あれからしばらく斜面を下って下山している最中、あいねが空を見上げて妙な物を見つけた。
あいね
「ねえ、あれ花かな?」
みお
「雲か何かの間違いじゃないの?」
あいね
「ううん。あれ花だよ。」
あいねが指差す方を見てみると、確かに蕾のままとなった花らしき物が三つ空に浮かんでいた。だがその時だった。
ロマニ
[気をつけろ!!そいつら魔獣だ!!]
ドクターの叫び声と共に、蕾となっていた花は開花し、中から無数の人らしき姿が出てきた。だけど姿がまるで仏像の様だった。
剣城
「仏様?」
殤
「なんだ、もう迎えが来ちまったのか。」
杉元
「上等だ。俺は不死身だ。」
すると仏達は一斉に矢を構えてこちらに撃ってきた。無数の矢が一斉に飛び交う。
剣城
「ドクター!!あの仏様みたいな魔獣は何なの!?冬木で見たのと全然違うんだけど!!」
ドクター
[あれは『
剣城
「でも生きた宝石なんて何処にもいないのに!」
すると気付いた時には月人の攻撃は俺とセルベリア、殤さん、杉元さんのところに攻撃して来なくなった。
剣城
「一体どうして・・・・・ッ!?」
気になってゆめ達の方を見たら、彼女達の所に月人の攻撃は集中していた。皆んな自分達のオーラを集中させて守りに入ってる。でもなんで・・・・まさか!?
剣城
「彼女達の礼装か!!」
殤
「リリィ達が着ているあの派手な衣装か?」
剣城
「あの礼装には装飾品になる宝石が付けられている!!月人達の狙いはその宝石だ!!」
セルベリア
「なら急いで対処しましょう。ルーラー達が危険です。」
杉元
「けど空の敵にどう立ち向かうんだ!俺達の銃じゃ届かねえぞ!!」
セルベリア
「こうする!!」
杉元
「え?」
セルベリアはいきなり杉元さんの胸ぐらを掴んだ。
セルベリア
「行ってこい!!」
杉元
「あぁぁぁぁぁ!!」
そしてそのまま月人のいる空目掛けて思いっきり投げ飛ばし、杉元さんは絶叫しながら飛んでいった。
セルベリア
「直接奴等の移動兵器に乗り込む!」
殤
「その方が手っ取り早い!」
セルベリア
「そっちは頼むぞ!!」
殤
「任せな!」
セルベリア
「マスターはこちらで待機をお願いします!」
剣城
「わかった!二人共気をつけて!」
杉元さんを花の方に投げ飛ばした後も、二人もそれに続いて勢いよくそれぞれの花の方に向かって飛んだ。俺はもう一度ゆめ達の様子を見た。良かった、皆んな頑張って防いでくれてる。その時偶々リリィがこっちを見て睨み付けている様に見えた。まだ俺の事を信用してないのかそう感じ取れた。
杉元
「いたッ!!」
その頃杉元さんは敵陣のど真中まで飛ばされて尻餅を着いて着地した。それを見た月人達は一斉に矢を構え始めた。
杉元
「殺れるものなら殺ってみろ。俺は『不死身の杉元』だぁ!!」
杉元さんは立ち上がって叫びながら敵陣に突っ込んでいったが、月人の放つ無数の矢が彼に襲い掛かる。だが杉元さんは怯まず果敢に立ち向かって行った。後から飛び乗ったセルベリアと殤さんも戦闘を開始した。
セルベリア
「かかって来い!!狩人共!!」
殤
「悪いが仏だろうと慈悲をくれてやるつもりはねえ!あの世で念仏でも唱えてな!」
三人共魔獣を次から次へと倒していき、倒し終わった後は三つの花は砂の様に砕け散っていった。俺は急いでゆめ達の所に向かった。
剣城
「皆んな無事!」
だがその時だった。
バシッ!
