杉元
「ねえ?あの二人一晩で何があったの?」
殤
「さあな。坊主が口説き落としたんじゃないか。」
夜が明けたので、俺達は山小屋を出て再び出発して下山を始めた。先頭でセルベリアが警戒しながら進み、その後で俺はゆめとリリィに体を抱えて貰いながら歩き、その後ろにはピュアパレット、更に後ろには殤さんと杉元さんが左右後ろを担当した陣形で進んでいる。
ゆめ
「マスター大丈夫?まだ小屋で休んで方が良かったんじゃ。」
剣城
「そうもいかないよ。ゆっくりしてたらアーチャーに見つかるかもしれないし、少しでも移動して時間を稼がないと。」
ゆめは心配してたけど、リリィは前より俺の言う事に納得してくれた。
リリィ
「私もマスターの意見に賛成です。あのままいるより何処かに移動した方がアーチャーに見つかり難いのは確かです。なるべく彼女に情報を与えてはなりません。」
ゆめ
「そうなんですか?」
リリィ
「彼女をただの小学生と侮ってはなりません。いつ何処から狙って来るかわかりませんから。」
もう小学生のやる事じゃないけどね。
ロマニ
[そのアーチャーの事なんだけど、リムルが心当たりがあるらしいと言うんだ。]
リムルに心当たり?それを聞いて彼女はリムルと同じ世界の住人かと思っていたが、思い掛けない答えが返ってきた。
リムル
[リリィの話を聞いてもしかしたらと思ったんだが、そいつ『異世界転生』してるんじゃないか?]
剣城
「異世界転生?」
リムル
[まあざっくり説明すると、現実世界で死んだ人間の魂が異世界で転生して召喚される事だ!]
剣城
「ごめん、現実離れしすぎてよくわからない!」
アルタイル
[では私が詳しく教えてやる。]
突如出て来たアルタイルが詳しく説明してくれた。どうやら大昔の2013年から2015年以降に、現実世界からの異世界召喚又は異世界転生物のファンタジー小説がブームだった時期があったらしく、数多くの作品が生み出されたらしい。ゴブリンスレイヤーもリムル・テンペストもその時期に生まれたらしが、アーチャーはその前から存在していたらしく、しかも異色の作品だったと言う話だ。
アルタイル
[因みに白銀リリィ殿。アーチャーは幼い少女の姿で軍服を着ていなかったか。]
リリィ
「確かにその様な風貌でした。私はてっきりコスプレなのかと思いましたが。」
アルタイル
[さらに髪は金色で瞳は青ではなかったか。]
リリィ
「はい。確かにそうです。ですが、何故貴方がアーチャーの特徴をそこまで知っているのですか?」
リリィの質問にアルタイルは黙って考えこんでいたそしてアルタイルの口から彼女の真名が明かされた。
アルタイル
[彼女の真名は『ターニャ・フォン・デグレチャフ』。30歳男性サラリーマンが幼女の姿で転生した人物だ。]
剣城
「え?彼女・・・・男なの!?」
アルタイル
[いや、体は女性体だが魂は生前の男性記憶を保有している。つまりリムル殿とはまた違ったタイプの
リムル
[
ここからリムルとアルタイルのケンカが始まった。
アルタイル
[何を言う。そんないかにも女性が近付きそうな姿をした三十代のオッサンの考える事など覗き見、痴漢、セクハラ目的でしか有り得ぬ話だ。]
リムル
[誰がお前みたいな
アルタイル
[貴様ぁぁぁ!!私の世界でもそれに触れる愚か者はいなかったぞ!!言ってはならぬ事を口走ったなぁ!!]
リムル
[悔しかったらその胸をデカくしてから出直して来い!!まあその様子じゃ
ロマニ
[頼むからモニター越しで喧嘩しないでくれ!!]
それにしても賑やかになったな。ドクターが一番苦労してる様な気がする。
ゆめ
「ねえ
リムル
[えっ!?いや・・・それは・・・。]
リムルの顔が段々と青ざめてっていった。今スライムモードだから分かりにくいけど、雰囲気で何となくわかる。
アルタイル
[どうやらスライム殿はアイカツ組は中学生にしてはその胸の大きさは如何な物かと言いたいらしい。]
リムル
[火に油をぶっかけるなぁ!!]
