「...この子はどこにいたの?」
そう永琳に問われ、私はこの子を永遠亭に連れてくるまでの経緯を細かく説明した。
「これからこの子をどうして行こう...」
もう今は事情聴取ではなくこの子をどうするかに話が移っていた。
「私がこの子を匿うよ」
そう言ったのは、私だった。考えもせず口から言葉が出ていた。
「私もだ」
妹紅もそれに続くように言葉を放っていた。
永琳は少し私達の立て続けの発言に驚いていたが、やがて落ち着いたように言った。
「分かったわ。でもその子はまだ何者かわからない。怪我のことで、一応2週間はここで療養してもらうから何か分かることもあるかもしれない。引取ってから困ったときはすぐにここに来るのよ」
妹紅と私は頷き、この件について誰にも話さないと約束した。次にここにくるのは一週間後の昼ということになった。
一連のことが少し落ち着き、私は冷静になって男の子を見た。男の子はまた寝てしまっている。
着替える前の泥まみれの服を見て、この子はどうしてこうなっているのか、そして何処から来たのかと考えを巡らせる。
「な...どうしてこんなになっちゃったんだろうか」
妹紅も同じことを考えているようであった。
「そうですよね...親がいなくなってからどんな生活をしてたんだろう...」
「敬語じゃなくていいんだよ、あと自己紹介してなかったな、私は藤原妹紅。いつもあの竹林でダラダラしてるよ」
「わかった...私は魂魄妖夢。いつも白玉楼で幽々子様の従者として過ごしているの」
お互いに自己紹介もしていなかったことに気づき、ようやく二人は名前を知り合った。
「じゃあよろしく、妖夢」
「よろしくね、妹紅」
その時、ベッドから声がした。
「僕は、どうすればいいんだろう...妹紅さん...妖夢さん...」
彼は起きていたのだ。そしてずっと話を聞いていたのだ。私たちはすぐに男の子の方を向いた。男の子は大粒の涙を流しながら言った。
「僕のお父さんもお母さんも、殺されたんだ...もう僕を育ててくれる人はいない...親戚の中でも生きていると知らせがあった人は...未だに誰もいない...」
私はとても驚き、声も出なかった。彼の親は、病気で死んでしまったわけでもなく、何者かによって殺されたのだと...。きっと親が、自分たちが殺される前に遠くへ逃してあげたが、誰からも忘れられてしまい、ここ幻想郷に来たのだろう。
「僕は...どうすれば...」
「私たちがこれから匿ってあげるんだから、安心するんだよ」
そう妹紅は告げた後、ちょっと待ってねと言い、部屋を出て行き、私を部屋の外へと手招きした。妹紅は私に言った。
「妖夢、お前さんは半人半霊だよな」
「ああ、そうだよ、それがどうかしたの?」
私は不安になって訊いた。すると、予想だにしなかったことを告げられたのだ。
「私の推測ではあるけど、恐らく彼も半人半霊だと思う。しかも特別な...」
私はとても驚いた。何故なら、私自身が半人半霊なのに、その私が、彼の身体の霊魂を全く見受けられなかったからだ。妹紅は続けた。
「彼には恐らく物凄い能力がある。半人半霊なのに霊魂がお前さんにさえ見えないのはその為だと思う。私は長い間生きてきたから彼が特別な半人半霊であることはなんとなくだけど感じた。だから私は、同じ種である、妖夢、お前のもとで匿っていてくれないかな。私も出来る限り人里で何か買って白玉楼まで行くから、お願い」
妹紅からの願いを、最初は快く受け入れようとした。しかし、幽々子様が良いと言ってくれるかが分からない。私はこれでも従者の身である。しかも男の子の事を他の人に話しては情報が広まる可能性が高まる為、いくら主人といえど難しいかもしれない。
「でも、私の主人が良いって言うか...」
妹紅は迷いなく返事した。
「妖夢、お前のご主人様ならきっと大丈夫なはず」
「じゃあ、幽々子様には状況を説明するね」
てっきり説明しなければと思っていた。
「それは言わないで、絶対に。理由なしでも幽霊を匿ってるんだよ、それならお前のご主人様はこの子のことも匿ってくれるはず。私が頼んでみる」
決意の目で妹紅は頷いた。そして私は、眠る男の子に布団をかぶせて、妹紅と共に歩き出した。
うーん本当に同じ口調しか使えないなぁと悩んでいる人です。
第三話は少し遅れると思いますm(_ _)m