いきなりリリィが俺にビンタをした。あの時睨んでいたのは全く違う理由だったみたいだ。
リリィ
「最低な人ですね!貴方は!」
ゆめ
「リリィ先輩!?いきなり何を!?」
リリィ
「最初から私達を囮に利用したのですね!彼等の狙いが私達だと言う事を知ってて!!」
俺は黙ったままで何も言い返そうとしなかった。彼女の心がそこまで傷ついていた事に気付いたからだ。そして原因は恐らくあのアーチャーだ。
リリィ
「三人共、直ぐに彼と契約を切って下さい!彼は信用できません!」
あいね
「いい加減にしてよリリィちゃん!!マスターはそんな人じゃないよ!!」
リリィ
「あいねさんはここに来る前彼と会ったばかりと話していたではありませんか!!根拠も無いのにどうやって彼を信じられると!!」
剣城
「そこまでだ二人共!!」
あいね
「なんでマスター!!」
剣城
「言った筈だ!これは俺自身で解決する問題だから口出しは要らないって!!」
あいね
「イヤだ!!マスターの言う事でも聞かないよ!!友達が困ってるのに見ているだけなんて出来ないよ!!」
剣城
「いい加減にしないと令呪を使って強制的にアースに帰還させるよ!それが嫌なら大人しくする事!!」
あいね
「・・・・わかった。」
あいねは不貞腐れながらも渋々返事はしたが治りはした。あいねの親切さには申し訳ないが、俺は真っ正面からリリィと向き合いたい。そうしなきゃ解決出来ないと思ったからだ。
剣城
「君がそう思ったのならそれでいい。これは戦争だ。全員が生き延びる為に最善の策を取った。だから俺は君に謝るつもりも無いし、許して貰おうとも思ってない。」
リリィ
「そうですか。なら三人との契約を切って下さい。貴方の身勝手にこれ以上彼女達を巻き込まないで!!」
剣城
「それは出来ない!俺は彼女達を・・・・・!?」
俺はリリィの正面と向き合う様な位置にいたからわかった。リリィを後ろから狙おうと生き残っていた月人が矢を構えていた。
剣城
「危ない!!」
月人から矢が放たれた瞬間、彼女を庇い俺の右肩にその矢が突き刺さった。衝撃が走る痛みに耐えながら俺は右肩を抑えていた。
ゆめ
「マスター!!」
みお
「マスターしっかりして!!」
あいね
「どうしよう!!マスターが!!」
ロマニ
[今剣城君の生体反応に異常を確認したけど何かあったの!!]
ゆめ
「マスターの体に矢が刺さって!!」
ロマニ
[負傷したのか!?直ぐに応急処置を!!」
ドクターもアースから通信で俺の状態を聞き出そうと必死だった。そして騒ぎを聞きつけてセルベリア達もこちらの異変に気付いた。
杉元
「くそ!まだいやがったのか!!」
殤
「お前は奴の始末を頼む!坊主は任せろ!!」
杉元
「わかった!!」
セルベリア
「マスター!!」
杉元さんはすぐに月人を倒しに行き、セルベリアと殤さんは俺達の所に来てくれた。
セルベリア
「一体何があった!!」
みお
「マスターがリリィちゃんを庇って怪我を!!」
セルベリア
「急いで応急処置だ!」
セルベリアは俺の体に刺さっている矢を抜いた。俺の体から血がどんどん溢れ出ていて、彼女が止血しようと俺の服を脱がそうとしていた。
殤
「待て待て!!こんな所で服なんか脱すな!!凍傷になるぞ!!」
後から来た殤さんが、俺の傷の具合を見ようと近寄って、背中の傷口の方に手を当てた。
殤
「ふんっ!!」
殤さんの手から魔力の衝撃波のようなものを感じた。すると痛みはみるみる治まっていった。
殤
「これで一安心だ。」
あいね
「マスターは大丈夫なの!!」
殤
「致命傷では無いがこいつは重症だ。一様出血だけでも止めといた。」
そうあいねに説明しながら、殤さんは布を取り出して、傷口に巻いて応急処置をしてくれた。
ゆめ
「ありがとうございます。マスターを助けてくれて。」
殤
「気にするな。あんた等にとっちゃ大切な人なんだろ?ここで死んじまったら後味悪いからな。」
ロマニ
[それでも助かったよ。君達の助力に感謝する。]
殤
「それはお互い様だ。家のキャスターも助けられたしな。」
俺の処置が終わった後に、さっきの月人を倒しに行った杉元さんが戻ってきた。
杉元
「黒河は無事か!!」
殤
「安心しろ。お前さんが仏の化け物を仕留めてくれたお陰で処置が捗ったぞ。」
殤さんのおかげで大分楽になった。これならもう一人で歩け・・・・!?