正にその通り、アルタイルの爆弾発言でゆめの堪忍袋の尾が切れた。
ゆめ
「二人共帰ったらお説教だからね!!」
アルタイル
[何故私まで!?]
ゆめ
「アルタイルさんが先にちょっかい出したからでしょ!!とにかく二人共覚悟しといてね!」
リリィ
「ではその時は私もご一緒させて貰います。」
リムル
[いや待て!!昨日契約したばかりのお前は関係無いだろ!!]
リリィ
「失礼しました。私ゆめさんとは同居で先輩後輩と言う関係の
リリィはリムル達を睨みながら勝手に通信を切ってしまった。何だろう、この後嫌な予感がする。
ゆめ
「ねえマスター。マスターは女の子を胸の大きさで判断する様な人じゃないよね。」
やっぱりゆめは笑顔で俺に振ってくると思った。俺も男だから胸は大きい方がいいんだけど。
みお
「大丈夫よ。マスターは女の子をそんな目で見る人じゃないわ。そうよねマスター。」
みお!?後からいきなり肩掴まれてびっくりしたけど、まさか今のやり取り全部聴いてたの!?しかも彼女も笑顔で逃げ道塞いできた!!
リリィ
「二人共マスターを疑い過ぎですよ。彼はとても紳士ですから、そんな破廉恥な事で女性を選んだりはしません。」
リリィ。君は俺の事をそこまで信じていたなんて。だけどごめん!!俺はやっぱり巨乳が好きなんだ!!
リリィ
「もしこれで胸が大きい女性が好きと言う答えが返って来たら、今頃この場で正座させて丸一日お説教をしているはずですから。」
笑顔でとんでもない事言って来た!!それ言ったら選択肢が一択しかないけど!?
ゆめ
「マスター。」
みお
「マスター。」
リリィ
「マスター。」
三人の顔が凄く近い。もう仕方ない。
剣城
「何言ってるんだ。そんなんで女性を決めるのは男として最低だ。それに今そんな余裕無いしね。」
ゆめ
「さすがマスター!やっぱりそうだよね!」
俺に・・・・・女性を選ぶ権利は無いのか。
杉元
「何!?あの修羅場!?なんか怖い!!」
殤
「マスターってのは大変そうだな。ん?」
後ろで殤さん達は俺達のやり取りを見ていたが、殤さんがアイネが元気がない事に気が付いた。
殤
「どうした嬢ちゃん。朝から元気無いが、何かあったのか?」
あいね
「ううん。何でもない。」
そう彼女は答えたが、やっぱり元気が無いのは俺も気付いていた。後で聞いてみるかな。
セルベリア
「マスター、居住地らしき物を見つけました。」
セルベリアが集落らしき物を見つけたらしい。早速俺達はその村に行ってみたが、建物に人が住んでいる気配や形跡も無い。どうやら廃村だった様だ。
杉元
「やっぱり誰もいないか。こりゃつい最近出て行った様子じゃ無さそうだな。このまま下山して集落を探した方がいいんじゃないか?」
確かにここにいたらアーチャーの格好のいい的になりかねない。なら移動した方がいいかもしれないな。この先は森林になってるし、アーチャーの目から逃れるにはいいかもしれない。
あいね
「そんなのダメだよ!!」
するとあいねが猛反発して来たが、それはあいねだけでは無かった。
杉元
「気持ちはわかるけど、アーチャーに見つかったらそれこそ終わりだ。今俺達が不利な状況なのは変わらないし、ここは動くべきだ。」
あいね
「マスターだって大怪我してるんだよ!!これ以上歩かせたら体に良く無いよ!!」
杉元
「けどよ。」
セルベリア
「杉元、マスターは我々と違って生身の人間だ。これ以上はマスターの体に負担を掛けられない。」
杉元
「かと言って食いもんも無いこんな所にいてもアーチャーに狙われるかもしれないし、黒河にはもう少し頑張って貰うしか無い。」
セルベリア
「無茶だ!マスターは昨日の夜から何も口にして無いんだぞ。これ以上体力が奪われるのは危険だ。」
皆んな俺の体の心配をしてるんだ。俺も杉元さんと同じで移動した方がいいと考えてる。なら俺が答えを出さないとな。
剣城
「わかった。次の村に行こう。」
ゆめ
「ダメだよ!マスター!!」
リリィ
「いけません!これ以上は貴方の体に触ります!!」
剣城
「でもここにいても。」
ゆめ、あいね、みお、リリィ
「絶対ダメ!!」
剣城
「わ・・・・かりました。無茶しません。」
四人に推されて自分の意見を伝える事が出来ませんでした。
殤
「ならこうしよう!坊主と嬢ちゃん達はここに残れ。俺と佐一で登山口まで食糧を取りに行く。それならお互い文句も。」
杉元
「待て!!」
あいね
「なに杉元さん!!まだ納得いかない事があるの!!」
杉元
「大声で怒鳴るな!!全員静かにしろ!!」
杉元さんが急に皆んなを黙らせて、一人で焦っていた。何がどうしたんだ?
