私は妹紅と共に永遠亭を出て妹紅の家へやってきていた。
「ちょっとお茶を出すから、そこに座って待っててちょうだい」
私にそう言うと、妹紅は部屋の奥の台所へ消えていった。私はひとりで考えていた。あの男の子は本当に半霊を持っているのか。私の目がよほどおかしくない限り、私には半霊が見えないなどと言うのはあり得ない話だ。幽々子様の霊も、もちろん私の霊も、私は普段気にもせずに視界に入る。
妹紅はもしかすると預かりたくなくて適当に彼が半人半霊であると言ったのかもしれない。
しかし私の考えがまとまる前に妹紅は緑茶を淹れて戻ってきた。
「はいどうぞ、どこかの吸血鬼が飲んでるお茶よりもこっちの方が美味しいと思うんだけどな」
そう言ってにこりと微笑む。この気遣いを見ると、妹紅が嘘をついているなど全く思えない。
妹紅は半人半霊ではないではないかという思いに対し、こんな優しいのに嘘をつくとは考えられないという思いがある。
「おい、聞いてるのか?」
気がつくと妹紅が私の顔を覗き込んでいた。
「あ、ごめんね」
「疲れてるんなら少しは休んだ方がいいよ?」
妹紅は私が聞いていなかったことを気にしない様子で言った。
言い出した方がいいのだろうか。しかし私はとりあえずこのことに対して考えるのをやめた。私があの子を見ていくのは決まっているのだから。
「うん、ありがとう」
私はこう答えて、笑った。
その後私は妹紅とさまざまな話をしてから帰った。最後に妹紅は、
「困ったらいつでも来てね、私はお節介なもんで、世話ならいくらでもできるからさ」
と言ってくれた。とりあえず、今日は幽々子様にも何も言わずに寝ることにしよう。
*
-同じ日に、紅魔館の主人、レミリア・スカーレットは従者の十六夜咲夜を部屋に呼んでいた。-
「咲夜」
「はい、何でしょうか」
お嬢様は私を呼んでから、言った。
「いまから1年後、ここ幻想郷は大きな危機に浸る運命にあるわ」
突然言われたものだから、私はとても吃驚した。
けれどもお嬢様は、私の反応が想定内だという表情をし、話を続けた。
「幻想郷と言っても、私達と、一部の人達だけだけどね。」
私は本当にお嬢様が何を言っているのか分からなかった。お嬢様は昔から、奥に何かが秘められた口調で私に話してくるが、私は大抵理解出来ないのだ。
「私なりに調べてみる事にします。」
お嬢様はにこりと笑ってから言った。
「とりあえず紅茶を頂戴。」
「かしこまりました。」
そう言って私は部屋を出た。
私たちと関係があるが、一部の人…。博麗の巫女と関係するのだろうか。とりあえず今は異変の気を感じないので、頭の片隅に入れておき、私は仕事に戻った。
*
「ようやく彼奴も例の場所に辿り着いたみたいだな」
漆黒の仮面をつけた男達が集まる中、リーダー格のような、一際目立つ男は言った。
「着々と準備しているのか?」
「はい、エネルギーの採取は比較的好調に進んでおります」
一人がひれ伏して報告していた。
「なるほど分かった、例の場所までの輸送ラインの確保も次にやるように」
「了解致しました」
そして、リーダー格の男は最後に念を押すように睨みつけて言った。
「絶対に情報を漏らさぬように」
「はい!」
とある満月の夜、侵略者Sによる計画は順調に進められていた。
今回も読んでくださりありがとうございます!
内容がかなり濃い回で、文字数が少なめになってしまいました。読みやすいように情報は少なめを目指しています。