殤
「おっと!だからまだ無茶するな!」
剣城
「すみません。」
佐一
「おぶってやるから乗れって。」
剣城
「ありがとうございます。」
遠慮無く杉元さんの背中に乗せてもらい、俺達は再び歩き出そうとしていた。リリィは黙ったまま何も言わなかった。俺の行動に衝撃を受けたんだと思う。
リリィ
「どうして・・・・。」
殤
「お前さんがどう思おうが勝手だが、坊主には礼を言っとけよ。少なくとも体張ってお前さんを守ったんだ。それが出来ねえあんたじゃねえだろ。」
リリィ
「わかりません。何も・・・・わからない。」
彼女は自分の心に迷ながらも歩き出した。ゆめやあいね達とも喋らなくなり、再び沈黙が続いた。
辺りは暗くなり始め、野宿できる所がないか探していた。すると
セルベリア
「今夜はここに泊まろう。」
杉元
「そうだな。黒河も治療しなきゃいけないし外も暗いしな。」
セルベリア
「マスターの治療は私が引き受ける。二人は薪を集めて火を起こしてくれ。幸いにもここには暖炉がある。」
杉元
「わかった。」
あいね
「じゃあ、私達は木の実取ってくる!」
殤
「お前さんそれ本気で言ってるのか?」
あいね
「え?」
みお
「森や林どころか木一本も無いのにどうやって木の実を見つけるの?」
あいね
「そうだった。」
皆んな何かしようと一生懸命だった。あいね達は食料探しを断念して小屋の掃除を始めて、殤さんと杉元さんは薪を割って火を起こしてくれた。俺はセルベリアの治療のお陰で肩の痛みが大分引いてきた。
剣城
「ありがとうセルベリア。大分痛みが引いたよ。」
セルベリア
「怪我は大事には至りませんでしたが、重症なのは変わりありません。あまり無理をしないよう。」
セルベリアの忠告は有り難いけど、まだアーチャーの件も解決していないし、それに七騎の大罪も動きを見せぬまま未だ健在だ。多分、また無茶すると思う。
杉元
「やっと腰を落ち着かせられるよ。」
すると火を起こしてくれた杉元さんと殤さんが、辺りを巡回して帰ってきた。
ゆめ
「殤さん。リリィ先輩は?」
殤
「リリィなら少し夜風に当たってくるだとよ。」
ゆめ
「そう・・・・ですか。」
リリィに思う所があったのか、ゆめの表情は険しくなっていた。それはピュアパレットも一緒で、何か納得していない感じだった。
ゆめ
「リリィ先輩。どうしちゃったんだろ。前はあんな風じゃなかったのに。」
殤
「やっぱりそう思うか。」
ゆめが思わず心に思ってた事を口にした時、殤さんが全てを語ろうとしていた。
ゆめ
「やっぱり?」
セルベリア
「どう言う事だ?」
殤
「ルーラーが思ってる通り、リリィは最初はあそこまで人を疑う奴じゃ無かったんだ。あんな風になっちまったのはアーチャーが原因だろうな。」
殤さんの話では、最初はリリィはアーチャーと同盟を組んでいて、それまでは仲のよさそうにしていたイゼッタと敵対していたらしい。更にそこに殤さんと杉元さんも参戦して苦戦を強いられていたリリィとアーチャーにランサーとアサシンが助っ人で参戦した。
それから聖杯戦争は同盟同士で膠着状態が続いたころ、リリィとアーチャーが仲違いをしている事を耳にした殤さん達は、襲撃を結構したが既にランサーとアサシンはアーチャーの手によって敗退した。それを見たリリィはアーチャーに激怒し対立した。そして今のような状態になっていると言う。
みお
「そんな事があったなんて。」
あいね
「でも悪いのはアーチャーなんでしょ!リリィちゃんや他のサーヴァントを騙して聖杯を奪い取ったんだから!そんな事許しちゃダメだよ!」
殤
「おっと!嬢ちゃん何か勘違いしているみたいだが、これは聖杯戦争だ。参加している全クラスのサーヴァントは敵同士なんだぜ。裏切りや詐欺も立派な戦略の一つだ。」
あいね
「でも卑怯な事して勝手、それで願いを叶えても嬉しくないと思う!」
殤
「まあ後味は悪いが、参加している英霊達は皆自分の願いを叶えるのになりふり構わずだ。俺も佐一もリリィも皆んな覚悟の上で参加したんだ。何をされても悔いはない。」
みお
「じゃあ殤さん達はどうして同盟なんか組んでいるんですか?」
殤
「そりゃアーチャーを倒す為だ。」
みお
「アーチャーを倒すのにそんなに人数が入りますか?それじゃあまるでいじめじゃないですか!」
セルベリア
「それは違うぞ。」
みお
「え?」
セルベリア