杉元
「何か聞こえないか。」
皆んな耳を済ますと、何かの足音が俺達の方に段々近づいてくるのが聞こえた。だがすぐ近くまで来た瞬間音が急に止んだ。
セルベリア
「何だったんだ今の足音は?」
杉元
「さあ?どっか行ったのか?」
気のせいだったのかな?
殤
「油断するな!!上から来るぞ!!」
その瞬間、上から白い物体が落下して来た。その衝撃で舞い上がった雪は次第に落ちて行き、その白い物体が正体を現した。
ポチ
「ウォォォォン!!!」
銀色のような毛並みをした巨大な狼が現れて俺達に威嚇して来たのだ。
ポチ
「グゥルルル・・・・。」
だがその巨体は俺達の想像を遥かに上回っていた。
剣城
「狼!?」
杉元
「なんてデカさじゃねえ!!」
その狼は、俺達の身長を上回る巨体で推定3mはあった。
殤
「嬢ちゃん達は坊主を頼む!!」
ゆめ
「わかりました!!」
殤さんと杉元さん、セルベリアが前に、ゆめ、リリィ、ピュアパレットが俺を囲むようにして配置した。全員が警戒態勢を取っていた。
白玄
「ダイナミ〜ック♪エントリー!!」
ポチ
「キャワン!?」
え?
白玄
「よっと!」
いきなりチャイナ服を着た白髪の男性が、右から狼の頬に飛び蹴りした。巨体である狼が軽々飛ばされた。
白玄
「いや〜ごめんね。知り合いのワンちゃん何だけど警戒心が強くてブヘェッ!?」
カムイ
「ポチをいじめちゃダメぇ!!」
すると今度は民族衣装を着た小さな女の子が右から男性の頬に飛び蹴りした。男性は狼が横たわってる方にぶつかって止まった。
カムイ
「もう!世話が焼けるんだから!!」
殤
「いや、その狼に襲われそうになった所をそいつが助けてくれたんだが?」
でも彼女の服装は何処かで見たことある。
杉元
「その民族衣装・・・まさか『アイヌ』か。」
アイヌ?確か大昔北海道に住んでいた古代民族のあのアイヌか!?
カムイ
「おじちゃんアイヌの事知ってるの!!」
杉元
「まあな。」
それにしても何者なんだろ?杉元さんはアイヌの事を知ってるみたいだけど、この子とは初めて会うみたいだ。それにこんな廃村になった場所で何をしていたんだ。
カムイ
「私『カムイ』って言うの!それであっちで寝ているのは
剣城
「俺は黒河剣城。」
あいね
「私結城あいね!よろしくね!カムイちゃんはずっとここに住んでるの?」
カムイ
「うん!でも住み始めたのはつい最近だけどね。」
あいね
「じゃああっちの人はカムイちゃんのお兄さん?」
カムイ
「ううん、ただの居候。」
白玄
「失礼な!旅人と呼びたまえ!!」
カムイに蹴り飛ばされて伸びていた白いチャイナ服の男性が突然飛び上がった。
剣城
「助け頂いてありがとうございました。貴方は?」
白玄
「僕は『
本当に命拾いした。
白玄
「それはそうと、君達は何者なんだい?」
剣城
「俺は黒河剣城っていいます。」
ゆめ
「私はルーラーです。助けていただいてありがとうございました。」
白玄
「どう致しまして。
俺とゆめは白玄を見て驚いた顔をしていただろう。なぜならゆめは「ルーラー」としか名乗ってないのに、彼は
白玄
「おや?どうかしたのかな。」
ゆめ
「どうして私の名前を?」
白玄
「だって君は四ツ星学園の歌組S4にして、アイカツ世界ランキングのトップアイドルだろ?そんな有名人を知らない訳がない。あの時のライブは感動したよ。」
ゆめの事を知っているって事は、もしかして同居の世界から来た人!?
