいや討伐だ!!鬼畜米兵は一人残さず殲滅する!!」

 

 

鏡夜

「もしその娘を殺せばアメリカに大義名分を与えてしまい、植民地化の条件を再び日本に叩きつけて来る。5年前に鬼舞辻大統領がそれを阻止した苦労を忘れた訳ではあるまい。」

 

 

不死川

「だが勝手に戦争を始めたのは帝都の連中だ!!他国の藩主に断りなく、あろう事か帝の許可も無い何処ろか、名を勝手に語り大盤振る舞い!それで帝は責を負う事態にまで発展したんだぞ!!」

 

 

鏡夜

「だがそれを治めになったのも鬼舞辻大統領だ。それに私は昔話をこれ以上掘り返すつもりは無い。お前は自分の身勝手な都合でこの国の民を危険に晒したいのか。もしそうなれば、今度は太平洋戦争の時より過酷なものとなる。アメリカが日本人を奴隷として扱う残酷な生活を強いられる事もある。帝の顔に泥を塗るだけじゃ済まされないぞ。」

 

 

 

 

なんか、戦後の日本もこんな感じだったのかな。戦争が終わって5年経った今でも両国の関係がここまで酷いとは思わなかった。

 

 

 

 

耀輝

「うん。皆の意見を聞いて、良い案が思い浮かんだよ。四人とも納得する名案だ。」

 

 

今泉

「それはどの様な。」

 

 

耀輝

「その西洋人の娘を監視し、大義名分となる証拠を押さえて連行しなさい。取り調べを行い是が非かを私が裁定する。それで皆納得してくれるかな。」

 

 

 

 

優しそうな見た目でとんでもない事を考えるなこの人は。そして誰もが賛成するかの様に頭を下げた。

 

 

 

 

鏡夜

「三人の意見を取り入れた素晴らしき案だと思います。」

 

 

「私も。それで事態が丸く収まるなら賛成します。」

 

 

耀輝

「白虎はどうだい。」

 

 

不死川

「異論はございません!!この白虎!必ずや鬼畜米兵の悪行を暴いてご覧に入れましょう!!」

 

 

耀輝

「元気があって何よりだ。」

 

 

 

 

だが青龍だけは天皇の案にもう一つ付け加えたい事があった。

 

 

 

耀輝

「青龍はどうだ。」

 

 

今泉

「恐れ入りますが、その妙案に一つ入れていただきたい項目があります。」

 

 

耀輝

「なんだい。」

 

 

今泉

「客将で迎え入れている炎柱も加えていただきたい。」

 

 

 

 

それを聞いた守護柱達は一斉に驚いて青龍の方を振り向いた。どうやら煉獄は皇居で客将として迎え入れてるみたいで、その信頼も厚いらしい。そんな彼が私と関わりを持ってると知ったら皆んな驚くのは当然なのだ。

 

 

 

 

耀輝

「どう言う事かな青龍。皆に説明しなさい。」

 

 

今泉

「その西洋の娘と会った際、炎柱も同席していました。ですが彼女と深い関わりは無い様に見えましたが、奴も警戒した方が良さそうでしょう。」

 

 

耀輝

「そうか。皆はどう思う。」

 

 

「正直、炎柱さんは無関係の様な気もします。本名を隠して二つ名だけ名乗っているのは気になりますが、それ以外は隠し事が出来ない人に見えますが?」

 

 

不死川

「朱雀の言う通り奴は策士が出来るような頭はしていない。はっきり言って真っ直ぐ過ぎる馬鹿だな。」

 

 

鏡夜

「確かに彼は根っからの武人だ。ですが何か目的があって動いてるはず。青龍の言う通り、炎柱も警戒対象に加えるべきだと思います。」

 

 

耀輝

「では炎柱は引き続き高倉に監視を任せ、皆は西洋人の娘の動きを見張りなさい。ただし彼女に気付かれぬ様。」

 

 

 

 

そして後に、私は白虎にボコボコにされて捕まったのだった。最初は京の人達まで聖杯戦争に巻き込んでしまったかと思ったが、事態は思わぬ方向で変化したのを私達も彼等も知らないまま、そして気付かないまま動き出していた。

会議が終わり、青龍はそのまま自分の屋敷に戻り手嶋さんと飲み交わしながら会議の内容を伝えた。

 

 

 

 

手嶋

「なるほどな。セイラの知り合いの西洋人がそんな事に。てかいいのか!?そんな大事な話し俺にして!」

 

 

今泉

「構いません。それに今あの娘を守れるのは手嶋さんだけです。この事を彼女に伝えて下さい。」

 

 

手嶋

「えらく信用してるな。今日会ったばかりの小娘に。」

 

 

今泉

「素性が不明な以上下手に動くわけにも行かないので。」

 

 

手嶋

「そうか。わかった。次会った時に伝えよう。住まいが今日中に見つかってよかったぜ。」

 

 

 

 

その翌日、私は手嶋さんから皇居での話を聞かされた。二人共私に危険が及ばない様動いてくれていたからだ。

 

 

 

手嶋

「今泉。お前に渡すものがある。伝えなきゃいけない事も。」

 

 

 

 

手嶋さんは青龍に4通の封筒を手渡した。内2通は『死亡通知書』と後の2通は手紙だった。だが青龍はその2通の通知書にそれぞれ書かれていた名前に動揺していた。

 

 

 

 

今泉

「手嶋さん・・・・これ。」

 

 

手嶋

「帝都を出る前に渡された。二人共親が空襲で亡くなっていたから行き宛もなく俺の所に来たんだろう。」

 

 

今泉

「そうじゃない!!なんで()()()()()が戦死者扱いになっている!!まさか戦争に駆り出されたのか!!」

 

 

 

 

さっきまで冷静だった青龍が混乱しているのか声を荒げていた。

 

 

 

 

手嶋

「戦争が始まって2年後だったか、二人の所に赤紙が届いたらしい。そしたら二人揃って俺の所に来てよ、あの二人なんて言ったと思う。「この鳴子(なるこ)章司(しょうじ)の嵐の様な剣捌き、アメリカの連中に目にもの見せたるわい!!」だ、「支える主人は変わったけど、また新撰組としてお国を守ることが出来て僕は嬉しいです!」だの、別れ際にそんな事言ってたんだぜ。止めたかったけど出来なかった。覚悟してたんだよ。新撰組最後の大戦(おおいくさ)で死ぬってな。」

 

 

今泉

「何が大戦だ。俺が京都で天皇陛下に守護柱として迎えられ、呑気に暮らしている間こいつら必死で戦ってたってのに・・・・俺はぁ!!」

 

 

手嶋

「小野田が最後に書いた手紙だ。なんかおかしな事が書いてあったんだ。」

 

 

今泉

「おかしな事。」

 

 

手嶋

「アイツ、仮眠を取ってる間に夢を見たらしい。そしたら、今帝都で流行っている自転車。あれで俺達新撰組が競争するらしい。」

 

 

今泉

「何ですかそれ。」

 

 

 

 

この小野田って人の話私も聞いたけどよくわからなかった。その夜、手嶋さんが部屋に戻った後、青龍は縁側で亡くなった友人の手紙を見ていた。

 

 

 

 

今泉

「俺達新撰組が上総国で自転車か。これから死ぬって時になんて夢見てんだ。アイツは。」

 

 

 

 

その背中には今日会った頃とはまるで違い、気迫も感じられない寂しそうな背中だった。今宵の夜は私も青龍も沈んだ気持ちで一日を過ごした。そして私達アースはこの天皇の事件に巻き込まれていくのであった。

 

 

 

 

 

 

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