「複数のサーヴァントで無ければ勝てぬ相手だからだ。私も最初は複数で囲まれているアーチャーに何故余裕があったのか疑問に思っていたが、彼女と戦ってようやくわかった。あれは並大抵で勝てるような相手ではない。」
殤
「やはりあんたも勘付いていたか。あれがただの子供じゃなくて化物だってくらいは。」
セルベリア
「奴の中にある狂気みたいな物を感じた。まるで『幼女の皮を被った悪魔』と言った所だろうな。」
杉元
「そんな生優しいもんならいいが。」
セルベリア
「何?」
杉元
「アイツは俺に似ている。」
殤
「似ている?」
杉元
「戦場で絶対生き残る為の術を知っている。歯向かって来る奴には容赦なく徹底的に殺す事を覚えている。あれはそう言う戦い方が出来る軍人だ。本気で殺す気で行かないとこっちが殺られる。」
殤さんの言う通り、皆んな自分の願いがあるから聖杯戦争に参加しているんだ。甘い事を言っている場合じゃないんだ。それに杉元さんがそこまで言うならアーチャーはただ者じゃ無いって事はわかった。
杉元
「なあ黒河。お前俺達を生み出した世界から来た人間?要は神様の世界から来たんだよな?」
剣城
「神様の世界は大袈裟過ぎますけど?まあそんな感じです。」
杉元
「ルーラーから全部話は聞いた。マスターの事もそのマスターがお前だって事も、聖杯を回収しに来た事も、この聖杯戦争を仕切っている七騎の大罪の事もな。」
何故リリィや殤さん、杉元さんが俺達の事情に詳しいかと言うと、俺が洞窟の外でドクターに報告している間に、ゆめが三人に俺の存在やアースの事に関して全て説明してくれていた。だからさっきから皆んな知っているような雰囲気なのだ。
でもなんで杉元さんそんな話を俺に聞いてきたんだろ?
杉元
「なあ教えてくれ・・・・なんでのっぺら坊の正体がアシリパさんの父親なんだ!!なんで金塊なんか隠したんだ!!あんなもんが無けりゃアシリパさんが狙われる事なんて無かったんだぞ!!」
杉元さんは俺の胸ぐらを掴みながら必死に訴えてきた。自分達の努力と苦労と不幸を散々見せ物にされて来た事実を知れば、誰だって怒るに決まってる。その気持ちを考えると、俺は反抗すら出来なかった。
杉元
「お前等そうやって俺達が痛い目会っている所を鼻で笑って観てたんだろ!!殤さんとリリィさん、そんでお前を慕ってくれてる奴等を
杉元さん?狂化してるのか段々主張がエスカレートしてないか?流石に傷ついてきたけど。
杉元
「答えろクソガキぃ!!」
殤
「もうよせ!佐一!」
杉元
「ハッ!?」
殤さんが杉元さんの肩を掴んで止めてくれた。杉元さんは我に帰った様に辺りを見渡して自分の手元を見た。
殤
「忘れたか!?坊主の時代には俺達を生み出した人間はとっくの昔に死んでるって!」
杉元
「悪い。自分の居た世界の事を思い出してたらつい。」
杉元さんはゆっくりと手を離して落ち着きを取り戻したかの様に大人しくなった。ゆめにピュアパレットにセルベリアも、ホッとした様子で警戒を解いた。その時、殤さんも煮えたぎらない気持ちで語り出した。
殤
「だが正直俺も納得が行かねえ。神様にとっちゃ面白ければ、他人の世界が滅びようがそれでいいって言う考え方しか出来ねえ連中なんだろ?でなきゃ魔剣なんて物騒な代物作らねえし、それを狙う刺客なんて者がいるんだ。狂ってるにも程がある。」
皆んな、ゆめの話を聞いていろいろ納得いかないんだろうな。多分リリィも、そしてあのアーチャーも、俺達の身勝手で不幸な人生を歩んできてるんだ。そんな彼等に俺が出来る事はわからないけど、悩んでいても仕方ない。ただ今やるべき事はリリィと和解する事だけだ。
剣城
「ちょっと外に出てくる。」
セルベリア
「マスター、お身体に触ります。もうお休みになられては。」
剣城
「大丈夫。セルベリアの治療のお陰で少し動けそうだよ。それに、いい加減リリィと仲直りしないと、あいねがまたグズっちゃうからね。」
あいね
「私!赤ちゃんじゃないよ!!」
俺の冗談でさっきまで重たかった空気が一気に明るくなった。安心した俺は直ぐに外に出てリリィを探した。夜空を見上げると無数の星々の明かりがいつにも増して輝いていた。リリィを探すどころか星を見るのに夢中になっていた。こんな空ロンドンじゃ見れないだろうな。辺りを見渡すとリリィは直ぐに見つかった。俺と同じで星空を眺めていたけど、表情は何か思い詰めてたみたいだった。だがそんなの関係無く俺は彼女に近づいた。