白玄
「ゆめ君だけじゃない。そこにいる白銀リリィ君の事も知っている。ゆめ君と同じ歌組でしかもS4補佐の幹部、更にはS4にしか与えられない独自のブランドの所有権を獲得。『エルザ・フォルテ』の次に星のツバサのドレスを解放した経歴を持つ。体は弱くとも、心は強いアイドルだ。君の復帰ライブにも行ったけど、半年のブランクがあるとは思えない歌だったよ。」
リリィ
「そんな事まで。」
白玄
「勿論、君達だけじゃないよ。あそこでカムイちゃんと話しているのは、ピュアパレットの結城あいね君と湊みお君だね。神城カレンと明日香みらいのフレンズ『ラブミーティア』を打ち負かし、更には『ソルベッド王国』の天候を覆す程のライブを披露したアイドル達だ。流石に天候を変えてしまうのは驚いたけどね。」
それを聞いたのか、カムイとあいねとみおがこっちに来た。やっぱり白玄さんの事が気になるんだ。
あいね
「皆んなで何の話?」
ゆめ
「白玄さん、私達のライブまで見に来てくれたみたいなの!」
あいね
「え?そうなんですか?」
あれ?あいね喜ぶと思ったけど何か浮かない顔をしている。
みお
「どうしたの?」
あいね
「私、ファンの人達の顔は覚えている筈だから知らない筈無いんだけどな。」
白玄
「覚えてないのも無理は無い。こうして君と会うのは初めてだからね。ライブを見終わった後、急用があって直ぐに帰ってしまったから。」
そう言う理由か。なら仕方がないか。
あいね
「じゃあ改めてよろしくね!」
白玄
「こちらこそ。」
二人で握手をしていた所に、セルベリアや殤さん、杉元さんも集まって来た。
セルベリア
「マスター。彼は大丈夫だったのでしょうか。」
剣城
「大丈夫だよセルベリア。こちら白玄さん。ゆめ達と同じ世界から来た人らしいんだ。」
セルベリア
「私はセルベリア・ブレスだ。危ない所を助けて頂き感謝する。」
白玄
「白玄だ。それにしても驚いた。マクシミリアン配下のドライシュテルンの一人、ヴァルキュリア人のセルベリア・ブレスとこんな所で会うとはね。」
驚いたのは俺達の方だった。彼はセルベリア事も知っていたからだ。てっきりゆめ達の同居の人かと思っていたから衝撃を受けている。だがそれで終わりではなかった。
白玄
「それにあそこにいる二人は、西幽の剣客『刃無鋒』の殤不患に、日露戦争で第一師団に所属していた『不死身』の異名を持つ杉元佐一ではありませんか。いや〜今日は運がいい。こんな所で有名人達に出会えるとは、僕はなんて幸せなんだ。」
さらに殤さんや杉元さんの事も知っているみたいだった。彼は一体何者なんだ?
ゆめ
「あの、白玄さんは私達と同じ世界から来た人じゃ無いんですか?」
白玄
「僕は一言も君達と同じ世界から来た住人とは言っていないよ。」
ゆめ
「それじゃあ貴方は一体何者なんですか?」
白玄
「さっきも言った通り唯の旅人さ。僕はいろんな世界を渡って旅をしている異次元の放浪者なんだよ。」
異次元の放浪者!?彼は被造物の英霊なのか!?だとしても二次元世界を行き来できるサーヴァントなんているのか?彼から詳しく聞かないと・・・・っ!?