剣城
「綺麗だね。」
星空を見ながら彼女に話しかけてみた。彼女はしばらく黙ったままだったが、整理がついたのかやっと俺に話しかけてくれた。
リリィ
「何故・・・・助けてくれたのですか?私は貴方に酷い事ばかりしていたのに。」
剣城
「君が俺に警戒心を抱いていたのは直ぐにわかったし、多分アーチャーの事があったから君の中でいろいろ混乱していたんだと思う。だから気にして無い。」
リリィ
「お優しい方なのですね。」
リリィは初めて俺に笑顔を見せてくれた。そして彼女は自分の心情を素直に俺に話してくれた。やっぱり一人で不安だったんだね。
リリィ
「私はアーチャーが怖かったのかもしれません。初めて会った時から、まだ小学生の年頃とは思えない恐怖感を感じました。それをわかっていながら彼女の暴挙を止める事が出来なかった。ランサーとアサシンを守れなかった自分が悔しかった。そんな時、ゆめさんやあいねさん、みおさんと再会して貴方の話を聞いて、貴方に不信感を抱いてしまった。」
剣城
「それで複雑な感情を抱いたままイライラして俺に八つ当たりしたと?」
リリィ
「はい。最低な事をしてしまったと思っています。今更貴方に許して貰うつもりはありません。」
剣城
「反省はしてるんだね。」
リリィ
「そのつもりです。」
剣城
「そうか。なら許す!」
リリィ
「え・・・・。」
リリィはキョトンとした顔で俺を見ていた。多分俺から返ってきた答えが予想と違っていたから驚いていると思う。
リリィ
「何故ですか。私は貴方に酷い事ばかり言って、更に叩いてしまったのですよ?愛想を尽かされたと思ってました。」
剣城
「ゆめやピュアパレットの二人もそうだったけど、君がおかしいのは俺にも直ぐにわかった。だってゆめから話を聞いた君は、もっと心が強いアイドルだって聞いたから。」
あの冬木の事件の後、ゆめから自分の世界の事を俺に聞かせてくれた。その話の中に、彼女の事も聞かされていたのだ。だから俺はリリィを信じる事が出来た。それを彼女に説明したら、納得した顔で笑っていた。
リリィ
「そうでしたか。だから無下にされても動じなかったのですね。それにゆめさんが貴方をお慕いする理由がわかりました。」
するとリリィからいきなりこんな事を言われた。
リリィ
「黒河剣城さん。差し支えなければ、私と契約して頂けないでしょうか。」
リリィが俺との契約を頼んで来たのだ。勿論仲間が増えるのは嬉しいけど、それをあっさり許してしまっていいのだろうか。俺達の戦いはこの先更なる危険を伴うだろう。そう簡単に決められる物じゃ無い。そう彼女に説明するとこんな答えが返ってきた。
リリィ
「プエルトリコの哲学者『E・マリア・ダ・オストス』はこう言いました。「生きるということは、アンデス山をよじ登るようなものである。つまり、登れば登るほど、断崖絶壁は一層険しくなるのである。」と。ですが人は一人では生きていけません。登るなら、仲間は多い方がいいのでは無いですか。私はそう思います。」
大昔の偉人の名言を例題にして返してきた。彼女のが言いたい事は、俺達と一緒に来ると言う事だ。
剣城
「俺の手を重ねて。」
俺もそれを理解した上で手を差し出した。それに答えた彼女も手を重ねてきた。
剣城
「キャスター『白銀リリィ』に告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に、聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うなら我に従え!"ツンドラの歌姫"よ!この命運、汝がこの剣を預けよう!」
リリィ
「汝の盟約に従い、我が身を"黒の陣営"に捧げましょう。キャスター白銀リリィ。この
俺とリリィの星空の下で行われた契約だった。そして、この後、俺達を待ち受けていたのは全ての元凶であるアーチャーが立ちはだかろうとしていた。
ターニャ
「予想外の増援で危うく凍え死ぬとこだったが、あの
だが彼女は俺達が思ってた以上に理解力が早いサーヴァントだった。
ターニャ
「そう言えば敵の増援の中に妙な奴が紛れていたな。何者かは知らぬが奴がサーヴァントで無いのは間違い無い。捕まえて尋問してみるか。」
彼女は俺達のすぐそこまで迫っていた。