ゆめ
「マスター大丈夫。顔色悪いけどやっぱり肩の怪我がまだ痛むの。」
ここに来てから?いや、あの小屋を出てからずっと激しい激痛に襲われていた。正直我慢の限界が来ていたのかも。もう立ってるだけでやっとだ。
白玄
「なるほど。寒い雪山でその汗の量はおかしい。顔も引きつってるし、体も少しフラついている。重症と見て間違い無いね。」
剣城
「はい。」
この人にはお見通しだったんだ。
白玄
「さて!酷くならない内に運んでしまおう。カムイちゃん。君の住まいを借りさせて貰うよ。」
カムイ
「うん!いいよ!」
俺は白玄さんの背中に乗せられて、カムイの家に向かう事にした。どうやら空き家を使わせて貰ってるらしい。しかもちゃんと綺麗にしてあったから少し安心して休める様だった。暖かい部屋の中で、俺達は腰を落ち着かせた。セルベリアとピュアパレット、さらにゆめとリリィはそのままキッチンの方に行ってしまったが、それは俺が上半身裸でいさせられたから気を遣って移動したからだと思うけど、これから治療するから仕方がないか。白玄さんに包帯を解いて貰った。
白玄
「これは酷い。傷口から炎症を起こしている。応急処置では一時的なものでしか無いだろう。よくこんな痛みに耐えたね。」
剣城
「白玄さんは医療に詳しいんですか?」
白玄
「残念だが僕は医者じゃない。唯の物知りお兄さんなだけだ。だから裏技を使わせて貰う。」
そう言うと白玄さんにうつ伏せに寝てくれと言われて俺はその通りにした。何をされるのか不安だったけど、言う通りにするしかなかった。
白玄
「
オレンジ色の楕円形の透明な光が俺の体を包み込んだ。
杉元
「なんだこりゃ!?」
殤
「結界か何かか!?」
二人は驚いていたが、さらに驚いたのは酷かった傷口があっという間に元に戻っていた。まるで傷なんて負ってたのが無かったくらい綺麗に消され、痛みなんてなかったように一気に引いた。
剣城
「あれ?何ともない!体が軽くなったみたいだ!!」
白玄
「元気になって何よりだ。」
殤
「それにしてもあんた術師なのか?あんな簡単に傷を治すなんざ並大抵の術師じゃ無さそうだが。」
白玄
「言った筈だ。僕は唯の物知りお兄さんで旅人だよ。」
いや物知りで旅人が、こんな術使えるのかな?
ゆめ
「皆んな!ご飯できたよ!」
するとゆめ達がお盆を手に何かを運んできた。さっきからいい匂いがしてたから、何か作っていたのだろう。器からしてスープだと思う。
ゆめ
「皆んなでクリームシチューを作ったんだよ!」
寒い雪山にはナイスな一品だ。有り難いよ。
あいね
「驚いちゃった!セルベリアさん料理も出来るんだよ!」
セルベリア
「お前は私を何だと思ってたんだ?」
女軍曹な風格を見せてるセルベリアにも意外な趣味があったんだな。
カムイ
「早く食べよう!お腹すいちゃった!」
リリィ
「そうですね。マスターもこれを食べて体力を付けて下さい。」
剣城
「ありがとう、リリィ。」
長方形のテーブルにちょうど人数分座れるスペースだったから皆んなそこに座った。右端から向かい合うようにして、俺とカムイ、白玄さんとセルベリア、ゆめとあいね、リリィとみお、そして殤さんと杉元さんの順で座っていた。
杉元
「シチウか。寒い雪山にはありがたい煮込み料理だ。」
殤
「なあ、これ本当に食い物なのか?何か真っ白だぞ?」
杉元
「大丈夫だよ。食べてもお腹壊さないから。」
殤さんはクリームシチューを初めて見るのかかなり抵抗していた。
セルベリア
「私のシチューが食べれないとでも言いたいのか?」
殤
「いや正直抵抗があるって言うか。」
カムイ
「ダベモノヲソマヅニズルワルイゴハギザマガァァァァ!!」
突然カムイが強烈な殺気を放ち、目を赤く光らせ殤さんを睨みつけた。
殤
「わかった・・・・食う。食うから怒りを抑えてくれ。」
カムイ
「じゃあ食べよう!」
えー・・・・。元に戻ったけど何だったの今の緊迫感。
白玄
「では!この世の食材に感謝を込めて!」
剣城、ゆめ、あいね、みお、白玄、セルベリア、リリィ、白玄、佐一、殤
「いただきます!」
セルベリア達が作ったシチューをスプーンで掬って最初の一口を食べた。
殤
「おっ!こいつはいけるな!見た目と違って全然乳牛の味がねえ!」
杉元
「うん!こりゃ美味い!濃厚なスープにじゃがいもとにんじんの程よい食感がまたいい。」
杉元さんも最初は抵抗があった殤さんも大絶賛だった。
剣城
「本当に美味しい!」
白玄
「うん!中々の美味だ。」
セルベリア
「お口に合って何よりです。マスター、怪我の方は?」
剣城
「白玄さんのお陰で、傷も完全に塞がったよ!さっきまでの痛みが嘘みたいに無い!」
セルベリア
「そうでしたか。マスターを助けていただき感謝する。」
ゆめ
「ありがとうございます!白玄さん!」
あいね
「ありがとう!白玄さん!」
ゆめもあいねも嬉しそうだったけど、白玄さんは笑みを浮かべているが何だか聞きたいことがありそうな雰囲気だった。すると食べるのをやめてしまってスプーンを皿の中に置いた。その後、白玄さんはこんな事をゆめ達アイカツ組に聞いてきた。
白玄
「なら治療費として僕からもアイカツをしているアイドルのサーヴァント達に聞きたい事がある。」
白玄さん・・・・サーヴァントの事も知っているのか!?でもゆめ達に聞きたい事って何だろう。
白玄
「君達は同じアイカツをしているがお互い別世界の住人だ。だがある時あるアイカツパスを使った事で、アイカツシステムが思わぬ異常を起こしてある事が起こった。お互いの世界が一つの世界として結ばれた。だがそれも長く続かず、世界は再び元の状態に戻り、更には君達の記憶からもお互いの存在を忘れていた。ここまでは正解だね?」
ゆめ
「はい、確かにそうです。」
え?ちょっと待って!?それってどう言う事!?ゆめ達の世界って元はバラバラだったの!?
セルベリア
「あいね達が召喚された後真っ先にルーラーの下に駆け寄り再会を喜び合っていたが、その時に、お互いの記憶が戻ったと言う事か?」
みお
「ゆめちゃんはわかりませんが私とあいねはそうでした。あの頃に今まで忘れていた事が一気に蘇ってきたんです。」
剣城
「ゆめはどうだったの?」
ゆめ
「私も召喚された時に、忘れていた記憶が一気に蘇ってきた。それは嬉しい事なんだけど・・・・。」
リリィ
「何故あんなにも楽しかった思い出を簡単に忘れてしまったのか。それが不思議でなりません。」
楽しかった食事の風景は一気に静まり返った。でもゆめ達の事も気になる。
白玄
「そんな困っている君達に白玄お兄さんが教えてあげよう。異世界同士を一つにするなんて理論上不可能だ!」
あいね
「そんな筈ない!私達はゆめちゃん達やいちごちゃん達とアイカツした!それは絶対覚えてるもん!!」
白玄
「じゃあ、あいね君に聞くけど、日本の島とアメリカの大陸を一つにできると思う?」
あいね
「やろうと思えば出来ます!!」
みお
「あいね、普通に無理だから。」
白玄
「そう!それが答えだ。」
あいね、みお
「え?」
確かに日本とアメリカの大陸を一つにする事は不可能だけど・・・・そうか!!異世界もそう言う原理なら何らかの影響があってもおかしくない!
白玄
「みお君が言う様に大陸と島を一つにするなんて現実では不可能だ。そしてあいね君の答えこそが今の君達の現状だよ。」
あいね
「じゃあ私達のやった事って間違いだったの?」
白玄
「いや、無謀だったんだよ。本来交わる筈のない世界を無理矢理くっつけようとしたんだ。何かしらの影響で記憶を失っても無理もない。」
まさか無理に異世界同士を一つにした所為で反発して、その反動で皆んなとの出会いの記憶が消えたのかな。でもそれだと一つ疑問が残る。
剣城
「白玄さんの話だと、彼女達がサーヴァントとして召喚されても記憶は戻らない筈です。彼女達の物語がそこで終わってるならそこまでの記憶しかない筈だから。でも今は皆んなにその記憶が残っている。」
白玄
「そう!だから僕は彼女達に確認したかったんだ。そしてここからは僕の仮説だが、君達が別れた後確かにその時を過ごした記憶は忘却されていた。あるアイドルを除いては。」
あるアイドル?
白玄
「覚えているかい。君達が育み、絆を深めてきた幸運の少女の存在を。」
ゆめ
「それってもしかして!」
あいね
「らきちゃんだ!!」
剣城
「らき?」
白玄
「『
あいね
「じゃあらきちゃんが何処かの世界にいるって事!?」
白玄
「そう言う事になる。」
そんな重要なサーヴァントがいるなんて思わなかった。姫石らき。彼女も何処かの異次元で聖杯によって召喚されてるなら、彼女の捜索もしないとな。なら話は纏まった。
剣城
「すいません。ちょっと席を外します。」
白玄さんの事も含めてアースに報告しなければならない。それには彼に知らないよう行わなければ行けなかったからだ。サーヴァントの事も知ってるとなると今は信用しない方がいい。だが席を立ったその時、腕を掴まれた感触があった。
白玄
「何処に行くのかな?」
白玄さんが俺の腕を掴んでいたのだ。てかなんで!?
白玄
「まさかとは思うけど、僕等に内緒で何処かに連絡するつもりだったんじゃないかな?」
剣城
「いいえ、そんな事は。」
白玄
「まさかとは思うけど、僕の事色々言い触らすつもりだったんじゃないの?」
剣城
「いいえ、そんな事は。」
白玄
「まさかとは思うけど、僕ってそんなに信用無いのかな。」
剣城
「いいえ、そんな事は。」
白玄
「剣城君。僕に嘘や誤魔化しは無駄だよ。潔く諦めて全部ゲロッちゃいなヨッ♪」
剣城
「はい・・・・。」
白玄さんに隠し事は通じなさそうなので、そのままアースに繋げてドクター達に報告した。画面にはドクターとクリスティーナさん、そしてアルタイルが代表して話を聞く事にした。
ロマニ
[興味深い話をありがとう。僕はロマニ・アーキマンだ。剣城君の危ない所を助けていただき感謝する。]
白玄
「白玄と申します。礼には及びませんよ。それとそちらの二人はサーヴァントのようだね。なら自己紹介は省いてもいいよね。牧瀬紅莉栖。そして『軍服の姫君』アルタイル。」
アルタイル
[やはり私の事も知っていたか。]
白玄
「まあサーヴァントとは言え、君の世界ではこの状況は近しい物ではないのかね。」
アルタイル
[それは否定しない。そこまで知っているのであれば
白玄
「もちろん!そんな物語の設定を自由自在に変える反則的な能力は忘れようが無い。」
アルタイル
[だが解せぬ事がある。先程マスターを治した力、あれは『
白玄
「解せぬのはこちらの方だよ。君の被造物の作品の知識は君の世界の被造物しかない物だ。何故他所の世界の事を知っているのかな。」
やっぱりアルタイルの事まで知っていたのか。てか俺の力を治した宝具って他のサーヴァントの宝具なのか。それを扱えるって何者なんだ!?
白玄
「それともう一つ気になるのが牧瀬紅莉栖君だ。僕の仮説が正しければ、君をサーヴァントとして召喚するのは難しい。何故なら、君には決定的な宝具が無いからだ。」
紅莉栖
[確かに貴方の言う通りよ。でも現実はサーヴァントとして存在している。つまり私にはその宝具となる物があるから。]
白玄
「なるほど、やはり彼の宝具を使っているわけか。確かに『負荷領域のデジャブ』で君は彼を助ける為にあの宝具を一時的に使用していた。『電話レンジ(仮)』と『IBM5100』を。」
紅莉栖
[タイムマシンの事までお見通しってわけね。]
何かよくわからないけど、クリスティーナさんの事まで知っているみたいだ。何者なんだ。
ロマニ
[隠し事をしても無駄だと思うから全て話すが、君には全く関係の無い話だ。それでも聞くと言うのかい。]
白玄
「それは話を聞いた後で決めさせて貰うよ。」
ロマニ
[わかった。なら説明させて貰う。]
俺達は白玄さんに、自分達の目的と現在の状況だけを説明した。聖杯の回収と七騎の大罪、そしてターニャ・フォン・デグレチャフの事も全て話して、彼に答えを聞かせて貰うようにした。
白玄
「聖杯か。それでターニャ・フォン・デグレチャフに追われていたと言う事か。」
白玄さんは話を聞いて大体の事は納得してくれた。でも、白玄さんに役立つ情報なんてあるのかな?
白玄
「七騎の大罪は知らないが、そのアーチャーで召喚されたサーヴァント『ターニャ・フォン・デグレチャフ』についてなら何とか話せそうだ。」
白玄さんからアーチャーについて補足と言う形で説明された。
白玄
「アルタイルの言う様に、彼女は異世界転生者だ。だが生前から根っからの合理主義者でね、おまけに人には無関心だから他人を思いやる気持ちが無い。その割にはやたらと執着心が強い。これ程めんどくさい幼女はいないよ。」
ロマニ
[出来れば詳しく聞かせて欲しい。アーチャーに対抗出来る手掛かりが有るかも知れない。]
白玄
「それは難しい話だ。彼女は頭も切れるから生半可な対策は取れないだろう。まあ気をつけなければならないのは、剣城君の方にある。」
剣城
「俺?」
白玄
「間違っても彼女に君自身の存在は明かしてはダメだよ。」
剣城
「どうしてですか。」
白玄
「デグレチャフ少佐を転生したのは、彼女の前世の世界の神様『存在X』の仕業だ。彼女に信仰心を持たせる為にやった事だが、それが災いして彼女に復讐心を持たせてしまった。しかも本人もその神様の正体を知らない。」
剣城
「それと俺に何の関係が?」
白玄
「もし彼女の前で「自分は君の物語を生み出した世界から来た。」なんて言えば、剣城君の事を存在Xと勘違いして、殺しに掛かる危険性があると言う事だ。」
そんな危ないサーヴァントだったの!?それにアーチャーがそれだけ手強いとなると、後に控えてる七騎の大罪も相手にしなきゃ行けなくなる。
ロマニ
[弱ったなあ。敵は七騎の大罪だけじゃ無いって事か。だが気になるのはどうやってアーチャーが七騎の大罪から聖杯を奪ったかだ。」
そうだ。七騎の大罪は少しでも罪があるならその攻撃は一切通用しない。頭のいいアーチャーならそれくらいわかる筈。ならどうやって聖杯を手に入れたんだ。
カムイ
「あのー・・・・私それ知ってるかも。」
さっきまで元気だったカムイが気まずそうに手を上げて何か言いたそうだった。
剣城
「知ってるって?」
カムイ
「実は私が目を離してる隙に聖杯がなくなってたの。だから多分その子が盗んだんじゃ無いかなーって?」
彼女の話を聞いて、皆んな驚いた顔をしていた。アーチャーは七騎の大罪の隙を見て聖杯を奪った所はわかった。問題はその聖杯を所持していた正体だが・・・・まさかカムイが!?
剣城
「カムイ・・・・君はまさか七騎の大罪なの!」
カムイ
「あれ?言ってなかったっけ?」
剣城
「聞いてないよ!」
ポチ
「他のサーヴァントから身を隠す為に伏せていた事だ。無暗やたらと正体を明かす愚か者はいない。」
すると誰かに話しかけられた様な気がして辺りを見渡したけどそれらしき人物がいない。
ポチ
「後ろだ!後ろ!」
後ろを振り向くと、窓の外からポチが中を覗き込んでいた。何か語りかけてるようだけど、まさかポチが喋っているのか!?
俺達は慌てて外に出て確認した。そこでカムイの正体を知る事になった。
剣城
「まさか、ポチなのか。」
ポチ
「ようやく気付いたか。我等がグランドマスターよ。」
剣城
「君達は一体。」
カムイ
「私達は七騎の大罪が一人。『
ポチ
「我は彼女の宝具にして大自然の化身、狩人の神『ホロケウカムイ』である!」
杉元
「犬が喋ったぁぁぁぁ!!」
ポチ
「犬ではないわ!!」
彼女の正体は七騎の大罪『
白玄さんにカムイ、新たな人達とその謎との出会いが俺達を困惑した。
ターニャ
「ようやく見つけたぞ。」
アーチャー『ターニャ・フォン・デグレチャフ』が直ぐそこまで来ていた。彼女との最終決戦が今幕を上げようとしていた。
英霊紹介
真名:『カムイ』
クラス:『
宝具:『
第二宝具:『
プロフィール
七騎の大罪が一人にしてアイヌの神様ではあるが、まだ幼い子供の姿をしている事から『コロポックル』とも言われている。明るく元気な女の子だが時々抜けている所が多く、すぐに失敗してしまう事もある。ただ食べ物を粗末にしたり、間食なんかをすると噛み殺す勢いで怒り出す。
彼女の宝具は動物でそれぞれ名前が付いていて、狼の姿をした神ホロケウカムイは『ポチ』。羆の姿をした神は『タマ』と名付けている。